今回は、S君がある決断をします。
ホロライブプロダクション食堂
モンハン配信の次の日、S君、みこ、スバル、フブキは4人で昼食を取りつつ昨夜の配信の振り返りをしていた。
S君「昨日は配信中に暴走してしまい、本当にすみませんでした」
フブキ「いやいや、そんなことないよ。むしろあそこでS君がガチになってくれたおかげで、いい具合に盛り上がったんだよ!」
スバル「そうそう!昨日のMVPがS君なのは間違いない!」
みこ「S君は35Pだからね!エリートなみこに付いてき来てるんだから当然にぇ!」
スバル「おめー昨日はミスって肉焼いてただろ!なにがエリートだよ!PONかましてただけだろ!笑」
フブキ「ふっはっは!それはそうw」
みこ「はっはあ〜!?おい、フザケンナ!んなこと…あるにぇ…」
S君(み俺恥…)
昨夜はS君が正常な判断力を失い、一人で歴戦王レ・ダウをボコボコにしてしまった。その結果、三人の見せ場を奪ってしまうことになってしまったのだが、結果としてはリスナーを見直させ、盛り上がりを見せた。みこは35PのS君が活躍したことにドヤ顔をするが、すぐさまスバルとフブキに突っ込まれてしまう。何も言い返せないみこに対して、S君は「み俺恥」と思ってしまうのだが、口に出すことはしなかった。
スバル「しっかし、S君て太刀になると立ち回りが凄くスマートになってたなぁ!なんというかこう、攻めすぎず相手の隙を突くって感じ!」
フブキ「うんうん!見切って、いなして、攻撃する。カウンターの達人みたいだった!」
スバル「なんか、S君てやっぱりガンガンいくタイプじゃないから、太刀の戦い方がめっちゃ合ってるんだと思う!」
S君「そっ、そうですかね?」ハハッ
みこ「そうそう。普段から冷静に相手を見て動いてるS君らしい戦い方だよ!ほぼノーダメで勝っちゃうのはカッコイイよ!」
S君「あっ、ありがとうございます」テレテレ
右手で頭を掻き、照れながら返事をするS君。また同時に、別のことも考えていた。
S君(ほぼ無傷で。見切り、いなし、カウンター主体で戦う)
S君(もしかして、そういう戦い方の方が俺にはあってるのか?むしろそれができれば、余計な怪我をしなくて済むし、周りに心配かけることもなくなるかも)
これまで、戦闘の度に少なからず怪我を負ってきたS君。周りの人に怪我を見られ、心配をかける心苦しさ。また、怪我から自分の正体に気付かれるリスク。これらを踏まえ、どうにか怪我を減らせないかと考えていた。
また、先日のギノガの件。ホロメン達をたくさん泣かせ、多くの人を悲しませてしまい、さらに何人かのホロメンがグロンギに戦いを挑むという事態を招いてしまった。その負い目から、現状を打破できないかと少なからず考えていた。
みこ「S君、どうしたの?」
S君「あっ、いえ、ちょっと考え事をしていただけです」
フブキ「やっぱり少し疲れてそうだね。今日は早く帰れる?」
S君「そうですねぇ。まぁ概ねいつも通りになりそうですかね。ただ、フェスとエキスポが終わったので、忙しすぎるわけではないですよ」
スバル「まぁ、無理はすんなよ〜。休めるときには休む!これだいじ!」
S君「はい。そうします」
スバル「んじゃ、そろそろ各々の仕事に戻りますか〜。S君もあんまり頑張りすぎんなよ〜」
みこ「お前はS君の上司かw」
フブキ「たしかにwじゃ、S君またね〜」
S君「はい、ではまた」
4人は食堂を後にし、各々のやることに戻って行った。そしてS君はオフィスに向かって歩きながら、先程のことをまた考えていた。
S君(カウンター主体で戦う。それを参考にするとしたら、『仮面ライダーカブト』の戦い方が一番適してる)
S君(でも、それを参考にって言うのは簡単だけど、今の俺がそれを実践できるかはまた別の話だ)
S君(手探りでやるにしても、戦い方が確立するまで時間がかかるし、その間は余計に怪我を負ってしまうかもしれない。最悪また…)
S君(誰かに教えてもらえればまた違うんだけどなぁ)
なんとか、自分の戦闘スタイルを変えられないか考え続けるS君であったが、参考にするものを思いついても、自身は才能に溢れた人間ではなく、ごくごく普通の一般人である。そんな自分にとって、すぐに習得できるものではない。創作物とはいえ、カブトのような戦い方ができるのも、変身者の天道総司が天才だったからである。
それを、誰かに教えてもらうわけでもなく、自身の力だけでそこまで到達するのは、果てしない道のりになることは明白だった。その考えに行き着き、S君はグッタリとしてしまうのであった。
そしてついに、ボソッとボヤいてしまう。
S君「はぁ…女神様ぁ、何とかならないですかぁ?」
女神『できますよ』
S君「えっ!?」
突然聞こえて来た女神の声に驚いたS君は、キョロキョロと周囲を見渡す。だが、女神の姿は見当たらない。キョロキョロとするS君を他のスタッフは、「何してんだ?アイツ」と言わんばかりの視線を向けつつ、通り過ぎていく。
そして、再び女神の声が聞こえてくる。
女神『周りを見ても見つかりませんよ。今は貴方の頭に直接語りかけています』
S君(そうなんですか。急に声が聞こえたのでビックリしましたよ)
女神『驚かせてすみません。ですが、私を頼る声が聞こえてきたもので』
S君は女神の声に対し、頭で思っていることを念じることで、返答する。どうやら念じるだけでも上手く伝わるようだった。
女神『それで、先程の何とかならないかということですが、なんとかなりますよ』
S君(ほんとですか!?でもどうやって?)
女神『それは、また後でお話します。とりあえず、宏斗さんは仕事を終わらせてくださいね。落ち着いて話せる時に話しましょう』
S君(わっ、わかりました。出来るだけ早く終わらせます!)
女神との会話を切り上げたS君は、すぐさまデスクに戻り、手当たり次第に仕事を捌き始めた。そして、残業も少なめにし、急いで自宅に帰るのであった。
S君宅
S君(ただいま〜)
女神『おかえりなさい』
S君「うおっ!女神様、いきなりすぎますよ!!」
女神『ふふっ、すみません』
再び女神から突然話しかけられ、声を出して驚いてしまうS君。今は自宅にいるため、普通に声に出して返事をしてしまう。この女神、少々お茶目なところもあるようである。
女神『では、話の続きをしたいのですが、直接顔を合わせての方がいいですね。少し目を閉じてください』
女神にそう言われ、S君は目を閉じる。すると、どこかへ引っ張られるような感覚に襲われる。それが止んで目を開くと、そこは転生時に女神と話した空間(便宜上、『女神の間』とする)であり、目の前に女神が立っていた。
女神『ここに来るのは2度目ですね。では、話を続けましょう』
S君「はぁ…それで、何とかできるというのはどういうことなんですか?」
女神『はい。宏斗さんは、天道総司に教えを乞いたいということなんですよね。私だったら会わせてあげることが可能ですよ』
S君「会わせてくれるって、具体的にどうやってですか?」
会えるという言葉に疑問を持つS君。天道総司に会うとしても、どのようにして会わせてくれるのかが分からない。しかし、女神からとんでもない言葉が出てくる。
女神『簡単な話です。一時的に、あなたを天道総司がいる世界。カブトの世界に転移させるんです』
S君「そんなことできるんですか!?」
自身をカブトの世界に転移させると聞かされ、驚くS君。そんなことができるとは全く知らなかったことから、その驚きは大きかった。
女神『はい、できますよ。それくらいなら造作もありません。それに、あなたにはこちらからもサポートしますと伝えたではありませんか』
S君「いや、それは聞きましたけど、別世界に転移させてもらえるなんて聞いてないですよ」
女神『え?』
S君「え?」
S君・女神「『.........』」
両者の間に沈黙が広がる。
女神『すみません。説明が足りなかったみたいですね』
S君「いえ、俺も確認が足りなくてすみません」
S君・女神「『………』」
お互い、それぞれの足りなかったところを謝罪するが、再び沈黙が訪れてしまう。なんとも言えない微妙な空気になってしまった。
女神『コホン。宏斗さん、すぐにカブトの世界に行きますか?』
S君「はい、是非行かせてもらいたいのですが、でも一晩で戻ってこれるかどうか…」
S君は明日も仕事がある。仕事に行くために、明日の朝まで帰ってこられるかを心配しており、脳内では行きたい気持ちと仕事を心配する気持ちで葛藤していた。
女神『大丈夫ですよ。用が済んだ後は、カブトの世界へ転移した直後の時間に、ここへ戻します。明日の仕事への影響はご心配なく』
S君「わかりました。それなら安心です。是非お願いします」
仕事に影響しないことが分かり、二つ返事で転移を頼むS君。本人は自覚は無いが、なかなかの社畜精神が身についている。
女神『では、早速転移を』
S君「あっ、ちょっと待ってください」
女神『どうしました?』
乗り気であったS君からの突然のストップに、女神は不思議そうな顔をする。
S君「転移する前に一旦部屋に戻して晩御飯食べさせてください。腹が減っては戦もできません」
女神『えっ、あぁ、はい、どうぞ』
晩御飯を食べたいという申し出に、女神は少し困惑してしまった。S君にも、このようなちょっとズレた一面があるのだと、つい思ってしまった。
〜30分後〜
S君「お待たせしました。では、お願いします!」
女神『はい、それでは転移を始めます。宏斗さん、ご武運を』
この言葉を合図に、S君が光に包まれる。そして、光の集束と共に、S君の姿も消えた。
────カブトの世界────
渋谷付近 ビルの屋上
S君「ここがカブトの世界…」
無事に転移を終えたS君。ビルの屋上で、この世界の風景を眺める。そして、風景の中にある、ある一点に目が止まる。
S君「あれが、渋谷隕石の落下跡地。あそこからワームが」
視線の先には、廃墟と化した渋谷があった。
この世界では、人類とワームとの間で熾烈な戦いが繰り広げられている。自分が今、その中に入り込んだのだと認識し、気を引き締めた。
S君「まずは、天道総司を探さないと。いるとしたら、ビストロ・ラ・サルかな?場所は…聞き込みをしていくしかないか」
カブトの世界に来たS君。無事に天道総司から教えを乞うことはできるのだろうか。
全てはホロメンのために
今回、まさかの別世界への転移です!
次回からはカブト編に突入します。
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