東方夜光録『ヤコウロク』   作:◆◇夢幻水晶◇◆

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お久しぶりです夢幻水晶でございます!なんとかテストの方も乗り切りましてまたいつもどおりに小説を書き上げていきたいと思います。
なろう様の方でも新しく小説を上げたいと思っておりますのでよろしければそちらもどうぞよろしくお願いします。


それでは本編(∩´。•ω•)⊃ドゾー


十七幻~交わり逢う思惑~

「まったく……っ!どこいったのよ一体っ!!!」

 

 

霊夢(れいむ)は幻想郷中の空を呼びまわりながら一人の男を探していた。

確かにここ最近幻想入りした少年。今後、いや、近いうちに英雄か死神となる男。

しかしどこにもいないのだ、氷精(チルノ)神社(うち)(すいか)魔理沙(まりさ)河童(にとり)、しまいには(てゐ)のもとまで訪ねたのにも関わらずだ。

あの情報屋(からすてんぐ)に聞けば何かしら手がかりの一つや二つ手に入るだろうが簡単に足取りは負えず泣く泣く断念した。

そこでふと思い出す。

 

 

 「地霊殿(ちれいでん)か…っ!」

 

 

あと思い当たるといえばそこしかない、あまり気が進まないが個人的な意思を挟んでいられるほど猶予(ゆうよ)はない。

時間がない、急いで向かおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おはようございます憩夜(けいや)さん」

 

 

目を開けると目の前には(もみじ)の顔があった。

というか寝て起きると顔を覗かれているって地霊殿でもやられた気がする。

 

 

 「あぁ、おはよう………痛っ…!」

 

 

上体を起こそうとしたところ軽い全身の筋肉痛が襲ってきた。

 

 

 「大丈夫ですか!?」

 

 

心配そうな声を出されたが問題ない、軽症も軽症だ。

 

 

 「大丈夫大丈夫、あまり酷くはないみたいだから。」

 

 

 「でもこれから天狗の逃走劇に付き合うのに本当に大丈夫ですか? 」

 

 

それを改めて言われると気が滅入る………

しかし、俺も案がないわけじゃあない。

 

 

 「昨日のあれ使いながら行ったら案外平気なんじゃないかと思ってるんだが……」

 

 

 「良いとは思いますが昨日少し能力を発現させただけで今の状態なわけですからくれぐれも無茶だけはいけませんからね? 」

 

 

 「わかってるって、無理はしないよ。」

 

 

 「わかりました、それじゃあもう少ししたら起きてきてくださいね、朝ごはん作ってきますから。」

 

 

穏やかな微笑を残して椛は階段を下りていった。

 

 

 「にしてもこの家……一人暮らしにしては広いよなぁ……」

 

 

昨日は言われるがままに椛の家まで連れてこられたのだが、その家というのはこれまた面白い作りになっていた。

そもそも家自体が木なのだ、具体的には俺がいた元の世界では到底見つからないであろう大きな木をベースに、その木の中身をくり抜いてある、と言えばわかるだろうか。

 

 

 「呑気(のんき)にもしてられない状況だけど、やっぱこの状況は明らかにおいしいよなぁ……」

 

 

俺は基本、女性には誠実であろうとするが故にどんな事が起こっても極力動じないようにはしている。

しかし男たるもの理性というものがあるわけで、まぁ何が言いたいのかと言われれば一つだ。

 

このままじゃ(理性が)持たない。

 

パルスィ、さとり、椛……こっちに来てあまり日は経っていないはずなのに何故か女性問題と厄介事だけには事欠かない気がするのだ。

別にそっちの気は全くないのだがどうしても思ってしまう。

 

男に会いたい……と。

 

 

 

 「役得だしいいのかな、幸せだし………あ……」

 

 

 

ふと視線を窓に巡らせると窓の外からじっとこちらを見つめてくる白狼集団の一人と目があった。

あれ……? ここ二階……

 

 

 

 「$&%∵☆§ーーー!!」

 

 

 

窓の防音が凄いのかあいつの怒りがものすごいのかはわからないが何を言っているのか全くわからなかった。

 

 

 

 「∈〆〒!! †〃∝★~~!!!」

 

 

窓に近づいたらこれ確実に害を被るんだろうと思ったので、俺はあえて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一階に降りた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別にヘたれたとかそういうことではなくファンというものの業の深さを身を持って知り、ちょっと怖くなっただけだ。………うん?それが『へたれた』っていうのか?まぁいいか。

 

 

下に降りると椛がまだ火を扱っていた。

 

 

 

 「おはよう、椛」

 

 

 「起きてきたんですね、もうちょっと待って下さいね?すぐできますから。」

 

 

キッチンに立つ椛はエプロンを装着しており、それを含め非常に家庭的な空間に包まれた俺はどことない幸せな気持ちになっていた。

 

 

 「ん? どうしました? 」

 

 

 「ん、あぁいや、なんでもない。」

 

 

 「座っておいてくださいね~っとほらほらできましたよ~」

 

 

出てきた料理はどれも色形(いろかたち)共にとても綺麗で、それらから立ち上る温かな匂いが鼻腔(びこう)をくすぐる度に胃が()かしてくる。

 

 

 「おぉ!上手いもんだな!」

 

 

 「そうですか? ひとりでくらしていれば自然と身に付きますよ? 」

 

 

平静を装って言ってはいるものの尻尾がパタパタとゆれているぞ椛よ……隠せてない隠せてない。

 

 

 「食っていいか?!」

 

 

 「どうぞどうぞ、簡単なもので申し訳ないですけど。」

 

 

許可も得たので遠慮なく作ってもらった朝食を口に運ぶ。

 

 

 「美味い!!!」

 

 

味付けも濃くなく薄すぎず、個人的にとても好きなバランスだった。

感動を覚えずにはいられないぞこれはっ!

 

 

 「お口にあってよかったです」

 

 

 「あぁ、それとですね、あの烏天狗の事なんですけどもまだこの山の中にいるみたいなんですよね。」

 

 

それは好都合、わざわざ遠くまで探しに行く手間が省けるというものだ。

 

 

 「朗報だな、これ食べたら即刻とっ捕まえに行くよ。」

 

 

 「それがいいですね、捕まえたら首根っこ引っ捕まえてここまで連れてきてくれると嬉しいかもです。」

 

 

顔こそ笑顔を浮かべていたものの目だけは全く笑っていないあたり相当恨みがあるのだと図り知れる。

 

 

 「任せとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一通りの準備を終えて、いざ出ていこうとしたら椛の家の周りには白狼集団が勢ぞろいしていた。

 

 

 

 「こいつは一体どういうことだ………? 」

 

 

 「烏天狗を憩夜さんが捕まえると息巻いていると言ったらみんな集まってきたんです。」

 

 

 

 『あいつをつかまえてくだせぇ』

 

 『お嬢の敵をっ!!』

 

 『あんたが頼りだ!』

 

 『気をつけろよあんちゃん』

 

 

それぞれが自由に、ただ俺への激励を飛ばしてくれた。

なんだ、いいやつらじゃないか。

答えるようにみんなに向かって片手を上げ、一言だけ呟く。

 

 

 「行ってくる」

 

 

 

飛び上がるのと同時に狼化して人間時の二倍近い速度で枝を飛び移り、幹の隙間を縫うようにして文の気配を追う。

そう遠くはない、十分もあれば着くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思って移動してから五分ほど。

 

あれは誰だ……? 

 

山を動きまわっていると川に出たのだが、そこにはとんでもなく大きいバックパックを背負った青い髪をした少年(?)がいた。 ……ってこっち見てる?!仮にも人間の倍以上の速度は出てるはずなんだがな……

まぁ目があったのに無視するのも良心が痛むし挨拶くらいはしていくか。

 

 

 

 

 

 

 「やあ、群れていない白狼なんて珍しいね? 単身の任務とかかい? 」

 

 

降りて行くとそう声をかけられたのだがやっぱりこの姿は白狼のそれにしか見えないのか、妖怪なんて見慣れているだろうこの山の住人でさえ見間違えるほどに。しかし声を聞いて判断がついた、女の子なのかこの子。

 

 

 「この姿で言うのもなんだが俺は一介の人間だ、ちょいと用事があって烏天狗を追ってるんだ。」

 

 

人間であることを告げてやると、一瞬驚いたかのように目を丸くすると次の瞬間には笑っていた。

 

 

 「くくくっ、君が人間かい?白狼にしか見えないのにかい? 面白い事を言えるやつもいるじゃないか、くくっ」

 

 

どうやら信じる気はないらしい、誤解されたままというのもあまりいい気はしないので体に掛かる負担を承知で解除する。

 

 

 「おっと、これは失礼、まさか本当に人間だとはね…霊力は確かに人間だよこれは驚いた、へぇ、ほぅ…」

 

 

女の子にじっと見られる機会というのもなかなかにあるものではないので少々気恥ずかしいものを感じながら流されることなく本来の目的を仄めかす。

 

 

 「興味津々といった目をしているところ悪いんだがこれでも割と急いでるんだ……」

 

 

女の子はバツが悪そうな顔をして謝ってきた。

 

 

 「そうだったね、すまないこればっかりは性分なんだ、しかしそうなると霊夢には謝っておかないといけないようだ……」

 

 

霊夢……?

 

 

 「今霊夢って言ったか? あいつがどうしたんだ? 」

 

 

一番今後の手がかりになりそうな奴の名前に反射的に聞き返す。

 

 

 「あぁ、先ほど霊夢がここまで来てね、おそらく君の事なんだろうけど『最近新しくこっちに来た少年を見かけなかったか』と聞きに来たんだよ、その時は知らないと言ってしまったが今こうして知ってしまったわけだよ。」

 

 

こちらも探してるならあっちも探してるってことか……

 

 

 「どこいったかはわかるか? 」

 

 

 「わかるけど恐らくもうそこからも移動してるだろうから後手後手に回るだけだと思うけどね、それに忘れているのかも知れないけど君は例の烏天狗を追っているんじゃなかったかい? 」

 

 

あぁ…なんて間が悪いんだ俺……

 

 

 「そうだった……俺は行くよ、君の名前は? 」

 

 

 「にとり、河童のにとり さ、そういう君は? 」

 

 

 「新條 憩夜 だ、情報助かったよ、ありがとうな。」

 

 

 「あまり助けになるような情報を渡せなかったような気がしてならないが……まぁいい、武運を祈っているよ。」

 

 

 「あぁ、行ってくる。」

 

 

会話をやや駆け足で終え、そろそろ慣れてきた獣化を済ませて一気に木々の隙間を駆け抜ける。

追いつくにはだいたい20分ってことか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――★

 

 

 

 

 「あぁ、憩夜さんですか? あの人なら今頃命蓮寺(みょうれんじ)にいるはずですよ」

 

ゆっくりとお茶をしていたらやたら急いだ様子で霊夢さんが入ってきました。

 

 

 「――――――――――――――――――――」

 

 

 「さとり、それは確かね? 」

 

 

 「その話が本当ならば一刻の猶予も許されないでしょう。早く行ってあげてください。」

 

 

 「わかったわ、不安をかけたくはなかったんだけど…ごめんなさいね?」

 

 

 「私に謝るよりも動くのが先でしょう? 」

 

 

 「あんたはたまにいいやつだと思うことがあるわ。」

 

 

 「『たまには』というのは余計ですよ。」

 

 

 「ありがとう、行ってくるわ。」

 

 

霊夢はそのまま玄関を通らずに窓から飛び出していった。

つい昨日同じような場面を見たなぁと思いつつ、霊夢をなんとか退けた事に安堵(あんど)する。

 

 

 「おねぇちゃん、どうして幻想郷が大変だって言われたのに嘘ついたのー? 」

 

 

 「嘘だと気づいたのに口を出さずにいてくれたのですね、助かりました。」

 

 

 「ねぇねぇ、どしてどしてー?」

 

 

 「恐らくこの『異変』の裏側を知っているのは私だからですよ、こいし。」

 

 

 「んーー?? わっかんなぁーい」

 

 

心を読む能力が欠如したこいしには私の裏を読むことは出来なかったようですがまぁそれでいいのです。

 

 

 「いいのですよ、全てはこの幻想郷のためなのです。」

 

 

 「そうなのー? まぁなんでもいいんだけどねー」

 

 

 「そうだ、こいしがこの前話してくれると言ってそのままだった事があるでしょう? あれ聞かせてくださいよ。」

 

 

 「あぁー、そんなことあったねー、いいよーお話したげるー」

 

 

そう言ってこいしは私を自分の部屋に連れて行いきます。

 

 

 

 

 

 

憩夜さん…………時間稼ぎはしましたよ、早く帰ってきてください……

貴方にはまだしてもらいたい事があるんですから………。

 

 

 

 




どうでしたでしょうか?最近文才がないのを自覚しはじめまして、本格的に他の方の文章を読むようになりました。
次話を投稿する事に上手くなっていければと切に思います。
ここまで読んでくださってありがとうございます!それではまたお会いしましょう~!
(*≧▽≦)ノシ))
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