赤龍帝のIS学園生活   作:hinozi

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第4話です。

神器なしの戦いがここまで書きづらいとは思ってもみなかった。



VS学園最強

 相手、更識楯無は学園最強で人たらし。尚且つIS学園の生徒会長で対暗殺組織『更識』の頭首を務めている。こうして改めてみるとキャラ濃い。

 今装備しているIS『霧纏の淑女』(ミステリアス・レディ)も装甲はほとんどないが、その分水色のクリスタルで制御される水を自由自在に操って攻守両方を使える便利な能力がある。さらに水に流れを加えることでランスとして使うこともできる。しかもランスにはガトリングを仕込んである。

 やっぱりキャラ濃いわ。ISも物凄く強いし。

 

 更識さん、いや生徒会長って呼ぼう。生徒会長が何の説明なしで突っ込んできたが、相手は千冬さんを除いた最強格の一人でもいる更識楯無こと生徒会長さんが『霧纏の淑女』。水のナノマシンで使って水蒸気爆発を起こす技などもあり、本人の技量も相当高いはずだ。

 接近してきた生徒会長さんを撃退するべく、構えを取ってみたはいいもののどう対処すればいいのか全くわからない。取り敢えず迎撃として俺は殴ってみる。相手は訓練を積んだ女性だ。さらに言えば対暗殺一家の長女。俺の拳が手っ取り早く通用するか。試すに持ってこいの機会だ。

 

「ふふっ、素直ね」

 

 左の軽いやつを一発殴りこんでみるが簡単に躱され、手に持つランスを腹部に受ける。モロに食らったが痛みは襲ってこなかった。これがシールドエネルギーってやつか。略してSE、便利だ。水をそのまま叩きつけられた感じだな。どうやら水の回転をしないで槍のままぶつけたようだ。

 槍で受けた硬直はすぐに直り、俺の反撃の一発はひらりと躱される。うぅーん、これは普通に戦っても負けしか見えてこないな。取り敢えず、あれだな。

 

「守ったら負けか。なら攻める!!」

 

「うん、うん。男の子はそうじゃないと。お姉さんが相手してあげるよ」

 

「……行くぜ」

 

 今度はこっちから一気に接近する。生徒会長さんは構えもせずに自然体。実にこっちを舐めているのがわかる。まあ、今回は負けてもいいが、せめて一矢は報いたい。

 

「…………喰らえや!」

 

 左ブローから右ストレートのコンビネーションはあっさりと今まで通り簡単に躱されるが、俺は生憎と利き手は左だ。本命は左。右で会長さんが身体を下げたせいで、動きづらくなったところを高さで仕留める。右足を踏み出し、片足を後ろに上げながら前傾姿勢で左腕を会長さんの頭に叩きつける。

 が、それも後ろに跳ねられて簡単に躱される。結局地面にクレーターが一個できるだけだった。あれも読まれてたのか。イケたと思ったんだが。

 

「何で躱せるんですか。ホント? まるで軍人みたいな身のこなしするし」

 

「アハハハ、IS学園の娘をただの女の子と思っちゃだめよ。それに私はこのIS学園でも、最強なんだから」

 

「最強。生徒会長でもやってるんで?」

 

「おぉー、意外と察しが良いんだ」

 

 さっきまでは気持ち的にボクシングのようなスタイルだったが、今回は左手を顔の横、右手を体の前に持っていく。まあ、どこぞの元ヤクザさんのスタイルだ。今の俺に堂島の龍ほどの実力はないけど目の前の生徒会長さんに一発でも返したい。

 

「オラァ!」

 

「おっと」

 

 今度は軽い左から右フックの連続パンチで攻める。生徒会長さんにはワンツーは避けられるが、三回目の上から下にハンマーで叩くような左が外れる。そのままでは終わらせず右足を蹴り上げる。防御されたがようやく当たった。少しだけだがSEも削れた。

 そこから右足を軸足に切り替えた左回し蹴りに繋げようとしたが、当たりもせずに空ぶる。やっぱり戦ってみて分かったが、思ってたよりも他人の戦い方を模範して戦ってみると相当戦いやすい。何十回も見てきたのもあるかな?

 

「意外と筋はよさそうだね。鍛えれば伸びそう」

 

「意外は余計だ! 意外は。それにしてもこんなに長いんで? このまま戦ってても埒明かないじゃ?」

 

「それもそうね。それじゃあ、なんだか暑くない?」

 

「暑い? ……Oh my God」

 

「ドカーン」

 

 …………あ、危ねぇー! 事前に『清き熱情』(クリア・パッション)が使えるのを知らなかったらあれで終わってた。俺が作ったクレーターの底にまで水のナノマシンが無くて良かった。いきなりこんな初見殺し使ってくるか!?

 それに思い出してみたら水のヴェールでダメージを無効化するのに俺の蹴りでダメージが当たったら金属と金属がぶつかる音が出て、SEが削れたわけだ。元々纏ってる水がないんだ。多分、この試合が始まる前からナノマシンを漂わせてたんだ。でなかったらこんな大規模の爆発が起こせるわけがない。

ついさっき作ったクレーターの中に俺が入るとは思ってもいなかったんだろう。それでもおかげさまでSEが300を切った。このままじゃマズイ。

 

「あ、あら? 仕留めきれてない?」

 

「素人にそんな初見殺し使ってくるか!? 普通!」

 

「逃げ切ったんだからいいじゃない」

 

「なわけあるか! あのクレーターが無かったら終わってたわ!」

 

「それにしても初めてだわ。『清き熱情』が避けられたのは。ん~、本当に凄い子なのかしら」

 

「もう戦い方なんてどうでもいい! お前のその顔に一発ぶち込む」

 

 もう本当にキレた。普段温厚な俺でもここまでの仕打ちをされてブチ切れないわけにいかない。よくよく考えてみれば、たった一日でいったいどれだけのことが起きた。パラシュート無しのスカイダイビング。織斑先生から俺はほんの数分前まで空から落ちていたのに遅刻扱い。しかも一時間。さらにソニックブームまで食らう羽目に。

 最後に、俺の相手が生徒会長になっているわけを知りたくなったが、そんなことキレた後だ。いまさら気にしようもない。ただ、どうやってこのイライラを晴らそうか。そこに尽きるのだが、丁度いいことに目の前にいる。

 

「ブチ込むだなんて。いやん、真輝君たら」

 

「その、減らず口を! 黙らせる!!」

 

 そうだ。怒りだ。ただ戦ったんじゃあ、普通の域から出ない。何よりも俺が変わらない。神器を思い浮かべながら、最強の自分のイメージすることを忘れてた。

 俺自体には戦闘力がない。でもこの身体は生徒会長に何とかついてこれている。怒りほど簡単で火のかかりやすい感情はない。

 

「(瞬時加速(イグニッション・ブースト)。ぶっつけ本番だけど、行ける!)」

 

 背中から爆発しそうなほど膨れたエンジンから火を放つイメージでダッシュする。速度は普通じゃあ体感できない速さだった。それに合わせて右足を後ろに下げて半身の状態にして溜めた右ストレートを打ち込む。

 さっきまでとは、打って変わって焦った表情をした生徒会長さんの顔面に拳を叩きこむ、つもりが、いつの間にか空中に飛んでいた。いや跳ばされたんだ。相手は古武術から何まで習得した強者。

 ISの機能のおかげで視覚の前後左右、上下すべて理解できる。地面がどこで、どこが空なのかも。

 

「あぶなっ!」

 

 ISのオートバランスが働いたのか、地面に手と膝を付けた状態だが着地できる。楽でいいな。でも慣れたら多分オートじゃなくても十分こなせそうだ。

 後でISをマニュアルで動かしてみようと心に誓った後、素手に変わった生徒会長さんが向ってくる。やはり瞬時加速がいい挑発になったか。

 

「オラァ!!」

 

「ハッ!」

 

 右のフックで生徒会長さんを迎撃。攻撃は外れた。ジャンプして俺の攻撃を躱して蹴りが襲ってくるが、守らず攻めると決めたんだ。どうせ外してもISが守ってくれるんだ。ならばやることはさっきと同じく迎撃。左から鞭のような蹴りを、アッパーでお返しする。

 

「ッ!?」

 

 運よく足に直撃し、生徒会長の体が宙を漂う。丁度いいところにあった頭にめがけて右フックを打つ。首を後ろに逸らして躱されて空しく通過する。俺の腕に手の乗せて逃げようとするが右腕を上げて空中に放り投げる。

 流石にそこまでは対応できなかったらしく、ただ空中を浮遊する生徒会長に勝機を見いだした俺は、振り上げた右腕で腕をつかむ。そして力一杯に腕を引いて俺に向かってきた顔面に左ストレートを叩きつける。

 

「ッゥー!」

 

 決まった。と思った手応えだったが、柔らかな物越しに顔を殴ったみたいで、どうやら瞬時にナノマシンでコントロールした水を顔に集めて防御したんだろう。SEを削りがいまいちなところを見ると、多分そうなんじゃないかとおもう。

 地面にぶつかってバウンドするが、すぐに体勢を立て直すあたり、本当に強いんだということが分かる。とっさの判断もそうだが、あのパンチを水の防御ありだとしてもすぐに立て直すところが凄い。

 生徒会長の目を見るとこの戦いがまだまだ終わらなさそうだ。顔の辺りに両手で握り拳を作って構える。あれだけ良いのを喰らったんだ。今度はまず本気だろう。

 

「やってくれたね。まさか顔に貰うとは思ってなかったわ」

 

「本当に相手が倒れるまで続けるのな。この試験」

 

「基本的には試験官側が生徒側を倒してお終いってのが、普通なんだけど。真輝君って本当に初心者?」

 

「初心者もなにも、こうして動かすのは初めてだよ。でも戦ったことがないわけじゃない」

 

 一方的にボコボコに殴られた経験ならある。最後に相手へ金的をやったのはいい思い出だ。油断したところに男の勲章を潰してやったから、さぞ痛かっただろう。あのガラの悪かったチンピラとの経験が生きるとは思ってもみなかった。

 生徒会長はいい笑顔を浮かべた後にガトリング付きのランスを取り出し、さらに蛇腹剣の両方を出してきた。あぁー、生きてれば御の字だな。

 

「なるほどね。それじゃあ、加減はしないわ」

 

「(一矢報いたからいっか)」

 

 この後ボコボコにされた。そこからの記憶はない。

 




普通が難しい。赤龍帝の籠手を何度書いては消したか。
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