東方夜光録『ヤコウロク』   作:◆◇夢幻水晶◇◆

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少し遅れましたがあけましておめでとうございます!

小説を書き始めたのが去年の一月一日なわけです、つまり小説を書いてやっと一年が過ぎました!\( ・ω・ \)わっしょい( /・ω・)/

一年で何話書き上げたのかな、と思って見直したら25話でした。
ということはひーふーみー…一ヶ月に二話の割合で投稿してる計算になるわけですが……
週一で更新する事なんて出来てない!?二週間で一回って感じですね……。

今後技術を磨きに磨いてより良い内容に、より読んでいただけるように精進致しますのでどうぞ今年もよろしくお願い致します。

長くなりましたが挨拶はここまでにして本編(∩´。•ω•)⊃ドゾー



二十三幻 ~束の間の日常と疑惑~

あれ……ここは……

 

 

 「あ、お兄さん起きたんだー? 」

 

 

見上げるとそこには八咫烏(やたがらす)の笑顔があった。

 

 

 「前にもあったなこんな事」

 

 

 「あはは、起きたときはおはよーだよお兄さん」

 

 

 「うん、そういう子だったよね君は」

 

 

相も変わらず地霊の八咫烏殿には話が上手く伝わらないようだった。

 

辺りを見回すと見覚えのある部屋が目に入り、自分が運ばれたとわかる。

 

 

 「あ、丁度目を覚ましましたね、少し遅れましたけどお帰りなさい憩夜(けいや)憩夜さん」

 

 

 「さとり様お帰りになったんですね、おかえりなさいませー」

 

 

 「えぇ、ただいま(うつほ)

 

 

家族とのやりとりを終えるとさとりはこちらに向かって歩いてきておもむろに俺の服を脱がせてきた。

 

 

 「何してんだお前?!」

 

 

 「本当に怪我治っているんですね……」

 

 

 「便利だよな本当に、即効性あるし」

 

 

さとりはどうやら俺の怪我の心配をしているらしかった。

 

 

 「大丈夫だ、あと三本あるし変にくたばったりしないだろ」

 

 

ふとさとりの表情に影が落ちたのを見逃せずになんとなく感じていた不安をぶつけてみた。

 

 

 「三本……ですか……」

 

 

 「少ないと思うか……? 」

 

 

 「え、あぁ、確かに心もとないですね。貴方の戦い方にはまだまだ危ういところがありますから。」

 

 

言われると確かにそうだ、(さかのぼ)れば白蛇、白黒天狗、先の勇儀といい大分無茶という無茶をしてきている。

 

今でこそ『獣化』だの背に翼を生やしたりと人間離れした事が出来るものの物事には限度というものがある、下手に面倒事に首を突っ込めば冗談抜きで死にかねないのだ。

 

 

 「そうだな……もっと強くなれればいいんだが……」

 

 

 「ちょっと荒いですが無いこともないんですよ、手っ取り早く強くなる方法。」

 

 

便利だな幻想郷……なんだろう精神と時の部屋でもあるのだろうか。

 

 

 「あるのか、そんな夢のような方法が? 」

 

 

 「地獄に数日篭れば能力の向上は見られるかと。」

 

 

 「地獄? 天国じゃなくて? 」

 

 

 「何を言ってるんです? 」 

 

 

さとりが半眼で返してきた、どうやら俺は妙な先入観を持っていたらしい。

 

 

 「ところで………ん…?」

 

 

何か言いたいことはあったのだが目の端に映ったものに全て意識が持って行かれてしまう。

 

 

 「どうかしましたか? 」

 

 

 「今廊下を何かが走り抜けて行ったんだ。お空かな? 」

 

 

 「いえ、それはないかと、第一あの子が無言で何かしてるところなんて見たことありませんよ。」

 

 

それもそうか、あの子だもんな。

 

となるとなんだろう、かくいうココも考えてみれば旧地獄。という事は…。

 

 

 「じゃあ何か? 幽霊とか? 」

 

 

 「それもないでしょう、居ても形を保てずにいる不定形な人魂くらいですよ。」

 

 

 「へぇ………ん? ちょい待て、いるのか? 人魂。」

 

 

 「いますよ」

 

 

聞いていないぞそんな事、普通に怖いんですがそれは。

 

 

 「むしろなんで居ないと思っていたんですか、あぁ居るといっても出会えたらラッキーな程度ですけどね、基本お(りん)が魂の管理していますし。」

 

 

 「そんなんに出会った時点でアンラッキーだわ、女子のように叫ぶぞ俺は。んで今さらっと出てきたけどお燐って誰だ。」

 

 

 「あれ、話していませんでしたっけ、地霊殿のもうひとりのペットです。仕事熱心なので滅多な事では帰ってきませんが、機会があれば紹介しますよ。」

 

 

ペット……ペットなぁ…健全なる男子としては見た目女の子が見た目可愛い女の子をペットと呼び、それを呼ばれる側は喜々として受け入れているというのはとても気になるもので……

 

 

 「憩夜さん、出会った時にもそこに食いついていましたね、興味があるのですね、私のサードアイが囁いて…」

 

 

 「あっち向いてホイ」

 

 

”ヒョイ”

 

 

 「サードアイが反抗期です?! 」

 

 

どうやらしばらくここを離れていたもののサードアイとの仲は続いているようだ。何よりです。

 

 

 「まぁ…そんな事はいいんだ、じゃあさっき通ったのは何だ?」

 

 

 「なんでしょうね……行ってみますか? 」

 

 

開いた扉を怪訝(けげん)そうに見つめるさとりの提案を受け、俺は部屋の外に出ることにした。

 

気を配って見渡していたものの廊下にこれといった証拠のようなものはなく、恐る恐るリビングのドアに手をかけて開けた瞬間。

 

―――――――殺気

 

半ば反射的に首を捻ると今まで頭のあった場所をやや小さめの足が通った。

 

 

 「―――――――ッ!!」

 

 

 「……チッ……」

 

 

避けたらこいつ舌打ちしやがった……

 

こいしは最初から何もしていませんよと言わんばかりに極めて自然な形で着地すると片足で軸にくるりと一回廻り、姉であるさとりに抱きついた。

 

 

 「おかえりなさい、帰っていたんですねこいし」

 

 

 「ただいまおねぇちゃーん!! 」

 

 

 「ねぇ、何で君たちはそんなに普通なの? 」

 

 

外が危険だからと言うから地霊殿(ここ)にいるのに下手をすれば地霊殿(ここ)にいる方が死に至る確率は高いのではなかろうか。

 

 

 「やだなぁおにぃさん、ただの”アイサツ”じゃない 」

 

 

 「ははーん、相手を殺すと書いて相殺(あいさつ)ってか 」

 

 

皮肉を込めた言葉遊びは嫌いじゃないぞ、パンチは利きすぎているがな。

 

 

 「でもおにぃさんって不思議だよね、一回目は流石に反応出来なかったみたいだけど私の気配わかってるみたいじゃない? 」

 

 

 「確かに何ででしょうね、意識してる以上こいしは見えないはずなのに。」

 

 

何を言っているのかこの子達は。仮に彼女らの言った事が正しいとしても分からない事がある。

 

 

 「殺気を放ちながら不意打ちの一撃入れようとする奴がいるか、私はここにいますよーって言ってるようなもんじゃないか。」

 

 

 「あぁ、なるほどねー、そういうことだったんだね。………次はバレても構わないくらいの速度でやるか……」

 

 

 「何か言ったか? 」

 

 

 「いや何も? 」

 

 

お互いがお互いの顔をとてもいい笑顔でニコニコと見つめて暫く牽制(けんせい)し合い、こいしが先に目を外してさとりに飛びついた。

 

 

 「おねぇちゃーん!おにぃちゃんが(いじ)めるー!!」

 

 

 「妹を苛めないでください、憩夜さん。」

 

 

体罰のつもりなのかさとりは手刀をめいっぱい天に伸ばしたが身長差がありすぎる故に手の位置が丁度俺の頭にきてしまい、微妙な空気が流れる。

 

 

 「えっと………」

 

 

 「………で下さい……」

 

 

 「何て? 」

 

 

 「(かが)んでください! 叩けないじゃないですか! 」

 

 

さとりは涙目だった。

 

 

 「嫌だよ、屈んだら叩かれるのわかってるのに 」

 

 

 「貴方も私をちっちゃいって言うんですか! 幼女だって!」

 

 

凄くコメントしづらい言葉をかけられるが華麗に回避する。

 

 

 「 ノーコメントで 」

 

 

 「屈めー!!」

 

 

いつのまにか俺の背後に回っていたこいしが覆いかぶさるようにして俺に飛びかかり、無理やり頭を下げさせる。

 

 

 「心の声が聞こえてるんですよーー!!!」

 

 

 「おのれサードアイィィィィ!!!!」

 

 

どこぞのラスボスのような声をあげて俺はさとりの手刀の元に頭を晒し、鈍い音と鋭い痛みを以て知らずのうちに始まっていた茶番が終わりを迎えた。

 

 

 「俺の敵って物凄く多いよね、おかしいと思わない? 」

 

 

制裁と称して叩かれた直後、俺はこの世の理不尽さに打ちひしがれていた。

 

慣れ始めてきてはいるとは思っていたんだがなぁ……結構世の中はそう甘くはないらしい。

 

 

 「それは幻想郷内の女性の比率が高いからじゃないでしょうか。」

 

 

妖怪の山にいるときから気になっていた事の答えががぽろっとさとりの口から出てきた。

 

 

 「薄々気づいてはたけどやっぱ幻想郷って女性の方が多いのか? 」

 

 

 「えぇ、正確には男女比2対8といったところでしょうか」

 

 

白狼隊の面々も確かに男が少なかった、おかしいとは思っていたのだ。何故(もみじ)が頭領を勤めているのに男が少ないのかと。

 

 

 「そんなんでよく男滅びないな……」

 

 

 「古い文献を読んでも今と同じような感じなので幻想郷の普遍の定理みたいなものなのかもしれませんね」

 

 

それはなんというか男にはとても肩身の狭い人生になりそうな話だった。

 

 

 「そんな話をしてたらいつの間にかこいしがいなくなっていますね」

 

 

 「さっき普通にドアから出て行ったぞ? 」

 

 

 「え……もしかして視えているんですか? こいしですよ? 」

 

 

 「視えてって、まぁ本気で見ようと思えば」

 

 

驚いているという事は本当に視えていないのだろう。

 

さとりは少し何かを考えた様子だったがすぐに調子を取り戻し、夕食の提案をしてきた。

 

勇儀との試合を行ったのは昼、もうそんな時間になるのかと思いながらさとりに同調して夕飯が出来るまであてがわれてる自室で待たせてもらうことにした。

 

さとりに会ってからというものあいつが何かを考える仕草をするのが非常に多い気がする、思考を巡らせるのが癖であるのかはたまたじっちゃんが注意しろと言いつけ、勇儀が言ったお偉いさんの一人であるが故のそれなのかは今の俺に判断はつかないが(ただ)、パルスィの友人であるからと俺の身を案じて地霊殿に移り住ませてくれたさとりへの信頼に疑惑という名のヒビが入り始めたのは少しだけ感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本年一回目の投稿でございましたがどうでしたでしょうか、ちょっと久しぶりな日常回。前回こいしと会った時よりも少しだけ成長した憩夜君はこいしとの付き合い方を見つけたみたいです。

最後まで読んでいただき感謝です。誤字脱字の報告、感想などお待ちしております。

それではまたお会いしましょう( 。`- ω -´。)ノシ
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