「なんだこれすげー面白そう!!」
「801mってマジかよ……」
「”個性”思いっきり使えるんだ、流石ヒーロー科!」
……相澤先生の様子が……?
「なるほど。楽しそうか。ヒーローになるための3年間、君達はそんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?……よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、「除籍処分」としよう」
「はあああああ!?」
「生徒の如何は俺達の自由。ようこそこれが──雄英高校ヒーロー科だ」
・・・・・
理不尽だと文句を言うクラスメイトを相澤先生が一言で鎮め、鼓舞をする。
……確かに、先生の言っていることは全て合っている。ただ……ただ、重すぎる。入学初日の生徒へ掛ける言葉としては、あまりにも。
「5秒22!」
とりあえず、出来ることをやろう。
「……280キロか」
「お前どっからその筋力出してんだ?強化系の個性か?」
「秘密」
「えー」
基本、身体強化だけで乗り切る。というかそれくらいしか選択肢がない。
……いや、原付はズルじゃん?
・・・・・
「緑谷くんはこのままだとマズイぞ?」
「たりめーだ無個性の雑魚だぞ!」
無個性だと?無個性がヒーロー科に入るなんてのは、小さい頃の絶望を振り払うメンタルと毎日10時間筋トレくらいしなきゃ無理だろ。
じゃあなんで……。
「46m」
「な……今確かに使おうって」
「個性を消した。つくづくあの入試は合理性に欠けるよ。お前のようなやつでも入学できてしまう」
「ああ……そうか思い出したぞ……抹消ヒーローイレイザーヘッド!」
イレイザーヘッド……聞いたことはないな。テレビ見ないし。アングラなら知らなくても仕方がないか……。
そして、個性の制御ができない。爆豪は無個性って言ってたけど、情報にズレがあるな。てゆーか爆豪は緑谷を敵視し過ぎだろう。
「個性は戻した。ボール投げは2回、さっさと済ませろ」
何かをぶつぶつ呟きながら息を整える緑谷。さっき、発動の予兆はあった。あの時見えた。
恐らく、緑谷の個性はそれらを操り、纏い、強化するもの。でも、緑谷はそれを扱いきれてないんだろう。
だから自壊覚悟で使お──うとしたところを相澤先生に止められた、と。
「……!」
なるほど、指先に集中させて──
「SMASH!!!!」
放つ瞬間に個性を使い上乗せしたか!
「……やるじゃん、緑谷出久」
「まだやれます、先生!!」
「どーいうことだデクこらワケを言えてめえ!!」
「だーめ」
「っ!!この
「渡我ね。人の名前覚えなって」
「何度も個性使わすなよ。渡我も離せ。俺はドライアイなんだ」
「もったいな」
・・・・・
「さて、全種目終了だ。んじゃぱぱっと結果発表。あ、除籍はナシな。君たちの最大限を引き出す合理的虚偽」
「はああああああああああ!?!?!?」
……まあ、理にかなっちゃいるが……最初のあの目はガチで1人除籍する目だった。……最下位は緑谷。……ああ、緑谷のあのボール投げか。アレ見て気が変わったんだろうな。少なくとも見込みナシではなかったらしい。
「これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類がある。目通しとけ。あと緑谷はリカバリーガールんとこ行って治療してもらってこい。明日からもっと過酷な試練の目白押しだ」
・・・・・
「ふう……」
実家は雄英からは離れてるので、1人アパート暮らし。ちなみに隣に麗日住んでる。
「……緑谷出久」
伸びしろしかないじゃん。まあ、あれだけのパワーで扱いきれてないのはちょっと不自然ではあるけど。
「楽しみだ」