Fateかと思ったらクロス世界かよ!!   作:Castella

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今回は多分Fateキャラの方ですね。


セカンドオーナーとの対談/罪悪感

 

昨日はかなりヘラっていたため、何もやる気力が起きなかったがそれでも彼女の私生活を覗きすぎない範囲で使い魔を仕掛けた。

最悪の場合、彼女を始末しないといけなくなる。

それに備えて、俺は覚悟を決めなければならない。

彼女の両親にも、彼女の友達にも恨まれる覚悟もしなければならない。

 

「………気が重い」

 

今日の学校を終え、俺は桜羽からの誘いを申し訳ないが断り、ある家に向かっていた。

せっかく遊びに誘ってくれたのはうれしかったが、それでもこれはやるべきことだからやっておきたかった。

 

それは、セカンドオーナー────遠坂凛に対する挨拶だ。

もうすでに魔術を使ってしまったが、そこを含めて謝罪しなければならないだろうか。

 

その邸宅前へと着き、俺は門の中に入りドアの前へと往く。

立派な建物だが、しかし植物によってところどころ侵食されている。

そのドアを三度ノックし、反応を伺う。

………出てこない。

やはり留守だろうか、原作ではそんな部活のような描写はなかったと思うのだが。

仕方ないが、また出直すしかないだろうか。

 

俺は、そうやって踵を返し────

 

 

ガシリと、肩を掴まれた。

いつの間にか空いていたドアから、白い形のいい腕が伸びている。

えっ?何かのホラーゲームか?

まるで画面に引きずり込む貞子のように、その腕は力を掛けて─────

 

俺を引きずり込んだ。

 

「いらっしゃい?不届きなお客様?」

 

とてもオコな顔の遠坂凛を見ながら。

 

 

◆◆───────────────────◆◆

 

 

「それで?申し開きは?」

「勝手に魔術を使用して申し訳ありませんでした……」

 

そんな感じで、家の中まで引きずり込まれた俺は遠坂凛の説教をコンコンと受けることになった。

セカンドオーナーに対して、説明もなく魔術を発動させるなどありえないと、ありがたいお説教を頂いてしまった。

ぐうの音も出ない。

 

「まったく……地脈のなかで使い魔を観測したからどんな不届き者が来たかと思えば、こんな子供だったとはね」

 

そう言って頭が痛いというように、彼女は手を当てる。

なんかちょっとムッとした。

自分が悪いのは分かっているのかだが、それでも怒られっぱなしは気分が少し良くないので、仕返しを企んだ。

 

……うっかりのクセに

なにか言ったかしら?

「スンマセンした」

 

反抗は一瞬で撃墜された。

一瞬である、勝負にすらならなかった。

俺のやる気は一瞬にして鎮火し、彼女の怒気が空間を満たした。

怖すぎる、美人が怒ると怖いのは本当なのだろう。

 

暫く笑顔をで怒ったあと、彼女は溜息をつきこちらを見た。

それは、なにか期待外れだと言っているような瞳であり、そんな瞳をされることに心当たりは────ない訳では無いが、それでもそんな顔をされるほど拘りは深くないのだが。

 

「あの()()の一族の一人が、こんな奴だとはね………」

「………」

 

ああ、なるほど。

それならば納得だ、彼女の俺へのイメージは魔術師一族の蒼崎であったのだろう。

ならば、このように杜撰に魔術を扱う俺は、さぞ期待外れに映っただろう。

 

だが、俺にそんなものは期待しないでほしい。

なぜなら俺は、()()()()()()なのだから。

故に魔術師らしさなどないし、魔術も実家の連中に比べれば下手だ。まあ実家の連中には蛇足の如く嫌われてるのだが。

 

「……まあ色々事情があるんで許してください」

「はあー………わかったわ、取り敢えずこの街への滞在を許可します」

 

取り敢えず、この街への滞在は許可してもらえたらしい。

最悪許可されなくても居座るつもりだったのだが、それでも許諾が取れているのと取れていないのでは罪悪感が違うため助かる。

これでいちいち心を痛めずとも済むわけだ。

 

「わかってると思うけど、龍脈は使用不可だから」

「わかってますよ……では、失礼します」

 

そう言って、俺は部屋から退出しようとする。

聖杯戦争が近くに迫っているのに、こんなガキの滞在を許してくれるだけ彼女は優しい。

普通ならば追い出されているだろう。

魔術師なんてそんなものだ。

 

だが、ここからが彼女が他の魔術師と違う所だった。

 

「………なんかあったら頼りなさい、これでも年上だから」

「……!!」

 

果たしてそれは、優しさから出たものだっただろうか。

或いは同情かもしれないし、またはただの気まぐれの善意かもしれない。

 

でもそれは間違いなく、彼女の美徳なのだろう。

 

「……ありがとうございます」

 

そう言って、俺は少し小っ恥ずかしいくなりながらも退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……魔術師らしくない子だったわね」

 

セカンドオーナーに挨拶に来るという行動は魔術師の常識といえばそうだが、あの少年からは狂気が感じられなかった。

 

魔術師ならば誰もが持つ、()()への執着。

自分も含めて、魔術師はすべからく根源を追い求める研究者の集まりでありロクデナシだ。

中には、人体実験を厭わないものもいる。

いや、それならばまだマシな方だ。彼らの優先順位は根源にたどり着くとが第一なのだから。

故に平気で身内も犠牲にする精神性をしている。

 

だが、あの少年はまともだ。

……いや、まともであるようにしているというところか。

根源への狂気は感じない、それは確かだ。

だが、なにか違和感があった。

それが何なのかは、今はわからないが。

 

「……いや、いいわ……今は聖杯戦争のことに集中しましょ」

 

遠坂凛は、その話題を閉じた。

考えてもわからないし、それにあれこれ考察するのは失礼にあたるだろうから。

一応頼っていいという保険は掛けておいたが、それでもそれはあの子が判断することだと、そう思って。

 

 

◆◆────────────────────◆◆

 

 

時間はとんで、次の日になった。

教会だけは近づいていないが、他の場所はかなり回れた。

冬木大橋、柳洞寺、そして学校と衛宮邸。

この四つを周り、観察と使い魔の設置を行った。

 

だが、聖杯戦争が始まったら柳洞寺の使い魔は撤退させることにする。

理由はキャスターに乗っ取られるかもしれないからだ。

俺の魔術の腕では、そんなことはないと言い切れないし、何より相手は神代の魔術師だ。警戒して損はない。

 

そんなことを考えていたら、授業が終わってしまったらしい。

大体予習はしてあるとはいえ、この態度は良くなっただろう、次から改めることにする。

 

「ねえ蒼崎くん、お弁当一緒に食べない?」

「ああ、いいぞ桜羽……俺コンビニ弁当だけどいいか?」

「ううん!全然大丈夫だよ!ありがとね」

 

桜羽から弁当のご一緒のお誘いが来た。

昨日は行かなかったが、誘いを断り続けるのもよくないだろう。

それに、桜羽と食べるのは嫌ではないし。

 

そして俺たちは、屋上で飯を食べることになった。

誰もいないこの場所でなら、食事を邪魔されることもないし、言っては悪いが桜羽も俺以外の友達はいないので渡りに船らしい。

 

「わっ!大きいお弁当……」

「男子ならこれくらい普通だよ、逆に桜羽のは小さく見えるな」

 

互いに弁当の感想を言い合う。

大きなだの、小さいだの、色とりどりだの、単色だの。

色々な感想を語り合う。

取り留めのない時間だが、ここ数年の行動を思えば案外悪くないと思える。

 

何度も言うが、ここ数年は走り回りっぱなしで落ち着く暇がなかった。

戦って修行して、鍛え続けて準備した。

それでもまだ本番はこれからであり、ここからが本当の地獄の始まりなのだ。

そしてそれもまた、終わりではない。

 

Fate/stay night本編が終わっても、今度は魔法少女の魔女裁判が始まるだろう。

俺達が同学年であり、まだ桜羽エマが中学生なことからそれは確実だろう。

加えて遠坂凛は確実に高校生だった。

つまり、まだまだ駆け回る日々は続くということ。

 

彼女に罪はないけれど、それでもこんな事実は知りたくなったと思ってしまう。

 

「………ねえ、蒼崎くん」

「ん?どうした?」

 

くだらないことを考えていたら、声を掛けられた。

まずい、話を聞いていなかったとかだろうか、それだったら申し訳ない。

 

しかし、返ってきたその答えは驚愕に値するものだった。

 

「……ありがと」

「急にどうしたんだ?」

「ううん、ただ言いたくなって」

 

一泊置いてから、彼女は告げる。

少しだけ寂しそうな顔をしながら。

 

「あの時、蒼崎くんが話しかけてくれなかったら、きっとボクは孤立してた」

「……それは、ぶつかったんだから謝るのは当然だ」

「それでもだよ」

 

まるで花のような香りが、風によってこちらに運ばれてくる。

女子特有の、いい香りが鼻をくすぐる。

 

だが、そんなことは今はいい。

彼女はこちらを振り向き言った。

 

「こんなこと言うのは悪いことだってわかるけど、それでもね。あの時ぶつかって良かったって、そう思うんだ」

 

それを聞いた俺は、すこしおかしくてなってしまった。

そして、肩を竦めながら彼女に対して言う。

 

「まるでわざとぶつかってみたいだな」

「えっ!?ち、違うよ?ボクはえっと、そういうことが言いたいんじゃなくて……!!」

「あはは、わかってるよ」

 

彼女に対するからかいを入れながら、俺は屋上のフェンスの方へと歩いていく。

太陽を背にして、俺の薄暗い心を隠すようにしながら。

純粋に友達として仲良くしてくれている、彼女の目を見ないようにして。

 

振り返って、言った。

 

「俺も、桜羽と友達にもなれてよかった」

「………ッ!うん!」

 

どうか恨んでくれ、俺のことを。

お前がどんな未来を辿るかはわからないけれど、きっとろくなことにはならないだろうから。

せめて最後に恨む対象が、俺だけでありますようにと、そう願った。

 




エマちゃんがこんなに主人公の懐いているのは、あの時謝罪でも話しかけてくれたことが嬉しかったからです。
主人公はなにかあったとき、エマちゃんを殺してとめることも選択に入れています。
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