今回はS君が新たな未確認生命体と遭遇します。ぜひお楽しみください!
S君がメ・ゴオマ・グを倒してから数日後。
警視庁では、正月だというのに慌ただしく、重苦しい雰囲気だった。
警視庁 未確認対策会議室
スクリーンに映し出される被害資料。
「先月、12月31日23時48分、都内で新たな犠牲者を確認。損傷状況から未確認生命体の犯行と断定」
刑事部の報告に、会議室の空気が重くなる。続けて別の資料が映る。
「また、ほぼ同時刻。現場から数キロ離れた上空付近で爆発音を確認。周辺住民から複数の通報がありました」
「原因は?」
「不明です。火災・航空事故等の痕跡は確認されていません」
幹部が腕を組む。
「……未確認が関与している可能性は?」
「否定できません」
その言葉で、より一層空気が重くなり、その場の刑事達は口を噤んでしまう。
「ともかく、これ以上犠牲者を増やさないためにも、全力で捜査にあたる必要がある」
「そうだ。未確認が現れて既に1年。犠牲者は増える一方だ。今はまだ市民の混乱を避けるために公表されてはいないが、いずれは公表しなければならんかもしれん」
「はい、出来ればそうしたくはないですが…」
刑事達は有効な手立てが出ず、気が重いまま対策会議を終えた。
ホロライブプロダクション
ホロライブプロダクションには正月休みはない。元旦から社長を始め、スタッフがオフィスに勢ぞろいしていた。
谷郷「皆さん、明けましておめでとうございます」
スタッフ一同「「「「明けましておめでとうございます」」」」
谷郷「皆さん、元旦からお仕事ありがとうございます。年末年始は、カウントダウンライブや大型企画が詰まっていて休みを取らせてあげられないことを申し訳なく思います。ですが、ここを乗り切れば、次の大きなプロジェクトまで、少し余裕が出てくると思います。その際には皆さんには休暇を取っていただき、ゆっくり羽を伸ばしてもらいたいと思います。今年もよろしくお願いします」
スタッフ一同「「「「「よろしくお願いします」」」」」
社長の新年の挨拶が終わり、それぞれが自分の仕事を始めていく。S君も自分が担当する年始企画の仕事に取り掛かろうとしていた。
S君「さてと、俺は明日のゲーム大会配信の確認か。イチチ」
仕事の確認をするも、背中を押さえる。先日のダメージが抜けきっていないようだ。
葛山「桜木、おつかれ」
S君「あぁ、葛山さん。おつかれさまです。今年もよろしくお願いします」
葛山「こちらこそ、よろしく。ところで背中どうした?痛むのか?」
S君「ええ、ちょっとバキバキでして」
葛山「珍しいな。後で、整体いいところ教えようか?」
S君「ホントですか?ありがとうございます。後でお願いしますね」
葛山「了解。そんじゃ新年の仕事に取り掛かるぞ」
S君「はい。ではまた後ほど」
S君が去っていき、葛山はその後ろ姿を眺める。だが、その目は疑いの色が浮かんでいた。
葛山(バキバキっていうような痛がり方じゃなかったな…)
葛山(あいつ…)
S君は葛山と別れたあと、常闇トワとミーティングをしていた。ここ数年は、トワが主催となって、ホロメンのゲーム大会が開かれていた。今回はその打ち合わせである。
S君「今年はホロメンの皆さんは4チームに別れますが、現段階でチームのメンバー変更とかはないですか?」
トワ「うん、今のところはないね。もし何かトラブルがあっても、チーム内で選手の代わりを出して対応することになってるから大丈夫」
S君「わかりました。私達スタッフ側でも、何か起きた際にはすぐに対応できるようスタンバイしておきます」
トワ「うん、よろしくお願いね」
S君「盛り上がるといいですね。今年の大会も」
トワ「そうだね!ホロメンのみんなやリスナーさんにも楽しんでほしいよ。ゆくゆくはこの企画が毎年の定番化してほしいね」
S君「そうですね。大人数でのゲーム大会は、見応えもあるのでたくさんの人が楽しんでくれると思いますよ」
トワ「ありがとう!」
S君の励ましに微笑むトワ。その後も細かい打ち合わせをしつつ、それぞれどのゲームが見応えがあるかなど、雑談をしながらミーティングを進めていった。
S君「ふぅ、では打ち合わせ内容はこれで終わりですね。あとは、本番までは細かい確認作業をしておきます」
トワ「うん、よろしくね。私は自分も選手で出るから練習しつつ本番に備えるよ」
ガチャッ
二人が話しているところで控え室のドアが開き、三人のホロメンが入ってきた。
みこ「トワ様にS君にゃっはろ〜!二人がここにいるって聞いて、新年の挨拶に来たにぇ!」
ぼたん「失礼します〜二人ともおはよ〜」
わため「こんにちは〜!」
S君「御三方、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
トワ「明けましておめでとう。今年もよろしく〜」
みこ「明けましておめでとうございます!ことよろだにぇ!」
ぼたん・わため「「明けましておめでとう(おめでとうございます〜)。今年もよろしく(よろしく〜)」」
各々新年の挨拶を済ませる。三人はたまたま会ったようで、一緒に挨拶回りをしてるようだ。この後も他の所へ行くらしい。
わため「そういえばS君〜。大晦日のおにぎり食べたよ〜。ご馳走様!美味しかったよぉ〜!」
ぼたん「ほんと美味しかったよ。豚汁も、筑前煮とよく合って美味しかった。ご馳走様」
S君「いえいえ、お口にあってよかったですよ」
みこ「いい大晦日だったにぇ〜!あっ、それにこの前は栃木のお土産もラプラスからもらったにぇ。S君も一緒に買ったらしいじゃん。それもご馳走様だにぇ」
ぼたん「あぁ、あの帰省してたってやつだね。お土産ありがとう」
わため「いろいろご馳走様だね〜。帰省は楽しかった?」
わための問いかけに、S君は一瞬だが表情が曇るが、すぐ笑顔に戻り「楽しかったですよ」と返した。
みこ(今の表情は…)
みこはS君の表情の変化を見逃さなかったが、ここで聞くのはよくないと思い、何も聞かなかった。
S君「ん、そろそろお昼ですね」
時計を見ると、そろそろ正午に差し掛かろうとしていた。
トワ「そうだね。みこち達、一緒にご飯食べない?」
みこ「いいじゃん!ご一緒させてもらうにぇ」
ぼたん「S君はどうする?よかったら一緒にどお?」
S君「いえ、私はこの後外に出る用があるので、コンビニとかで済ませますよ」
わため「じゃあしょうがないね。また別の機会でね〜」
4人はオフィスを退出し、昼食を摂りに行く。S君はオフィスを後にした。
S君はオフィスを出た後、街を歩きながら案件先との約束の時間を確認する。
「うん。これなら余裕で着きそうだな」
時計を確認すると、予定まで1時間以上あり、ゆっくり昼食を摂れるなと考えていた。
だがそのとき、
女の子「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
子どもの悲鳴が聞こえてきた。
S君「!?」
声が聞こえた方を見ると、人ではない異形が小さな女の子を抱え、ビルの上を高速で走り、飛び回っていた。異形の名は、『ズ・バヅー・バ』。バッタの特性を備えたグロンギだ。
母「ゆか!!」
父「ゆかぁぁぁぁ!!」
女の子の両親と思われる二人が上を見上げながら必死に走り追いかけていった。
S君「くそっ!!」
S君は目立たないところに移動し、両手を腹部にかざす。S君の腰にアークルが出現し、鼓動音がなる。そして変身動作をし、
S君「変身!!」
《クウガマイティフォーム》に変身した。
クウガ「ビートチェイサー!」
クウガがそう唱えると、すぐ側に1台のバイクが出現した。
クウガ(こう呼び出せるのは便利だな)
そしてバイクにまたがり、バズーを追った。
バズーがビルを飛び回ること数分。
バズー『ボボサゼンゼギギバ(ここら辺でいいか)』
そう言い、抱えていた女の子を掴み、ビルの屋上から手を出す。手を出したら女の子は真っ逆さまに落ちてしまうだろう。
女の子「いやぁぁぁああああ!!」
女の子は必死にもがく。
バヅー『ズン、グスガギガビザ(ふん、うるさいガキだ)』
そう言い放ち、手を離す。女の子は一瞬呆気にとられ、地面に向かって落ちていく。
母「ゆかぁぁぁ!!」
父「誰か助けてくれ!!」
女の子「お母さぁぁぁん!!」
クウガ「マズい!!」
クウガ「超変身!」
クウガが叫ぶと、赤かった姿が青く変わり、バイクから跳躍し、女の子をキャッチした。そして、そのまま女の子に衝撃を受けないようビルの壁を蹴ったり、物を掴んだりしながら地面に着地する。青い姿のクウガ。《クウガドラゴンフォーム》、格闘能力が落ちる代わりに、脚力が強化された姿だ。
クウガは優しく女の子を抱え、怪我がないかを確認する。
父母「「ゆか!!」」
両親が息を切らしながら到着した。
そしてクウガは、母親の方へ歩み寄り、女の子を引き渡した。
女の子の両親はクウガに怯えた目をしながら距離を取った。そして、警察官が「大丈夫ですか!?」と駆け寄ってきて、さらににクウガと距離を取った。
クウガ(まぁ…そういう反応だよな)
自分に怯えるのは仕方ないと思い、バヅーの方を見る。バヅーはまだ、ビルの屋上におり、上から眺めていた。
クウガが屋上に向かおうとすると。
女の子「助けてくれて、ありがとう!」
力強い、感謝の言葉が聞こえた。女の子を見ると、真っ直ぐクウガを見ていた。両親も警察官も驚いた顔で女の子を見て、改めてクウガを見た。いつの間にか周囲には人だかりもできており、人々はクウガを見ていた。
クウガは感謝の言葉を掛けられるとは思っていなかったのか、照れくさそうに右手で頭を搔く。
そして気を取り直しバヅーに向き直り、屋上へと跳躍した。
屋上に降り立つクウガ。そして二人が睨み合う。
バヅー『ヂ、ジャラギジャガデデ(ちっ、邪魔しやがって)』
クウガ「お前…!!」
クウガは、バヅーが小さな女の子を狙う、その卑劣さに怒っていた。命は大人も子供も優劣はないが、子供が狙う行為は絶対に許せるものではなかった。
クウガ「昔、ある人が言ってた。」
クウガ「子供は宝物。この世で一番悪いのは、その宝を汚すヤツだって!!」
クウガは手すりの柱を1本もぎ取り、両手で持って構える。すると、鉄の棒だった手すりは青い棒に変化した。
【水の心の戦士、長きものを手にして敵をなぎ払え】
《ドラゴンロッド》
ドラゴンフォームの専用武器。
ドラゴンロッドを振ると、「シャン、シャン」と音が鳴る。
そして、クウガとバヅーが駆け出し、激突する。
バヅーはクウガに掴みかかろうとしてくる。しかしクウガは、それを跳躍して躱し、バヅーの後ろを取ってロッドを振るう。振るわれたロッドは、バヅーの顔面や腹部を捉え、打ちつけられる。打ちつけられる度に、バヅーに少量だか封印エネルギーが流れ、打撃と封印エネルギーの両方のダメージが入る。
バヅー『グォォォ!!』
クウガ「フン!!」
クウガは引き続き攻撃を仕掛ける。だが、バヅーもただやられているわけではない。振るわれるロッドをいなし、クウガに蹴りを入れる。
クウガ「ぐあっ!」
蹴りを受けたクウガは屋上の縁まで下がってしまう。バズーはすかさずクウガの首を掴み、ビルから落とそうとする。
クウガ「くぅぅぅぅぅぅ!!」
クウガ(くっそぉ!!!)
クウガ「ふっ!!」
クウガはバヅーの脇腹に蹴りを入れることで拘束から逃れる。
クウガ「あっ、危なかった…!!」
クウガは体勢を立て直し、再び攻撃を仕掛け、その攻撃はバヅーを確実に捉えていく。
だが、
バヅー『ジョグギ…ビボスバ!!(調子に…乗るな!!)
もう少しというところで、バヅーはクウガの攻撃を躱し、背中に強烈な蹴りを入れた。
クウガ「うわぁぁぁぁ!!くぅっ!!」
モロに攻撃を受けたため、吹き飛ぶクウガ。痛みに耐えながら立ち上がり、バヅーを見る。
バヅーも、もうヨロヨロしていた。
クウガ(今しかない!!)
クウガは、バヅーに向かって跳躍し、右手でロッドを力の限り突き出した。ロッドはバヅーの胸に直撃。バヅーは苦しみながらロッドを離そうとするが、クウガが押し出す。
バヅー『ボ、ボンバジャヅビ!!(こっ、こんなやつに!!)』
バヅーの胸に封印の文字が浮かび上がる。流し込まれたエネルギーが、ゲドルードに流れていく。
バヅー『ガッ、ガァァァァァァァ!!』
断末魔と共にバズーは爆散した。
クウガ「はぁ、はぁ、何とか…倒せた」
クウガの息は荒く、肩で呼吸をしている。
クウガ「はぁ、はぁ、くっそ」
悪態をつきながらも、なんとか乱れた息を整えようとする。
クウガ「あ…約束の時間!行かなきゃ!」
自身が案件先に向かうところだったのを思い出し、その場を後にした。
後日
警視庁 未確認対策会議室
「先日、未確認生命体第17号が都内で確認された。17号は少女を攫い、ビルから落として殺害しようとするも、新たに現れた未確認生命体に救出されたそうだ。その後、二体はその場を後にし、現場から離れたところで爆発音がしたとのことだ。なお、爆発音がした現場では生物の肉片が採取され、代表の色からして17号のものと断定された」
対策本部では、クウガとバヅーについての話題になった。
「この新たな未確認はいったいなんなんだ」
「現場に駆けつけた警官によると、これまで確認された未確認生命体とは全く違う見た目をしており、明らかに市民を守ろうとする姿勢を感じたとのことです。また、その様子を撮影した市民からも映像を提供してもらい、こちらでも確認しましたが、警官の証言と一致していました」
「この未確認は、我々の味方なのか?」
これまで警察が発見してきた未確認生命体とは明らかに違う存在に、周囲がザワつく。
「現段階では、味方だと判断出来かねんな。この個体はこれまでの未確認とは区別し、新種と呼称する。所轄にも共有しておくように」
「それと、今回のことで、市民に未確認生命体のことが露見してしまった。既に、ネット上にも画像や映像が上げられてしまっている。削除はしているが、もう隠すことはできない」
「…公表するしかあるまいな」
その後、警察より未確認生命体のことが世間に公表された。
全てはホロメンのために
今回登場したグロンギは、「ズ集団」の怪人です。
原作とは異なり、本作ではゲゲルの順番がマチマチになっています。
今後も様々なグロンギを登場させていく予定です。
次回もよろしくお願いいたします。