東方夜光録『ヤコウロク』   作:◆◇夢幻水晶◇◆

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どうも夢幻水晶でございます。
この度受験という避けて通れぬ道が目の前に現れまして、書くぞ書くぞという意気込みをしておきながら半分自らその意気込みをへし折っているわけですが、本当に頑張らないと行けないのですはい。

1年間丸々書かないとかそういうことではありませんが書くのも遅い、他の方の作品を読みに行けるかすら怪しい。そんな年になるかと思います。
それでは本編どうぞ(´・∀・`)


二十八幻 〜碧緑の妖精〜

――――――――――――「『人符 現世斬』」!!

 

自分で使ったにも関わらず、俺は自分で何をしたのかがわからなかった。

知らない技を使ったわけではない、じっちゃんに教えられた最初の奥義だ。

『人符 現世斬』

極めれば一太刀で百を越える矢を落とすことが出来ると言われている対飛び道具専用剣技。

それを連続で出して突破口を拓こうとしたのにどうして文字通り一太刀で――――二刀で出している以上一太刀かは判断に困るが――――全弾打ち落とせると思うのだろうか。

 

 「おかしいな……スペルカードは使えないって聞いてたのに。」

 

どうやら相手さんはかなり驚いているらしい、そうでなきゃ困るんだよ。俺も相当驚いているんだから。

 

 「奥の手なんだよ。正直この傷じゃ避けきれなかったはずだからな。」

 

ブラフの定石は嘘の中に真実を混ぜること。あの技が偶然だったなどと悟らせてはいけない。

 

 「へぇ……じゃあもう一回見せてよ。『凍符 パーフェクトフリーズ』」

 

小手先だけの嘘なんて簡単にバレるだろうとは思ってたけどもう少しこれからの方針考える時間くらいくれてもいいんじゃないか!?

 

 「くっ……」

 

あの弾幕をくぐり抜けるのに長刀は邪魔になる、短刀で相手取るしかない…か。いや…。

俺はすぐさま刀を二本とも鞘に収めた。

妖精二人の訝しげな表情が視界に映るが大した事はしない。素手で全弾打ち落とすだけだ。

 

足を肩幅に開き、腰を落として重心を下げる。両腕を前に構えてゆるりと指先を伸ばす。

そして記憶の端まで追いやられていた黒い腕輪を発現させる。

 

 「はっ!!!」

 

気合を一拍入れて飛来する弾幕の一つに手を付ける。弾かれた弾は他の弾にぶつかり消滅した。

ビリヤードの様に、とまでは言わないが弾き方次第ではそれに似た事が出来ると踏んだがやっぱりそうだったか。

更に三つ弾き、続けて五つを弾く。加えて二つ弾き返した瞬間に後ろから声がする。

 

 「後ろがお留守だよっ!」

 

 「冗談!」

 

大ちゃんと呼ばれた緑髪の妖精の攻撃に合わせて身体を回転、苦無(クナイ)を避けて裏拳を脇腹に叩き込んだ。その回転を無駄にすることなく元の方向に向き直り、再度弾を弾く。

 

 「あぐっ……何で……」

 

義理もなかったが後ろで呻く少女に答えてやる。

 

 「お前、一定距離しか移動出来ないだろ。チルノの弾幕が始まった瞬間お前はチルノの後方まで移動した。そして俺が刀を収めたあと移動した。木の後ろにでも飛んだんだろう、見えなかったよ。」

 

 「それなら……」

 

 「どうして…か? 最初に懐に飛び込んで来た時より僅かだがお前が移動してから声がするまでの時間が長かった。自信はなかったけど声が聞こえた瞬間確信したよ。」

 

そこまで言い終えると同時に最後の一つを弾く。

そして静けさを取り戻した湖畔で一人、構え直した。

 

 「はい、合格。」

 

肩を竦めた碧髪の少女はそんな事を口にした。

合格? 一体どういう事だ?

 

 「聞いての通りよ、貴方は氷精チルノと大妖精を退けて無事に紅魔館へと脚を踏み入れられるの。」

 

大ちゃんって大妖精って名前だったのか。とか思わなくもなかったが問題なのはそこではない。

 

 「待て待て、俺の邪魔をしようとしていたんじゃなかったのか? 」

 

 「ある意味邪魔をしていたわけだけど……あぁ…やっぱ説明って苦手だわ…大ちゃん。」

 

ガシガシと自分の頭を掻いたチルノは大ちゃんを呼び寄せた。

チルノの隣までふわふわと移動した彼女が代わりに話しだす。

 

 「私たちは霊夢に頼まれて貴方の力量を測って欲しいと言われていたのです。紅魔館に向かおうとする少年がいたら勝負を仕掛けて欲しいと。」

 

 「つまり…何か?俺は霊夢の策略にまんまとハマって試されてましたって事か?」

 

「そういう事」

 

なるほど……おや?

 

「緑髪の…大妖精…だっけ?…は凄く全力だったと思ったんだが?気のせいか?」

 

痛む傷口を指差しながら問う。

 

「え…?あわよくばとか思ってましたけど?」

 

「おっかねぇ…」

 

ばっちり命狙われてたっぽい…。

幻想郷は街の外に出れば魔境。しっかり頭に入れておく必要がありそうだ。

 

「さぁ行くのならどうぞ。凍符『パーフェクトフリーズ』」

 

技の名前を口にしたかと思うとチルノはそれを足下の湖に撃ち込み、一帯をアイスリンクにしてしまう。

 

「助かる!っとうおっ?!」

 

足を踏み入れた瞬間に滑りそうになる。幸か不幸か氷の表面には凹凸が目立ち、上手くやれば滑り止めにもなってくれそうだ。俺は十歩に一回の割合で転びかけながら湖を突っ切って行った。

 

「傷口治さないとな…収まってきたとはいっても冷気が傷口に染みる……ん?」

 

歩きながらそう思い、足を止めて胸元に手を突っ込むが瓶が無い。

三本あったはずの霊水がない。

苦無で刺された所とは逆の位置に入れいたからその時に落ちたとは考え難い。一体どこで……。

紅魔館への道程で早速傷を負った。

辿り着くまでに瀕死になる可能性が否定出来なくなり、若干の不安感が生まれる。

 

「本当に大丈夫か…?」

 

弱音にも取れる一言を聞いていたの床の氷くらいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
個人的には戦闘中の憩夜くんって今思うとキャラ違うよね…。とか思う回でした。
次はいよいよ紅魔館突入。突入できるか怪しいけどとにかく突入!
気長に適当にお待ちいただければ幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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