超いろはノート!〜寄せ書き増量版〜   作:お否さま

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まずははじまりはじまりから

酒寄彩葉。

文武両道、才色兼備、質実剛健の名を欲しいままにする嫗もびっくりな完璧JK。

そんな彼女の日常を我らも覗いてみよう。

 

「い〜ろは〜!」

 

東京都某市の高層マンションにて。

私こと酒寄彩葉の部屋へ今日も今日とて騒がしく、我が家の怪獣が突撃してくる。

月夜の光に揺れる秋の稲穂がごとく輝く金色の髪。

目尻が下がったタレ目がちの愛らしい瞳を備えた、どんな人間でも一撃で見蕩れてしまう程の美貌。そんな美貌を美しいから可愛いに変えてしまうほど、コロコロ変わる表情に裏打ちされた圧倒的な愛嬌。こんな容姿をしてお手軽にそれを利用してオネダリをしてくるのは、自分の力で被害を撒き散らす怪獣と変わりないだろう。まぁ、私はもう慣れたけど。

 

そんなかぐやが、いくつかのノートを抱えてきた。

突拍子がないのはいつもの事だが、果たして今日は一体なんの用だろうか?

 

「これなに〜?」

「なにって……私の勉強ノート?ちょっと、あんたまた勝手に人のものを……」

 

かぐやが差し出してきたのは、私が使っていたノートだった。最近は使ってなかったから奥の方にしまい込んでいたはずだが、パソコンを持ち出してきた時同様彼女にとってそんなのはさしたる障害にもならないらしい。

それはそれとして、たかが勉強ノート程度、見たところで何も無いと思う。

 

「だって、私と会うまでどんなことしてたのか気になるんじゃーん?」

「えぇ、そんなおもろいもんじゃないよ?これだって勉強のことしか載ってない……ん?」

 

変なことは書いてなかったはず……とか思いながらペラペラめくるとそれはただの勉強ノートとは様相が異なっていた。それと同時にそれの内容へ、記憶がリンクしふふっと笑みがこぼれる。

 

「彩葉どった〜?」

 

至近距離から顔を覗き込んでくるかぐや。いやこいつ顔がいい……けど、私はもう慣れたけどね、うん。大丈夫だけどね全然。

とはいえ、これはかぐやが求めてるものじゃないし、あと変なのが出てきそうだから、あまり見せたくない。

なにせ

 

「見るにしてもこれじゃないやつにしよ。日記とか色んなのが載ってるやつだもん。てかそう考えるとますます見せたくないな……」

「えー、彩葉の日記〜!?ますます見た〜い!」

「恥ずかしいから、ダメ!」

「んぐぬぬぬ、彩葉のケチー、ちょっとくらい、いーじゃーん!!」

「だめったらだーめーでーすー!」

 

駄々をこねるな、バタバタするな、美少女なのにみっともないぞ。なんと言ってもこれは見せない。あと、それ以外に駄々のコネ方のバリエーションないんだろうか。

しかし、不肖酒寄彩葉。この光景には一種のデジャヴを感じてしまっている。いや、だが慣れているからもう流石にそろそろ多分ほぼおそらく勝てる……はず……。

 

「むーーーーっ!……いろは〜、おねがぁい♡」

「いやいや。いやいやいや……。

……あの、ほんとにちょっとだけにしてくれる?」

「よっっっっっし」

 

おい、ガッツポーズ。

 

 

「たしかこれって、芦花とまみが『いろはノート』って言ってたヤツだよね〜?」

「よく覚えてんね……。そうそう、って言ってもこれに関してはあんま2人に貸してないかな。日記とかメモ用だったし。間違って貸してから、交換日記みたいなこともしたっけ」

 

赤点回避記念でパンケーキ奢ってもらった時は家計のこともあるけど、純粋に2人が私を大事にしてくれてるんだなって嬉しかったな。約1回は目の前の美少女にほぼ食べられてたけど。

普段使いのメモ間違って渡しちゃった時は恥ずかしかったけど、それにイラストとかあっちの日記も載せて返してくれた時も印象に残ってる。

 

「あ、彩葉にこにこだ。ふふ、じゃあ私も書いちゃおーっと!」

「あっ、こら!」

「だって、芦花もまみも書いてるんでしょ?私もみんなと一緒のことしたい!」

「そんなの今度あった時にすればいいでしょ……。

もう、しょうがないんだから。ってあれ? なんか覚えのない書き込みが何個もある……。それにこの内容……2人とも私が見ないかもしれなかったのに。」

 

サプライズのつもりだったのかな。あとから私がこれを見た時に楽しんでくれるように?

だとしたら……狙いは大成功だ。ほんと、いい友人を持ったなと思う。昔と違って、自分にはもったいない、なんてもう思わないくらい大好きな友人たちに感謝をそっと送る。

そう感慨にふけってるうちに、うちのお姫様は色々な書き込みを読んで目を輝かせていた。そして、おもむろにペンを取ると

 

「えへー、こういうのもありなんだー?だったら私もぉう!」

「『超かぐや姫!』? ……ふふっ、なにそれ私たちの話?

だったら私も久々に思い出とか残しておこっかな?」

「そんでもってこのノートも〜?」

 

『超いろはノート!』

 

 

「あとで芦花とまみにも見せに行こうね、彩葉!」

「はいはい、一緒に行こうね。」

 

これから、その機会はきっと沢山ある。

大好きなかぐやと、大好きな友人たちと一緒に過ごす時間は呆れるほどいっぱいあるから。

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