櫛田の屈服や堀北(兄)の暴力など色々あった次の日、俺はいつも通り登校していた。
頭はまだ痛いけど、別に気にならないくらいだ。
教室に入り、席に着いた。
すると、女子グループと話していた櫛田が、こっちに小走りで向かってきた。
「おはよう、石川くん!」
なんと俺に挨拶をしに来たらしい。
「お、おはよう櫛田さん。どうしたの?」
「やだなー石川くん。仲良くしようって言ったのはそっちでしょ?」
「まあそうなんだけど……」
どういうことだろうか、怖がられていると思ったのだが。
それとも、怖がっているから、俺に敵対しないために取り入ろうとしてきているのか?
分からないけど、悪い気はしないし、良いか。
「あれ、もしかして石川くん、手怪我してる?」
生徒会長に蹴り飛ばされた時にできた怪我だろう
「ああ、これか。昨日ちょっと蹴り飛ばされてね」
「えぇ!?」
「冗談冗談。転んだだけ」
冗談では無い。
「なんだ、びっくりしたよー。でも、ちゃんと手当しないとダメだよー?ちょっと待っててね!」
そう言うと櫛田は自分の席へ向かい、何かを取って持ってきた。
「はい、これ絆創膏。付けてあげるね!」
ピンクの可愛い絆創膏だ。
これ付けるのか、ちょっと恥ずかしいな。
「はい!良い感じに付けれた!今度からはちゃんと手当しないとだめだよー?」
「分かったよ櫛田さん。ありがとう」
櫛田は女子グループの元へ帰って行った。
そして、それと入れ替わりで池と山内がやってきた。
「おいぃ!いぃしぃかぁわぁ!」
「なんで櫛田ちゃんに挨拶されて、絆創膏まで貰ってんだよお!」
「抜け駆けかあ!抜け駆けなのかあ!?」
争いを起こさないために、ここは無難に返そう。
「いやーそういう訳じゃないよ、櫛田さんはみんなに優しいじゃん?」
「まあそうかもしれねえけどよー」
「抜け駆けは禁止だからなー」
納得して無さそうな顔で池と山内は帰って行った。
確かにこれは抜け駆けと思われてもしょうがないな。
その後、堀北は櫛田をもう一度勉強会に協力してくれるように頼み、堀北の失敗してしまった勉強会は無事行われる運びとなっていた。
そして昼休み
今日も清隆と、できたら須藤と食堂に行こうと考えていると
「石川くーん。お昼、一緒に食べよ?今日は予定空けてきたんだ」
と櫛田がこっちへやってきた。
「そうだね。じゃあ、清隆も一緒で良い?」
「もちろんいいよ!綾小路くんも一緒に食べよ」
「あぁ、そうだな」
俺たち3人はカフェで食事を取ることにした。
それにしても、すごい女子の数だ。
正直、落ち着かないな……
高円寺が女子に囲まれて食事をしているのが見えたが、見なかったことにしておこう。
食事を取りながら、清隆がイケメンランキング5位であることを櫛田から教えて貰った。
ちなみに俺は13位らしい。
そう、俺は気弱そうな顔をしてるだけでかっこいい方なのだ。
儚げなイケメン(自称)なのだ。
その後、俺以外の2人は勉強会のために、図書館へ向かっていった。
昼休みになり、勉強会のメンバーが帰ってきた。
「おう、清隆。勉強会はどうだった?」
「大変な事態だ。テスト範囲が変更になったみたいなんだ」
「まじかよ、試験まであと1週間だよな?」
「お前はあんまり驚いてないみたいだな、他のメンバーは大変だぞ」
こうなることは分かってたからな、そりゃ驚かない。
どうせ過去問もあるしな。
「清隆、どうするんだ?」
「ああ、大丈夫だ。策はある」
「過去問か?」
一応聞いてみることにした。
「ああ、そうだ。お前も思いついていたんだな」
「まあね、でも今回は清隆に任せるよ」
「そうだな、オレが何とかしよう」
やっぱり清隆は有能だ。
その後、過去問を手に入れた清隆は、櫛田を経由してクラスメイトに配りクラス全員が赤点を回避することに成功した。
「石川くん!やったね!」
「うん、櫛田さんが過去問を手に入れてくれたおかげだね」
「もう!分かってるんでしょ?私が貰ってきた訳じゃないってこと」
「まあそうだけどね。でも、建前上櫛田さんに感謝した方がいいでしょ。それに、みんなから信頼されてる櫛田さんが配ってくれたからこそ、みんな頑張って取り組めたわけだし」
「そ、そう?みんなから信頼されてるなんて、照れちゃうなー」
照れてる演技が上手いな。
いや、これは本当に照れてるのか?
いやいや、騙されてはいかん。
これは演技だろう。
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「乾杯!」
中間テストの結果発表から一夜明けたその夜、清隆の部屋では祝勝会が行われていた。
俺は勉強会メンバーじゃないのに参加して良いのか?と思ったが、清隆と櫛田に誘われたため、来てしまった。
「いやー堀北ちゃんマジでありがとう!最初は結構ムカついてたけど、堀北ちゃんが教えてくれて助かったわ!もちろん櫛田ちゃんも過去問貰ってきてくれてありがとな!」
「そうだよなーよく思いつくよな。過去問なんて」
池と山内が言う。
「いやーそんなことないよー。みんなが頑張ってくれたおかげで思いついたのかも」
櫛田、その理論は無理があるくないか?
「そうね、私も過去問は思いつかなかったもの。素直にありがとうと言っておくわ」
「えへへー照れちゃうなー」
櫛田は全然照れてなさそうだ。
ひとしきり話して、食べ物が無くなった後、俺以外の勉強会メンバーは帰って行った。
「よくやったね。清隆」
「ああ、でも次のテストでは過去問は使えないだろうから、次が大変だな」
「そうだね。そういえば清隆に言いたいことがあったんだけど、目立ちたくないからと言って別にテストで平均点以下をとる必要はないんだよ?」
「そうなのか、知らなかった」
「ずっと80点くらいの方が好印象だし、そうしたら?」
「雄大がそう言うならそうしてみよう」
「それでね清隆、お願いしたいことがあるんだけど」
「なんだ?雄大の頼みならできる範囲で協力するぞ」
「俺に格闘技教えてくんない?」
そう、俺は生徒会長にやられたのが堪えているのだ。
いつまでも威圧に頼り切りではいられない。
「ああ、良いだろう。その前に、お前の威圧がどこまで使えるのか試してみないか?」
「良いこと言うな。清隆」
そうして、俺は清隆の協力のもと、外に出て威圧のテストをすることにした。
今更だが、能力の検証をしてこなかったのだ、早くしておくべきだろう。
すると、次のことが分かった。
威圧は2種類に分けることができる
①視界に入ってる対象を指定して威圧する
②周りにいる全てを威圧する(範囲20M固定)
まあ、普段②を使うことはないだろう。
周り全員を威圧するとか、どんなことになるか分かったもんじゃない。
清隆1人しかいないため、人数制限があるかどうかは分からないが、とりあえずこれらが分かっただけ成果があったと言えるだろう。
生徒会長に急にやられるとかは避けたいものだ。
その後、俺は格闘技という名目で清隆にボコボコにされた。
ヒロインは櫛田になりそうです