東方夜光録『ヤコウロク』   作:◆◇夢幻水晶◇◆

23 / 33
お久しぶりでございます!冬休みには入っているとは言ってもテストがあるとやはり小説に割く思考も出来なくなるしで遅くなるんです……決して言い訳なんかじゃないんだからねっ!ξ゚⊿゚)ξ


え?やかましい?さいですか…それでは本編(∩´。•ω•)⊃ドゾー


二十二幻 ~最後の計画~

休憩中の事、勇儀は俺に話しかけてきた。

 

 

 「アンタ、幻想郷(ここ)の人間じゃないんだろ? 」

 

 

突然振られた話題に僅かに身を固くしたが、別段隠すことでもないので素直に話すことにした。

 

 

 「まぁな、何かな、この幻想郷救わないとならないんだと」

 

 

それを言うと勇儀は素直に驚いたような顔をした。

 

 

 「ここを救うって、今は結構平和なんだがね、私は暇だが異変も無いし特に気にするでもないだろ?」

 

 

どうしたものかな、言ってもいいのだろうか、何が狂っているのかすらわからないなどと……。

 

数秒考えを巡らせた後答えを返す。

 

 

 「こう見えて平和ってわけにはいかないらしい、幻想郷のお偉いさんに気をつけなきゃいけないらしいんだが何か知らないか? 」

 

 

 「そうだねぇ……お偉いさん……お偉いさんか……まずはここ地霊殿なら悟り妖怪だね……」

 

 

彼女の口から出た意外な名に目を見開いた。

 

さとり……!?さとりだと!?

 

 

 「おや、知ってるのかい。なら話が早いや、あの偉そうなのが事実上の地霊殿のトップさ。話だけでも聞いてみな。」

 

 

あまり信じたくはない話だった、俺の身を案じて屋敷に住まわせたり、ふざけあったりしたさとりが敵だなんてものは。

 

 

 「後は……隙間の八雲(やくも) (ゆかり)、湖の御柱こと八坂 神奈子、蛙大明神(だいみょうじん)洩矢 諏訪子、浮世の亡霊西行寺 幽々子、月の医仙八意 永琳、とりあえずはこんなもんかねぇ、他にもいるけどそれは行く先々で聞いてみるんだね、余裕はあるんだろ? 」

 

 

 「中に永琳も混ざってるのか……戦いたくはない相手だな……時間の方は正直わからん、時間も目的も知らされてないんだ、だけど時間はそんなにないんじゃないかな。」

 

 

勇儀はそれを聞くと、空を仰ぎ、遠い目をした。

 

 

 「ど、どうした、突然意味ありげに」

 

 

 「いやね、どちらにせよそのつもりだったけど……全部言っちゃったなぁ……と思ってさ」

 

 

言われてふと気づく、この試合の前。

 

『交えたら色々話聞かせてくれるかい?』『アタシに勝てたら何でも答えてあげるよ』

 

 

 「あぁ……全く気づいてなかった。」

 

 

 「アンタもか」

 

 

ふたり揃って遠い目をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「で、それでもやるわけか。」

 

 

俺と勇儀は観衆のリングで対極の位置につき、第二ラウンドの意味の有無をを問いかけの中に含ませる。

 

 

 「勿論さ、元々なんかそこそこ強そうな少年がいるのを偶々(たまたま)見付けたから喧嘩吹っかけたわけだしね。」

 

 

 「やけに話すな? いっそ疑わしいんだが。」

 

 

突然口が軽くなった事にただならぬ警戒を抱いたのだが、それを勇儀はかんらと笑う。

 

 

 「一回口が滑ったからね、潮時かと思ったのさ、そもそも隠し事して餌で釣ってなんて柄でもないし性に合わないしね。」

 

 

なんて豪快な人だろう、これも鬼という種族の特性故なのか。

その豪快さに驚きを含んだ感嘆の声を上げていると、あ、そうだ、と言葉を続けた。

 

 

 「アンタにはコレのメリットなんて無いのに何でやるんだい? 殺さないように調整はするけど利益は言ったとおりないんだよ? 」

 

 

もっともな質問だがそれもこれも幻想郷に来てから心の端の方で芽生えた厄介な衝動が原因なのだ、強い奴と戦いたいというとても厄介な戦闘願望が。

心底不思議そうにする勇儀に不敵に笑って返してやる。

 

 

 「あんたが強いからだよ」

 

 

その一言で言わんとしていることが伝わったのか、一瞬目を丸くしたかと思うとからからと笑いだした。

 

 

 「あぁ笑った、いいねアンタ気に入ったよ、違いない、アンタはアタシと同じくらいの馬鹿だよ」

 

 

 「それじゃ始めるか?」

 

 

 「いや、もう少し待ってくんな、話してるうちにアタシに買った時のアンタの利になる事を思いついたんだ。」

 

 

 「というと?」

 

 

 「勝ったらその先アンタに勝負を挑んでくる相手に向かって鬼より強いのかを確認してみな、そうすりゃ無駄な戦闘は避けられるはずさ」

 

 

そう言われてやっと実感が湧いてきた、鬼は幻想郷最強の生物なのだと。

 

 

 「てなわけで()ろうや」

 

 

 「よしきた、精一杯頑張りますかね」

 

 

肩を回してやる気を出しながらリングの真ん中に戻ろうとしたとき、凄く聞き覚えのある声が聞こえる。

 

 

 「待ちなさいよ!!」

 

 

 「誰かと思えば、水橋(みずはし)じゃないか、……さとりもいるのか……」

 

 

勇儀はパルスィの姿を認めたときとは打って変わってさとりをみた瞬間隠すことなく嫌な顔をした。

 

 

 「おぉ、二人共結構久しぶりだな、ただいま」

 

 

 「ただいまって……憩夜(けいや)さん、一体何を? 」

 

 

 「見ての通りだが? 」

 

 

それを聞くと呆れたのか、二人揃って溜息をついた。

 

なんだ、俺が喧嘩しちゃいけないのか。

 

 

 「城下で鬼と白髪の少年が喧嘩していると情報が入ってきたからまさかと思えばそのまさかでした。」

 

 

 「帰ってきて早々に喧嘩なんて元気なものね……どれだけ心配したと思っているのかしら……? 」

 

 

二人共言いたいことはそれぞれあるようだったが勇儀がそれを制止した、実力行使で。

 

 

 「心配してくれたのはありがたいけど今取り込みちゅ…!?!?」

 

 

勇儀が俺を引き寄せるようにして腕で頭を掴んだ。

 

腕が頭を捉えるということはそのまま引き寄せれば俺の頭が勇儀の胸に直行するのは察することができるであろう。

 

というか勇儀やっぱデカイな!? 胸じゃなくて身長が! 俺が170後半あるから190以上はあるだろう、鬼というのはみんなこうなのだろうか、まぁ胸も大きいが。息できないし。

 

 

 「なっ!?」

 

 

 「……っ!」

 

 

 「コイツが言うとおりアタシたちはお取り込み中なんだ、水橋も三つ目にも口出しや手出しはさせないよ」

 

 

勇儀は挑発するように、あるいは気に入ったものを取られる子供のように言葉を二人へ向けた。

 

 

 「鬼、手出しはしませんのでさっさと憩夜さんを離してくれますか、彼、今にも他界しそうなんですが」

 

 

腕を手のひらで何度も叩いているの事に全く気がつかなかった勇儀はさとりの一言でやっと気がついたようで直ぐに俺を解放した。

 

 

 「あぶねぇ……川見えた……アレがかの有名な三途の川…死神が仕事サボってなきゃ死んでたなこりゃ……」

 

 

 『『『 小町かな…… 』』』

 

 

 「そんな訳でだ、アタシたちは今から勝負をする、そっから先は知らん。アンタらで何とかしてくんな」

 

 

駆け引きが苦手なはずの勇儀はいとも簡単に話を進め、場を収めてしまった。

 

そして多少の遅れを出しながらも予定通りに事は進み、二人は改めて観衆のリングの中で対峙した。

 

 

 「一発勝負の前に軽く手合わせと行くかい? 人間ってやつは脳内集中薬(アドレナリン)の分泌が出来ないんだったろう? 」

 

 

 「先の一件で生死の境まで行ったからな、バッチリだ」

 

 

 「悪いね、胸に頭沈めちまって、悪気はなかったんだ」

 

 

 「結果オーライってやつさ、問題ない」

 

 

 「相当キてるね、顔色一つ変えないか」

 

 

全ての準備は整っている、勇儀との会話を終えた時にはもう観衆の声さえ遅く、そして遠く聞こえていた。

 

 

 「さて、行こうか……って聞こえちゃいないね」

 

 

俺が構え、勇儀が構える。

 

俺の構えは去なし、攻撃、防御の全てを行える我流の集大成。

 

対して勇儀は未だ自然体。

 

 

 「『三歩必殺(さんぽひっさつ)』」

 

 

 「 一つ 」

 

 

膨大な力の発散。

 

 

 「 二つ 」

 

 

膨大な力の濃縮。

 

 

 「 三つ!! 」

 

 

数え終わると同時、勇儀の姿が消え、数歩先に拳を突き込む姿がブレて見えた瞬間に対するようにしてこちらも拳を突く。

 

衝撃の走り方に不利を覚えて『獣化』。

 

覚えているのはそこまでだった。

 

 

 

 「…………ぁ……が……」

 

 

目の前に灯る提灯の明るさを視覚し始めた時には出す声は声にならず、吐く息は壊れた笛の音のようだった。

 

また、右腕で衝撃を受けたため幸いにも身体が粉々になるなどという事にはならなかったようだったが、右側の肋骨(ろっこつ)は全て折れているらしかった。

 

 

 「憩夜!! しっかりしなさい!」

 

 

パルスィは憩夜の元へと駆け寄り、声をかける。

 

 

 「勇儀貴女ねぇ!! 」

 

 

 「まぁ待て水橋、そいつの巾着の中にある瓶を開けて傷にかけてやんな。怒るのはその後だ。」

 

 

 「………っ!!!」

 

 

パルスィは湧き上がる勇儀への怒りを無理やり理性で押さえ込み、巾着から瓶を取り出すことに集中した。

 

駆けていった本人は気づいていなかったが憩夜のもとへ走っていったのはパルスィだけで、さとりは残り、勇儀と話していた。

 

 

 「貴女、手加減すると言っても五割は出したでしょう。万に一つでも彼が死に至る結果になったらどうするつもりですか、私の計画に支障が出るでしょう? 」

 

 

 「アンタの計画ならアタシがアイツをうっかり殺しちまっても関係ないんじゃないか? 気に入ったから死なないようにしたんだがね」

 

 

その采配が鬼(ゆえ)の気まぐれかは知り得なかったが、さとりには面白くなかった。

 

 

 「たとえ貴女のお気に入りであろうと、彼には私の敷いたレールに乗り続けて頂きます。あともう少しなんですよ。」

 

 

 「意思は固い…か……、ならアタシは霊夢(れいむ)側につくよ、幻想郷(ココ)には飽きてきたところだが、外から来る奴は結構面白いんでね。」

 

 

意思を告げた勇儀にひと睨み利かせると、さとりはパルスィの元へと歩いて行った。

 

 

 「貴女は本当に私の反発が好きですね。」

 

 

 「偉そうな奴は誰彼構わず嫌いなもんでね。」

 

 

 「言っててください。」

 

 

そうして憩夜の傷の再生に目処(めど)が経った頃、一歩も動かずにいた勇儀は未だ意識が朦朧(もうろう)としている憩夜に向かって声を張り上げた。

 

 

 「今日のところは仮合格としておこうじゃないか! また次を楽しみにしてるよ!」

 

 

その意味を理解してか否か、真偽は定かではないが勇儀の言葉を聞いた憩夜は口だけで精一杯に笑ってみせた。

 

 

 「ちょっと勇儀! 憩夜笑ってるんだけど! おかしくなってないでしょうね!? 」

 

 

 「笑ってる? 笑ってるだって? そいつはイイや! 前言撤回には早すぎるが合格にしようじゃないか!」

 

 

心配とツッコミを全力でこなすパルスィにさとりが肩を叩いた。

 

 

 「好きなだけ問いただしてきて構いませんよ、後は私が地霊殿まで運んでおきますから。」

 

 

パルスィは久しぶりにとてもいい笑顔を浮かべて鬼のそばへ行き、署への連行を図る警官のように勇儀の肩を叩いてそのまま静かになった旧地獄街道へと姿を消した。

 

 

 「皆さん、いつまで見ているんです? 見世物はもう終わりましたよ? 」

 

 

一言で見物人は一人として残らずに掃け、あたりに気配すらなくなった辺りでさとりは強く口笛を吹いた。

 

しばらくすると、羽ばたく音と共に八咫烏(やたがらす)が降りてくる。

 

 

 「どーしましたさとりさまー? 」

 

 

 「彼を地霊殿まで運んでください、部屋はまた彼処(あそこ)を使わせましょう。」

 

 

 「りょうかいしましたー」

 

 

要件を一通り伝えると空を送り出し、当の本人は歩いて地霊殿へと向かった。

 

 

 「霊夢ももうすぐ戻ってくる時期ですかね……最期(さいご)に紅魔館に向かってもらいましょうかね、これで何もかも終わりです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか、ここから展開が加速します!物語を書く筆も加速させます!(ずいぶん前から言っている気もするけど気にしない!)

それではまたお会いしましょう!( 。`- ω -´。)ノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。