Fateかと思ったらクロス世界かよ!!   作:Castella

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衝動的に書きました。


なんか俺の手に滅亡が委ねられたらしい……

 

そこは、最早城とも呼べぬ廃墟であった。

崩れている部分が多すぎて、元の形相を認識することすら困難だ。

しかし他にも違和感がある。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()である。

それは壁を抉っていたり、土を抉り飛ばしていたり、尋常ならざる速度でぶつけられた痕跡があった。

 

その武具の墓場のような光景のなかで、一人の少年が膝を付いていた。

ところどころから血を流しており、まさに満身創痍と言った言葉が相応しい。

刀を支えにして、どうにか倒れぬようにしているに過ぎなかった。

 

「……わかっていたであろう?」

 

そして、その少年の前に立つ金髪の青年がいた。

その容姿は凄まじく整っており、紅い鬼目のようなその瞳と合わせてまるで神のような威光を放っていた。

青年は、その少年に向かって言葉を続ける。

呆れとすこしの感嘆が入り混じるその声が、少年の耳に届いた。

 

(オレ)に対して、あの()()()()()を守るべく仕掛けた気概は認めよう……だがな────」

 

そして、その青年は言い放った。

 

わかりきっていた、事実を。

 

「貴様は弱い」

「────ッ………」

 

それは、その事実は少年の胸を抉る。

言われずとも、そんなことは初めから知っていた。

この最強の英霊に敵わぬことぐらい、承知の上だった。

 

それでも、ここで膝をついてはいけなかったのだ。

意志を貫き、勝つと決めたのならば尚更。

英雄のようになれずとも、()()()()()()()()()()()()()()()()()

意志を張り通さなければならなかった……なのに。

 

「雑種、貴様がどんな感情でそこに立とうがどうでもよいが………仮にも俺に相対するならば、その衝動を拒絶するなどありえぬことよ」

 

このザマだ。

勝てるとでも思っていたのだろうか、彼等は英霊だと言うのに。

一人残らず、何らかの形で人類史に名を残す傑物たちであり、ただの一人も弱者ではない者達。

それに、ただの人間が勝ろうというのだから、すべてを出し尽くしてようやくスタートラインに立てるというのに。

 

だと言うのに、俺は自身を信じていなかった。

友達を助けたくて、こんな無謀に挑んだのに。あの結末を認めたくなくて、この場に立ったのに。

なんと情けない。

 

「自分を否定し、己のすべてを出し切ることをしなかった……その時点で貴様は敗北していた」

 

そう青年は、人類最古の英雄王は締めくくる。

そうだ、まったくもってその通りだ。

拒絶するべきじゃなかった、乗り越えなければならなかった。

あの二人を守りたいならば、我武者羅にでも走らなければならないのだ。

己のすべてを、捧げてでも。

 

しかし、人類最古の王は黄金の揺らぎより剣を取り出した。

今己が持つものと比べるべくもない、輝きを放つそれは、宝具だろう。

英雄が持つ武具にして、力の象徴。

伝説そのものだ。

 

そして、王は言った。

 

「貴様のその衝動ごと、(オレ)が手ずから葬ることを光栄に思うがいい」

 

下らなそうに、そしてすこしの落胆と共に王は言う。

何を落胆するのだろうか、俺などになにか期待でもしていたのだろうか。

そんな訳はない。ただ俺は、身勝手に求めてもいない助けを行っただけだ。

彼女に生きててほしいというわがままで、勝手にここまできてしまった。

 

もう二人の少女にも、心から申し訳なく思う。

いつも正しさを求める貴女と、フワフワと心の底から笑う女の子が、ただ生きている世界が欲しいだけだったのだ。

そして当然、雪の君にも生きてて欲しかった。

 

『あっ!良二くん!今度ね、ヒロちゃんとユキちゃんと一緒に映画を見に行くんだけど、一緒にいかないかな?』

 

桜のような綺麗な髪をした女の子。

 

『全く、君はいつも登校が遅いな……遅刻は正しくない』

 

いつも正しくて、凛とした佇まいの貴女。

 

『良二……もし、私が憎んでいるものがあると言ったら、どうしますか?』

 

どこか不思議な、それでいて馴染めていなかった美しい君。

 

すべてが、浮かんでは消えていく。

ああ、もう会えないのだろうか。それは少し悲しいと思う。

自分で死地に飛び込んで、何を言っているのやら。

 

もうすぐ、俺は死ぬ。

この王によって、首を絶たれて死ぬだろう。

回避はできない、そんな気力は使い果たした。

この状況からなんとかできるなら、それは英雄そのものだろう。

英雄でも、勇者でもない俺には荷が重い。

だから、避けることはできない。

 

でも─────

 

『良二、貴方の剣が好きです』

 

『僕、良二くんの剣が好きだよ!』

 

『君の剣術は、相変わらず綺麗だな』

 

そうだ、こんな俺を認めてくれたのは、彼女たちだ。

俺自身が嫌悪して、封じ込めてしまった■を、彼女たちが開け放ってくれたのだ。

綺麗だなんて、初めて言われたと思う。

それが俺にとって、どれだけ救いになったかも彼女たちは知らないだろう。

 

でも、それが今日まで俺が走った理由だ。

理解されなくていい、わからなくていい、ただそれでも。

彼女たちを、救うために────

 

「─────ッ!!」

 

そうだ、それが理由だ。

俺の衝動に身を任せる、たった一つの。

 

既に刃はこちらに向けて放たれた。

弧を描き、確実に命を刈り取るその一撃は、今の俺には避けられない。

だが、避ける必要はない。

 

ガキンと、金属音が鳴る。

 

「……ほう」

 

刀と剣がぶつかり、火花を散らす。

英霊の身体能力で振るわれたそれを、真正面から受け止める。

威力を極限まで殺し、ただの剣へと姿を戻した。

剣ごと王を弾き飛ばしながら、俺は立ち上がる。

 

「………くくく、クハハハハハハ!!!雑種、貴様───!!」

 

王は笑った。

心底愉快だと言うように、想定外の極みだと言うように。

まるで立ち上がれるとは思ってもいなかったのだろう。

それだったら、少しは胸がすく思いだ。

 

そして、言葉は不要というように、俺は刀を構えた。

負傷していようとも、その構えに一片の曇りもない。

ただ、この王を斬るという意思を込めるように。

 

「善いぞ、それでこそ特異点!それでこそイレギュラーよ!」

 

王は背後より、黄金の揺らぎを多数展開する。

まさに常人ならば、死刑のカウントダウンにも等しいだろう。

だが、そんな思考は俺の頭には要らない。

 

考えるのは、あの四人での日々と、三人のことのみ。

それ以外は考えない、考えれば自身を制御できなくなる。

ただ衝動に飲まれる、化け物になる。

 

今必要なのは、そんな化け物ではない。

ただこの王に勝り、勝利するという意思のみが、俺に必要な全てだ。

故に、俺はその記憶を楔とする。

確実に俺を保てるところまで、記憶と共に連れて行く。

 

構えをより深める。

そしてそれは、その王へと言葉を────挑戦状を叩きつける。

 

「行くぞ、英雄王────武器の貯蔵は十分か」

 

それを聞き、英雄王は笑いを深める。

 

「吠えたな、イレギュラー!!」

 

その言葉と同時に、数多の武器が、俺へと打ち放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、願いを求める物語ではない。

 

これは、聖人の物語でもない。

 

これは、ただ────

 

 

 

 

─────共に生きようと願う、物語だ。

 

 

◆◆─────────────────────◆◆

 

 

一年前、ロンドンにて。

 

「御約束の物をお持ちしましたよっと……ロードエルメロイ?」

「感謝する、異端の神父」

「……その呼び方やめてくれません?」

 

コートに高い背丈の、少しやつれたように見えるその男はある荷物を受け取っていた。

神父服の少年が持っている、あるアタッシュケースのなかの代物だ。

開けてみれば、それは何かの魔術的な触媒であるとわかる。

続いてその少年が言葉を投げかける。

 

「ていうかそんなもんなにに使うんです?」

「授業でな。貴重なものではあるが、そこまで重要な魔術は使えん」

「なるほどね」

 

欲しかった答えが返ってきたのか、少年は口を閉ざす。

もとよりここにはおしゃべりに来たわけでない、仕事のためだ。

ロードエルメロイに荷物を運ぶという、ただの配送のために。

 

少年は触媒を取り出された空のアタッシュケースをもち、歩き出す。

それを引き止めたのは、ロードの方だった。

 

「……帰ってくる気は、ないのだな」

「………ええ、ありませんよ、先生」

 

それだけ言って、彼等の会話は途絶える。

話す気がないと言えばそれまでだが、いくらなんでも変わりすぎだとロードエルメロイは思う。

彼は元来、そのような性格ではないと記憶していたのだが。

 

スタスタと歩き去っていく少年の背中には、なにか大きなものがある様に見えてならない。

ただの、幻覚かもしれないが。

 

「……難儀なものだな」

 

そう呟いて、ロードはタバコの煙を口から吐いた。

 

 

◆◆◆

 

 

「─────罪悪感やべー……」

 

まあ、先ほどまでのミステリアスな雰囲気なんて、この少年にはないのだが。

この少年は転生者だ。ある日突然記憶が蘇り、そのせいでこの世界の今後を網羅してしまった哀れな男の子だ。

 

厄ネタばかりのこの世界、主人公である衛宮士郎や遠野志貴が選択をミスれば世界が滅びかねないと知った時は発狂しそうになったほどだ。

 

故に、このまま時計塔にいてはいけないと、現代魔術科を飛び出して聖堂教会へと入信。

まじで神へと祈ることもありながらも、そこそこの武力を手に入れることを目的に進んだのだ。

結果は、まあまあと言った具合だが。

 

「……stay night本編が終わったら謝んないとな」

 

留学としての短い間であったが、それでも世話になった人には違いない。心配を掛けてしまっているのだとは理解していた。

故になんとしてでも、衛宮士郎にはstay nightをクリアしてもらわねばならないのだ。

俺の心の平穏の為にも。

 

「はあー……まあ仕方ない、さっさと日本に帰ろう」

 

そう決めて、少年は歩き出す。

申し訳なさと罪悪感に苛まれながらも、この道を辞めることはできない。

本当に憂鬱だと、そう思いながら。

 

そうして、少年は飛行機へと乗り日本へ帰港する。

これからの中学生活で、なんとか対策を練らなければならないがそれはまた今度のことだ。

これから嫌になるほど考えていけばいいと、そう思った。

 

 

このあと、ある存在とのエンカウントで予定が崩れに崩れるのだが、それはあとのお話。

 




衝動に任せて書いたんですけど、うまく書けてますかね?
まのさばとFateのクロスが少ないのもあって、参考にできるものが殆どないんですよね……
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