6月も終わりに差し掛かり、俺は今日も今日とて格闘技の訓練でボコボコ(清隆は手加減も上手いのでそこまで痛くない)にされ、その合間に清隆とゲームをする生活を送っていた。
俺は体力を付けるために、朝からランニングと筋トレを強制されているが、なんとか頑張っている。
勉強する時間が無いので、成績は落ちているかもしれない。
これも前世で高校の範囲は全て学習し終わっているから出来ることだ。
そういえば、3週間ぐらい訓練してるけど、俺ってどれくらい強くなってるのだろうか。
夜の公園で訓練中、俺は清隆に聞いてみることにした。
「清隆、俺ってどれくらい強くなってるのかな?」
「そうだな……だいぶ強くなってると思うぞ。全力を一割程度出したオレになら良い勝負するんじゃないか?」
それ強いのか?清隆が強すぎるだけ?
「清隆基準だと分かりにくすぎるんだけど……」
「そうか、すまなかった。喧嘩慣れしてないチンピラなんかには余裕で勝てるんじゃないか?」
おお、そうなのか!
清隆の訓練は実戦形式だから分かりにくかったけど、それなら意味があったな。
前の俺は威圧頼りのへなちょこだったからな。
にしても清隆の一割か……
威圧含めたら良い勝負するかな?
ちょっと持ちかけてみよう。
「清隆、俺は威圧を混じえて戦うから、五割程度の力で戦ってくれないか?」
「ああ、いいぞ。しかし、お前の威圧なら五割で足りるか分からないな」
「まあやってみようや」
「分かった」
清隆は構える。
俺は全体範囲のレベル7の威圧を出して構える。
清隆の顔が少し強ばってるような気がする。
俺から仕掛けることにした。
俺は1歩清隆の方に踏み込む。
清隆は少し引く。
これは普段ならありえない事だ。
普段なら清隆はすぐにでも間合いに入って来るだろう。
そしてそのまま俺は清隆に距離を詰める。
威圧に押されているのだろう。
清隆は何かが来ると考えすぎているのか、動きが遅れていた。
こちらはその硬直を見逃さず、脇腹へ右のボディーブローを叩き込もうとした。
しかし、清隆は動きが鈍っているにも関わらずひょいと避け、カウンターを返して来た。
だが、いつもより遅い。
俺はそれを両手でガードした。
つもりだったのだが、気づけば清隆の手刀が首に添えられていた。
俺の負けだ。
思ったより早く負けたな。
でも、意外と良い勝負が出来てたんじゃないだろうか。
俺は威圧を解除する。
すると、頭がガンガン痛み始めてきた。
初めてレベルの頭の痛みだ。
レベルの高い威圧を長い間維持していたのは初めてだったが、こんな副作用があるのか……
「おい、雄大。大丈夫か?」
顔色の悪い俺に対して、清隆が心配の言葉をかけてくる。
「ああ、大丈夫。それより、どうだった?」
「正直、驚いた。五割の力で行けるかと思ったが、避けるときにはそれ以上の力を使っていた」
「そっか……それなら良かった。しかし、頭がめっちゃ痛い。たぶん威圧の副作用だ」
「そうなのか、お前の力も見れたし、今日はこの辺で終わるとするか」
「清隆、ありがとう」
この夜は頭痛が酷くてなかなか眠りにつけなかった。
────────────────
今日も夜の公園で訓練だ。
「清隆、お前の格闘技ってなんなんだ?」
「なんなんだとは?」
「いや、色々あるじゃん。ボクシングとか、空手とか」
「そうだな、一応ほとんどの格闘技は学んでいるんだが、主に使っているのはMMAとムエタイだな」
「そうなのか……で、俺に教えてるのはどういう感じのやつなんだ?」
「お前には、オレが学習した中から効率よくブレンドしたやつを教えている」
「お、おおすげえ。ありがとう」
最高のコーチだな。
これから努力を続けてたら、もしかしたら俺も龍園たちをボコボコにしたりできるのか?
威圧いらんじゃん。
まあ、基本暴力は振るいたくないので威圧が有効な場面は多いだろう。
威圧のデメリットも知れた事だし、強くなるに越したことはない。
というか、なんか今日はいつにも増して激しい気がするな。
「清隆ー、休憩してゲームしない?」
「ダメだ、今日はお前がこの技を避けることができるまでやるぞ」
「なんで今日そんなスパルタなんだよ……」
「お前が冷蔵庫にあったオレのヨーグルトを食べたからだ」
しまった……3個あるタイプのやつだからいいと思ったのに……
「ごめんて、しかしお前ほんとヨーグルト好きだよな」
「ホワイトルームのホワイトはヨーグルトの色なんだ」
「そうなんだ、初めて知った。ってそんなわけねえだろ」
久しぶりに清隆が冗談言ってるのを聞いたぞ
自意識過剰かもしれないが、俺という親友ができて清隆の心も変わり始めてるのかもしれないな。
戦闘シーン書くのって面白いな……
今回は短めだったけど、もっと書いてみたい。