クソボケに勝手に脳焼かれた人達と要介護者がなんやかんやあって生きる話〜俺はもう終わりたいんですけど!!〜   作:冷製春雨スープ

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1話

 ここは日輪の國。方陣家が管理する直轄領

 

 温かい日差しの中、懐かしい道を通る。あまり変わっていないと彼は思った。

 

 彼は今日、方陣家当主の護衛依頼のためにここにきていた。

 仲間は後で合流するとのこと。現在は前線にてやり残したことを行なっているらしい。

 

 詳細は知らない。説明は受けていたと思うがあまり話を聞いていなかった。団員もこれには額に青筋を入れるだろう。ちゃんと聞け!と

 

 そう言えば、と彼は思い出す。

 

 ザンザがこう言っていた。

 "兄貴!失礼のないようにお願いするでやんす!本当にお願いするでやんす!"と

 

 他の団員も念を入れるように、同じことを言ってきた。

 彼はその全てに同じ返答を返した。

 

 "わかった"と

 

 彼は何もわかっていなかったが、とりあえずわかったと言った。

 

 そう言った時の団員の顔は、心配そうだった。まるで初めてのおつかいに行く幼子を見るような目だった。

 

 そしてその団員の心配は的中する。

 

 ゆっくりと街並みを見ながら歩き、いつしか方陣家の門の前についた。

 門番がいる。

 

 彼と門番が目を合わせて数秒。何も言葉を発しない。

 門番は思う。え、なに?と

 

 彼は、門番に向かって唐突にこう言った。

 

 「通せ」

 

 第一声がこれだ。

 

 門番は彼を上から下にと見る。

 ゴツい体、イカつい顔、背中にはグレートソード。なんだコイツ。怪しすぎる。

 どう見てもカタギではない。不審者であった。

 

 故に必然である。

 

 「曲者!!」

 

 彼は捕らえられた。当たり前である。

 団員の心配は正しかった。

 彼の頭の中には?が浮かんでいた。

 

 

 

 

 廊下に吊るされている淡い光だけが光源の牢屋。周りの牢には誰も入っていない。湿度が高いのか、少しジメジメしている。

 

 牢の中にて、硬い地面の上であぐらをかきながら彼は考えていた。

 

 何がダメだったんだろう。と

 

 彼は考えてもわからない。依頼書を見せればよかったのだろうか?

 

 自問自答を繰り返す。どれだけ考えてもわからなかった。

 

 その時、コツコツとコチラに向かってくる足音が聞こえる。数は2人。1人は女で1人は男。男は鎧を着込んでいる。

 彼は瞬時に聞き分けた。

 

 足音が自分のいる牢の前で止まる。

 彼は上を見上げた。

 女と目が合う。知っている顔だ。昔よりも成長しているが、面影はある。いや、身長はそこまで変わっていない。

 

 「..........え?.....」

 

 真ん中に立つ女の声が漏れる。ありえないものを見たような顔で、目を見開いていた。

 

 しっかりと確認するようにじっくりと見つめてくる。

 

 女は確証のない声で聞いてきた。

 

 「マサオミ様......ですか?」

 

 「ああ」

 

 これが彼、マサオミと方陣ゆかりとの再会であった。

 

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