今回は、この作品における大きな転換点となる回です。
ここまで読んでくださった皆様には、これまでのS君や作品の雰囲気に愛着を持ってくださっている方も多いと思います。
その一方で、今回の展開は、人によって好みが大きく分かれる内容になっています。
もし「今までのS君のイメージや、この作品の雰囲気のままでいてほしい」と感じる方は、この先は無理に読み進めず、ブラウザバックしていただいて構いません。
それでも読んでくださる方は、ぜひ最後まで見届けていただけると嬉しいです。
15話 思い
ホロライブプロダクションスタジオ
S君「っ!!はぁ〜!!終わったぁぁぁ!!」
S君がスタジオ内で大きな声を出して座り込んだ。
今日はカウンドダウンライブの収録を行っており、先程全ての収録を終え、やっと片付けが終わったところであった。S君の周囲には、同じように座り込むスタッフ達がいる。そのみんながヘトヘトのようだった。
そんなS君のもとへ、葛山が近づいてくる。
葛山「桜木、おつかれさま。今日はこれでほぼ終わりだそうだ」
S君「ああ、葛山さん、おつかれさまです」
力のない声で答えるS君。
葛山「疲れてるな。この後は他のスタッフに任せれば大丈夫だ。今日は定時で上がるといい。残業無しデーだ」
S君「あっ、ありがとうございます」
残業しなくていいことに喜ぶS君。ここまで疲れたら直ぐに帰りたいものだ。
その後、定時で退勤するS君。
帰路に着きながら、YouTubeでホロメンの配信予定を見ていると、大神ミオの筑前煮作り配信を見つけた。そして、先日ミオと話したことを思い出した。
〜回想〜
S君「ミオさん、今年も筑前煮をみんなに作るんですか?」
ミオ「うん、今年もやるよ〜!毎年みんな喜んで食べてくれるからね!」
嬉しそうに話すミオ。日々の収録で忙しいはずの彼女だが、みんなのために頑張ろうとしているのが分かる。
S君「そうですか。大量に作るのはなかなか大変じゃないですか?」
ミオ「まぁ大変だけど〜ウチが好きでやってるだけだしねぇ。やっぱり、みんなを笑顔にできるっていいことじゃない?」
笑顔で話すミオ。
そんなミオに、S君は素直に感心した。
S君「すごいですね。ちなみに、今年は何人分くらい作るんですか?」
ミオ「う〜ん、そうだなぁ〜。取り敢えず20人くらいが食べに来てもいいようには準備しておくつもりだよ。スバルちゃんなんかはタッパーに入れて持ち帰ると思うし」
S君「そうなんですか。大変だと思いますが、頑張ってください」
ミオ「うん!ありがとね〜!」
〜回想終了〜
S君(ミオさん、今頃頑張ってるんだろうな)
S君(20人くらいって、今思うとなかなかの大変さだよな)
S君(それに、今年は海外勢も日本で過ごすと言っていた人が多い…)
S君(20人分で足りるのか?)
筑前煮作りのことを考え始め、だんだん不安になってきたS君。そしてさらに考える。
S君(やってみるか?…いや、でも迷惑になるとなぁ…)
S君(いや、失敗したらしたで、そのときはそのときだ)
S君は何かを思いつき、準備のため早足で帰った。
次の日
仕事は午前で終わり、S君は直ぐに帰宅し、何かを始めていた。
作業の傍ら、ミオの筑前煮作りの配信を見る。
配信では、ミオがテキパキと筑前煮の準備をしていた。毎年やっている分、テキパキと作っていた。
S君(頑張ってるなミオさん)
そしてS君も作業を進める。
その夜
ミオ「ふぅ〜何とか出来上がった!それじゃ、筑前煮オフ凸待ち始めますか〜!」
パソコンとカメラをつけ、配信を始める。
ミオ「ミオミオ!大神ミオだよ〜!今日は毎年恒例の筑前煮オフ凸待ち配信だよ〜!」
ミオ「さて、まずは誰が来てくれるかなぁ〜?」
雑談をしつつ、少し待っていると。
まつり「こんばんは〜」
最初にやってきたのは夏色まつりである。
ミオ「あっまつりちゃ〜ん!一番乗り〜!」
千速「私達もいますよ〜!」
アキ「ミオちゃんおつかれ〜!」
まつりに続いて来たのは、輪堂千速とアキ・ローゼンタールだった。
ミオ「2人ともおつかれ〜」
まつり「ミオちゃん、早く筑前煮食べたい!」
千速「お腹すきました〜!」
ミオ「はいはい、直ぐに準備するね〜」
筑前煮を器によそり、3人に差し出すミオ。
まつり達は早速筑前煮を食べ、「美味しい!」と感想を述べていた。
すると、
ピンポーン
インターホンがなった。
ミオ「また誰か来たみたい!」
ミオ「さて、誰かな〜…えっ?」
インターホンの画面を見ると、そこに映っていたのはホロメンではなく、S君だった。その腕には大きな入れ物があった。
S君「ミオさん、突然すみません」
ミオ「いいけど、どうしたの?」
S君「実はこれを渡したくて」
S君が大きな入れ物を差し出す。
ミオが中を見ると、たくさんのおにぎりと卵焼きが入っていた。
ミオ「えっ!?これ、わざわざ作って持ってきてくれたの!?」
S君「はい、今年は日本に滞在する海外勢の方が多いので、その方たちも来たらミオさんの筑前煮だけだと足らないかなと思いまして。あっあと、豚汁も持ってきました。迷惑でなければですが…」
少し不安そうに話すS君だが、ミオは笑顔で答えた。
ミオ「ううん!全然そんなことないよ!ありがとう!」
ミオ「みんな〜!S君から差し入れだよ〜!さっ、S君も上がって、筑前煮食べてって!唐揚げも用意してあるよ!」
S君「私もいいんですか?」
ミオ「もちろんだよ!こんなに差し入れしてもらって、何もなく帰らせるのは申し訳ないよ!」
S君「そうですか。ではお言葉に甘えて」
差し入れを持って、リビングに行くと、
アキ「あら!S君こんばんは!」
アキを始め、まつりと千速に迎え入れられる。
ミオ「みんな、S君から差し入れだよ!」
千速「おお〜これが噂のSばぁのおにぎり!」
まつり「豚汁もある!」
アキ「S君ありがとう。いただくわね」
3人は差し入れも食べ始める。
千速「うん!美味しい!」
まつり「ミオちゃんの筑前煮に合う〜!」
アキ「ええ、ホントに美味しい」
S君「よかった。ありがとうございます」
3人の反応に喜ぶS君。
ミオ「ありがとねS君。気を遣ってくれて」
S君「いえいえ、皆さん年末年始は忙しいですからね。皆さんが元気になるよう何か力になれればと思っただけです。迷惑になってしまうか不安でしたが」
ミオ「大丈夫だよ。S君の気持ちは凄く嬉しいよ」
S君はミオ達に自分がしたことを受け入れられ安心した。
その後も、ミオの筑前煮を目的に、ゾロゾロとホロメン達が尋ねてきた。
リオナ・笑虎「「こんばんは〜!筑前煮食べに来ました〜!」」
シオン「おお!S君のおにぎりもあるじゃん!!」
ラミィ・枢「おばあちゃんのおにぎり!?」
ヴィヴィ「おなか空きました〜」
ハコス「いい匂いがする〜!」
フワモコ「BAU BA〜U!いただきま〜す!」
ホロメンみんなの笑顔を見て、つい自分も笑顔になるS君。
S君(ふふっ、やってよかったなぁ)
S君(これからも、皆さんにはこんなふうに笑っていてほしい)
ミオ「ほら、S君も食べて!」
S君「はい、いただきます」
S君もホロメンの輪に入り、食べ始める。
そして、また新たにマリン、ぺこら、みこ、青、あくあなどのホロメンが来て更に盛り上がって来た頃、
・・・・・・!!!
S君が何かに気づいて立ち上がった。
ミオ「S君どうしたの?」
S君「いえ、なんでもありません。私は今日はこれで帰りますね」
ミオ「えっもう帰るの?もっとゆっくりしていけばいいのに」
S君「もう十分ゆっくりできましたよ。それに、この後も来る方がいらっしゃると思うので、場所を空けるためにも帰ります」
ミオ「そう。今日はありがとう」
S君「どういたしまして。では、失礼します」
S君はミオの家を出て歩き始める。
だが、歩く先は帰路ではない。
とある薄暗い住宅街
そこに一つの人影があった。
いや、人に似た何かだった。
体は濃い茶色をしており、腕にはコウモリのような羽、口には鋭い牙が生えていた。
そして、その足元には力なく倒れている人がいた。
『ザギバギゾグ……(つまらんな……)』
足元の人間を軽く蹴る。
反応はない。
『ボゾバガデギブ……(次を探すか……)』
コツ、コツ、コツ
足音が聞こえる。
異形も足音の方を見る。
歩いてきたのは、
S君だった。
S君「ゴウラム、助かった」
S君の目はいつもと違い、鋭さがあった。
S君「お前か」
そして足元に倒れている人を見る。
S君「…また間に合わなかった」
S君「お前らと向き合うとき、いつも思う」
S君「俺なんかで、本当に上手くやれるのか」
S君「今はまだ分からない」
S君は両手を腹部の前に翳すと、銀のベルトのような物が現れる。その中央には大きな石のようなものが埋め込まれていた。
ヴゥゥン、ヴゥゥン、ヴゥゥン
ベルトから低く唸るような音が響く。
S君「でも、はっきりわかることが一つある」
S君の脳裏にホロメン達の笑顔が浮かぶ。
そして、その笑顔の輪の外側に
もう戻らない渋谷の顔が浮かんだ。
S君「お前のような奴がいたら、あの人達が笑顔でいられない」
S君「もっと笑いたかった人達が生きられない」
S君「お前は邪魔だ」
そう力強く言い、右手を軽く握るようにし体の左前に伸ばし、左手をベルトの上部に添える。
そして、右手を右側に、左手をベルト左側上部にスライドさせる。
──────────変身──────────
S君の身体が赤と黒に変わる。
燃えるような赤い瞳、天に伸びるような二本の角。
仮面ライダークウガ
全てはホロメンの「笑顔」のために
15話を読んでいただき、ありがとうございました。
ここまで隠してきたS君の秘密――それは、彼が仮面ライダークウガであるということでした。
「実は途中で思いついた設定なのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この展開は後付けではありません。
実は、この15話は第1話を投稿した時点で既に完成しており、S君がクウガであることを前提に物語を組み立ててきました。そのため、第1話の時点で既にS君は戦いの中に身を置いています。
もちろん、仮面ライダーに興味がない方や、「ここまでの日常パートが好きだった」という方もいらっしゃると思います。
この先も読み続けるか、それともここで区切りとするか。その判断は読者の皆様にお任せします。
それでも、この作品を読んでみようと思ってくださる方がいらっしゃるのであれば、とても嬉しいです。
これからも『全てはホロメンのために』をよろしくお願いいたします。
また、今後の投稿についてお知らせがありますので、お時間がありましたら活動報告もご覧いただけると嬉しいです。
ちなみに挿絵は頑張って描きました!