「ねえ石川くん!今度ケヤキモールに一緒に遊びに行かない?」
放課後帰る準備をしていた俺は、櫛田に話しかけられた。
「良いけど、誰と行くん?」
「えーと、2人で行きたいな!」
これは罠なのだろうか……
櫛田なのだ、何か裏があるに違いない。
だが、かわいい子には逆らえないのだ。
「分かったよ。いつにする?」
「じゃあ、明日の午前11時にケヤキモールの前集合ね!」
「おっけー。何するん?」
「それはその時決めよ!」
この無計画さ、嫌いじゃない。
普通に楽しみになってきたな。
これはデートと言うやつだろう。
普段清隆にボコボコにされてるのだ、このくらいの飴は必要だ。
次の日、俺はケヤキモールの前で櫛田を待っていた。
すると、後ろから声をかけられた。
「あれ?石川くん?」
軽井沢とそのグループだ。
「もしかして1人?それとも誰か待ってるの?」
「1人なんじゃない?あはは」
俺は1人でケヤキモールに行くような友達のいないやつだと思われてるのか……
実際友達は少ないのだが。
「いや、人を待ってるよ」
「えー、そうなんだ。誰待ってるの?」
と軽井沢に聞かれたとき、櫛田が見えた。
「石川くん、おまたせー。あれ?軽井沢さんたちと一緒にいたの?」
「え、待ち合わせって櫛田さんと待ち合わせしてたの?」
「そうだけど」
「えー!櫛田さんこいつと遊ぶとかウケるー。もしかして2人じゃないよね?」
「2人だけど?」
「嘘でしょー。こんなやつと2人で遊んであげるとか櫛田さん優しいー」
「予定変更してさ、私たちと一緒に遊ばない?」
好き勝手言われてるな。
腹立つから威圧したろうかな、とか考えてると
「いや、軽井沢さんたちと遊ぶより石川くんと遊ぶ方が絶対楽しいから。軽井沢さんたち石川くんのこと何も知らないよね?」
櫛田が俺を守ってくれた。
櫛田、俺のこと怖がってるんじゃなかったのか?
好きになりそうだ。
「そ、そう。じゃあ私たち行くから」
軽井沢たちは面白くなさそうに去っていった。
「じゃ、石川くん。行こっか!」
「えっと、今の良かったの?」
「どうして?」
「いや、女子同士の関係とか悪くならない?そういうの複雑だって聞くし」
「全然大丈夫だよー。軽井沢さんたちより石川くんの方が大切だから」
え、嬉しい。
「櫛田さん、ありがとう」
「全然いいよー。ていうか、櫛田さんって距離感じるなー」
「そうかな?じゃあなんて呼べば良い?」
「うーん、普通に桔梗でいいよ!恥ずかしかったら桔梗ちゃんでも!」
どっちも変わらないような気がするが……
「じゃあ、桔梗、今日はよろしく」
「うん!石川くん、よろしくね」
「そっちは石川くんなんだ」
「た、確かにそうだね……じゃあ、雄大くんでいいかな?」
櫛田は少し顔を赤くしてそう言う。
「いいね」
「えへへ」
かわいい。
俺たちはケヤキモールの中へ歩き出した。
そういえば言うべきことを忘れていた。
「桔梗、その服似合ってるね」
「そ、そうかな?ありがとう!雄大くんもその服似合ってるね!」
桔梗は満面の笑みでそう言う。
俺の服なんてめっちゃシンプルなのだが、褒められて悪い気はしないな。
俺たちはまず、映画館に行くことにした。
桔梗が言うには今話題の恋愛映画があるらしい。
女子と2人で恋愛映画とか……ちょっとハードル高くないか?
そんなこととも思いながらも俺たちは席に着いた。
当日に取ったから、上の方のちょっと微妙な席だが、俺はそんなにこだわりないし良いだろう。
上映を待っていると、前の方に軽井沢グループを見つけた。
鉢合わせたら気まずいな……
恋愛映画が始まったので、軽井沢グループのことは忘れて楽しむことにした。
恋愛映画は何気に初めて見たけど意外と面白いな……
映画も終盤に差し掛かり、気楽に映画を楽しんでいると、まさかのことが起きた。
桔梗が俺の手に手を合わせてきたのだ。
え?もしかしてそういうことか?
本当に俺のことが好きなのか?
ドキドキするぞ。
ドキドキしながら上映が終わり、軽井沢グループが出たのを確認し、俺たちは劇場を出た。
「雄大くん!面白かったね!」
「そうだね、恋愛したくなったわ」
「えーそっかあ……私も……」
桔梗が髪をくるくるいじりながら話す。
そういうことなのか?
その後は桔梗の提案で、服を買いに行くことになった。
恋愛未経験の俺には、もちろん上手いことは言えず
「似合ってるね」
「いいんじゃない」
みたいなことしか言えなかった。
そして、俺たちはカラオケに行くことになった。
「ねえ、雄大くん、何歌う?」
「そうだな……まずはこれかな」
俺はポ〇ノグラフィティのサ〇ダージを歌うことにした。
「すごーい!雄大くん歌上手いね!」
そこまで上手くは無いはずなのだが、褒めてくれた。
もしかしたら点数に加算されない上手さがあったのかもしれない。
桔梗の方がよっぽど上手いだろう。
実際上手かった。
カラオケ経験の差だろうな。
ひとしきり歌い終えたあと、ポテトをつまみながら俺たちは雑談をしていた。
「そういえばさっきの軽井沢さんたちほんとありえないよねー!雄大くんもそう思わない?」
「そうだね、俺めっちゃ馬鹿にされた気がするし」
「そうだよねー……」
なぜか、桔梗は黙り始めた。
そして、口を開いた。
「あのね、前に1回雄大くんが綾小路くんと一緒に私の恥ずかしい所を見た時あったよね?」
もしかして、今日はあの日の口止めをするために誘われたのだろうか。
「うん、そうだね。それがどうしたの?」
「えっとね、そのとき雄大くんが、私に向かってすごいオーラっていうのかな。それを出してきた時あったよね?」
「そんなこともあったかもね」
何を言われるのだろうか……
次に桔梗が口を開いた時、驚くような提案をされた。
「でね、それをもう一回私にやって欲しいの!」
「え?あれを?あれって殺気を出してたんだよ?」
「それでも良いの!私あの感覚が忘れられなくて……」
そんなことがあるのか。
あの時怯えてたように見えたけど、なんでだ?
「ていうか、なんで?あれが好きってこと?」
「好きっていうかは分かんないけど、とにかくあれをやって欲しいの!」
「えぇ……」
「だめ、かな?」
上目遣いで桔梗は聞いてくる。
これは断れない。
「分かったよ、でも、泣いたりしないでね」
「うん!分かった!」
「それじゃあ、いくよ?」
お願いされたからにはやるしかないな。
まあレベル4でいいかな。
おりゃ!
「んっっ……んっ……」
「どうだ?」
「んっ……もっと……もっとぉ……」
なんか感じてないか?
これ、だいぶエロいぞ……
もっとって、次レベル5だぞ?
とりあえず上げてみるか
おりゃ!
「ッ//////」
「大丈夫か?」
「あっんッ...///」
いや、感じてるなこれ。
顔も赤くなってるし、涙目になってるぞ。
「感じてるのか?」
「あ…んンうっ…んん」
とりあえず止めた方が良さそうだ。
解除しよう。
「とりあえず止めたぞ、大丈夫か?」
桔梗はとろんとした目で俺を見ている。
「すごい……良かった……」
「え、これ気持ちいいの?」
「うん、すっごく……」
嘘だろ、威圧にこんな使い方があったとは。
っていうか桔梗が異常なだけだろ。
「もしかして桔梗ってM?」
「そうなのかも……」
目覚めさせてしまったようだ。
「これからもして貰える……?」
そんな目でお願いされたら、断れない。
とりあえず威圧しまくろう。
「ご、ご主人様……」
うん、ご主人様になっちゃった。