少し間が空いてしまいましたが、今回はいつもより少し長めのお話になっています。
また、本作ではホロメンたちを独自の解釈を交えて描いているため、話し方や雰囲気などが、読者の皆さまのイメージと少し異なる場合があるかもしれません。
あらかじめご了承いただければ幸いです。
ぺこらとマリンとの仕事の翌日。オフィス内で、S君は険しい顔をしていた。
(昨日の話……すいせいさん、今どのくらい忙しいんだろうか)
(……とりあえず、調べてみないとわからない)
S君は別のオフィスに向け、歩き出した。
ガチャ
S君「失礼します。桜木です」
えーちゃん「あら、桜木さん。おはようございます……って、その顔の絆創膏、どうしたんですか!?」
のどか「本当だ!大丈夫ですか!?」
二人が驚くのも無理はない。S君の右頬には、ほぼ全体を覆う大きさの絆創膏が貼ってあったからだ。
S君「あぁ、ちょっとしたトラブルで……大丈夫です」
えーちゃん「そうですか……気をつけてくださいね」
のどか「無理しないでくださいね」
S君「ありがとうございます。それと、少しお聞きしたいことがありまして」
えーちゃん「はい、なんでしょう?」
S君「星街すいせいさんのスケジュール、今見れますか」
のどか「少し待ってくださいね」
パソコンを操作し、スケジュールを表示する。
のどか「こちらになります」
S君「ありがとうございます」
画面を見つめ、すいせいのスケジュールを確認する。
(……多いな)
(思ってたより、ずっと)
えーちゃん「桜木さん?」
S君「あ、すみません」
一度視線を外す。
S君「これを見て、お二人はどう思いますか」
S君は、二人にすいせいのスケジュールを見ることを促した。そして確認する二人。じっくりと見ていくと、
のどか「え……」
えーちゃん「……少し詰め込みすぎかもしれませんね」
S君「……ですよね」
二人も、ことの大きさを理解したようだ。
S君「こういう時って、どうするのがいいんでしょうね」
えーちゃん「難しいですね……本人の意思もありますし」
のどか「でも、このままだと……」
S君「……」
三人はよいアイデアが浮かばず、黙ってしまう。しかし、そのままでいる訳にはいかず、S君が口を開く。
S君「とりあえず、少し考えてみます」
えーちゃん「ええ。こちらでもできることがないか考えてみます」
S君「はい、よろしくお願いします」
軽く頭を下げ、部屋を出る。
(……考えるって言ったけど)
(具体的にどうすればいいんだ)
歩きながらどうするか悩む。
すると、後ろから声をかけられた。
みこ「おや!そこを歩いてるのはS君かな?にゃっはろ〜!」
S君「あ、みこさん。おはようございます」
振り向くと、さくらみこがいた。
みこ「えぇ!?その顔どうしたの!?」
S君「ちょっとしたことで……大丈夫です」
みこ「それは災難だったにぇ……大したことないのはよかったけど、なんかさ、最近S君怪我すること多いよにぇ。葛山さんも言ってたにぇ」
S君「あー、そうですね。たしかにそうかもしれません。気をつけます」
みこ「ほんとに気をつけてにぇ」
みこ「それで、今日はどうしたの?なんだか困ってそうだけど」
S君「あー……少し」
少し迷ってから話す。
みこ「なるほどにぇ……」
みこ「たしかにすいちゃんは最近かなり忙しくしてるし、これからもまだまだ忙しい日が続くにぇ」
みこ「みんなが心配するのはわかるけど、すいちゃんがそれだけ頑張るのは、自分の夢を叶えたいからだと思うにぇ」
みこ「すいちゃんいつも言ってるよ。東京ドームでライブをしたいって。何としても叶えたいんだと思う」
みこ「その思いは、絶対曲げられないものなんだよにぇ。誰かに止められるのは絶対嫌がると思う」
みこ「でも!」
みこ「身体壊したら元も子もないにぇ」
S君「……」
みこ「んま!みこもビジネスパートナーだから!応援してるんですけど!」
少し間が空く。
みこ「でも、今度のすいちゃんとのコラボ、リスケしとくにぇ」
S君「え……」
みこ「少しは余裕があった方がいいにぇ」
その一言で胸の奥が少し軽くなった。
(……あぁ)
(こういう動きがすぐできるんだな)
(迷ってる間に、先に動ける人だ)
S君「ふっ」
思わず小さく笑う。
S君「みこさんはやっぱりエリートですね」
みこ「ふっふーん!あったりまえだにぇ!」
S君「ええ、そうですね」
S君は同意した。
みこ「S君もちゃんと伝えた方がいいにぇ!」
みこ「心配してるって!」
S君「はい!」
みこ「じゃあS君またね〜!」
S君「みこさん、ありがとうございました!」
みこは去っていく。
S君(みこさん、あなたを推していて本当によかったです)
S君もスタジオへ向かう。
足取りが少しだけ軽くなる。
(……やるか)
スタジオ
S君「失礼します」
S君がスタジオに入ると、中には星街すいせいがおり、レッスンの合間の休憩を取っていたようだ。
S君「すいせいさん。少し大丈夫ですか」
すいせい「ん?S君じゃん。こんにちは。って、その絆創膏はどうしたの?」
S君「あぁ、これは大したことないですよ。心配しないでください。」
怪我について聞かれるが、心配いらないと返す。だが、
S君「……」
伝えたいことはある。しかし、緊張からすぐに話すことが出来ず、少し黙ってしまう。
すいせい「S君?」
なかなか話さないS君を見て、すいせいが不思議そうな顔をする。そしてS君は、意を決して話し始める。
S君「すいせいさん、最近休みは取れていますか?」
S君「失礼とはわかってますが、スケジュールを見させてもらいました」
S君「最近、少し忙しそうだなって思ってしまいまして」
すいせい「まぁそうだね。でも、それは自分で決めたことだから。夢のためには必要なことだと判断したんだよ」
S君「はい」
少し息を吸う。
S君「無理、してませんか」
すいせい「……」
すいせいは答えない。
S君「違ってたらいいんですけど」
S君「ちょっと、そう見えたので」
すいせい「そっか」
S君「体調崩したら大変ですし」
S君「無理しないでくださいね。他のホロメンの皆さんも、心配していました」
すいせい「うん、ありがとう」
S君「では、失礼します」
すいせい「またね」
そしてS君はスタジオを後にした。
すいせいは出ていくS君の後ろ姿を眺める。
すいせい(心配させちゃったかなぁ…)
ピロン!
すいせいのスマホが鳴る。
すいせい「みこちから…」
【すいちゃ〜ん、おつかれ〜。今度のコラボ配信なんだけど、別の日にリスケしたいにぇ。みこ、ちょっと疲れちゃったから少〜し休んで、元気な状態でやりたいにぇ】
すいせい「みこちにも気を遣われちゃったかなぁ」
すいせい「よし」
すいせい「マネちゃん、ちょっといい?」
夕方
S君がオフィスに戻ってくると、
スタッフ「おぉ桜木、すいせいさんから連絡あったぞ」
S君「え?」
スタッフ「スケジュール、少し調整できるかって」
S君「……!」
(よかった)
(ちゃんと届いたか)
S君「わかりました。確認します」
デスクに座り作業を始める。
案件、収録、調整。
やることは変わらない。
ふと窓の外を見る。外はもう暗かった。
(俺も人のこと言えないな)
肩を回す。
疲れは残っている。
(最近、疲れ抜けないな)
それでも手は止めない。
(でも)
(少しは役に立てたかな)
小さく苦笑する。
(まだ大したことはできないけど…やれることをやろう)
全てはホロメンのために
今回も読んでくださり、ありがとうございました。
S君の最推し、実はみこちでした笑
もちろんS君は基本的には箱推しですが、その中でも最も応援しているのはみこちです。
ただ、ホロメン全員を尊敬しており、「ホロメンのために尽くしたい」という気持ちは誰に対しても変わりません。
基本スタンスはホロメンファースト。
ホロメンの幸せガチ勢です。
今後も、そんなS君とホロメンたちとの関わりを描いていければと思っています。
これからも『全てはホロメンのために』をよろしくお願いします。