獣になる、少女に出会う 作:ミステリアス面白女スキー
今後も書けたら上げていく感じになります。
モチベがないわけではないので余程のことがない限り続きがなくなることはないと思われますが多分頻度は低い…
「初めまして。
私はダチョウ、こちらの飛んでいるのはソラ。
図書館を目指して二人で旅をしている者です」
「〜♪! 〜☆」
「これは丁寧にどうも。
私は作家のタイリクオオカミ、よろしくね。
旅をしていると言っていたけれど、他のちほーから来たのかい?」
ソラがほぼ無音で飛行していたこともあってか、タイリクオオカミ……オオカミさんはこちらを振り向いた瞬間少しギョッとしていたが、挨拶を終える頃には元の落ち着いた雰囲気を纏っていた。
しかし他のちほーから来たのか、ね。
……ゆうえんちってどこの扱いなんだろうか。さばんな?それとも固有の名前でもあるのかね?
「うぅーん……どうでしょう、遊園地の辺りから来たのでまぁ他のちほーといえば他のちほーかも……?
あ、オオカミさんは遊園地ってわかりますか?」
「ゆうえんち……あぁ、もしかしてあそこかな?
確かかんらんしゃ?がどうとか、この前はかせから聞いた覚えがあるよ。
あそこは不思議なものが色々あるよね」
「おぉ、ご存知でしたか。
私はその遊園地とさばんなちほーの間のあたり……ですね、そこから来ました。
ソラさんはそこよりはもう少しここに近い場所にある大きな建物に住んでいたんです。恐らくそこで最近生まれたのかな?
セルリアン騒ぎがあって、出てくることになっちゃったんですけどね」
「………〜?」
久々に他人との会話らしい会話をしたことでテンションが上がったせいか、別に聞かれてもないことも話してしまった。いやソラとも話してはいるけどなんというかこっちがちゃんと理解できてないから新鮮というか……
「……そうか、それは大変だったね。
もしかして、君の声が少し特殊なのは……」
「〜×!」
「あぁいえ、そういう訳ではないみたいです。
どうやら元々フレンズの言葉は喋れなかったらしく……。 とはいえセルリアンに襲われて食べられかけたのも事実ではあります。
もしかしたらそれが原因で何かあるかも?と思ったのも旅をしている理由ですね。
一番は彼女が何の動物なのかを調べて、新しい棲家を探す手掛かりにするためですが」
「おや、そうだったのか
何事もなく何の動物かわかるといいね。
応援してるよ」
余計なことを言ったせいで一瞬顔を曇らせることになってしまったが、否定したことでなんとか元通りの表情になってくれた。
やっぱ余計なこと言ったり思ったことすぐ言ったりするの絶対直したほうが良いんだよな……直るのかな?これ……生前絶対こんなんじゃなかったはずのに……
とはいえ、反省は後にしよう。せっかく会えたんだから色々話してみたいしね。
「ありがとうございます……
そういえば、オオカミさんはここで何をしてらっしゃったんですか?」
「私かい?
私はスケッチをしていたんだ。
次の話の舞台が海辺でね、誰かが作ったであろうものが見えたから、今はそれを描いていたんだ」
そう答えたオオカミさんは、描きかけの……と言ってもほとんど完成しているであろう船の絵をこちらにチラリと見せてくれる。なんのために作られたものかはわからないんだけどね、と笑いながら呟く彼女はとても楽しそうだ。
……もしかしてそれを博士とかに聞くため、みたいなのも込みで描いてるのかな?アニメの時も思ってたけどやっぱ絵上手いよなぁ……
「〜……! !!」
「おぉ……絵、お上手ですね……」
「ふふふ、ありがとう。
大変だったからね、そう言ってもらえるのは素直に嬉しいよ」
照れくさそうに笑っているが、本当に凄いことだ。
そりゃ勿論人間の中にはもっと凄い絵を描く者だっているが、そもそもそんな人間はごく少数なわけで、フレンズであり周りに教えてくれるような存在も……もしかしたら博士とかが教えたりしたのか?仮にそうだとしても困難な道のりだっただろうに。
……後に知ったことだが、博士が教えたのはあくまで漫画というものの概要だったり作り方であって、絵の技術なんかはほとんど教えたりしておらず、あくまで聞かれたことに対する回答を簡単に調べたり、本の内容を伝えたくらいしかしていないらしい、すげぇ。
「こほん。
……そういえば、君達は図書館に向かっているんだったよね?
こっちの方だと多少道がずれているような気がするけど、迷ったのかい?
ずっとついていくのは無理だけれど、途中までなら道は教えられるよ」
いや本当すごいよなぁと思いつつソラと2人で褒めていると、恥ずかしくなってしまったのか赤面しつつ話題を変えられてしまった。
……まぁソラが誉めてたのかはちょっと言語がわからないからなんともいえないけど、ニコニコしながら話しかけてたしきっとそう。
「あぁいえ、実は私の目的の一つに港を見ておきたい、というのがありまして。
それでちょっと回り道になるけれどこっちを通ろう……と、言っても決めたのは私なんですが」
「港……?とは?」
「あー……船……先ほどオオカミさんがスケッチしてらっしゃった物の名前ですね。それが停まる場所です。というかそこが港ですね」
「なるほど……その様子だと船?のこともどういうものか知ってるのかい?
もしよければ教えて欲しいな」
「水の上……湖や川、海なんかですね。それの上を移動するための乗り物です。
どうやって動かすのか、そもそもどんな理屈で動いてるのか、とかは正直私もわかりませんが……」
多分ボスがアクセスしてたのを考えると色々デジタルな感じなんだろうけど、元いた世界の一般的な船の動かし方とかもそもそも知らないのであまり気にしなくてもいいだろう。そもそも使うつもりもないし。
「なるほど……君は随分物知りなんだね、はかせの知り合いだったりするのかい?」
……話しすぎたかな。でもせっかく力になれることがあるならなりたいし……いや別に変な誤魔化し方するわけにはいかないけど馬鹿正直に言うべきではないし……あぁそうだ。
「いえいえ、引きこもって本を読んでいたおかげで多少知っているものが多い、というだけですよ。
ソラさん以外のフレンズに会ったのも今日が初めてですしね、私」
引きこもってた知識人、これで行こう。
明確な場所とかちゃんと言えるわけじゃないけど遊園地付近でフレンズを見かけなかったと言うことはあの辺りなら引きこもっててもきっと誰にもバレないはず。今後は聞かれたらこう答えよう。本当のことも挟んではいるしね。
「えっ……そ、そうだったのか。もしかして生まれてからそんなに経ってない……のか……?
いやしかしそれにしてはかなり物知りな……?図書館を知ってるならそれを知るきっかけがあったはず……
それに本を読んでいたと言う事はもしや字も読める……?」
「〜……!」
……なんで君がドヤ顔してんのさ。
とは言えこの場で言及され続けるとボロが出そうだしこの話はうまいこと切り上げたいな。
「ま、私の事は良いんですよ」
「いや気になるよ流石に。
……そうだ、今日の寝床もまだ決まってないんじゃないかい?
もしよければ私が普段世話になってる場所があるから、今晩はそこにおいでよ。 安全な寝床の重要性はわかるだろう?」
「……むむむ。
まぁ、確かにそうですね」
「勿論ずっといてくれなんて言うつもりはないよ。
でもそうだな、多少話は聞かせて欲しいね。君達は面白そうだし、さっきも言った通り私は作家だから、取材も兼ねてさ」
「んんー……ソラさんもそれでいいですか?」
「!。 〜♪」
視線をソラに戻してみると、大きく頷きながらいつの間にか取り出していたカメラで船を撮影しているようだった。
「よかった、決まりだね。
それじゃあ行こう……あぁ、ちょっと待ってくれ、この絵だけ書き上げても良いかな」
「構いませんよ、この子も写真撮り足りないみたいですし、私も船の中ちょっと見てみたいので」
「写真?」
「あー……また後で話します」
─────────────
「へぇ……それがこんなものを……
これを作った者は、この景色を手元に置いておきたかったのもしれないね」
「〜……♪♪ …? !!」
「お待たせしました、何を話していたんですか?」
住処に案内してもらうことを決めて大体1時間くらいだろうか、たっぷりと船の調査を行い──表面や中を見て回ってすげーって感想を漏らしてただけで得られた情報は一つもない──戻ってきたところ、どうやら二人も用事を済ませていたらしく、写真を見ながら雑談をしていた。
……してたんだよな?多分雑談してた筈だ。
「あぁ、これを見せてもらってたんだよ、先ほど言っていた……写真?だったかな、これがそうなのかい?」
「この道具はカメラですね。
カメラで撮ったもの……今見ているそれが写真です」
「なるほど、カメラ……これは凄いね。
今日一日だけで、今まで知らなかったことがどんどん明らかになっていてちょっとワクワクしているよ」
「それは良かった。
お二人が問題なければそろそろ移動しようと思うんですが、どうでしょうか」
「私は構わないよ、やりたい事も終わったしね」
「〜!」
ソラは相変わらず何を言ってるのかはよくわからないままだが、嬉しそうな声を上げながらサムズアップをしてくれるあたり、問題ないとかそんな感じなんだろう。
それを確認したオオカミさんが、質問を投げかけてくる。
「さて、少し聞いておきたいのだけれど、ふたりは悪路には強い方かな?
……ソラの方は聞くまでもない気がするけど、一応ね」
「! 〜♪!」
「私は……どうなんでしょうね。距離移動する分には問題ないかと思いますがそういったところを通った記憶は無いのでなんとも……引きこもっていたせいでわかりませんね。
動物時代にも変な道通った記憶はない……ような気がします。うん、多分」
……ダチョウって悪路に強くは無さそうだよなぁ、生息地的に足場悪いところ通る事あんまりなさそうだし、そもそも二足歩行の鳥類だし。
「それなら通りやすい道を使おうか、時間にも余裕はあるし」
「ありがとうございます、助かります……」
「良いよ良いよ、気にしないで。
余裕ある方が話も聞きやすいしね」
そ、それが狙いか……
いやまぁ、話せることなら別に全然話しても構わないんだけどね。ボロが出そうだから変な話にならないで欲しいだけで……
「ま、気楽に行こうよ。
そう遠くもないしね」
「〜!♪」
「ソラさんは本当に元気ですねぇ……」
先導するように歩き出したオオカミさんに置いていかれないように着いていく。
さて、一体どうなることやら