平田たちの元へ戻ると、池たちが熱心に平田たちに話をしていた。
どうやら川のスポットを見つけたらしい。
「川だよ川!すげえ綺麗な感じの!そこに装置みたいなんがあったんだよ!」
「おお、それはすごいね」
「だよ!早速行こうぜ!」
ここから10分もかからないらしいので、全員で向かうことにした。
その前に、俺は保険として1つ桔梗にお願いをしておくことにした。
池たちが見つけたスポットにたどり着くと、スポットの端末が壁に埋め込めまれていた。
おおー結構良いスポットだな。
川もあるし、日陰だし、地面も良い感じだ。
池、やるやん。
そして、俺たちはスポット占有するためにリーダーを決めることにした
「じゃあ後は、誰がリーダーをするかだね」
リーダーを誰にするか、これは大事な選択だ。
俺としては、誰にするかは決定事項なのだが……
誰もがその重役を避けたいと思う中、桔梗は皆に集まるように良い、円を作らせると小声で話し出した。
「私も色々考えてみたんだけど、平田くんや軽井沢さんは嫌でも目立っちゃう。でも、リーダーを任せるなら責任感のある人じゃなきゃダメでしょ?その両方を満たしているのは、堀北さんだと思ったんだけど、どうかな……?」
俺が桔梗にお願いした通り、堀北を推薦してくれた。
この世界線では、堀北は嫌われてるわけでもないが、目立った活躍も特にはしてないため、堀北がリーダー選ばれるのかが不安だった。
だから、保険として桔梗にお願いする必要があったのだ。
堀北からしてみれば意外だったと思うが、そこまで表情の変化は見られない。
「僕もその意見に賛成だな。堀北さんにならリーダーを任せられると思う」
平田の賛成が入った。
これはもう確定だろう。
「わかったわ。私が引き受ける」
堀北は冷静にそう言う。
よし、まずはこれでおっけーだ。
リーダーリタイア戦法も取る予定なので、正直リーダーは俺でも良かったのだが、どうせリタイアするなら体調の悪そうな堀北にしてあげたい。
原作よりは早めにリタイアさせる予定だ。
そして、堀北がリーダーになり、スポットを占有することができた。
このスポットは他のクラスのよりも結構良いものだと思っているのだが、どうだろうか。
Aクラスの洞窟は雨風をしのげるとはいえ、テントで代用できるし、床もゴツゴツしてて痛そうだ。
Bクラスの井戸は、どうせ煮沸するのだし川と変わらないだろう。
それなら、水浴びもできるし、水遊びもできるし、魚も取れる川がいちばん良さそうだ。
「よーしこれで風呂と飲み水の問題は解決したよな!」
「はあ?川の水飲むとか正気?」
「いや、飲めるって!気にしすぎだろ!」
今度は飲み水で揉めてるらしい。
Dクラスはなんてまとまりのないクラスなのだろうか。
感情で動く人が多いのだとしたら、逆にまとまりのあるクラスだといえるのかもしれない。
「あー、喉乾いたなー」
見かねた俺は川に向かった。
そして、おもむろに水をガブガブ飲み始める。
「え、あんた石川何してんの!?」
「川の水飲むとかやばいって!」
「いや、大丈夫だよ。学校が管理してる島の川だし、汚染されてる心配もないよ。確かに、そのまま飲むのは安全とは言えないから、煮沸したら確実に安全だと思う。もちろん、抵抗のある人に強制はしない方が良いと思うけど。」
「そ、そうなの?」
俺は桔梗にアイコンタクトを取る。
「確かに、雄大くんの言う通りだと思う!私たちも、力を合わせて頑張ってみない?」
「櫛田さんがそういうなら……」
騒いでいた女子も一応は納得したようだ。
やはり、影響力のある桔梗の力は凄いな。
俺だけだったらもうちょっと時間が掛かっただろう。
それより、注目を集めるために川の水飲んだけど、お腹壊したらどうしよう……
「石川、お前すげえな」
池が申し訳なさそうに話しかけてきた。
「いや、池の言うことも正しかったと思う。けど、言い方が悪かったかな。もうちょっと相手に寄り添うべきだったかもね」
「そうかー、ありがとな」
池もこれから成長して行くのだ。
俺はそれを見守ろう。
というか、トイレの件もそうだが、俺が威圧を使わずに人を動かすことに成功したぞ?
もしかして、俺が1番成長してるのでは?
凄いぞ、俺。
テントは2つを女子が使うことになった。
まあ、そういうもんか。
別にここに不満はない。
「ゆーーだいくん!」
後ろから甘い声が聞こえてきた。
振り返らなくても分かる。
「桔梗、どうしたの?」
「さっきの、褒めてくれないかなって……」
桔梗はしおらしくそう言う。
確かに、桔梗には今日だけで2回も助けて貰った。
当然感謝しよう。
「ああ、さっきはありがとう。よくやってくれたね」
「その……ご褒美は?」
桔梗は威圧をご所望らしい。
「ダメ、試験中はお預けかな」
「ええ!なんで?ちょっとだけでいいからぁ」
従順な桔梗には、もう1つ頼み事をするとしよう。
「じゃあ分かった、もう1つお願い聞いてくれる?」
「うん!何かな?」
俺は桔梗を通して、平田に頼んでカメラを購入してもらうことにした。
建前としては、食料のある場所を記録したり、他クラスに迷惑行為をされた時の保険などだ。
「はい、これカメラ。それで……してくれる?」
「しょうがないな、ちょっとだけだよ」
威圧シーンは割愛させてもらう。
桔梗と話していると、焚き火用の木を拾いに行っていた清隆たちが、伊吹を連れて帰ってきた。
とりあえず清隆に聞いてみよう。
「おい清隆、あれ誰だ?」
「Cクラスの伊吹だ。クラスで喧嘩をして追い出されたらしい」
「なるほど、スパイか」
「おい、決めつけるなよ」
「いや、スパイだね。清隆もそう思ってるだろ?」
「まあ、そうだな」
「根拠はないけどな、後で威圧して尋問するつもりではあるが」
「あまり強くするなよ」
「分かってるって、相手は女子だしね」
俺は今回の試験で威圧を使うのは数人と決めている。
目を付けられたら一巻の終わりだ。
動き出すなら、AクラスとCクラスの契約が確定したであろう2日目からだな。
Dクラスは食べ物と水のセットと男子用テント2つとシャワー室を注文し、購入することにした。
各々好きに食事を取り始めた。
桔梗が伊吹に食料を分け与えている。
優しいやつだ。(表面上は)
しかし、表面上だけ優しいといっても別に悪いことじゃないしな。
そういえば、桔梗が俺に対して見せている面は取り繕っている面なのだろうか。
今度聞いてみるとしよう。
少し時間がたち、クラスから驚きの声が上がった。
どうやら、高円寺がリタイアしたことが伝えられたらしい。
ここのマイナス30ポイントはしょうがないだろう。
俺としても、止められるなら止めたかったのだが、できればあいつに威圧はしたくない。
殺気を向けた時点で殺される気がする。
だとしたら、プライベートポイントで契約しておくべきだっただろうか?
まあ、終わったことを考えていてもしょうがない。
今日は大人しく眠りにつくとしよう。
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試験二日目
俺は、隣の動きで目が覚める。
清隆だ、起き上がってテントの外へ出て行った。
伊吹の鞄を確かめるのだろう。
俺も一応出て行く。
予想通り、伊吹の鞄を漁る清隆がいた。
「おい、清隆。お前って女子の鞄を漁るような変態だったのか?」
清隆は凄いスピードで振り返る。
「!ああ、なんだ、雄大か。こ、これは違うんだ、伊吹の鞄なんだ」
清隆の反応が見たかった俺は、あえて責めることにした。
「いや、誰のでも関係ないだろ、女子の鞄には変わりない。俺が平田にでも言ったらどうなるだろうな」
「そ、それはだな……」
とても困った顔をしている。
清隆を虐めるのは楽しいな。
もう良いだろう。
「ごめんごめん、分かってるよ。スパイかどうかの確認だろ?どう?カメラでもあった?」
「ああ、デジカメがあった。スパイだろうな」
「そっか……でも、まだ壊すのはやめとけよ?」
「なぜだ?」
「俺にもちょっと計画があるからね」
「そうか、ならやめておこう」
物分りの良い男だ。
壊すとしても、俺の計画が失敗してからで良いだろう。
さて、動き出すとするかね。