東方夜光録『ヤコウロク』   作:◆◇夢幻水晶◇◆

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一週間ぶりですね!◆◇夢幻水晶◇◆です!!
なんとかまともに毎週投稿出来てますが、物語の構想考えるのが日常になってしまいふと気が付けば内容どうしようか考えてる始末な今日この頃です。


八幻~優しさと突きつけられた現実~  

「……きて…………起きてってば!」

 

 

 「何なに!?」

 

 

耳元で大きな声を出されてはたまったものではない、相変わらず体はろくに動かすことが出来ないので首から上だけで対応することにする。

 

 

 「貴方のそのどうしようもない身体、治るかもしれないわよ?」

 

 

 「どうしようもないってお前……」

 

 

男としての尊厳を酷く傷つけられた気がするがこの際気にしないでおこうか…

 

 

 「医者が近くに来てるのよ、使わない手は無いわ。」

 

 

 「そうは言うがお前…主要な骨全部()ってるんだぜ? 一日二日で治るわけ……」

 

 

 「治るわよ? 」

 

 

俺は一般常識を述べたつもりだったのだがこの世界ではどうも常識なんてものはことごとく通用しないらしい…。しかしそろそろ動きたい、というか風呂に入りたい、こっちに来てから三日目だがまともに風呂に入れていないのだ、毎晩パルスィに水で濡らしたタオルで身体を拭いてもらっているから何とかなっているものの限度というものがあるし彼女に迷惑はあまりかけたくない。

 

 

 「……頼んでいいか? 一刻も早く治したい。」

 

 

 「よし、決定ね、思い立ったが吉日(きちじつ)よ!早速行ってくるから待ってなさい!」

 

 

そのことわざが幻想郷にもあるのかと関心している内にパルスィはピューっと行ってしまった。少し嬉しそうにしていたような? まぁ俺に時間を割かなくて良くなるんだから嬉しいのも当たり前か。俺の身体が治るというのは両者にとっての利益なのだと結論に至ったが、その結論に少し寂しさのようなものを感じていた……。

 

 

 

 

 

パルスィが出かけてから二十分程経ったぐらいだろうか、そんな時間に来訪者は来た。

 

 

 「元気かしら? 治しに来て上げたわ。」

 

 

綺麗な人だった、後ろで結った銀色に輝く髪にも驚かされたが着ている服にもまた驚かされた、赤と青で分断しただけのような服だったからだ。真っ先に思い浮かんだのがあれ、美容院の前でくるくる回ってるやつ、名前は知らない。そうそう、知ってる? くるくる回ってる赤と青は動脈と静脈を現してて昔は医者の役割をしてたんだとさ。どうでもいい雑学を誰に話すでもないのに思い浮かべてしまったが、おかげで誰なのかは分かった。

 

 

 「あんたが医者か? 」

 

 

 「ご名答、医者の八意(やごころ) 永琳(えいりん)と言う者よ。よろしくね、でも予想外に元気そうね。残念だわ……」

 

 

最後の方の台詞は小さかったが俺には聞こえた、だけど俺はあえて気のせいだったという事にした。厄介な人とは最低限の関わりしか持たないのが世渡り上手だと聞いたことがあったからだ。

 

 

 「………残念だわ。」

 

 

 「何で二回言ったんだよ?! 俺の努力を返せ!!」

 

 

 「よかったわ、聞こえてないのかと思って。」

 

 

 「聞こえてたから無視したんだよ!?あぁ、もう……病人にツッコミを入れさせるなよな……」

 

 

 「ごめんなさいね、病人はからかうのがモットーなものだから。」

 

 

予感的中、ろくな人じゃなかった……医者がこれって…早くもパルスィが恋しくなってきた。

 

 

 「そんなモットー早急に捨てろよ……ってかパルスィはどうした? 」

 

 

 「あぁ、金髪のあの子? もうすぐ来るんじゃないかしら? 」

 

 

そうこう言っている間に本当にドアの開く音がして、物凄い勢いで駆けてきた。

 

 

 「憩夜(けいや)大丈夫?!何か変なことされてない? 本当に大丈夫? 」

 

 

 「失礼ね、私が変な事なんてするわけ無いじゃない。」

 

 

 「信じられるわけ無いじゃない! 家に全身骨折してる病人がいるって言った瞬間元の仕事ほっぽり出して最速でこっちに向かった人を!!」

 

 

部屋に入ってきて早々に俺の心配をしたことよりも初めて俺の名前を呼ばれてしまった事に驚きつつ、二人の言い合いをしばらく眺めていると

 

 

 「そんなことよりもこの子治したいんでしょ? 何て言ったっけ? 骨折?」

 

 

 「あぁ、完全に折れてる。」

 

 

 「じゃあこれがいいかしらね、『ホネホネくっ付君G』よ。」

 

 

 「ネーミングもうちょいどうにかならなかったのか……?」

 

 「安直であればあるほど分かりやすくなるものよ? そもそも扱っている薬の量が多すぎてこれぐらいじゃないと覚えていられないのよ。」

 

 

 「なるほど、そういう理由なら強くは言わない。」

 

 

 「それで? この薬、欲しいのかしら? 」

 

 

 「欲しい…欲しいが生憎(あいにく)俺には金が無い。」

 

 

 「それなら私が払うからいいわよ? 」

 

 

 「お金は要らないわ、貴方を頂戴? 」

 

 

 「「はい!?!?!?」」

 

 

ついついパルスィと一緒に叫んでしまった。この医者とんでもない事を言い出した、俺が欲しい?! 騙されるな俺、どうせ人材的な意味に決まっている。タダ働きでもしろとそう言いたいんだろう。

 

 

 「あ、勘違いしないで頂戴? 実験台的な意味で欲しいのよ。」

 

 

 「想像の斜め上だった!?」

 

 

 「説明が足りなかったわね、薬の臨床実験の方ではなくて、戦闘訓練の方よ、見たところ貴方人間のわりに中々良い身体つきしてるじゃない。」

 

 

医者が戦闘訓練ってそもそも必要なのだろうか、いやしかしこの世界は力ずくが基本と言っていたし薬を力ずくで奪おうとする輩もいるのだろう、分からないけどね。しかしそっちよりも気になった事があった。

 

 

 「俺が人間だってわかるのか? 」

 

 

 「ええ、貴方は私が人間じゃないってわからないの? 」

 

 

 「人間じゃないのか?」

 

 

 「少なくとも人間ではないわ具体的に言えば…」

 

 

 「私抜きで話を進めるなーーー!!!!」

 

 

俺ら二人だけで会話をしていたのが気に食わなかったのかパルスィが横槍を入れてきた。

 

 

 「あら、私は医者で彼は患者、二人で話を進めるのはあたりまえ何じゃなくて? 」

 

 

 「…うっ…それは…そうだけど…無視されてるみたいで何か嫌だっていうか…」

 

 

 「要は嫉妬ね? 」

 

 

この空気は不味いな…喧嘩が始まるときの空気だ、早々に止めさせるか。

 

 

 「まぁまぁ、クールに行こうぜ? それで、何だ? 訓練を手伝えって? 俺は構わないぜ、その話乗った。」

 

 

 「ほ、本当にいいの?下手したらこの医者あんたを殺すかもしれないわよ?」

 

 

 「大丈夫だろ、助けた患者を殺す医者がどこの世界に居るってんだ、つーか怪我したらこいつに治してもらうし、バイト感覚で行ってくるさ。」

 

 

 「あんたがいいなら…いいけど…」

 

 

 「話はまとまったかしら? それじゃあ交渉成立ということで決まりね。はい、飲みなさい?」

 

 

 「おう、ありがたくいただくよ…って結構粒がでかいな…」

 

 

 「文句言わないの、それで治るんだから安いモンでしょ? 」

 

 

水で薬を飲み込んでみたが、即効性があるわけではないようで特に身体に異常は見られなかった。

 

 

 「それは体内に入れてから丸一日かけて骨を修復するから今日は寝てれば治………あ…」

 

 

『あ』って、医者が『あ』って言った?!絶対良いこと起きないって!何?!何を思い出したの?!飲んじゃったよ俺!!

  

 

 「……何を思い出したので…?」

 

 

 「『ホネホネくっ付君G』のGは……」

 

 

 「じ……Gは? 」

 

 

 「ええ、お察しのとおり『合成された魂』の略よ…」

 

 

 「察せない!?!?」

 

 

「どちらかといえば『ホネホネくっ付君G~合成された魂~』が正しいわ。」

 

 

 「サブタイトルみたいになってる!?」

 

 

 「安心しなさいな、混ざるといっても悪いことじゃないわ、魂の種類が分からなくなるわけだから人間とは判断されなくなり襲われる事はまずなくなる、そして霊力や妖力に対する適応力が高くなるわ。」

 

 

 「待て待て!俺は人間じゃなくなるのか?! 」

 

 

 「いいえ、身体は人間よ。無理な運動をすれば筋肉痛になるしどこかにぶつければあざになるわ。」

 

 

 「人間であることだけは守れるのか、ならまだマシか…」

 

 

冗談ではない、人間の姿をとどめる事が出来たとしても化け物になっているのと大して変わりないのではないか?薬を飲んでしまった以上今更どうすることも出来ないがどうしても考えてしまう。

 

 

 「貴方、治ったらどこに行くつもりなの?」

 

 

 「いつまでもお前の世話になるのも良くないと思うしな…身体の鈍りをほぐしたら外に出て行くつもりだ。」

 

 

 「ちょっと待ちなさい、それなら医者として言っておかなければいけない事があるわ。」

 

 

 「ん? 何だ? 」

 

 

 「一つ目、魂が見えない敵には襲われるわ。二つ目は貴方の魂は確かに判別が効かなくなる、でもね、魂の絶対量は変わらないわ、絶対量の多い敵には貴方の正体なんて関係ないの。言い換えれば魂が見える人が敵にも襲われる可能性はあるって事よ。最後よ、三つ目、この世界は人間にとっては戦場とほぼ同じよ、気を引き締めながら毎日生きなさい。以上よ。」

 

 

 「とんでもない事になっちまったみたいだな…ひとまず理解はしたよ。」

 

 

 「今日のところは帰るわ、二、三日は地霊殿(ちれいでん)に居るから分からないことが出てきたら訪ねて来て頂戴ね。」

 

 

そういって彼女は家を出ていった、出て行ったと同時に大きなため息を吐いた。急に言われて到底信じられるものではなかった。治ると言われたから出された薬を飲み、飲んだらあんな説明をされて…この世界に来てからというもの段々と今までの自分とかけ離れて行ってしまっているようで恐ろしかった。

 

 

 「憩夜……?お夕飯…どうする…?」

 

 

 「悪い…今日夕飯はいらないや……一人にしてくれるか……?」

 

 

 「ん……わかったわ…でもあんまり考えすぎるのもよくないわよ……?」

 

 

 「了解だ……」

 

 

 

 

そうして、パルスィもまた部屋から出て行った。気にしてくれるのはとてもありがたかったが今回ばかりは相手を気にしている余裕は無かった……考え事は絶えないようで、こちらの世界にきてからと言うもの毎日何かしら悩んでいた。しかし先ほどの事は規模が違う何があるのか、何が起こるのか全く分からないのだ、恐怖の度合いがとてつもない事になっている。今夜はより一層寝不足になりそうだった……

 




どうでしたでしょうか? 健康と引き換えに出来るのはなかなかあるものではないと思うのです。よって憩夜君には人間をやめてもらいました←
それはさておき身体も戻ったことですし、次回からはバンバン動いてもらいましょうかね!

今回はシリアス目になってしまいましたがこの作品の理念を忘れてはいけませんよ?

 
        ラブコメ万歳!!!


この一言に尽きますのであしからず←
それではまた次回お会いしましょう~( `・ω・)ノシ
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