俺の名前は石川雄大。
気が付くと何も無いだだっ広い空間で目が覚めた。
なんだここは……
もしかして死後の世界ってやつ?
そんなことをボーっとしながら考えてたら、目の前に、白い男(推定40代)が現れた。
「こんにちは、石川雄大くん。君は死んだんだよ」
あぁ、やっぱり俺は死んだのか……
なんで死んだんだっけ……思い出せないな……
まあいいか、と俺はとりあえずこの謎の男に質問を投げかけることにした。
「ここって死後の世界ってやつですか?」
「まあ広い意味で言うとそうだね。驚いたかな?」
「死後の世界って本当にあるんだなって思ってます。実感湧かないですね。」
「君は落ち着いてるね。結構多くの人は動揺したり、錯乱したりするんだよ。」
「そうなんですね。で、僕はどうなるんですか?」
「単刀直入に言うと、君は転生してもらうよ」
転生!?まじか!?と、前世でライトノベルが大好きだった俺は急にテンションが上がってきた。
異世界か?魔法使えるのか?
「君は、『ようこそ実力至上主義の教室へ』という作品の中へ転生することになったんだ」
「よ、ようこそ実力至上主義の教室へってあの、よう実ですか?」
「そうだね、そのよう実だね」
『ようこそ実力至上主義の教室へ』
俺が前世で大好きだったラノベだ
あの世界に転生……?やっていけるのか……?
てかこういうのって異世界とかじゃないのかよ…?
まあでもあの世界のキャラクターに会って話してみたいな、とポジディブに考えることにする
「と言っても、そのままで行くのも不安だろうし、何か特典をあげよう。君の望みは何かな?」
俺の望みってなんだろう……
前世を思い浮かべてみる。
前世では、気弱そうな外見と、自分に自信の持てない性格から周りから舐められ、カツアゲなんかにしょっちゅう巻き込まれていた。
まじで最悪だった、ヤンキーは今でもトラウマだ。
よう実の世界になんか行ったら、特に龍園クラスのヤンキーどもには虐められそうだ……怖いな。
次の人生では、周りに舐められたくないな。
よし、そんな感じの願いにしよう
「周りに舐められなくなるような特典をください!」
「なるほど……周りに舐められなくなりたいのか……簡単なのは暴力で支配することだが、君はそれを望むかい?」
暴力は嫌だな……前世で何度も暴力を振るわれてた俺は、嫌という程暴力の恐ろしさを知っているし、自衛のためでも暴力は振るいたくない。痛いのは嫌なのだ。
「強くはなりたいですけど……できるだけ暴力は振るいたくないです。」
「なるほどね、君の願いは理解したよ。実を言うと、君の前世の情報は知っているし、君の性格も知っているから、何を特典で渡すのかはもう決まっているんだけどね」
どうやら今までの会話は無駄だったみたいだ。
「君には特典『威圧』を与えよう」
ふーん『威圧』かー。
って『威圧』!?
なんか物騒だしゲームのスキルみたいだな。
「『威圧』ですか?どんな感じの?」
「ふむ、やっぱり分かりずらいよね。じゃあこれをどうぞ」ペラッ
なんか紙を渡された。説明書かな?
その紙にはこんなことが書かれていた
特典『威圧』
レベルに分けて威圧することができる。
威圧レベル1:違和感
敏感な人や子供が怖がり始める。
威圧レベル2:緊張
近くにいると落ち着かない。会話がぎこちなくなる。
威圧レベル3:萎縮
言葉を選び、自由に振る舞えなくなる。
威圧レベル4:恐怖自覚
「怖い」とはっきり感じる。距離を取りたくなる。
威圧レベル5:逃避・硬直
逃げ出すか、その場で動けなくなるかの二択になる。
威圧レベル6:パニック・気絶寸前
呼吸が乱れたり、涙や震えが出る。意識を保つのがやっとで、精神力が弱い人は気絶してしまう。
威圧レベル7:気絶
耐えられない者はそのまま気絶。ごく少数の意識を保つことができるものでも抵抗不能で従うしかない。
威圧レベル8:?????
うーんなにこれ!?強くね?物騒じゃね?
てか威圧レベル8って何?詳細ないの!?
気絶より強いとかなんだよ……
「あの、威圧レベル8ってどうなるんですか?」
恐る恐る聞いてみた。
「死ぬかもね」
「死ぬんですか!?」
やばくないかこの能力。
「大丈夫大丈夫、威圧だから殺人にはならないよ」
そういう問題ではない気がするのだが……
「まあ、普段使いは5までにしといた方が良いかもね。6でも本当に弱い人なら気絶して倒れてそのままってこともあるからね。」
「分かりました……」
「この能力を使ったら、もちろん舐められなくなるし、全てを掌握するのも夢じゃないかもね。」
「はい……」
いや無理だろう、こんな能力があっても俺は俺なのだ、人を掌握するなんて絶対無理だ。
転生したらしたで、力があるのに力を使わない某事なかれ主義最高傑作のようになるのがオチだろう。
うーん、よく考えたら
最高傑作早く全力出せよ!力解放しろよ!
って前世ではずっと思ってたな。
やっぱそれでもつまらないし、やれるだけやってみるか。
「あぁ、転生のことだけど、転生する時期が、生まれてからか、高度育成高等学校に向かうバスの中で記憶を取り戻すかが選べるよ。」
どうしようか……
前者を選んで、よく見る強くてニューゲーム的な感じで小学校を無双するのもやってみたいが、どうにも飽きる気がしなくもない。めんどくさいし、後者でいいだろう。
「後者でお願いします」
「了解だ。他に、何か聞きたいことあるかな?時間が無いから、後一つになるけどね。」
これは重要だ。
何を聞こうか。
聞く必要は無いかもしれないが、俺の頭に大切な1つの質問が思い浮かんだ。
「じゃ、じゃあ見た目はどうなるんですか?全く別人になりますか?」
これは重要だ。前世ではこの5歳児にも舐められる弱そうフェイスに苦しめられてきたのだ。
「成長の過程が違う以上完全に同じではないけど、君によく似た容姿になるよ。」
「そ、そうですか」
ちょっと落ち込んだが、まあいいだろう。
俺には威圧があるのだ。舐められることはない。
「では時間だ。いってらっしゃい」
そうして、俺の目の前は真っ暗になった。
氏名 石川雄大
クラス 1年D組
評価
学力 B
知性 B
判断力 C
身体能力 C
協調性 B
面接感からのコメント
全体的な能力は悪くなく、能力だけなら、Bクラスへの配属が妥当である。しかし、暴力行為や恐喝など多くの問題に巻き込まれることが多いことから自己防衛が出来ていないと判断し、Dクラスへの配属とする。