「よし、始めるか」
「う、うん……よろしくね、渡我くん!」
「おー。まあ適当に聞いといてくれ。あんまり教えるの上手くないかもだし。……だからそのノートとペンをしまえ」
それは、体育祭2週間前に遡る。場面は、緑谷との稽古。万が一とのことで、相澤先生が見てくれている。
「それで、僕の個性の制御だよね?」
「ああ。……お前、どんなイメージで個性使ってる?」
「え?それは電子レンジの卵が割れないイメージで……SMASH!って」
それを聞いた俺は思った。コイツ馬鹿だ。
「よし、その認識は全部忘れろ」
「ええっ!?でもオー……っ師匠がこれでもいいって……」
「そしたら相当の感覚派か、単純に教えるのが下手な奴だ。……で、だ」
「!」
緑谷が俺に向き直る。
「まず、お前は個性を使わずに組手をしてもらう。俺は使うが」
「──え?」
・・・・・
「はぁっ、はぁっ、ゲホ……!」
「……貧弱だな」
「ぐう……!もう1回……」
「ダメだ休憩。コレ終わったら休憩って何回言ったか覚えてるか?」
「えっと……2?」
「5だバカタレ。ったく……ほら、水だ。沢山買ってるから飲め」
「あ、ありがとう……」
ある程度息が整った緑谷に向け、声をかける。
「そうだな……個性使わずに俺とやってみて、どうだった?」
「勝てないよ……無理に決まってる」
「……急に発現したんだったな、そういや。かなりやりづらかったろ」
「うん」
「それに、相当無茶なトレーニングまでしてたな?筋肉のつき方も少し歪だ」
「うぐっ」
相澤先生は、必要な時に止めてくれる。まあ……うん、今のところ何もしてこないので、OKなのだろう。ならばどんどんやらせてもらう。
「とまあ、置いておいて……俺の個性は血液操作だ、緑谷。それを利用し、
「それは……何回も聞いたよ?それがどうかしたの?」
「全身の血中成分使って強化してるんだよ。赤燐躍動のやり方」
「いや、それができるのは君だけだよ……僕は渡我くんじゃないんだから」
「そうだな。でもやってることは同じ身体強化だ。お前の場合は制御が効かなくてぶっ壊してるが……」
当然のことじゃないか?とでも言いたげな……いや。
なにやら閃いたな。
「そうだ、そうだよ……!なんで腕だけ使ってたんだ僕は……!全身だ!全身で、ワン・フォー・オールを──!」
……ワン・フォー・オール?
「バカ、今全身100%でやろうとしたろ!!」
「あっ……!!」
「無意識か?……無意識の制御が出来てるんだ、下かあ上げてけ。心臓を起点に、身体の隅々までエネルギーを流すんだ」
「……!!」
なるほど、これが──
「そうだ、それが第一歩、
「ここが上限……5%!」
「……やれるか?」
「多分!!」
「かかってこい」
・・・・・
……これで5%、末恐ろしい。相澤先生も目見開いてた。これの20倍か……考えたくはないな。
「お疲れ。初日でそこまで考えついたなら、あとは伸ばすだけだ。まずは簡単に移動とアクロバット、それから攻撃だ。1週間で全部叩き込んでやる」
「うん!!」
・・・・・
というわけで、緑谷は残りの1週間でさらに化けた。今なら俺の赤燐躍動や爆豪の機動力に匹敵する。
「ンの、デク……!!」
「緑谷!?」
「さあ、遊ぼうぜ」
早速、緑谷が俺に向かって殴りをいれる。……っく、コイツまたパワー上がったか……!?
『A組緑谷が猛追ーー!!四つ巴の戦いだぁ!!ここまで来るともうワケわかんねぇな!!!』
『互いを警戒しすぎて、あまり踏み出せてないようだな。もっとも、
「ンだそれ……まだ俺に隠して……いや、制御したのか」
「うん。渡我くんに教えてもらったんだ」
「渡我……」
「どうせやるなら全力だ。その方が楽しい」
赤縛。
「!?」
「誰がお前を鍛えたと思ってる、緑谷」
「うあ……あぁっ!!」
「……マジか」
赤縛って破れるもんなんだな。
「フんッ!!」
「い゛っ!?!?眩し……!!」
爆豪か!!爆破を応用しての目眩まし……!ほんっと、才能溢れすぎだぜお前はよ……!!
「赤燐躍動……
「うっ……!?」
「あ゙っっっづ……!」
「うぐぁ……!?」
『轟が蹴り飛ばされたぁ!?!?』
『アフガンどころか……さらにその手前まで蹴っ飛ばしたぞ。どういう威力してんだアイツの技は』
「赤燐躍動の出力を極限まで高めたものだ。裏を返せば、現時点で俺の身体能力はここが限界ってことだ。ここ凌がねえと土俵にすら立てねえぞ」
「うるせぇ……!!テメェの熱で汗ドバドバだわ!!」
右の大振り──!!
「がっ……!」
「ついてくんなデク!!」
「いやだ!追いかける!」
あ゙ー……仕方ねえ、1回戦は譲ってやるか。俺の不注意、自己研鑽不足だ。
「2回戦、よろしくな」
『さぁさぁ1位は──爆豪勝己!!そして2位!!緑谷出久!!3位は渡我漿だぁ!!』
主人公のテンションが上がりに上がってます。戦闘狂。カッシーかな?