クソボケに勝手に脳焼かれた人達と要介護者がなんやかんやあって生きる話〜俺はもう終わりたいんですけど!!〜   作:冷製春雨スープ

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 思ったよりも早く二章エピローグまで書き終わりましたので、投稿再開します。


一話

 

 夕日が沈みつつある暮れ時

 ねいが凝り固まった体を伸ばすように伸びをしながら歩いていた。

 

 「やっとついたぁー!んぅ〜、はぁ!!」

 

 方陣家直轄領、厩舎に馬と馬車を預けた団員は、方陣の屋敷に向かって歩いていた。

 各々が街並みを見ながら歩いている。しかしその歩調は少し早歩きだ。

 カレラは物珍しそうに言った。

 

 「ここが日輪の國ね。初めてきたわ。文献で見ていた日輪の街並みと違うのね」

 

 カレラは思う。

 文献では、瓦と言う石?の屋根が並んでいると書いてあったんだけど、違うのね

 

 その疑問に両手を頭に当てながら歩いているザンザが答えた。

 

 「ここは日輪の國でも、他国の文化が流れてるんでやんすよ。どちらかと言うと街並みはアストライア王国に近いでやんす」

 

 「其方、詳しいな。来たことがあるのか?」

 

 ザンザがスミレの方を向いた。

 

 「一回だけでやんす。でも1日も滞在しなかったでやんすねぇ」

 

 ぴょんぴょんと上機嫌に歩いているねいがザンザに顔を向け、不思議そうになんでか尋ねた。

 

 「秘密でやんす。俺ちゃんはミステリアスな男なんでや・ん・す!」

 

 うへぇとした顔をしながらねいはザンザから顔を逸らす。

 スミレとカレラもザンザから顔を逸らした。

 ザンザがガクッと肩を落とした。

 

 「....無視でやんすか?」

 

 「そんなことより早く行こうよ〜!だんちょに早く会いたい!!」

 

 「え、そんなことでやんすか?」

 

 「そうだな。当方も楽しみだ」

 

 「そうね!!早く行くわよ!!!!」

 

 ザンザは思う。

 兄貴ならみんな反応してくれたんだろうなぁ。まあ兄貴絶対言わないんでやんすけど

 

 しばらく歩いていると、ねいがある屋台をビシッと指を指しながら、明るい声を出した。

 

 「あー!!あれじゃない!!だんちょが言ってたお菓子!!」

 

 カレラ、スミレ、ザンザがその方向を見る。

 そこにはデカデカと『わたあめ売ってます』と書かれたのぼり旗があった。

 カレラが少し目を輝かせた。

 

 「本当ね!!マサオミが言ってたわたあめじゃない!!食べてみたいわ!!」

 

 「ね〜!カレラ!一緒にたべようよ!!」

 

 わちゃわちゃとはしゃぐ2人にスミレが声をかけた。

 

 「ねい、カレラ。宿屋への帰りに買って帰るのがいいだろう。今から依頼主の元へ行くのだ。荷物になってしまう」

 

 「それもそうね」

 

 「えぇ〜。はーい」

 

 スミレはそれらしいことを言ったが本質は違った。真面目ぶったポニーテールはただ早くマサオミの元に行きたかっただけである。

 

 それをザンザは気がついていた。

 少しニヤニヤとしながらスミレを見ている。

 

 「....なんだ」

 

 「いやー?なんでもないでやんすよー」

 

 そんなこんなで歩くこと20分ほど、方陣家の屋敷の前についた。

 門に立つ門番と団員たちの目が合う。

 

 門番は考えていた。この状況、身に覚えがある。そういえば、団長様がいらっしゃった時もこんな風の涼しい日だったな。と

 門番はゆかりから先程報告を受けていた。後ほどマサオミ様のお仲間の方々がいらっしゃるので、通してくださいね。と

 

 団員と門番の間に数秒の沈黙が訪れる。

門番の喉がゴクッと動く。

 

 団長様のお仲間と言うことは、彼女達も傭兵と言うこと

 

 ある一言がフラッシュバックする。

 

___通せ

 

 言うのか?通せと言うのか?

 門番に緊張が走る。

 

 スミレが前に出て、依頼の受領書。その写しを門番に見せる。

 

 「当方達は其方の主人、方陣ゆかり殿の護衛依頼で参った。そちらに団長が先に来ているはず。方陣ゆかり殿にお眼通り願いたい」

 

 門番は思わず口を開け、呆けてしまう。

 傭兵って皆通せじゃないんだ。ちゃんとしてる人もいるんだ。

 

 スミレが不思議そうに門番を見ている。

 

 「どうかされたか?」

 

 「....い、いえいえ!ご苦労様です!ゆかり様からは報告いただいております。案内いたしますので、どうぞついてきてください!」

 

 「そうか。感謝する」

 

 団員達は皆同じことを考えていた。

 そっか。よかった。団長ちゃんと私達も行くこと伝えてたんだ。てっきり『聞かれてない』とか言ってなにも言ってないものだと....

 

 

 

 

 門番がコンコンコンとノックをする。

 

 「どうぞ」

 

 部屋の中から綺麗な、そして少し威厳のある女性の声が聞こえる。

 

 門番が扉を開ける。

 

 「失礼いたします。団長様のお仲間の方々をお連れしました。」

 

 団員は部屋の中に入った。その部屋には本棚が並び、アンティーク調の家具が並ぶ雰囲気のある部屋。その部屋の奥には、書類仕事をしている女性がいた。そして真ん中のソファに座ってヌボーとしている男性。マサオミだ。

 

 ねいとカレラが明るい声を出し、マサオミの方に駆け出した。

 

 「だんちょ!!あいたかったよー!!!」

 

 「マサオミ!!久しぶりね!!」

 

 ねいはマサオミの左手を、カレラは右手を握る。

 そんなマサオミは、今気がついたのか2人の方を少し見てから

 

 「ああ」

 

 こう言った。淡白がすぎる。

 

 マサオミは思っていた。

 3週間って久しぶりなのか。

 

 ザンザとスミレはゆっくりと団長の方へ近づいて行く。

 

 「兄貴!久しぶりでやんすね!」

 

 「団長。元気にしていたか?....おい。よだれが垂れているぞ!まったく....」

 

 スミレが懐からハンカチを出し、マサオミの顔を拭う。あまりにも自然な行動だった。

 そして団員全員がゆかりの存在を忘れていた。可哀想である。

 

 少し唖然と見ていたゆかりは正気を取り戻し、こほんと咳をする。するとマサオミ以外の団員達、そして門番はゆかりの方を見た。

 

 「貴方はもう下がっても大丈夫ですよ。職務に戻ってください。」

 

 「わかりました。失礼いたします」

 

 門番が素早く執務室から出ていった。」

 

 スミレが思う。

 彼女が方陣ゆかりか。聞いていた通り若いな。

 

 真面目な顔をして、ゆかりの方を向いているスミレ、その手は依然としてマサオミの顔を拭っていた。悪意もなく、スミレがやっているからマサオミは抵抗していないが、心なしか少し眉毛が寄っているようにも見える。よだれはとっくに拭えていた。そもそもよだれなど垂れていなかった。

 

 ゆかりはそんな団員達の雰囲気を見て考えていた。

 え、距離....近くないですか?あのツインテールの方とピンク髪の子はマサオミ様に抱きついてますし、ポニーテールの方はずっとマサオミ様の顔を拭っています!羨ましいです!私もマサオミ様に抱きつきたいです!!顔を拭いたいです!!

 

 ゆかりの内心は荒ぶっていた。嫉妬である。

 しかし表面には出さない。微笑んでいる。

 

 「ようこそいらっしゃいました。北点傭兵団の団員の皆様。依頼を受けていただきありがとうございます」

 

 スミレはようやくマサオミを拭う手を止めて、ゆかりの方を体ごと向ける。何事もなかったかのように自己紹介を始めた。順番がおかしかった。

 

 「初めまして、当方はスミレと申す。この男はザンザ、その金髪の女はカレラ、そしてねいだ。よろしくお願いする。」

 

 一拍おいたのち、スミレは話を続ける。

 

 「団長から話は聞いていたとは思うが、当方達も護衛依頼で参った」

 

 「.....ええ。聞いて...おります。その....今日ですが.....」

 

 スミレの時間が止まった。

 今日?今方陣ゆかり殿は今日って言ったように聞こえたが....

 

 スミレはザンザの方を見る。

 ザンザは頷いた。

 

 カレラとねいの方を見る。

 あんぐりとした顔でマサオミを見つめていた。

 

 ゆかりの方へ向き直し、信じたくない。そんな声色でゆかりに尋ねる

 

 「方陣ゆかり殿。当方の聞き間違いでなければ今日と聞こえたのだが」

 

 「.....いえ...その...」

 

 ゆかりは少し視線を逸らした。どこか居た堪れなさそうに見える。

 ゆかりはマサオミに関わることに関してだけは嘘をつくのが苦手だった。

 

 スミレは手を額に当て、ため息を吐く

 そしてゆかりに質問をした。

 

 「.....聞かれなかったから、と言っていたのではないか?」

 

 ゆかりはバッとスミレを見る。なんでわかったのですか!?と言うような顔だ。

 

 「....もう大丈夫だ。方陣ゆかり殿、団長が大変申し訳ないことをした。正式に謝罪する。」

 

 「い、いえいえ!大丈夫です!!あと私のことはゆかりで大丈夫ですよ?」

 

 団員が全員ゆかりの方を驚いたように見る。

 貴族が、名前呼びを許した?

 

 ゆかりが突然向けられた団員全員からの視線に戸惑う。

 

 「あ、あの......なにか....?」

 

 「いや。申し訳ない。ではゆかり殿と」

 

 スミレはマサオミの方を向く。

 その顔は真顔だった。

 

 「団長、こっちを向け。話がある。」

 

 マサオミがスミレの顔を見た。そしてマサオミは気づく。なんか怒ってる。なぜ?

 なんでかわからないマサオミ的には何も悪いことをしていない。だからなんで怒っているのかがわからなかった。

 

 「なんでだ」

 

 「其方、ゆかり殿に当方達が今日来ることを伝えていなかったな?」

 

 「言った」

 

 「今日だろう」

 

 「そうだ」

 

 スミレは思う。

 "そうだ"ではない。やはり団長はダメだ。戦場ではあんなに頼りになるのに、戦場ではなくなった途端これだ。やはり当方がついておらねばな。

 スミレは少し満足そうに頷く。さっきの真顔とは打って変わって嬉しそうだ。

 

 でも今は、とスミレは気を取り直して真顔に戻る。

 

 「なんで伝えていなかった」

 

 スミレは答えなどわかっていた。と言うよりこの場のマサオミ以外の全員がわかっていた。

 

 「聞かれなかった」

 

 やっぱりこのクソボケは終わっていた。

 

 

 

 




 
 カップラーメンの蒙古タンメン中本を食べました。
 とても辛かったです。
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