今回は初めて本格的な戦闘描写に挑戦してみました。
まだ不慣れな部分も多く、読みづらい箇所があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただけると嬉しいです。
暗い夜道。
茶色の体表をしたコウモリのような異形と赤い複眼に赤のアーマーをつけたような異形が駆け抜ける。コウモリの異形、名をゴオマ。
二人は住宅街を駆け抜けながら、時折ぶつかる。その度に鈍い衝撃音が響く。
ゴオマ『ボボゼボソギデジャスゾ!クウガ!(ここで殺してやるぞ!クウガ!)』
ゴオマは謎の言語を発し、クウガに向かってくる。それに対して、クウガも駆け出す。
先手を取ったのはゴオマ。クウガの頭部を狙い、右手を大きく振りかぶってくる。しかしクウガは両手で受け止める。ゴオマはすかさず左手でクウガの脇腹に拳をうちつける。
クウガ「くぅっ!」
少しよろけるも、すぐに体勢を立て直す。そして、再びゴオマに向かっていく。
クウガ「ふっ!ダァ!」
パンチやキックを繰り出すがいなされる。そして逆に反撃を受けてしまう。現在、クウガは劣勢。敵の攻撃は当たり、クウガの攻撃はなかなか当たらない。
ゴオマ『ズン、ゴンバロボバ(ふん、そんなものか)。ガァ!!』
ゴオマの口から爆音のような超音波が発せられる。それを受け、クウガは頭を押さえ苦しむ。
クウガ「ぐっあぁぁぁぁぁ!!!」
その隙に、再びゴオマは接近戦を仕掛け、クウガは何度も攻撃を受けてしまう。
クウガ「はぁ、はぁ」
クウガ(くっそ!こいつあんな攻撃まで!!)
何とか距離をとるクウガ。そして先程のゴオマが放った攻撃について考える。
クウガ(さっきの攻撃、原作じゃ使ってなかった。それに、体表が俺の知ってるゴオマよりも色が濃い)
またゴオマに攻撃するも、躱され首を掴まれてしまう。
クウガ「う゛っ、うぅぅぅぅぅ」
クウガ(つまり、こいつは『ズ』のゲゲルを成功させて『メ』に昇格した個体!)
クウガ(昇格して強くなったんだ!)
首を掴まれ、何とか振りほどこうと抵抗するも投げ飛ばされる。
クウガ「うわぁぁぁぁぁ!!」
クウガ(やっぱり、五代雄介のようにはいかない!)
クウガ(戦闘センスは俺の方が低い…)
クウガ「クッソォ!」
劣勢を何とか打開すべく、果敢に攻めるも、またもいなされ後ろから首を絞められる。
クウガ(でも、今まで戦ってきて分かったことがある!)
クウガ「うぉぉぉぉぉぉ!!」
ズドン!!
ゴオマ『グオォ!!』
叫び声とともに、ゴオマに肘打ちをし、拘束から解放される。
ようやく入った一発。
安定した一撃ではなかったが、ゴオマは大きくよろけ、苦悶の声を出す。
クウガ(封印エネルギーの扱いは、俺の方が上手い!!)
よろけるゴオマに追撃を仕掛ける。フック、ストレート、ミドルキック、どれも通常の格闘攻撃だが、ゴオマに与えるダメージは大きい。
クウガ(五代雄介は必殺技のときだけ、封印エネルギーを流し込んでた。でも、俺は普通のパンチ一発にも、エネルギーを込められる!)
ゴオマ『ブブ、ブゴ(くっ、くそ)』
クウガの重い攻撃に、ゴオマは逃走を図る。翼を広げ、夜空に羽ばたいていく。
クウガ「逃がすか!ゴウラム!!」
クウガの声に呼応し、ゴウラムが飛来する。クウガはゴウラムの背に乗り、ゴオマを追った。
東京の夜空を二つの影が高速で飛んでいく。
ゴオマ『ブゴギギヅボギ(クソっしつこい)』
クウガ「お前は、ここで倒す!」
クウガ「ふっ!」
クウガが高く跳び上がる。
ゴオマ『ゴンバドボソゼドンゼロ、ゴセビパドゾババギゾ(そんなところで跳んでも、俺には届かないぞ)』
クウガの無意味と思える行動を嘲笑うが、その瞬間、ゴオマの背中を強い衝撃が襲った。
ゴオマ『ガッ!!』
突然の衝撃に、ゴオマは首を後ろへ向ける。そこには、ゴオマの身体を挟み込み、グングン加速するゴウラムがいた。そして、そのままクウガの待つ空中へと一直線に向かっていく。
ゴオマ『ララ、ラズギ!(まっ、まずい!)』
クウガはこちらに向かってくるゴオマに向け、右足を伸ばし、蹴りの体勢をとる。
クウガ「ウオォォォォォォォォォォォ!!」
クウガの右足に炎が灯る。
そして、そのままゴオマに直撃した。
ゴオマ『ガァァァァァァァァァァァァ!!』
ゴオマの体に封印の文字が浮かび上がり、流し込まれた封印エネルギーが、ゴオマのバックル、ゲドルードに流れていく。
そして、
ゴオマ『クッ、クウガァァァァァァァァ!!』
ゴオマは断末魔をあげ、爆散。
クウガはゴウラムに着地し、その場からすぐに離れた。
人影のない夜の公園に、クウガは降り立った。
クウガの姿が、人間に戻る。
S君「っっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!」
S君の息は荒く、体を抱え込むようにし、膝を着いた。顔からは大粒の汗が滴り落ちる。
S君「今回もキツかった…」
S君(毎回こんなんじゃ…)
S君「女神様、ほんとに俺でよかったのかよ」
戦いのダメージに苦しみながら、転生のときを思い返す。
─────────回想─────────
女神「転生する前に、大切な話があります」
S君「ん?なんですか?」
女神は少し間を空け、意を決し話し始め。
女神「あなたが転生する世界ですが、滅びの危機を迎えています。そこで、あなたにはその世界を守ってほしいのです」
S君「はっ、はぁ!?どういうことですか!?」
女神「驚きますよね。ですが、これは事実です」
女神「今、あの世界は狙われています。グロンギに」
S君「グロンギって、仮面ライダークウガの?なんでそいつらが、その世界に?」
女神「はい。一つずつ説明しますね」
女神によると、今、数多の並行世界では、仮面ライダーに出現した敵勢力が様々な世界に侵略を始めている。それに対して、オリジナルの仮面ライダー達に対処を頼んでいるが、敵があまりに強大で対処しきれなくなってきてしまっている。侵略される世界も増えてきていたため、転生者に力を与え世界を守ってもらおうとのこと。
女神「敵はいずれやってきます。お願いします。どうか、あの世界を守ってください!」
女神は深く頭を下げた。その姿からは、この願いがどれほど切実なものなのかが痛いほど伝わってきた。
S君「…どうして俺なんですか?俺なんて大した取り柄もないし、強くなんかありません。他の人に頼んだ方が絶対いいです」
女神「…そうですね。確かにあなたは特別優秀というわけではありません。至って平凡な方です」
女神「でも、あなたを選んだのには理由があります」
女神「あなたはいずれ強くなる…そう思ったんです」
S君「なんですかそれ。理由になってないですよ」
理由になってない話に呆れるS君。
女神「ほんと、その通りですね。でも、あなたは誰かのために一生懸命になることができる。それは何よりも尊い強さだと、私は思います」
その言葉に、S君は黙ってしまう。
S君(全くなんなんだよ…)
S君(俺なんかができるわけないだろ…)
S君(でも…)
S君(俺がやらなかったら、あの世界は滅ぶんだよな…)
S君(あの世界にいるホロメン達も死ぬんだよな…)
S君(やるしかないのか…自信はないけど…)
S君「分かりました…やります」
女神「!…ありがとうございます」
S君が了承してくれたことに、再び深く頭を下げる。
女神「敵は銀のオーロラを通り、いずれやってきます。こちらでも、出来る限りのサポートをします」
S君「わかりました」
女神「はい。ご武運をお祈りします」
そしてS君は光に包まれ、姿を消した。
女神「頑張ってください…」
────────回想終了────────
S君(女神はああ言ってくれたけど、これじゃあ世界を守るなんて…)
S君(強くならないと…)
そう思いながら息を整えるS君。
S君(帰るか…)
もう帰ろうと考え、立ち上がって歩き出す。
すると、
ゴォーン…ゴォーン…
除夜の鐘が聞こえてくる。
S君「年が明けたか」
S君「あんまりいい年明けじゃなかったな」
グロンギと戦ったことだけじゃない。今回、ゴオマの犠牲者も出てしまった。その事が悔やまれる。
S君「はぁ…」
ため息をつき、空を見上げる。
S君「今年は…どんな一年になるんだろな」
不安を胸に抱えながら、それでもS君は前を向いて歩き続けた。
全てはホロメンのために
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回は初めて本格的なクウガの戦闘シーンを書いてみました。
また、本作のクウガは五代雄介のクウガとは明確に違いを持たせています。
【戦闘センス】
五代雄介 > S君 > リク(初代クウガ)
【封印エネルギーの扱い】
リク(初代クウガ) > S君 > 五代雄介
S君は五代ほどの戦闘センスはありませんが、その代わり封印エネルギーを扱う能力に優れており、通常攻撃にもエネルギーを乗せられるのが特徴です。
そして今回登場したゴオマも、本作オリジナルの強化個体として描いてみました。原作を知っている方にも少し新鮮に感じてもらえたら嬉しいです。
ちなみに、「ゴオマ究極体」みたいな展開は……ありません(笑)。
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