東方夜光録『ヤコウロク』   作:◆◇夢幻水晶◇◆

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お久しぶりです、夢幻でございます。
やっと忙しいものも終わりましてなんとか一話書き上げるところまでこぎつけた感じです。そしてここで報告をば、なんとメモ帳(ネタ帳)が……ネタ帳のデータが吹き飛びましたぁぁぁ!!!???よってここから先(この話を含む)は当初の予定通りには行きません←
いい意味で予定通りにいかないといいんだけど…どうなるでしょうか……。

それでは本編どうぞ(∩´。•ω•)⊃ドゾー


三十幻~紅い死地の入口~

凍てついた湖を通り、森を抜けたそこには紅い館があった。

それは凸型の中心部を細くして左右を横にさらに広げたような外観で、ツタが絡み、苔が生えて緑が繁殖していた。十分に繁殖しているはずだが赤茶けたレンガの赤みが強すぎるために十分赤く見える。

そしてその館には大きな前門があり、門には番が立っていた。

その門の手前まで歩いて行き、番をしているのであろうチャイナドレス姿の赤髪の女性へと話しかける。

 

「領主殿に用があるんだが通してくれないかな?」

 

「申し訳ありませんが通さないよう阻むのが私の仕事ですので」

 

一蹴。

今まで西洋の館になど行ったことはないけどもこの人は番人というやつなのだろう。

そう言われても戦う事になるのは避けたい、止血したと言ってもこちらは怪我をしているのだから。

 

「どうしても通して頂くことは…」

 

途中まで言ったところで重ねるようにして否定される。

 

「出来かねます。これ以上は武力行使でいきますのでご容赦を。」

 

言うだけ無駄だったようだ、それでもここは通らなきゃいけない。

俺は門の左右を飾る植え込みに近づいて刀を両方ともそっと置いた。

 

「おや、刀は使わないのですか?良いのですよ? 」

 

「拳しか使わない相手に刀なんて使えるかよ」

 

「含み針くらい持ってるかもしれないじゃないですか、あまり人を信用するのは良くないと思いますが。」

 

「忠告どうも、でも大丈夫だ。アンタは武人の目をしてる。」

 

女性に極力刃を向けたくないと言うのもなくは無いが第一に、彼女から正々堂々ぶつかろうという意思を感じ取った。

それはじっちゃんと同じ目であり、いつかそうなりたい思った目である。間違えようが無い。

 

「嬉しい限りですね、私個人としてはもう通して差し上げたいのですがこれも仕事ですのでご容赦を」

 

賛辞は賛辞として受け取ることにしたらしく門番の彼女は微笑を浮かべたのちに緩やかに構えた。

容赦してほしいのはどちらかと言えばこちらの方だがそんな事も言っていられない。こちらも構えを取る。

 

「中国拳法か…」

 

仰有(おっしゃ)る通りで。詠春、八卦、八極、太極、最も得意とするのはこの辺りですね。」

 

事前に教えてくれるのは誠実さの現れか。得意と称すものの中に知らない型は無いが手合わせしたことは一度も無い、どういう意味を持つ動きなのかを知らないというのは武道家を相手取るに決定的な致命を与えるものだがさて、俺にどこまで出来るやら。

 

「ほぼ我流、対剣術用体術含むってところだ。」

 

情報を喋るだけ喋らせてこちらも言わないと言うのも収まりが悪いので適当な内容で返す。

 

「分かりました、刀を使う事は構いませんので先に断っておきますね」

 

「アンタが青龍刀でも使ってくれるってんなら考える」

 

そうこう言っている間にお互いに構える。そして少しの沈黙を置き、頭を切り替えてから口を開く。

 

「魂魄二刀流…新條憩夜」

 

「紅魔館門番…紅美鈴」

 

「「勝負!!」」

 

俺は技を受けるのが不得意だ。

だから打って出る。顎をフェイントとして狙い、水月を本命にした二段構えの正拳突きを。

剣術より体術が出来る、過信していたわけではなかったが甘かった。

彼女の目はフェイントの左拳ではなく正確に右拳を捉えていた。

例えフェイントが本命だとしても問題ないように俺の左手首に同じく手首を添えて、右腕の外側に回り込むように回転。

 

「くっ…!?」

 

勢いの乗ったまま肩で身体を押されてバランスを崩す。崩れたところに畳み掛けられてはたまったものではない。わざとそのまま地面を一転、距離を取った。

―――――が、振り向いた先には高く上がった踵。

強い衝撃が頭を撃ったと思った時には身体は地面に伏せ、目の前は暗かった。

耳の聞こえづらさと気分の悪さから考えると脳が揺れたと見て間違いないだろう。

起き上がろうと腕を伸ばすがふらついてバランスを崩す。

 

「貴方……ここらでは見ないと思っていましたが妖怪ではありませんね?」

 

感覚的に遠くで聞こえる声に、肯定する。

 

「そうだよ、問題はないだろう? 」

 

気分の悪さを無理やりねじ伏せてなんとか吐くのは留まる。が、辛い。

 

「問題とかではないですが珍しいと思いまして、この辺りでは人間を見ることもあまり無いばかりか私の様な妖怪に人の身で勝負を挑む事はありませんから」

 

「ちょいと訳ありでね、分が悪くてもやるしかないんだよ……っ!!」

 

――――――――――獣化

 

腕で上体のみを起こして最速のクラウチングスタート。ここからは賭けだ。短いながらも重要な。

美鈴は多少驚きをだしたもののすぐに俺を見据えて拳を放ってきた。俺を潰すように正面に。

武人とは恐ろしいものだとつくづく思う、獣化したこの速度は勇儀の三歩必殺には及ばないとはいえかなりの速度のはず、それでも瞬時に目が追いつくのだから。

でもまずは一勝。

無理に地面を蹴って急停止、美鈴の拳は鳩尾から二センチも離れていないところで空を切った。

そして間髪入れずに身体を沈ませて懐へ入り込み、ありったけの力を込めて鳩尾目掛けて掌底を打ち込んだ。

 

「ごほっ…うぇ……効きますね…これ…」

 

「おいおい…全力で打ち込んでんのに吹き飛ばねぇってどういう身体してんだ…? 」

 

美鈴は身体をくの字に折り曲げながらも普通に口を利いて来た。

まっすぐなだけが戦いじゃない、罠の可能性を考慮して打ち込んだ体勢のまま会話を続ける。

 

「体術特化の妖怪なんでそこらの妖怪よりも丈夫なんですよ」

 

「驕りはないつもりだけど…自信無くすなぁ…それはそれとして反撃が来ないっていうのはどういう事だ?降参なんてことはないだろ?」

 

「降参はする気もありませんが先ほど失礼な物言いをしてしまったなぁ…と反省しての行動です。一撃わざと喰らおうとか甘いこと考えてたら普通に食らってしまったというのが事実ですけどね」

 

「じゃあ仕切り直すか?会話挟んだら集中も切れるだろ?」

 

「いえ、ここからで」

 

――――――――――ここから?

片方の拳が俺の身体の横をすり抜けて尚且つ完全に懐に入られている………この状態から?

 

「5カウントでお願いします。5、4、3、2、1……」

 

こちらに完全有利なこの状況が何故か身体を震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




んー久しぶりの戦闘シーン、本当はもっと長くしたかったんですけどリハビリを兼ねてコンパクトにまとめてしまいました。次の話どうするんだっけ…()
なんとか完結まではもっていくのでどうかご愛顧下さい、それではまた
( 。`- ω -´。)ノシ
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