クソボケに勝手に脳焼かれた人達と要介護者がなんやかんやあって生きる話〜俺はもう終わりたいんですけど!!〜   作:冷製春雨スープ

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エピローグ

昼下がり、マサオミは執務室のソファに座って、今朝届いた手紙を開封していた。

 

 「マサオミ様?誰からの手紙なのですか?」

 

 仕事に集中するフリをして、マサオミを見ていたゆかりはマサオミが手紙の中身をある程度確認し終わるのを待っていた。

 

 ゆかりは内心疑っていた。

 まさか.....まさか、女....なんてことないですよね?...ね?

 

 「団員だ」

 

 そういえばマサオミ様は傭兵団の団長をされていたんですよね?では、何の要件でしょう....

 も、もしかして!前線に帰ってきて欲しい....とか?

 

 「そ....それで、内容はお聞きしても良いのでしょうか?...もちろん、駄目ならそれで良いのですが!」

 

 マサオミは手紙から顔を上げて、ゆかりの方を見る。

 

 「構わない。お前にも関係している」

 

 「関係....とは...?」

 

 やっぱり....もう前線に行ってしまうのでしょうか.....

 

 「1週間後だ」

 

 「へ?」

 

 「着くらしい」

 

 ?なんで?

 

 ゆかりは素で忘れていた。彼が何のためにここにきたのか、何故ここにいるのか。マサオミとの日常が楽しくて忘れてしまっていた。

 

 そして思い出した。

 

 そうだった。そうでした。マサオミ様は、私の護衛依頼のためにここにいるんでした。

 

 ですが、マサオミ様お一人ではなかったのですか。団員の方々がいらっしゃるのは初耳ですね?

 

 「その...団員様達は何をしにここへ?」

 

 マサオミは心底不思議そうに首を傾げた。

 

 「?依頼だ」

 

 「.........てっきりマサオミ様だけだと思っておりました。」

 

 北点傭兵団は知名度が高く、有名な傭兵団である。少数精鋭の傭兵団のため、他の傭兵団に比べたら母数が少ない。しかし実力に関しては、他の傭兵団の追随を許さない戦果を前線で上げている。

 故に北点傭兵団は、1人雇うのにも大変なのだ。ゆかりが依頼できたのは、コネによるものが大きかった。

 だからゆかりは、マサオミだけだと思っていた。団員全員が来る予定だったなんて知らなかった。戦う者としてのマサオミは一流だが、団長としては3流以下だった。

 

 「言ってなかったか?」

 

 「はい。聞いていませんね。」

 

 数秒の沈黙。時間の流れが遅く感じる。

 

 マサオミは考えていた。

 言ってなかったのか?

 

 そういえばスミレが、「....聞いていなかったな.....まあいい。其方、当方達は前線でやり残したことを済ましてから向かう故、その旨を方陣の当主に伝えておくのだぞ。頼んだからな。」

と言っていた気がする。

 

 「そうか」

 

 今言ったしいいか。大丈夫だろう。

 

 ゆかり、流石に少し怒る。当たり前である。

 

 「そうかではありません!キチンと報告をお願いします!」

 

 「言った」

 

 「今ではないですか!最初に!申し上げてください!」

 

 「わかった」

 

 ゆかりはマサオミの顔をよく見てみる。

 いつも通りの仏頂面、しかし心なしか少し目を逸らしているように見える。

 

 ゆかりは、はぁとため息を漏らし、仕方のない人ですね。と思いながら微笑んだ。

 

 そして窓の外を見て思考に耽る。

 北点傭兵団の全員を短期間とはいえ雇えるのは正直悪くないですね。

 前評判通りなら実力は信用してもいいと思いますし、マサオミ様の戦闘能力は噂に違わぬ実力でした。そんな彼が率いる傭兵団ならば、人格面でもあまり問題はないとは思うのですが...

 

 ゆかりには懸念点が一つあった。

 

 スミレ、ねい、カレラ。この3人は女性ですよね?.....もしかしたら.....いや、マサオミ様に限ってそんなことないとは思うのですが!もしかしたら....."そんな"関係...なんてことないですよね?

 

 目線をマサオミに戻す。

 そこには、とっくに本を取り出して読み始めていたマサオミの姿があった。マイペースが過ぎる。

 

 あの本をマサオミ様に勧めたのは、確かねい様とカレラ様ですよね?何の意図があって?

 

 思考の海に入り込もうとしてやめた。

 

 今考えても仕方がないですね。団員の皆様と直接会ったらわかることです。

 今から1週間後ですか。どんな方々なのでしょう。唯一わかることは、多分とても苦労なさってる方々ですね。

 

 ふふっとした笑いをこぼす。そんなゆかりの様子をマサオミが少し不思議そうに見ていた。

 

 

 

 

 同時刻

 

 小柄の薄ピンクのボブがテントの中を顔だけ出して覗き込む。丸くて大きい瞳が輝いていた。

 

 「ねー!まだー?早くだんちょのとこいきたいー!」

 

 瘴気の漂うあまり空気がよいとは言えない環境

 ひび割れた地面に見る影もない人類の痕跡

 そのただ中にある、テントが並ぶベースキャンプ。

 そこに団員達はいた。

 

 金髪の長いツインテールを荒ぶらせながら、鏡から目を離し、元気な声の下手人の方を向く。

 つり目も相まって少しキツイ印象を受ける。

 

 「ちょっと、ねい!少し待ちなさい!まだ準備できてないの!!」

 

 「えぇ.....だんちょと会うのは1週間後だよ?今からそんなおめかししても....」

 

 「こう言うのは、常日頃から気をつけるのが大事なのよ!ほんっとお子様ね!!」

 

 「ちょっと〜!カレラひどい〜!」

 

 まるで前線とは思えないほど、そこの空気は和気藹々としていた。それもそうだろう。久しぶりに団長に会うことができるのだ。ねいとカレラは普段よりテンションが高かった。

 

 「お、ねいちゃん。早いでやんすねぇ」

 

 1人の男がゆっくりと歩いてくる。明るい茶髪と糸目が特徴のひょろひょろの男だった。

 

 「あ、ザンザ!おはよう!」

 

 「あら、ザンザじゃない。今日も軽薄ね」

 

 「ちょ!カレラちゃん朝から厳しいでやんすね!」

 

 突然刺してきたカレラの言葉のナイフがザンザに突き刺さる。開口一番でこれである。

 しかし、空気が険悪になることはない。冗談だとわかっているのだろう。

 

 「....其方達、もう馬車が出る時間だ。なにをしている。」

 

 紫かがった黒髪のポニーテールを揺らし、落ち着いた口調で尋ねた。

 

 「スミレ!聞いてよ!カレラが鏡から離れようとしないの!」

 

 「ちょっ!ねい!ザンザ、何とかしなさい!」

 

 「俺っすか!?」

 

 「.....当方は先に行っている。出来るだけ早くな。」

 

 スミレは逃げるように、馬車の方へ歩いて行った。

 

 戦場に似合わないワイワイと明るい声が前線中域に響く。

 

 これが団員達の日常だった。




こんにちは、冷静春雨スープです。

 ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。一章では、マサオミくんの過去も力も何も出していなかったと思います。それでも一章を読んでいただけたことに感謝しています。感想や評価をいただけるとありがたいです。

 二章は現在、今月中の投稿の再開を目標に執筆しております。
私の文章はまだ拙い部分も多く、読みにくい場面もあったかと思います。気長に見てやってください。

 是非、気が向いた時にでも読んでやってくださいね。

 後この後二章プロローグだけ投稿します。
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