鬼族の里に生まれまして(リメイク)   作:ゔぇる

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転生

 俺はそこそこの大学に入学し、順風満帆なキャンパスライフを送っていた。

 両親が早くに亡くなり、祖父祖母に育てられた。

 

 両親を早くに亡くした俺を育ててくれたじいちゃんたちに恩返しできるように頑張ろうと考えていた。

 だが、俺は死んだ。

 車の前に飛び出した女の子を助けようとして、轢かれて死んだ。

 

 じいちゃん達には本当に申し訳ないことをした。

 せっかくここまで育ててくれたのに。恩返しもできずに死んだ。

 申し訳ない気持ちになりながら、死後の世界はどんな感じなのだろうかと思っていると、普通に目を覚ました。

 

 そこは病院などではなく、古風の家だった。

 目の前には巨人のような女の人が存在し、ものすごく驚いた。

 だが、女性が巨人なのではなかった。

 俺が小さかったのだ。

 

 そうして、俺は転生をした。

 

 今世こそは絶対に親孝行しようと思った。

 

 

 転生してから、頑張って五感だけで情報を集めた。

 

 まず俺の名前は「カル」だろうこと。

 俺の方を見ながら、その名前を呼ぶことが多かった。

 

 というか、普通に両親は日本語話してる。

 ここは日本なのだろうかという疑問が湧いてくる。

 家は明らかに現代日本には似つかない。

 

 田舎の方の家ならあり得るかもしれないが、流石にテレビもスマホもないのはあり得ない。

 他の電化製品も一切ない。

 明かりを見ても、電球などではなく、石が光っているものだと思う。

 

 もしかしたら、ここはファンタジー世界なのかもしれない。

 都合良く日本語が使われているご都合主義異世界。

 それなら発展していないことも、謎の光る石も説明がつく。

 

 異世界なら前世の知識を活かす場面が全然ないではないか。

 俺は異世界転生のお約束であるマヨネーズの作り方とか石鹸の作り方とか知らないし。

 現代日本の料理だって、いつもばあちゃんが作ってくれてたから作り方とか知らないし。

 

 じゃあ、ファンタジー世界らしく最強を目指そーと思っても、この身体は赤ん坊である。

 身体は全く言うことを聞かない。

 今の俺は何もできないという結論に至った。

 

 できるのは、ただ惰眠を貪ることだけだ。

 

 

 数日が経過した。

 視界もはっきりとしてきた。

 

 そろそろ何かできるのではないかと考えた。

 今の俺はめっちゃ頑張れば移動くらいならできる。

 数メートル移動した時点で疲れ果てるんだけど。

 

 最強を目指すためには、物語あるあるの生まれた頃から努力して最強になるみたいなことを目指すことにした。

 だが、そのためには身体を鍛えたり、書物を漁って知識をつけるなどが必要だ。

 この身体ではそんなことはできない。

 これはあと半年くらい待たないとダメか。

 

 そう思っていたが、ファンタジー世界なのだから魔力みたいなものがあるのではないかと思った。

 とりあえず、目を瞑って、体内に意識を向けてみる。

 すると、何かに繋がったような感覚がした。

 その何かを動かそうとすると、よくわからないエネルギーのようなものが体外に出そうになる。

 

 流石に昼間に両親の目の前でやるのは怖かったので、そのエネルギーを頑張って引っ込めた。

 

 ファンタジーらしく、魔力(仮)があったことで俺のテンションはだいぶ上がっていた。

 それと同じくらい、両親にバレるのではないかとヒヤヒヤしていたのだが。

 

 

 夜になった。

 辺りは真っ暗となり、両親も眠りについていた。

 

 俺はこの常に眠くなる身体を無理やり起こしながら、昼にやったことを再度挑戦する。

 身体の中に意識を向け、エネルギーを認知する。

 そして、そのエネルギーを手を通して射出する。

 

 すると、エネルギーは自分の制御を離れ、手から吹き出した。

 そこまで量は多くなかったが、その水が自分の布団とパンツを濡らす。

 

 冷たくて声が出そうになったが、親が起きると問題なので声を我慢する。

 

 我慢したはいいもの、この溢れ出た水をどうしようか......

 まあ、いいか。

 まだ生まれたばかりなのだ。

 お漏らししたと思われるだろ。

 

 濡れた布団は気にしないことにする。

 

 すると、魔力を使った影響からか、だんだんと眠くなってくる。

 俺はその睡魔に逆らうことなく目を閉じ、眠りについた。

 

 ちなみに、次の日にはすごい量のお漏らしをしたってことになってました。

 

 

 

 そこからさらに一ヶ月ほどの時間が過ぎた。

 魔力を使った水の制御はここ一ヶ月でだいぶ上達した。

 親の見ていないところでたくさん練習をして、水を飛ばしたり、氷にしたりすることができるようになっていた。

 そんなある日、俺の両親が話をしていた。

 

 聞き耳を立てると、「忌み子」だとか「処分」だとかいう単語が聞こえてくる。

 やばいかもしれない。

 もしかしたら、俺の魔法の特訓がバレて、魔法を使う赤ん坊は忌み語として処分されるのかもしれない。忌み語→子

 どうしよう……

 

 そんな考えをしていると、両親がこちらに近づいてくる。

 

 嫌だ!処分は嫌だ。

 

 Q、逃げる?

 A、立つことすらできないのに逃げ切れるわけがない。

 Q、頑張って説得する?

 A、逆に気味悪がられて処分される可能性が増す

 

 結論、どうしようもない。

 もし殺されそうになったら魔法をぶっ放して頑張って逃げよう。

 逃げたところで生き残れるとは思えないけど。

 

 そんなことを考えている俺は母親に抱っこされて外に出た。

 空は暗かったが、大勢の大人が火で照らされた祭壇のような場所を囲んでいる。

 

 俺の両親もその囲んでいる大人たちに加わった。

 

 誰一人俺に注目していない。

 だから、俺の処分ではないらしい。

 まじで安心した。

 

 だが、俺の処分ではないのだとしたら、一体何をするのだろうか。

 忌み子とか処分とか言っていたのに関係しているだろうから、そういう人物がいるのだろうけど。

 

 そして、祭壇の中心をよく見てみると、二人の赤ん坊がいた。

 ピンク髪と水色の髪のかわいらしい赤子だ。

 その二人にはおでこに小さい角のような物が。

 

 なんだ?この光景を見たことがあるような……

 思い出せないな。デジャブか?

 

 ん?角?

 

 自分のおでこに触れる。

 綺麗でツルツルしたおでこだ。

 

 うん、ないよな。そんなもの。

 

 周りの人を見渡すが、そんなものはない。

 角があるから忌み子なのだろうか?

 

 すると、族長と呼ばれた老人が前に出てきた。

 二人の赤子の親らしき人物はその老人に何かを言っている。

 だが、老人はその人の言葉に耳を貸さない。

 

 そして、老人の額から二本の角が生えてきた。

 なんだよ、老人にも角があるじゃないか。

 じゃあ、なんで忌み子なんだろ。

 

 老人はまるで鬼みたいだな。

 

 ……ん?鬼?

 

 角が生えている。

 普段は生えていない。

 

 鬼。ピンクと水色の髪色をした双子。忌み子。

 

 ・・・ラム、レム

 

 あれ?ここってリゼロの世界じゃね?

 

 そんなことを考えていると、とてつもない暴風が族長を襲った。

 ラムの起こした風である。

 

 その風に族長を含めた周りの人間が驚きを発す。

 そして、なんやかんやあり、処分はしないということになった。

 

 周りの人間は解散し、俺の両親も俺を連れて家へと戻った。

 

 俺は夜のため、布団に寝かせられる。

 

 布団を被って考える。

 

 リゼロの世界。

 人が当たり前のように死ぬ世界。

 スバルが死に戻りしなけれ、大半の人間が死んでいく世界。

 

 リゼロかぁ......

 

 拝啓神様、転生させるならもっとライトな世界にしてくださいよ......

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