今回はフェス・エキスポ当日のお話です。
今回は短めになります。
よろしくお願いします!
27話 多忙
ホロライブプロダクション会議室
フェス・エキスポを2週間前に控え、会議室には、運営部、イベント運営部、ライブ制作部、グッズ・商品企画部、宣伝・広報部、営業部、総務部など、今回のイベントに関わる各部署の担当者が集まっていた。
運営部長「では、これからフェス及びエキスポ開催に向けての会議を始めます。今回は主に、新たな決定事項の伝達、現状の確認が議題となります。それぞれの担当者から説明してください」
運営部長の進行で会議が始まり、それぞれの部署の担当者が説明をしていく。
S君(こういうのに参加すると改めて思うけど、大型のイベントってほんとにやることがめちゃめちゃ多いよな。いざ自分がその立場に立つとよくわかる)
フェス・エキスポは3日間開催され、その日その日で実施される企画も違う。ホロメンによるトークイベント、新作ゲームの紹介、各種体験コーナー、ホロカコーナー、着ぐるみステージ、3Dライブ、そして記念品や私物などの展示コーナー。準備する物や当日のスタッフの役割分担など、やることは多岐にわたる。要項に目を通し、大事なことはメモを取る。抜けがあると当日の運営に支障をきたしてしまうかもしれない。S君は、各担当からの伝達内容一つ一つをしっかり聞き取っていった。そして最後、イベント運営部からの伝達になる。
イベント運営部「イベント運営部です。タレント私物展示コーナーですが、以前桜木さんより提案があった、整理券制を導入することになりました。既に整理券の印刷を手配しており、来週には納品されます。」
S君「採用していただき、ありがとうございます」
イベント運営部「いえいえ、これによって、当日の混雑を緩和、来場者がたくさんのコーナーを見て回ることができると思います。提案していただき、ありがとうございました」
S君(よかったぁ〜採用されて)
その後、いくつかの伝達事項があり、全ての確認が終わり、運営部長が会議終了を伝え、それぞれが会議室を後にした。
そして、S君が自分のオフィスに戻るところで、葛山が話しかけてくる。
葛山「桜木、おつかれ。よかったな。今回お前の提案が採用されて」
S君「ええ、そうですね。本当によかったです」
葛山「しかし、よく整理券制なんて考えたな。普通、展示コーナーだけに整理券は使わないんだが」
葛山は、混雑を緩和するためという意図は理解していた。それでも、整理券制を採用していない展示コーナーも多い。なぜ今回、整理券制を提案したのか。葛山の疑問に、S君は静かに答え始める。
S君「…葛山さん、リスナーさん達は、タレントの私物となると、 皆見たいと思うものですよ。それも実際に、自分の目で見られるとなるとなおさらです」
葛山「おっ、おう。そうなのか」
S君(実際、前世で開催されたときに、ぺこらさんの汚い鍋を見るために、3時間の行列ができたって事実があるからなぁ)
S君(オタクの熱意は絶対に舐めちゃいけない)
実際、前世では、鍋のために3時間の行列ができたことに、兎田ぺこら自身も、まさかそこまで並ぶとは思ってなかったらしい。S君はぺこらの発言から、整理券制をなんとしても導入したいと考えていたのであった。
そして様々な準備を進め、いよいよフェス・エキスポの当日となった。
千葉県 幕張メッセ
フェス及びエキスポの会場である幕張メッセは来場者でごった返していた。
そんな中、S君が担当してるのは二つ。
一つは…
S君「着ぐるみステージはこちらでーす!順番にお並びくださーい!」
着ぐるみステージの運営だった。着ぐるみステージを見に来た観客を誘導している。
そして一通り席が埋まり、ステージが始まった。みこだにぇ、クマリン、毛玉ころねなどが出てきて、観客とミニゲームをしている。そして、着ぐるみたちとミニゲームに勝った観客は、賞品の写真撮影に移り、着ぐるみ達と写真を撮っていく。
S君(いいなぁ〜。俺も撮りたい…)
S君は、着ぐるみと写真を撮る観客を見て羨ましがっていた。だが、スタッフの立場として、観客に混じるわけにはいかない。完全に生殺し状態であった。
その後、着ぐるみステージが終わり、S君は次の担当場所へと向かっていた。
幕張メッセ
バックヤードケータリングコーナー
S君「お疲れ様です!今からこちらに入ります!」
スタッフ1「桜木さん、お疲れ様です!よろしくお願いします!」
S君は施設裏側のケータリングが設けられたところに来ていた。今回、ケータリングのメニューの一部はS君が考案したものが採用されており、その関係でS君も調理や配膳の手伝いに入ることになっていた。S君は表での担当はもうなく、ここからは裏側でケータリングをすることになっていた。
S君「はい!今はどんな感じですか?」
スタッフ1「概ね滞りなく回ってますよ。スタッフやタレントさん達もかわるがわる来て食事を摂ってますよ」
S君「分かりました。では、調理に加わりますね」
スタッフ1「はい、よろしくお願いします」
スタッフ2「すいません!!大変です!!」
S君が仕事に加わろうとしたとき、別のスタッフが慌てて話しかけてきた。
スタッフ1「どうしたんですか!?」
スタッフ2の話によると、さっき材料の残りを確認したら、思ったよりも足らなさそうとのことで、このままだと夜までもちそうにないということだった。ここにきたスタッフやタレントが、疲れている分予想より多めに食べたことにより、このようなことになってしまったとのことだった。
スタッフ1「順調そうに見えてたのに…。すみません全く気付かず…」
S君「いえ、あなたのせいではありませんよ。皆さんそれだけ今日頑張っているってことです。とりあえず、足らない材料の調達をお願いします。ちょうど近くに大きい業務スーパーがあったはずです。私は調理に入ります!」
スタッフが申し訳なさそうに言う。しかし、S君が口を開き、トラブルの対処に専念することを呼びかける。そして、S君は調理に入った。
S君「すいません!今手が足りてないのはどこですか?」
スタッフ3「桜木さん!ありがとうございます!ミニ親子丼をお願いしてもいいですか!?」
S君「分かりました!」
S君(だいぶ量が減ってる。継ぎ足しした方がいいな。)
残った材料を鍋に投入し、調味料を加えていく。
小皿に汁を取り、味見をする。
S君(…うん、これでいい)
S君「親子丼出来ましたよ〜!」
まつり「お願いします!」
S君「あっ、まつりさん!お疲れ様です!」
親子丼を受け取りに来たのは、ホロライブ屈指の食いしん坊と言われる夏色まつりだった。トレーを持ち、今か今かと親子丼が渡されるのを待っている。
まつり「S君お疲れ様!いや〜いろいろ回ったり企画に参加してたら疲れちゃったよ!親子丼ください!」
S君「はい、分かりました…。どうぞ!」
まつり「ありがとー!いただきます!」
まつりは近くの席でモグモグと食べ始めた。
スタッフ3「桜木さん!こっちの味を見てもらってもいいですか?時間がたっちゃったので、味が変わってるかもしれないんです」
S君「いいですよ。今行きますね。すみませんが、代わりにこっちをお願いします」
親子丼を話しかけてきたスタッフに任せ、自身は別の料理のもとに行く。
ペロッ
小皿に入れられたソースをひと舐めする。
S君(うーん、確かに味が変わってるな。ここはデミソースを足して、隠し味に赤ワインと醤油をほんのちょっと)
そして再度味見をする。
S君(よし、これでいい)
S君「ビーフストロガノフ、出来ましたー!」
まつり「お願いします!」
S君の掛け声に、再びまつりが現れる。
S君「あれっ、まつりさん。もう親子丼食べたんですか?」
まつり「うん!するするっと食べちゃった!美味しかったよぉ!」
S君「あはは、そうですか。それはよかったです。はい、どうぞ」
まつり「ありがとう!」
S君からビーフストロガノフを受け取ったまつりは、再び席に着き食べ始めた。
スタッフ4「桜木さん、すいません!豚汁も見てもらっても…」
S君「あっ、はい」
S君「豚汁出来ましたー」
まつり「お願いします!」
S君「!?」
スタッフ5「すいません!」
S君「はい!」
S君「………出来ましたよー!」
まつり「お願いします!!」
S君「まつりさん食べすぎでは!?」
まつり「いいのいいの〜!この後ライブがあるから食べて力をつけないと!」
S君「はぁ…。お腹が痛くて動けないとかはやめてくださいよ」
まつり「そこは大丈夫だから安心して!それと…S君、この後のライブ、見に来てね」
S君「えっ…」
まつり「私たちのライブ、見に来ないと、ホロライブに戻ってきた気にならないよね!だから、ちゃんと見に来るんだよ!」
S君「まつりさん、ありがとうございます。必ず見に行きます!今日も、明後日までも!」
その後材料が無事追加され、ケータリングも落ち着き、S君は料理を作りきった。そしてライブを見に行き、ホロメン達が生き生きと歌やダンスを披露しているところを見て、ようやく自分がホロライブに戻ってきたこと、そして自分がやりたかったことをやれているという実感が持てたのだった。
そして続く2日目、3日目も滞りなくイベントは進み、フェスとエキスポは無事に終了することができた。
全てはホロメンのために
おまけ
ライブ終了後、ホロメン達は続々と舞台袖に戻ってきた。その額には汗が浮かび、各々が全力で歌っていたことが分かる。
ノエル「疲れた〜!ライブ楽しかったねぇ!」
マリン「ほんとだね!お客さんたちもすっごい盛り上がってた!」
ぼたん「めっちゃ全力で歌ったからお腹空いた〜」
はじめ「そういえば〜、今年のケータリングってS君が味の監修をしてるんでしゅよね?」
ラミィ・枢「「!!」」
はじめの一言にラミィと枢が反応する。
ラミィ「おばあちゃんのご飯!」
枢「ラミィ先輩!早く行きましょう!」
まつり(あっ…)
そしてホロメン達は空腹を満たすために、ケータリングのところへ移動する。
バン!!
ラミィ・枢「おばあちゃんの料理ください!!」
ラミィと枢は勢いよく扉を開くやいなや、その場にいたスタッフに料理を頼む。しかし…
スタッフ「すいません、桜木さんの料理は今はあまり残ってなくて…」
ラミィ「ええ!?なんでぇ!?」
スタッフの言葉に、あんぐりと口を開けショックを受けるラミィと枢。
マリン「なになに?どうしたの?」
枢「おばあちゃんの料理が残ってないんですって…」
ぼたん「なんでそんなことに?」
スタッフ「それはさっき、まつりさんが…」
それを聞いたホロメン達は一斉にまつりの方を向く。そのときまつりは、ススッと部屋を出ようとしていた。それを見たまつり以外のホロメン達は、まつりが食べまくったのだと察する。
ノエル「あっ逃げようとしてる!!」
マリン「おい!まつりてめぇー!」
ラミィ「逃げんなぁ!!」
枢「おばあちゃんの料理返せぇ!!」
まつり「ごめんなさ〜い!!」
ホロメン達にブチ切れられるまつり。その騒動を聞いたS君が戻ってきて、「また新しく作りますから」となだめ、ホロメン達はなんとか料理を食べられたのであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今回は、フェス・エキスポで働くS君のお話でした。
今週はいよいよみこちの2ndライブですね。
作者はコールを覚えるのに集中するため、次話は遅れるかもしれません。
ご了承ください。
みこちのライブ行く方は一緒に楽しみましょう!
次回もよろしくお願いします!
感想と評価お待ちしております。