全てはホロメンのために   作:夜桜透

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初投稿になります。
本作はホロライブの二次創作です。
オリジナル主人公が登場し、ホロメンと関わる描写を含みますので、その点が苦手な方は閲覧をお控えください。
ゆるく読んでいただけると嬉しいです。


1話 転生

 

真っ白な空間だった。

 

境界という概念すら曖昧で、上下も時間も感じられない。

 

男はそこで目を覚ます。

 

男「ここは……どこだ?」

 

意識ははっきりしているのに、現実感がない。

 

仕事帰りだったはずだ。

いつもの道を歩いていて、その先までは覚えている。

 

だが、そこから先が途切れていた。

 

思い出そうとするたびに、頭の奥が鈍く痛む。

 

男「……思い出せない」

 

理由の分からない違和感だけが残る。

 

まるで、本来あるべき流れから外れてしまったような感覚だった。

 

「お目覚めですか」

 

突然、声が響いた。

 

振り向くと、そこにはひとりの女性が立っていた。

 

この空間にあって、異質なほど“明確な存在感”を持っている。

 

男「……あなたは?」

 

女神「私は、あなたたちの言葉でいう“女神”と呼ばれる存在です。気軽にそう呼んでください」

 

男「女神……」

 

あまりにも現実離れした単語だったが、不思議と冗談には聞こえなかった。

 

女神は一瞬だけ間を置き、静かに続ける。

 

女神「まず、あなたに起きたことを説明します」

 

空気がわずかに重くなる。

 

女神「あなたは帰宅途中に命を落としました」

 

男「……」

 

言葉の意味は理解できるのに、実感だけが追いつかない。

 

女神「本来、そのような結末になるはずではありませんでした」

 

女神「しかし因果の流れにわずかな歪みが生じ、別の結果へと繋がってしまったのです」

 

視線がわずかに落ちる。

 

女神「……申し訳ありません」

 

男はしばらく黙っていた。

 

驚きも怒りも、まだ形にならない。

 

やがて小さく息を吐く。

 

男「そうですか」

 

あまりにも淡白な反応だった。

 

男「まあ……仕方ないですね」

 

自分でも少し違和感のある軽さだった。

 

(こんなもんか……俺の人生)

 

女神「あなたはもう元の世界には戻れません」

 

その言葉は、静かに確定事項として告げられる。

 

女神「ですが、別の世界へ転生することは可能です」

 

男「転生……」

 

少しの間。

 

男「じゃあ、それでお願いします」

 

女神「転生先は、あなたがかつて好んでいた“ホロライブ”の存在する世界です」

 

その言葉に、わずかに胸が揺れる。

 

女神「希望すれば、その組織のスタッフとして働くことも可能です」

 

男「……本当ですか」

 

思わず声が出る。

 

男「それは……いいですね」

 

小さく笑う。

 

その笑みは、控えめで、どこか自分を信じきれていないものだった。

 

思い出す。

 

画面の向こうで笑っていた人たち。

 

全力で何かを届けようとしていた姿。

 

それを見ていた時間。

 

ただ、それだけだった。

 

女神はその様子を静かに見ていた。

 

何かを言いかけて、やめるような間。

 

 

男「あっ……それと」

 

男「転生する前に一つお願いが」

 

女神「はい」

 

男「家族に伝えてもらえますか」

 

少し視線を落とす。

 

男「今まで、ありがとうって」

 

女神は目を見開いたあと、優しく微笑んだ。

 

女神「わかりました。必ずお伝えします」

 

女神「それでは、転生の準備に入ります」

 

そう言いかけた瞬間、わずかに言葉が止まる。

 

空気が変わる。

 

女神「その前に……大切なことを一つだけ」

 

男「……なんですか?」

 

 

女神の表情が、これまでと明確に変わった。

 

静かだが、確かな重さを持つ声。

 

女神「実は┈┈┈┈┈┈」

 

 

男「……!!」

 

 

光が、視界を包み込んだ。

 

 

——現実世界——

 

桜木宏斗としての人生が始まっていた。

 

「Sく〜ん!準備できてるにぇ〜!」

 

明るい声が響く。

 

さくらみこが笑っている。

 

「はい、問題ありません」

 

自然に返事をする自分がいる。

 

配信が始まる。

 

画面の向こうでは、彼女が楽しそうに話していた。

 

S君(すごいな……)

 

ただ素直にそう思う。

 

彼女たちは、いつも全力だった。

 

見ているだけだった側と、届ける側。

 

その違いを、今さら実感する。

 

自分はどうだっただろう。

 

何かに本気になったことはあったのか。

 

思い返そうとしても、途中で止まった記憶ばかりだった。

 

S君「……」

 

画面を見つめる。

 

S君「この笑顔くらいは……」

 

小さく呟く。

 

S君「守れたら、いいな」

 

 

それはまだ決意ではない。

 

ただの願い。

 

だが確かに、それが始まりだった。

 

 

全てはホロメンのために




ここまで読んでいただきありがとうございます。
初投稿のため拙い部分もあるかと思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
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作者は豆腐メンタルなので、優しく見守っていただけると嬉しいです。
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