生徒会に所属するようになって、しばらくが経った。
別段大きな話題が周囲で昇ることもなければ、訃報のような悲しい話題がある訳でもなく、ただただ普通の学園生活を過ごしていた。
生徒会の仕事は、別段前の学校と比較してやることに大きな違いはない。
寧ろ書記の二番手ということで、やっていることは実質の雑務。男ならではの力仕事だったり、書類整理といった簡単な案件を処理するだけ。
そんな仕事だが、意外にも私に回ってくる比率は多い。
書類整理などは、布仏さんが戦力外だったらしいこともあって、経験者である私の加入によって作業効率はうんと上がったと、特に虚さんから高い評価を得ていた。
因みに更識会長は、あんまり何もしていない。いいのかそれで、と思わなくはないが、ISの操縦が出来る=生徒会長の公式で成り立っているこの学園では、生徒会長としての能力がオマケと捉えられていてもおかしくないので、つまりまぁ、そういうことなんだろうと解釈している。
無論、本人には口が裂けても言いませんが。あ、でも彼女を弄るのは割と楽しそうですね。
「……って、何てことを考えているんでしょう、私は」
誰もいない廊下で、下卑た意識を振り払うように頭を振る。
どうにも、最近こんなサディスティックな感情が沸々と湧きあがってくる傾向がある。
更識会長の雰囲気がそうさせているのでしょうか。それなら私に罪はありませんね。
「ユウく~ん」
ふと、声を掛けられる。
聞き慣れた柔らかい声の先には、布仏さんが手を振る姿がある。
「どうしました?」
「今から生徒会室に来てって命令。重要な話らしいよ?」
「分かりました。では、一緒に行きましょう」
「うん」
思えば、こうして彼女と一緒に生徒会室に向かうのも日常と化している。
同じ部屋で寝起きし、放課後も同じ活動で時間を共有し、再び同じ部屋で過ごす。
寮生活という点を考慮に入れても、かなりの頻度で共に居るのは、誰の目から見ても明らかだ。
恋仲なのか?と勘繰られるような距離だが、意外にもそんなことはなく、寧ろ兄妹のやり取りとして認識されている節がある。
普段から笑顔を絶やさないコンビということもあり、似た者同士という評価がより兄妹っぷりに拍車を掛けている。
生徒会に所属したこともあって、以前よりも行動を共にする時間が増えたのも要因だろう。
傍から見れば、慕う兄の後ろをついて歩く妹、あるいは自由奔放な妹の後ろを困り顔でついて歩く兄、という二パターンの光景が繰り広げられるのだから面白い。
今、一番青春している人達は誰かと聞かれれば、大半が二人をセットで指名することだろう。それほどまでに、仲睦まじかった。
「失礼します」
ノックして一呼吸置き、生徒会室へと入室する。
先に待機していた楯無と虚に出迎えられ、早速本題に入ることとなった。
「悪いわね、貴方達も忙しい身でしょうに」
「心配してくれるのなら、もう少しお手柔らかにお願いしたいのですがねぇ。男手とは言え、荷物整理も楽じゃないんですよ。関係のない一夏君に頼る訳にもいかないですし」
「ん~?こんな美少女三人と密室でウフフな状況になれるっていうのに、贅沢だなぁ」
「それを言うなら、教室と言う名の個室に9.9:0.1の割合で過ごしているのが日常なんですが……」
「もー、シチュエーションが違うじゃんかそもそもー」
「……会長?」
虚に流し目で睨まれ、文字通り小さくなる楯無。威厳なんて、これっぽっちもありはしない。
だが、そんなやり取りも最早日常。何事もなかったかのように話題が切り替わる。
「……で、呼び出した理由なんだけど、これを見て頂戴」
虚の手から渡されるは、二枚の資料。
そのどちらも、簡易的ではあるが個人情報の掲載された資料で、顔写真には見知らぬ女生徒二名が貼ってある。
いや、片方の金髪の方は男性と記載されている。それにしては、女性的過ぎる容姿な気もするが。
そして、もう一枚の方に載っている青紫色のロングヘア―をポニーで括った女性。
こちらは一見問題ないように見える、が――何故か違和感を感じる。
「その金髪の子がシャルル・デュノア。フランスの代表候補生で、IS開発企業であるデュノア社の御曹司――というのが表向きなんだけど、そうじゃないのよね」
「と、言いますと?」
「ぶっちゃけると、シャルル・デュノアなんて存在しないのよ。その代わり、デュノア社社長の妾に当たるシャルロット・デュノアというシャルル・デュノアに瓜二つの少女がいることが判明しているわ」
「……それはつまり、身分を――と言うよりも性別を偽って編入してくる腹積もりだと?」
「そゆこと。大方、男性操縦者という箔が欲しくてと言うところでしょうね。デュノア社は第三世代のISの開発が滞ってて、株価も右肩下がりになりつつある落ち目の企業。逆転を狙う為にそんな頭の悪い行動を取ってきても、不思議ではないわね」
「随分と辛辣ですね、私としてはラファール・リヴァイブはお気に入りの機体なので、デュノア社の低迷には心を痛めていた次第ではありますが」
「……推測ばかりになっちゃうけど、妾の子とは言え、親の世代の負債を子供に清算させようだなんて、碌な親じゃないわよ。それが彼女の能力を買ってのものならともかく、これじゃあただの傀儡として扱われているだけ。ましてや、こんな穴だらけのプラン。最悪この子を生贄にして切り捨てることだって考えていても不思議じゃないわ」
「……それが本当だとしたら、悲しすぎるよ」
場に重い空気が流れる。
こんなのは、ありふれたトカゲの尻尾切り。
世界に目を向ければ、規模の差こそあれど社会的地位を持つ者ならば誰でもやっていること。
――それでも、納得できるかどうかは別問題。
精神的に大人であることと、そういった行為を割り切れるかどうかは、決してイコールでは成り立たない。
だからこそ、半端に現実を知る四人は納得と理解の板挟みに喘ぐ事しか出来ない。
「――まぁ、その話はいいでしょう。取り敢えず、えーと……デュノアさんの目的の確認をしても?」
狭間の一声を皮切りに、話を戻す。
「目的までは把握していないけど、このタイミングでの転入となれば、名声だけじゃなくてもっと別の目的があるでしょうね。そう――例えば、織斑一夏に接触して、彼の専用機の情報を探ったり、弱みを握ったりしてデュノア社に有利になるように働きかけるとか、ね」
「オリムーの?ユウくんは違うの?」
「私の場合、彼と違って専用機もなければ織斑先生のような分かり易い後ろ盾もありませんからね。絶対に狙われないとは言い切れませんが、少なくとも優先順位は低いでしょうね」
デュノア社の目的はある程度絞ることが出来る。
ひとつは、数少ない男性操縦者と接触し、懇意になること。
下衆な手段を講じるのであれば、機密情報の塊である専用機のデータ奪取やハニートラップによる一夏さんの強行確保。
IS学園特記事項『第21項 本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。』などとあるが、逆に言えば、それは卒業後には機能を失うと言うことで、一度関係を持ってしまえば楔となってしまうハニートラップは、ただでさえ不安定な足場に立つ一夏さんにとっては、地盤を失いかねない致命傷にさえなり得る。
とは言え、単純計算であと三年の猶予があることを思えば、その間に対策をするのは容易。寧ろ、性別偽装による不正入学がバレて芋蔓式にデュノア社の倒産までこじつけられる方が速い。
事実、この段階で性別偽装がバレている時点で詰んでいる。そもそも、何故バレないと思ったのかが理解できない。
馬鹿にしているのか、それほどまでに余裕がなかったのか、それとも――それらはブラフで別の目的があるのか。
あまりにも脇の甘さを感じる作戦を前に、裏があると勘繰らざるを得ない。
それは会長達も同じなのか、渋い表情で資料を紐解いている。
「取り敢えず彼女は、此方が何にも気付いていないという体で入学させる予定よ。この事実は、ごく僅かな人間しか知らない極秘事項として取り扱われているから、口外は厳禁。それこそ、教師でさえ伝えられていない人がいるレベルだから、その意味を理解して頂戴」
「……なんでそういうことは事前に言わないんですか。完全に私、巻き込まれているだけじゃないですか」
「大丈夫、君ならやれるさ!」
「うわー、すっごい良い笑顔でサムズアップ。殴っていいですか?」
「暴力反対!」
頭を抱えて机に突っ伏す会長。
本当、彼女の真意はいまいち読めない。
如何に普段ちゃらんぽらんでも、こんな重要な案件を意味もなく晒すとは考えにくい。
虚さんが道化芝居に反応しないことからも、これは予定通りの流れなのが分かる。食えない人だ。
「それに、貴方が関係ないというのは間違いよ。男性操縦者だから、ってのは確かにあるけれど、問題はこっち」
紫のポニーテールの少女が載った資料を叩きながら説明を始める。
「彼女――
私達、と言うのはIS学園を通しての発言なんでしょうけれど、関係者も殆ど知らない中で得られる情報なんて、そんなものではないだろうか。あくまでデュノア社が露骨すぎただけで、それが普通だと思います。
「そもそも、疑って掛かるのが間違いなのでは?デュノア社のこともあって警戒するのも分かりますが、クリーンな背景を持つ子が入学しても不思議ではありませんし」
「それはそうだけど……履歴書的にもあまりにクリーンな子が、何故今になって入学することになったのか。そこが気掛かりなのよ。病気していた経歴もなければ、人間関係の不備もなし。お金だって不都合している感じはない彼女が、一般と同じタイミングを逃して今入学する意味。それがどうしても気になるのよ」
「だからと言って、この情報では入学を拒むことは出来ない。どんなに粗を探しても見つからないのであれば、いっそのこと懐に潜り込ませてしまえばいい――そう結論付けた、ってことでしょうか?」
会長は無言で頷く。
「虎穴に入らずんば、とは逆のパターンになるけれど、危険を承知で爆弾を抱えることが必要になることもある。まぁ、実際それぐらいしか選択肢がないっていうのが理由なんだけどね」
「ままならないですね~」
「本当、やってられないわよ」
乱暴に背もたれに寄りかかり、天を仰ぎながら溜息を吐く会長。
相当お疲れな様子だが、こういった情報捜査は生徒会長と言えども管轄外なのではないだろうか。
いや、従来の学園と同じ考えで物差しを向けるのは良くない。
ここは学園と名の付いた、軍事施設のようなものだ。機密に対しての警戒心はただの学び舎のそれとは比べ物にならない筈。
新人があまりその辺りを詮索するのは悪いですし、そういうものだと納得しておこう。
「と言う訳で、彼女達二人をIS学園に入学させることは確定しているのですが……やはり監視の目は必要と言うことで、織斑君のクラスにデュノアさんを、狭間君のクラスに棗さんを転入させるようにするように対処します。長くなりましたが、これが今回貴方を参加させた一番の理由になります」
会長に代わる形で、虚さんが説明を続ける。
「一組には本音が、二組には狭間君がいます。最低でも事情を知る人間がいるのは当然として、狭間君は性別の異なる相手と言うこともあって、大っぴらな動きが出来ないことが懸念されます。ですので、此方としても信用できる方に最低限の説明だけをして、貴方のフォローに回って戴きます。これは確定事項です」
「最低限の説明、とは?」
「転入生が来ることを事前に伝え、基本的な生活から訓練までを支援し、仔細を報告するように仕向けています。これは相手も快諾してくれたことで、此方の思惑に関しては一切話していませんので、あくまで友人付き合いを前提としてフォローに回ってもらいます」
「それは分かりましたが、一体誰を推薦したのです?」
「それは――」
「失礼します」
虚さんの言葉を遮るように、四回のノック音に続いてドアが開かれる。
姿勢よく軽く一礼。凛とした佇まいと共に入室したのは、クラスメイトであり例の襲撃事件で援軍として駆けつけ、多大なる貢献をしてくれた椿さんだった。
一瞬、椿さんと目が合う。
彼女は軽く会釈すると、そのまま会長の机の前まで進んでいく。
因みに会長は仕事モードにいつの間にか戻っている。こうして見ている分には、凛としていて映えるんですが……。
「一年二組の椿麻美です。この度、更識会長からお話があるとのことで出向致しました」
「楽にして構わないわ。今回呼んだのはさして重要な案件ではなく、数日後に一年二組に転校してくる子の面倒を狭間君と共に見て欲しいと頼みたかったからだけだから」
「生徒会長に推薦してもらえるとは、若輩者の身には余る名誉であります」
「謙遜は不要よ。貴方の学園での素行や能力を見る限りでも、優秀な人材であることは間違いないわ。流石は椿の出の者ね。血は優秀らしくて結構」
「――御存じでしたか」
椿さんの雰囲気が、一瞬だけ鋭い刃のようになるも、すぐに霧散する。
はて、椿の出とは……。結構訳アリな家なのでしょうか。
言い方から察するに、古くから存在する名家と言う可能性が高そうですが、実際の所ははっきりしない。
「ええ。話が逸れたわね。それで、二組に転校してくる棗早織と言う子のフォロー、狭間君と共にやってもらえないかしら?別に貴方達だけではなく、友人にも一声掛けてもいいわよ?」
「是非そうさせてもらいます」
「ありがとう。狭間君、椿さんを送ってあげて」
「分かりました」
「いえ、そこまでしてもらう必要は」
「いいのよ。こっちもお開きにする所だったし、情報の共有と言う意味でも話し合いをする時間は少しは必要なんじゃないかしら?」
「……そういうことでしたら。お心遣い、感謝します」
三人に見送られる形で、私達は生徒会室を後にする。
しばらく歩いた後、椿さんが言葉を紡ぎ出す。
「生徒会は、楽しいですか?」
「ええ、まあ。個性的な方々と付き合っていることもあって、退屈はしていませんよ」
「そうですか。……ならいいんです」
「……まだ、負い目を感じているのですか?」
「そう……ですね。感じていないと言えば、嘘になります。貴方だけが実質罪に問われた形で、関係者である私達は不問となった。学園側の思惑もある程度理解できますが、そもそも先の襲撃事件の端を発したのは学園側が防衛を怠っていたからなったものであって、その被害を最小限に抑える一役となった貴方が、罪人のように扱われた事実。それが、私には納得できないんです」
拳を強く握り締め、悲痛に呟く。
正義感の強い人だ。それに聡明で、だからこそ多角的な視点で物事を考えられる。
そして世界の理不尽に呑みこまれ、苦しみ喘いてしまう。
勧善懲悪なんてものは、政治的観点からすればただの子供騙しでしかない。
個人で思想が入り乱れ、そんな者達が自らの理想に順ずるべくあらゆる手段を尽くして成り上がる場所。それが政治と言う環境だ。
魔女の鍋――いや、闇鍋と言った方が分かり易いか。
鍋に合うもの、合わないもの、単品で真価を発揮するもの、そもそも食べ物ですらないものさえ時には入ってしまうそれは、まさしく混沌の具現。
政治も同じ。思想、理想、欲望――その悉くを相手の都合も考えずに押し付け、その結果が大多数の運命さえも揺るがす悪魔を召喚することにさえなり得る。
そして、気付けば時既に遅く、その度に世界は良くも悪くも変化していった。
そんな繰り返しを経て今の時代が存在する訳だが、人類は快適さを知るに連れて、学ぶどころか増長している節さえ見受けられる。
その代表とも言えるのが、インフィニット・ストラトス。
私が調べた限り、本来それは宇宙空間での活動を目的としたマルチフォーム・スーツであり、シールドバリアーや絶対防御は、宇宙の飛来物かや宇宙の極限の環境から身を護る為のシステムであり、拡張領域は火星の開拓等で用いられる削岩機やデブリを破壊する武装を収納するためのものだろう。
IS同士が識別番号で位置情報を共有できるのも、空気が存在しない宇宙では肉声は届かないことから、安全性や柔軟な連携を可能とする為の手段だろうし、どこまでも宇宙開拓を視野に入れて考案されたものだと言うことが分かる。
そんな夢のある当時はまだ子供であった篠ノ之束のプランを、大人達は現実と言う黒色のペンキで塗り潰した。
その結果、表向きは軍事利用を禁止された兵器として、公にその名を広め、社会の在り方をひっくり返した。
それはいい。軍事利用を禁止している癖に国防の要になっているとか、そういう藪を突くことは今更過ぎて語ることでもない。
それより気になったのが、その浸透されるスピードにある。
十年。たったそれだけの時間で、今までの社会がまるっと変わってしまうことは、絶対にあり得ないのだ。
過去、政治や軍事その殆どは男性が担う役割であり、女性は全体を見れば針の穴と同じぐらいの存在感しかなかった。
如何にISが革命的な代物であろうともこの男女比がひっくり返ると言うのは、オセロで例えるならば色の比率が1:9で、1が女性だとしてたった一枚の着手で逆転するようなもので、ゲームの性質から見てもそれは絶対に起こり得ないことからも、その理不尽さが窺える筈だ。
一手一手、少しずつ盤面を取り返していくならばまだ分かる。ISは女性にとっては切り札。その切り札でちょっとしたイカサマは可能かもしれない。
だが、それは目に見えた変化であってはならない。
出る杭は打たれると言う言葉の通り、如何に優れていようともそれを引き摺り落とすのが人間の業であり、それがイカサマによるものだと知られれば、それで終わりだ。
だが、そうはならなかった。誰もが理解できるレベルの変化を前にして、人々はISの魔力に呑まれるだけで、その威光に縋る存在を止めることは出来なかった。
それが万人に通用する者ならば、疑問は残れど追求することはなかったかもしれない。形はなんであれ、過去において男尊女卑であった時代があったことは事実で、それを傘に男性があれこれ言うのはお門違いだと、ある程度丸く収まっていたかもしれない。
だが、このIS。女性にしか使えないと言う、致命的な欠陥を持っている。
如何に優れていようとも、女性にしか扱えず、更にはコアの最大数量の関係上量産できないものが、社会の中心になる?しかもたった十年で?馬鹿にしているとしか思えない。
その事実に思い至った時点で、私は神の存在を信じたくなった。『機械仕掛けの神』などと言う、つまらない神の存在を。
思想の浸透に関して言えば、一般人へのそれも気になる。
男性と女性の主権が逆転し、女性が幅を利かせる。これは理解できないことはない。それが、ISを扱える女性に限定しているなら、ではあるが。
ISが扱えなければ、男性と女性の性質が以前と変化するところなど何一つない。
しかし、現代の一般女性はまるで自分達が超越者になったと増長している傾向にある。ISを使えなければ、自分は何も変わっていないと言うのに。
女性の全員がそうだとは言わないが、それでも半分以上はそうであると判断して然るべきだろう。
何故、そんな極論に至るようになったのか?
狐にでも化かされているのでは?と思えるほどに、現実感の無い現実で自分達は生きている。
誰もが思い至るべきなのだ。自分達の知らない所で恐ろしい変化が起ころうとしているのでは?と言う疑問に。
滑稽だと笑うだろう。しかし、考えてもみろ。
急激な変化の中、砂で出来た舞台で踊る女、そんな女達からの理不尽に対し臆病風に吹かれて閉口し不遇を受け入れている男。
そもそもこの関係を作り上げた今の世界そのものが滑稽の極みでしかないと言うのに、今更御託を並べるなと言いたくもなる。
右を向けば馬鹿、左を向いても馬鹿。ああ、馬鹿ばかりで――本当に■したくなる。
「――さん?」
まるで海の底から引っ張り出されるような感覚に、身体がふらつく。
たたらを踏みながらも、咄嗟に椿さんが手を取ってくれたことで転ぶには至らなかった。
朦朧とする意識。先程まで何かを考えていた気がしたが、全然思い出せない。
「狭間さん、やはりお疲れなのでは?慣れない環境に身を置きながら、生徒会で仕事をするなんてやはり無茶だったんです」
「え?ああ、いえいえ。そんなことはないです。ただ少し考え事をしていただけでして」
「……もし、本当に辛そうなら貴方の意思を無視してでも抗議しますから、そのつもりで。貴方が倒れてしまえば、ノエル達も心配しますし、あの場に居た人達も負い目をより感じることになるということをお忘れなく」
「だから大丈夫ですってば。心配性ですねぇ」
それからも、近藤さん達と合流するまで椿さんの説教が続いた。
そんなことをしている内に、先程考えていたことに関して、すっぱりと忘れ去っていた。
Q:シャル、開幕からノーアタックでフィニッシュです。
A:原作よりも遥かに優秀な暗部。それを超える情報収集能力を持つ狭間。うん、もうね。
Q;抜き取ったラウラはどこだ?
A:あれ、タイプミスかな?
Q:ミンゴスのお家事情とは一体……うごごご
A:まぁ、原作と似たような感じですわ。細部変えているけど。
Q:ミンゴスヒロインしてるぅ!
A:ツバキってだけで闇墜ちしそう(小並感)
Q:おや、狭間の様子が……?
A:取り敢えずB連打しなきゃ(使命感)