2話まで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
少しずつですが、S君とホロメンたちとの関わりも広がっていく予定です。
本作は、ホロライブの世界観や実際の出来事を一部参考にしつつ、独自の解釈を交えて描いています。
そのため、時系列や細かな設定など、現実とは異なる部分がありますが、作品として楽しんでいただければ幸いです。
キッチンに立つ大神ミオの後ろ姿をS君は眺めていた。
特に何をするでもなく、ただ準備が進むのを見守っている。
今日は料理配信の手伝いだ。
買い出しから機材設置まで含めた裏方作業。
ミオ「ふぅ、下ごしらえはこんなもんかな。あとは配信で調理するだけだね」
S君「お疲れさまです。これなら時間通り始められますね」
ミオ「そうだね。でもごめんね〜、買い出しとか設置とか付き合わせちゃって」
S君「大丈夫ですよ。それが仕事ですから」
ミオ「ふふっ、ありがとう」
ミオ「そういえば、S君って一人暮らしだったよね?料理とかするの?」
S君「まぁ、簡単なものくらいなら作りますね」
ミオ「へぇ〜、どんなの作るの?」
S君は少しだけ考える。どんなのを作るか聞かれると、意外とすぐに出てこないものである。
S君「そうですねぇ。まぁ、親子丼とか、オムライスとか……あとおにぎりとかですかね」
ミオ「おぉ〜いいね、それ」
ミオ「S君、手先器用そうだからちゃんと美味しいのを作りそう」
S君「いや〜、どうですかね。なんとなくでやってるだけなので」
S君「まぁでも、不味いものは作らないですよ」
ミオ「ふふっ、それ大事だね」
S君の話に笑うミオ。
ミオ「今度さ、ホロメンにも作ってみたら?」
ミオ「私も料理するし、みんなにも作るからさ」
ミオ「S君の料理、ちょっと食べてみたいかも」
ミオの言葉に少し驚く。
だが、自分の料理を人に出すほどのものとは思えなかった。
S君「いやいや、ミオさんに出すほどじゃないですよ」
(別にできないわけじゃない)
(でも、人に出すほどのものでもない気がする)
ミオ「ふふっ、冗談だよ」
そんな会話をしていると、いよいよ配信開始時刻になり、配信が始まった。
ミオ「こんばんミオ〜ん。今日は料理配信だよ〜!今日作るのは〜?ハンバーグ!」
いつもの挨拶で始まり、早速調理が始まる。
包丁の音が一定のリズムで響く。
トントン、と無駄のない動き。
迷いがない。
ミオ「こんな感じで切っていくよ〜」
ミオは手際よく料理を進めていき、時折雑談を交え、リスナーを楽しませていく。その姿に安心感や、絶対美味しいものができることへの期待感などが募っていく。
プロの配信者としての姿、動作に自然と目が追ってしまう。
S君(……やっぱり、すごいな)
特別なことをしているようには見えない。
それでも、確かに“成立している空間”だった。
ミオ「よし!かんせ〜い!じゃあ味見してみるよ!」
そして、出来上がった料理を口に運ぶミオ。
ミオ「う〜ん!美味しい!みんな〜上手くできたよ!」
〈さすがミオしゃ〉
〈めっちゃ美味そう(*´﹃`*)〉
〈食べたい!〉
どうやら料理は美味しくできたようだ。リスナーも、完成した料理を見てミオの料理を褒めている。
ミオ「みんな、ありがとう!残りはこの後、私の晩御飯でいただくね〜」
ミオ「じゃあ、今日はここまでにするね!おつミオ〜」
そして配信は問題なく終了する。
ミオ「ふぅ〜、うまくできてよかった!配信終了!」
S君「お疲れさまでした」
ミオ「S君もおつかれさま。今日はありがとね」
S君「いえいえ、美味しくできてよかったですね」
ミオ「ありがとう!そうだ、S君も一口食べてみる?」
S君「いいんですか?」
ミオ「いいよ〜。はい、どうぞ」
S君「では、いただきます」
ミオからハンバーグ一欠片をもらい、口に運ぶ。
口に入れた瞬間、口いっぱいに広がる肉汁。これは店で出してもいいレベルだと思ってしまう。
S君「さすがミオさんですね。とても美味しいです」
素直な感想を言うS君。ホロメン屈指の料理上手の名は伊達ではない。
ミオ「ふふ!ありがとう!じゃあ改めて今日はおつかれさま。片付けはやっておくから大丈夫だよ」
S君「わかりました。では失礼します」
ミオの家を出る。
外の空気に触れた瞬間、少しだけ現実に戻る感覚があった。
S君「ミオさんの配信、無事に終わってよかったな」
ほんの少しだけ、ハンバーグいい匂いが記憶に残っている。
S君「……俺は、俺の仕事をやるか」
歩き出す。
誰かの役に立てているなら、それでいい。
全てはホロメンのために
今回も読んでくださり、ありがとうございました。
今後も『全てはホロメンのために』をよろしくお願いいたします。