雄英高校。静岡にある、ヒーローを育成する「ヒーロー科」のある学校の中でも最高峰の高校だ。
今日は、その入試。
「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい、
玄関の戸が閉まる音なんて気にも留めず静岡を目指す。
(……うん、今日は調子良い。いける)
体内を血が巡る感覚が、いつもよりも鮮明に感じ取れる。鼓動が大きく聞こえる。心臓がどくんと跳ねる。一定のリズムを保って、太鼓の音のように鼓舞してくれる。
気づけば、足は雄英高校へと踏み入っていた。
(さあ、行こうか)
・・・・・
筆記は上々。なんなら重要なのは実技試験のほうだ。4種(1体はおじゃま虫らしい)の仮装敵を倒し、そのポイントの合計で順位を決める。定員40名のうち、推薦4名を除いた上位36名が入学となる。
プレゼント・マイクの演説を耳に入れながら、息を軽く整える。
「……?」
見えたのは、服。綺麗に折りたたまれた、服。……え、全裸?
『どうしたあ!?実践じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!際は投げられてんぞ!?』
「っやべ!」
その一声で、大勢の受験生が雪崩込む。やっぱ最初はスピード強い個性が1つ抜けるか……!
「ふー……」
体内の血中成分を弄るんだ……出来るだろ?
「よし!!」
いい感じに散ってくれて、仮装敵も残ってる!殴って殴って殴りまくる!!
「ってぇ……!この敵意外と硬いな」
もう少しなら行けるか?
あ、そっち一体いるな
「お邪魔します」
「うお!?はっや……」
これは蹴落とし合いだ。誰かが敵を相手してるから譲る、なんて選択肢はない。
「さあ、どんどんいこうか……!!」
・・・・・
「受験番号8177番、いい動きですね」
「ええ、彼の個性は……”血液操作”。ブラドから見てどうかしら?」
「……体内の血中成分の操作をして、身体能力を上げているみたいですね。汎用性も高く、ヒーローでも人気はかなり取れるかと」
「にしても、個性届見れば見るほど似てるね。隠し子?」
「違いますが!?」
・・・・・
「……あ」
あのデケえの!!あれか0点敵!!
「……身体強化じゃ無理、だよな」
だからといって、諦めるつもりは毛頭ないけど。
「……さて、どうする?」
身体強化じゃ無理。必然、体外での血液操作に頼ることになる。
そして、今使えるのは……凝固、血の刃、チャクラムくらい。あとは──。
「いや、足りない」
火力が足りない。そもそも射程がない。
じゃあどうしたらいい?
「悩む時間なんて……!!」
いらない!!ヒーローは、1秒でも早く敵を捕縛し、人を助ける存在だろ!!
「っ……!」
①、リストカットで、即席の血液確保。これは楽。
「ふーー……」
②、血液の”圧縮”。周りにものがないので、とりあえず手のひらで。
「限界ギリギリまで圧縮して……指で指向性を持たせる!」
③。後は簡単、放つだけ。
「っらァ!!」
それは、完成形には程遠い。現に、圧縮に力を入れすぎたことで照準がぶれている。
(それでもいい。届いてくれれば)
これは、後に彼の奥義となる技である。名を──
「
そう呼ばれた一筋の血は、見事敵の頭部を撃ち抜いた。
”彼”は転生とかじゃない天然ものです。個性の発現から何もかもが手探りなので、赤血操術にとてもよく似た技自体はいくらか完成していても、技名がついていないものが殆どです。なんなら、”彼”は穿血が初めて名前を付けた技です。君センスいいね。センスにじゅうまる。