7月上旬、そういえば、須藤の暴力事件が無くなったから、佐倉のストーカー被害を解決してないということに気づいた。
ここはモタモタしてても仕方ないし、俺の威圧でぱぱっと終わらせちゃいますか。
一応ボディーガードの清隆も連れて解決しに行こう。
佐倉に聞かずに解決しても良いのだが、この世界線ではストーカー被害に遭ってないということも有り得るので、一応事情を聞いてみることにした。
昼休みになった。
「ねえ、佐倉さん」
「え、な、なんですか?」
「最近、困ってることない?」
「いや、と、特にないです。」
「本当に?ストーカー被害とかにあってない?」
「な、なんでそれを」
「この前、佐倉さんが変な男の人につけられてるの見ちゃったんだよね」
嘘だが、取っ掛りにはなるだろう。
「そ、そうなんですか」
「俺が勝手に解決してこようと思うんだけど、良いかな?」
「え、ええ、でも、そんなこと出来るんですか?」
「うん、確実では無いけど多分大丈夫だよ」
「で、でもそんな危ないこと任せられません……」
「大丈夫だから、俺にはなんの心配もいらないよ。任せて」
佐倉は迷いながらも口を開いた。
「じゃ、じゃあお願いします。で、でも危ないことはしないでくださいね?」
「分かったよ、今日中に解決してくるね」
よし!あとは威圧するだけだ。
清隆も誘おう。
「清隆、今日の放課後ちょっと付き合って貰えるか?」
「ああ、大丈夫だぞ」
最強のボディーガードを手に入れたことでいざ出陣じゃ!
放課後になった。
「よし、じゃあ清隆行くぞ」
「ああ、どこに行くんだ?」
「ケヤキモールの家電量販店だ」
「何か買いたいものでもあるのか?」
「いや、ストーカー退治だ」
「そうか」
いや、ストーカー退治だけで通じるのかよ。
詳細とか聞かないのか?
「お前にはもしもの時の俺のボディーガードをしてもらうんだが良いか?」
「ああ、任せろ」
俺たちは家電量販店へ向かった。
いた、あの店員だろう。
「あのーすいません」
「はい、なんですか?」
「もしかして、この子のことストーカーしてます?」
俺は検索してヒットした、佐倉のグラビアアイドルとしての名義である雫の画像を見せて言った。
「は、はい?なんのことですか?」
「いや、ストーカーしてますよね?こっちは分かってるんですよ?」
「いや、し、してないですよ」
シラを切る店員。
もう威圧しても良いだろう。
救いようのないやつにはレベル5だ。
おりゃ!
「もうネタは上がってるんですよ、さっさと白状したらどうですか?」
「ひぃっ!す、すいませんしてますぅ!」
「では、もうこんなことは金輪際やめてください」
「な、な、なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだ!」
「本人も迷惑だと言っています」
「そ、そんな訳ないだろう!俺と雫ちゃんは運命で繋がってるんだ!」
錯乱したのかカッターナイフを取り出す。
そして俺を切り付けようとする。
威圧して鈍くなった店員の攻撃なぞ清隆の訓練を受けた俺に当たるはずもなく、カッターナイフは空を切る。
レベル6に威圧を上げ、店員を硬直させた。
「これ以上同じ行為をしたらどうなるか、分かりますよね?」
店員は黙ってコクコク頷いている。
警備員がやってきた。
どうやら清隆が呼んでくれたみたいだ。
警備員はカッターナイフを持った店員を見て、すぐさま連れていった。
俺は、急にカッターナイフを持った店員に襲われたことと、この店員はストーカー行為をしていることを証言し、清隆と一緒に帰ることにした。
警察のお世話にもなったことだし、これでもうストーカーをすることはないだろう。
「清隆、警備員を呼んだのナイスだ」
「当然だ。お前こそ、暴力を使わずに制圧をするのはさすがだ」
自分自身で身につけた力ではないとはいえ、清隆に褒められるのは嬉しい。
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次の日、俺は佐倉に報告することにした。
「佐倉さん、例の件だけど、問題なく解決したから、もう大丈夫だよ」
「え、ほんとですか!?あ、ありがとうございます」
「もし、次同じ被害に遭ったらすぐに教えてね。」
「は、はい分かりました。本当にありがとうございます」
「そりゃ、クラスメイトが危険な目に会うのは避けたいからね、これからも仲良くしてね。あと、綾小路ってやつも協力してくれたから、出来れば感謝してあげてね」
「は、はい。綾小路さんにも感謝を伝えようと思います。これからよろしくお願いします?」
「うん、よろしく」
良かった。佐倉と仲良くなれた。
というか、佐倉の清隆への恋愛フラグはギリギリ残っているのだろうか?
しかし、佐倉は負けヒロインの運命だろうし、しょうがないか。
色々飛ばしたせいで一之瀬との関わりは全くないが、無理やり繋がろうとするのも変だし、これもしょうがないな。
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もう少しで夏休みだ。
無人島試験とか、船上試験とか色々あるなあ。
というか、そろそろ清隆が茶柱に脅される時期じゃないだろうか。
清隆にはそれが嘘であることを教えてあげよう。
でも、どういう風に説明しようか。
まあ、清隆なら深くは聞いてこないだろうしそのまま伝えて良いだろう。
終業式も終わり、清隆は茶柱に呼び出されて行った。
脅されるのは今日なのだろう。
「ねえ、ご主人様。明日から夏休みだし、一緒に水着買いに行かない?」
桔梗が話しかけてきた。
「いや、今日はすまん。大切な予定がある。あと、人のいる所でご主人様はやめてくれ」
桔梗がねだってくるから定期的に威圧をしていたら、常にご主人様と呼ばれるようになってしまった。
誰かに聞かれないかいつもひやひやしている。
「えー残念だな。じゃあ、また今度誘うね!」
正直桔梗はかわいいし、誘われたら行きたいのだが、今日は清隆と話し合うという大切な予定があるのだ。
待っていると、清隆が帰ってきた。
とりあえず話しかけよう。
「おい、清隆、なんの話だったん?」
「ああ、後で部屋に来てくれ、お前には話そうと思う」
俺たちは一緒に清隆の部屋に向かった。
「とりあえず、座ってくれ」
「ああ、話ならいくらでも聞くよ」
「そのことなんだが……」
話を聞くと、父親が自分を退学させようとしていること、Aクラスに上がれなければ退学させるということを伝えられたらしい。
案の定茶柱の短絡的な脅迫が行われたのだ。
ここは真実を言うべきだろう。
「清隆、それは茶柱の嘘だ。教師の一存で生徒を退学させることなどできない」
「!そうなのか?」
「ああ、そうだな。本当に退学させたいのならすぐにでも清隆の父は学校を訪ねてくるだろうよ」
「だから清隆、心配しないでくれ、いざと言う時は俺がいる」
「そうか……ありがとう」
「なんなら、俺が茶柱を威圧して屈服させようか?」
「いや、大丈夫だ。これはあくまでもオレの問題だ。自分で解決してみせる」
「そうか、困った時は頼れよ?」
「そうだな……オレは本当に良い親友を持ったものだな」
「俺も同じこと思ってるよ……」
……
「それはそうと、Aクラスに上がれって脅迫されたんだよね?」
「そうだが?」
「しかしさ、Aクラスとか抜きにしてさ、普通にポイント欲しくない?」
「だから、別にちょっと本気出すぐらい、いいんじゃね?俺もポイント欲しいし、清隆も新しいゲーム欲しくね?」
空気がしんみりしてきたので、ちょっとおどけて提案してみることにした
「そうかもしれないな。確かに、少しやる気が出てきた」
「本当にありがとう、雄大」
「良いってことよ」
「お礼に、今日の訓練ではたっぷりしごいてやるからな」
「あ、はい」
それはお礼なのか……
でも、清隆との仲は最大限に上がったな。
嬉しい。