赤龍帝のIS学園生活   作:hinozi

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簪視点を書いてたら一万字越えた。

しかし間違って保存しないを押した。心折れた。
ムシャクシャして地球防衛してきた(EDF! EDF!)

なので簪視点(簡易版)+@です。



龍を見る目part2

『更識簪』

 

 

 

自室のベッドで上向けに寝転がる少女。彼女は一人の男性を脳裏に思いがけながらも両手両足の指をせわしなく動かし、仮想キーボードに入力していく。

 

 今まで放置せざる得ない問題が山積みであったものの、一人の男性との出会いで多くの問題が解決したのだ。その姿は、彼女が求めてやまないヒーローの姿と相違ない。

 

「名御叢、真輝さんか」

 

 自室にて独り言を口にする。同室の者は友達の部屋に行っており今は不在。そのため心置きなく口にすることができる。憧れとも恋慕とも見分けのつかぬ感情を理解するには日が浅かった。

 今は夕焼けも落ちて数時間ほど。彼は日が昇ってから昼下がりまでの短い時間の間に多くの協力を得られた。簪の一カ月以上に及ぶ孤軍奮闘。倉持技研の不憫な扱い。そして名御叢真輝の説得を直接見聞きした上級生たちの伝手。

 

それらの要因と簪へ向けられた多くの同情と哀憫と羨望、その他諸々が重なり合った結果。

簪の乗る予定の打鉄弐式は9割方完成。当初予定していた機体をサポートする機能のデータ取りに必要なISの申請許可も繰り上げられ、明日には使用可能。更にその基礎データと練習台に名御叢真輝が協力してくれるのだ。

 

「まだ、夢見てるみたい」

 

 あまりに多くの出来事に対して全てを飲み込めずにいる簪。ただ、今までの焦りはない。代わりにあるのは打鉄弐式を完成させること。今の目標はそれだけであった。

そのための準備は周りの人達がしてくれた。今まで無関係であった人たちの思いではあっても、助けてくれた思いを無駄にできるわけがない。

 

「名御叢真輝、さん」

 

 

それはたった数時間前のできごと。

 

 久しぶり薙刀を握りに訪れようとした途中で名御叢真輝に出会った。最近会っていなかった布仏本音が案内役として名御叢真輝を連れていた。

マイペースで相手に臆さない布仏本音のコミュ力はマスコットのように見られがちだ。その実、母性の塊とも呼べる包容力の持ち主。並大抵のことでは驚かない胆力と混ざって大らかな雰囲気を醸し出す。

 大体マスコットキャラも好きでやっているところもあるが、大体は布仏本音の性格が寄る部分があるはずだ。と簪は布仏本音を見ている。

 

 マイペースな点もあってあまりに読みにくい性格をしている。布仏本音は主人でもある簪から見ても不明な点が多い。

 

「フフッ、あっ」

 

布仏本音との過去を思い出し、思わず苦笑。そして思わぬタイプミス。口からこぼれてしまうが、まだ数行にも満たない微々たるもの。簡単に修復できる。

 

話が逸れたものの、名御叢真輝と一緒にいる布仏本音に驚かされた。姉とは違う人たらしを見ても何も思わない辺り布仏本音という少女に信じているのだと思った。

 

 名御叢真輝に話を戻す。

 打鉄弐式の近接武装に薙刀を使うため、久しぶりに薙刀に触れておこう。そう考えて薙刀部にやってきたのだ。そうしたら布仏本音と名御叢真輝の二人に偶然出会ったのだ。驚いた顔の布仏本音とその顔を見て何かを悟ったような名御叢真輝。

 互いに自己紹介を終え、簪はすぐに別れるだろうと思った。すぐさまに話を終えて薙刀部へ向かおうと考えていた。

 

「俺は名御叢真輝です。よろしく簪さん」

 

「わ、私は、更識簪……です」

 

 今思えば、もう少しまともな返答はできなかったのだろうかと自己嫌悪に悩まされる。人見知りと臆病な性格と英雄への思いが祟って緊張してしまった。それでも笑うようなマネはせずに真剣な表情をしつつも優しい目で見ていてくれた。

 

そしてそこから薙刀部までの間、一緒に移動することになった。簪は薙刀部に着くまでの間と思い、一緒に行くことを決めた。

 

 なぜIS学園に入ったのか、好きなISについて、ISの武器や装備の品評、使いやすいISのエネルギー配分。簪と話しやすい話題を振りつつ本音との会話を繋ごうとしていた。

名御叢真輝の質問を投げかけて簪が返答する。そして本音が話を盛り上げ、時に昔話などを持ち出して間を繋げる。

 時折、二人から驚かされる質問を投げかけられたりもするものの、不快に感じることはなかった。

 

「もしかしてだけど、簪さんは整備科志望の子?」

 

「違うけど、どうして?」

 

「機械の油の匂いがしてね。それでと思って」

 

「……臭い、ますか?」

 

 確かにISの組立には専用の機材が必要になる。その機材を使用するために油は必要不可欠だ。簪のIS『打鉄弐式』の組立を行うために一人夜遅くまで利用することも多々あった。整備室は独特な臭いが鼻につくのは事実であった。

 

その臭いがすると言われて途端に恥ずかしくなってしまう簪。整備室を出た後は気になってシャワーを浴びた後だからしないはず。それとも最近動作確認のために整備室でプログラムを弄っていることが原因?

 

「ご、ごめんなさい」

 

「ああ、気にしなくていいよ。俺の『赤龍帝の籠手』(コレ)については知ってる?」

 

「……それが『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)

 

 簪が『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)を見るのはつい数日前の出来事。神器持ちゴーレムが学年別トーナメントでやってきた時のことであった。

名御叢真輝が皆を救うために自らを囮として前に出る。その姿を見たわけではない。だが、そんな噂がIS学園中に広まる時間は一日と必要なかった。

 

 簪が名御叢真輝に話しかけられても返答した理由の一つとしてある。一体どんな思いで敵に立ち向かったのか。どうやってゴーレムを倒したのか。そのような名御叢真輝への疑問を募らせていた。

 

 まともに会話できたことさえ、不思議だと考えていた簪。それも名御叢真輝の左手に現れた赤い籠手『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)を視界に収めた瞬間に理解ができた。ISに優るとも劣らない武具への好奇心からだ、と。

 

『赤龍帝の籠手』(コイツ)には十秒間に二倍ずつあらゆる力を増やす能力がある」

 

「そんな力が……」

 

「それでちょっと嗅覚が二倍以上になってるんだ。簪から良い匂いの中に紛れてた臭いを嗅ぎ分けたってわけ」

 

「そう、なんだ」

 

 簪は納得がいくと同時に顔が真っ赤になる自覚があった。自身の匂いを一般人よりも何倍も良い嗅覚で嗅がれる。良い匂いと言われたこと。これらの出来事を認識できると同時に一人の少女として羞恥心と感動の板挟みに苛まれる。

 

IS学園は元々女子生徒しかいない。ISを使えるのは女性しかいないのだから当たり前であった。そんな中にいる男性だ。少なくとも一人の女性としてよく見られたい思いがあるのは、簪とてあるわけで。

名御叢真輝から簪はそう見られている、簪はどんなに匂いがしているのか。そのことを考えると頭が沸騰して思考が一気に真っ白にされる。

 

男性に対する抵抗が限りなく低いことを自覚している簪。それでも顔が熱いと自覚できるほど男性に耐性がないとは思えなかった。

 

「……今日は、もう寝よう。うん、寝よう」

 

 今にして思えば、そんな後悔が思い浮かぶ。今日はもう考えることをよそう。顔から赤みが引くのは、簪が思っている以上に長かった。

 

 

 

 

『篠ノ之束』

 

「ふっふっふ、面白い。面白いね」

 

 束は興味が湧いた。自他ともに認める天才、篠ノ之束が理解不能な事態に陥っている。その事実に興味が湧いた。

 

事の発端は『亡国企業』から届いたある杯であった。ISのコアに必要な神器は量産には向かない。そのため、『亡国企業』から受けたオファーは渡りに船だった。

『亡国企業』から貰った杯から抽出されたエネルギー結晶体はISコアに適していた。杯からの抽出限界まで作られた467個のISコアとは別に随時コアを作ること。それが『亡国企業』が出した条件であった。

 

「あれは間違いなく神器を使ってる。ISとは別に神器を持ってるんだ」

 

どう突き止めたのか。やったことは簡単。名御叢真輝のISの素の数値と『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)で上昇した数値を比較すること。名御叢真輝が使われたISのコアは量産用に作られた物。

神器タイプと量産タイプでは発動に必要なエネルギーは一目で異なる。そのエネルギーの量は神器タイプISより小さいものの、質はひどく似通っている。

 

「世界は広いね。まさか束さんよりも神器に精通した人がいるなんて」

 

 なぜ束が知らない神器を持っているのか。入手できた神器数十種類の内、全くISコアとして使えなかった神器の名前を知っているのか。篠ノ之束はその特異な才能を存分に発揮して名前すら知らなかった槍と斧、『黄昏の聖槍』(トゥール・イデア・ロンギヌス)『獅子王の斧』(レグルス・ネメア)の名称を名御叢真輝が呟きを拾ったのだ。

 

束でも知らなかったことを知っている。

 その事実を理解すると名御叢真輝に強い興味が生まれた。神器の研究はまだまだ開発途中。それはISを生み出してから携わり続けてきた束だからこそよく分かっていた。停滞などという言葉は無縁だった束が始めて足を止めて考えた。

 

一人でISを作り上げた。神器という誰も手を出したことのない分野に切り開く先人の栄誉を、とも思っていた。だが既に神器に関して詳しい者がいた。名御叢真輝。束が興味を抱くには十分であった。

 

「興味深いよ。名御叢真輝。遠隔操作だったとしても私に勝ったんだから」

 

――もっと凄いのを用意しないと。

 

天災(篠ノ之束)は嗤う。新しいオモチャに興味は尽きない。だが束の想定に治まるようならば束の目の前に立つ資格はない。隣に立つならばなおさら。

 

「ふふふ、楽しみだな。ねー、箒ちゃん」

 

横目に映ったのは紅に彩られたISがある。愛しい妹へのプレゼント。与えられるその日が近づくことを心待ちにしている。

『????』

 

「どうなっている」

 

????は困惑していた。今まで体感したことがなかった事態に驚愕していた。事の発端は【神】からの要請だった。何時ものように平行世界に発生した相棒、兵藤一誠の手伝いをするのかと思っていた。

 

今回は違って、全く関係ない男が『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)を持って転生したことが原因だった。珍しい、だがいない訳ではない。相棒の皮を被った転生者が????とハイスクールD×Dの世界を共に駆けたことだってある。

 

だが今回は少しばかり異色な世界を過ごすこと。【神】の不手際でとある少年を殺してしまった。そして贖罪のために彼の住む世界とは異なる世界へと送り込んだ。元の世界の修復と辻褄合わせのために三~四世紀はかかること。

そしてここからが????へと頼まれた要請。【神】が殺してしまった少年、名御叢真輝が一年間、サポートすること。

 

それが????が名御叢真輝の持つ神器『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)の中へと宿る経緯であった。

 

「何故、なんだ? なぜ」

 

答えに辿り着かない疑問を考える。だがヒントは存在していた。【神】が????へと語った言葉の中に「世界の修復と辻褄合わせ」とあった。普段そういった不手際や何かしらの不都合が生じた際には被害者などを異世界や平行世界に放り込む。それだけのはず。

 

だが今回は不自然なまでに手厚く能力を与えている。確かに時折【神】の権能を使って多種多様な力を与えることもある。だがわざわざ神の肉体を与え、『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)に手を加えた。そうでなければ、名御叢真輝。彼の者に何か秘密があるのか。

 

「考えても分からんな。だが、名御叢真輝。お前と出会う日を楽しみにしているぞ」

 

どうして????が名御叢真輝に対して興味を引くようになったのか。

なぜ【神】の目に留まったのか。

 

今まで『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)ではありえない能力の強化が行われたから。????はそれが原因だろうと思う。

 

『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)の『BOOST』から『Explosion』は自身の肉体の運動能力・体力等々を全て均等に二倍に引き上げる。それだけならば良かった。

だが問題は『強化』による向上が名御叢真輝の身体能力だけではなく、全て(・・)に及んでいること。

 

『赤龍帝の籠手』(ブーステッド・ギア)の『BOOST』で使用者の全て(・・)を上げることは不可能だ。今日だけでも『強化』が発揮した能力は魅力・カッコよさ・嗅覚・話術・説得・交渉など。

 

名御叢真輝の異常さはそこにあった。使用者の精神、自己へ対する概念や認識の『強化』が施されるという異常事態。今まで数多くの『相棒』を見てきた????としてもこのような使用者は初めてのこと。

 

「色々な相棒には出会ってきたが……やはり」

 

ある推測を思い描いては違うと消していく。????の脳裏には【神】の成す行末と名御叢真輝の正体に不安を募らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 




ドライグはいっつも胃を痛めてるな。
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