クソボケに勝手に脳焼かれた人達と要介護者がなんやかんやあって生きる話〜俺はもう終わりたいんですけど!!〜 作:冷製春雨スープ
団員とゆかりは囲まれていた。
山道の真ん中で、ゆかりを囲むように団員は陣形を組んでいる。
相手は、方陣の先先代当主、方陣ゲンゾウ
その軍勢にどうやってか、先回りされていたのだ。
ザンザは考える。
思考を巡らせる。一つ一つの可能性を考え、潰していく。
数秒の沈黙の末、辿り着いた。
法術による情報伝達。
だが場所は?何故わかった。
「..........」
そうか。
考えてみれば簡単だ。
この山には元々密偵がいた。
そうでなければ、そもそも馬車の時点で、相手がどれだけ速かろうが追いつかれるわけがない。
周囲の兵士よりも豪華な鎧を着ている軍勢の指揮官らしき人物が前にでて、叫ぶ
「この賊めが!!ゆかり様を返しなさい!!」
それにザンザが鼻で笑いながら返答する。
「それはできないでやんす。こっちも団長の命令があるんでね」
兵の後ろに隠れていたゲンゾウが歩き出し、兵士1人の支えの元、指揮官の隣に並ぶ。
諭すような口調で老害が喋る。
「ゆかり。お主わかっておるのか?手紙に書いておっただろう」
ゆかりの表情が暗くなり、白無垢の裾を握りしめた。
動悸が早くなる。
「わかったらはよきんさい。今なら、あの剣豪ボクデンを引かせてやっても良い」
ゲンゾウがゆかりに手を伸ばす。
「あの傭兵に、死んでほしくないのだろう?」
ゆかりは思わずゲンゾウの方へと向かおうとしてしまった。
それをねいが片手を広げ、ゆかりを静止する。
そして少し振り返って、ゆかりに言った。
「聞いちゃだめ!だんちょが負けるはずないんだから!!」
周囲の確認をし、突破口を探していたスミレは、今は逃げられるほどの隙はない。と判断した。
ならば当方の取るべき行動は時間稼ぎ
団長が来るまで耐えることだな。
スミレがカレラの名前を呼ぶ。
「カレラ」
ザンザに肩を借りているカレラは、そのまま杖を構えた。
「もうやってるわ!!!法術『堅牢なる科戸』!!」
視覚化された風のドームが団員とゆかりをいっぺんに包む。
風が時計回りにとぐろのように渦巻いている。
ゆかりが出てこないことに腹を立てたゲンゾウが、手紙と同じ脅しをする。
「ゆかり!!お主!!わかっておるのか!!!こっちにはあの剣豪が!!!」
ゆかりはびくりと震えて、嫌な想像が頭を駆け巡った。顔は恐怖に歪んでおり、今にも膝を崩してしまいそうだった。
マサオミ様は無事でしょうか。
マサオミ様が今にも死んでしまうかも
いや、いやいやいや!嫌です!それだけはどうしても!!
どうしましょう、どうすれば!
その時、ヒューと言う何かが飛んでいるような、落ちているような音がした。
ゲンゾウは目を細めながら上を向いた。
太陽の逆光で影しか見えないが、何かは落ちてきている。
着弾した。
ゆかり達の前にドンッ!!!とした音が響き、砂塵が舞う。どよめきが兵士たちに走る。
砂塵が開けた時には、一人の男が立っていた。
「だんちょ!!」
「兄貴!!」
「マサオミ!!」
スミレが駆け足でドームの外に出て、懐から取り出したハンカチでマサオミの頬を拭う。
「其方。少し遅かったのではないか?」
「そうか」
マサオミは特に気にした様子もなく答える。本当に何も考えていない。
スミレもそれがいつも通りだと言わんばかりに顔の汚れ、ズボンの砂を払っていく。
そして、マサオミの体にある傷を一つ一つ確認していた。
その顔はまるで慈悲に満ち溢れたような、それでもどこか怖さも感じる。
ゆかりは目を見開いて、口に手を当てる。
マサオミが生きていてくれたことは嬉しい。でも.....
あまりにも痛々しい。あの誘拐事件の比ではない。皮のない右手と左手の指、首輪のような傷、傷だらけの体
血が流れていないところなど見当たらない。
ゆかりの瞳が潤んでいく。
あの時より酷い怪我......なんで、なんでマサオミ様は......
次にザンザの支えを振り解いたカレラがマサオミに近づいて、マサオミに一つの瓶を渡す。
「マサオミ!!早く飲みなさい!!.....大丈夫?」
カレラが少し怒りを感じる口調でマサオミにそう言った。しかし心配が隠しきれていない。
カレラもマサオミがここまでの傷を負っているのは久しぶりに見た。
カレラはマサオミの首筋を見ながら、自分の首筋を撫でた。
首に首輪のような傷があるってことは......
......いえいえいえ!!生きているじゃない!!大丈夫よ!!!
カレラは自分にそう言い聞かせるように思考する。
ゆかりはカレラから受け取った瓶の蓋を開けたマサオミを見て、手を伸ばし、焦ったように止めようとした。
だってそれは回復薬なのだから。
回復薬は、内側から外側にかけて治癒する影響で、経口接種以外では使えない。そして最大のデメリットは、神経がズタズタにされるような痛みが走る。
マサオミは気にする様子もなく、まるでいつものことだと言うように、回復薬を飲もうとする。
ゆかりの叫び声が響く
「まって!!マサオミ様!!やめてください!!それは!!」
その声を無視したマサオミが回復薬を飲んだ。
ビキビキビキと言う音が響く。その最中、マサオミは仏頂面のまま立っていた。痛みを感じているようには見えない。
しかしゆかりは気づいてしまう。マサオミの眉が少し動いたことを。マサオミを見続けていたゆかりだからこそ気づいてしまった。
痛みを感じないわけではない。
ゆかりの瞳から涙が滲む。そんなゆかりを見て、ねいは心配そうに背中を摩った。
ねいはゆかりの気持ちがわかっていた。そしてそれは団員全員が通った道。故に心配してしまう。
老害が突然空から降ってきた男への恐怖を滲ませながら叫ぶ。だってコイツは今、剣豪と戦っているはずだ。とっくに死体になっていなければおかしい。そうでなくてはならない!!!
「お主は誰だ!!剣豪はどうした!?!!?」
マサオミは老害の方へ振り返り、左手に持っていた物を老害に向かって投げた。
「それ」
ゴロゴロと転がる球体の物体。そして、老害とその球体の目が合った。その目は虚で砂が付着している。
「ひ、ひいいい、な、なんだそれは!!」
老害は尻餅もつく。右手で後ろを支え、左手で球体を指差している。
マサオミはキョトンとした顔で首を傾ける。
お前がどうしたと聞いたんだろう?なんだってなんだ?見てわかるだろう。
ゲンゾウに感情の感じられない淡白な声で言った。
「剣豪」
ゲンゾウの顔が恐怖で歪む。
「お主はなんだ....なんだ!なんだと聞いておる!!はよ答えんが!!!!」
「ザイテンだ」
一言だけ名前を告げる。そして指揮官と兵士達はその名に聞き覚えがあった。
曰く、竜狩りを成し遂げた
曰く、前線の防衛線を押し上げた
曰く、魔物の大軍勢を一人で防ぎきった。
曰く、不死身の玉体でもって、全てを薙ぎ払う益荒男である。
全てを挙げればキリがない。
どこまでが本当の話なのかはわからない。それでも目の前にしたら感じることはある。
可視化されたような威圧感。
歴戦を思わせる古傷だらけの体。
全て、本当なのかもしれない。
ガタガタと言う音が1つ聞こえる。
そして2つ、3つと立て続けに増えていく。
1人、また1人と兵士が震えていく。ガタガタと鎧が揺れる。恐怖が伝播する。
その時、兵士の1人が恐怖の弓を引いた。
「き....聞いてない....聞いてないぞ!!」
「お、俺もだ!聞いていない!」
「死にたくない!死にたくない!」
「前線の英雄に勝てるわけないだろ!」
兵士達の声が混じり、不協和音になる。
マサオミはうるさく思う。
「黙れ」
静寂が支配する。
決して大きくはない声、それでも言葉に"何か"を感じる。これが殺意と言うものなのか。
兵士達の脳裏に共通の言葉が浮かぶ
___死
死ぬ。これ以上騒いだら殺される。
数秒の沈黙の果て、マサオミはようやく口を開いた。
「消えろ」
兵士達は一目散に逃げて行く。生き残るため、あの化け物の目から逃れるため。
指揮官がようやく正気に戻ったのか、声を上げる。
「お前ら!!それでも栄えある琵琶天家の兵士なのか!!」
兵士はその言葉に返答しない。ただ我先にと逃げ続けるだけだ。
マサオミはそんな兵士達を一暼してから、ゆっくりと老害の元へ歩きだす。その歩みは本当にゆっくりで、まるで日常の散歩のよう。
それでもその雰囲気は普通ではなかった。
震える足を無理矢理動かし、マサオミと老害の間に立って、マサオミに剣を構える。
「それ以上近寄るな!!この方を誰だと思っている!!方陣家の先先代当主様だぞ!!図が高いだろう!!」
マサオミは、スミレの方を見る。
スミレは小さく首を横に振った。
マサオミは指揮官の方へ向き直り、気にした様子もなくゆっくりと近寄る。
「なっ!!だから近寄るなっ...」
マサオミは最後まで話を聞かず、グレートソードの柄で殴り飛ばした。
死にはしていないだろう。
「邪魔」
ゆっくりゆっくりと近づき、ゲンゾウの前に着いた。マサオミがゆっくりとグレートソードを振り上げる。
尻餅をついたままのゲンゾウの股ぐらから温かいものが溢れ出す。
「お主....儂を殺す...つもりか?」
「ああ」
ゆかりはそんなマサオミを見て、居ても立っても居られなくなった。
嫌だ!いやです!やめてください!!
ゆかりが風の膜の外に出て、前にいるスミレとカレラを避け駆け出した。
ザンザが声を上げる
「ゆかり様!?」
ゲンゾウがマサオミに指を指しながら、恐怖で歪んだ顔のまま叫ぶ。
「儂を...儂を誰だと思っている!!!傭兵如きがいつまで見下ろしているつもりだ!!!」
「そうか。」
マサオミがグレートソードを振り下ろす。
前に停止した。
腰に走る衝撃。痛みはない。体はぴくりとも動かない。それでも感じた。
下を見た。
そこには白無垢姿のゆかりが縋りついていた。
「なん...」
「やめてください!!」
金切り声のようなゆかりの叫びがこだまする。
マサオミは不思議に思う。こいつは敵なんだろう?何故止めようとする。わからない。
団員の方を見る。
誰も答えをくれない。自分で考えろと言うことか?
「何故だ」
ゆかりは腰に縋り付いている顔を上げる。
マサオミと目が合った。顔はいつも通り、それでも瞳からありありと伝わってくる。マサオミの困惑が
「か......」
家族なんです。そう言おうとして、ゆかりはやめた。違和感があったからだ。そしてそれが本心ではないとゆかりは気づいていた。
マサオミは、何も理解してくれない。それでも目を合わせて言葉にすれば話は聞いてくれるのだ。
そしてそれは、本心でないといけない。
ゆかりはその事を知っていた。だから、本心を伝えることにした。一切取り繕わぬ本心を
ゆかりは当主としての仮面を脱いだ。
「.....もう....もう帰りたいのです....。」
ポツポツと紡ぎ出す。
「マサオミ様が....誰かを斬るところはもう見たくないのです.....それじゃあ...だめ、ですか?」
ゆかりの瞳から涙が溢れ出す。
それを見てマサオミは、考える。何故泣く?なんで俺が誰かを斬るところを見たくない。なぜ?なんで?
何もわからない。彼は何も理解していない。
それでも、考えることはやめない。
そして思う。ゆかりの涙を見て感じた。
多分だが。俺はまた間違えてしまったのかも知れない。
マサオミがグレートソードを背中に背負う。
「わかった」
片膝をついて、ゆかりの脇を優しく掴み起き上がらせる。
「.....え?」
正直ゆかりは聞いてくれるとは思っていなかった。彼の行動は間違いではないのだ。ゆかりにしても、祖父ではあるが関わりの薄い祖父。正直祖父が死ぬこと自体は本当にどうでもいい。この先のことを考えるのならばここで殺しておいた方が楽だ。
それでもゆかりはマサオミが誰かを殺すところなど見たくなかった。
だっていっぱいいっぱいだったのだ。突然連れ去られて、それが嬉しくて、それ以上に悲しくて
あんなに傷ついた彼を見て、そして回復薬まで飲んで
ゆかりのキャパシティはもう限界だった。
だからこれはゆかりの我儘だった。当主としてはしてはいけない選択。それでもゆかりは本心を伝えることを選んだ。
だから聞いてくれるなんて思っていなかった。
だから、嬉しい。声が届いたことが何よりも
マサオミはゆかりを起こし、キチンと自分の足で立ったことを確認した後、団員に命令を下した。
「ねい。気絶させてから捕らえろ」
ねいが高速で飛び出した。
◇
マサオミ達は歩いて首都に戻ることにした。
気絶している老害は簀巻きにされ、マサオミに雑に担がれている。老人に対する対応ではない。それでも自業自得なのだろう。死ななかっただけ御の字だ。
マサオミは何か考え込んでいるゆかりを見て、不思議に思った。なにを悩むことがあるんだ?
「なんだ」
「え?」
スミレが呆れたように肩を竦めながらマサオミを咎める。
「其方。それではゆかり殿は何が何だかわからぬであろう」
マサオミは思う。
ちゃんと言ったのに
マサオミの認識ではキチンと喋っているつもりだった。
そんなマサオミの考えにカレラが気がつく。珍しく叱責した。
「マサオミ!!あんた言葉が足んないのよ!!私達じゃないんだから、同じように話すのやめなさい!!!」
その言葉を聞いてゆかりはムッとする。
私だってわかりますけど?私だって理解できますけど!!
「あら。ありがとうございます。カレラ様?でも大丈夫ですよ?私もわかりますから」
ゆかりの言葉の端に棘がある。
ザンザとスミレが少し後ろに下がった。巻き込まれたくないのだろう。ねいはその隙にマサオミの左手に抱きついた。マサオミは気にしていない。
悪意がなければ大体のことを"まあいいか"で済ましてしまうのは、マサオミの悪い癖であった。
そしてその癖を分かった上で利用するねいはそこそこに強かだった。計算高いとも言う。
スミレは内心、その手があったか。勉強になるな。いや、しかし当方がやるのは少し違うのかも知れん。ふむ。と考えている。真面目ポニーテールはいつも考えすぎなのである。もっと心のままに動いた方がいい。
「あらそう?私達に比べて"最近"のマサオミは知らないかと思って気を使ってあげたんだけど....いらなかったのね?それはよかったわ!!」
カレラの言葉の端にも棘がある。
この場で何も感じていないのは矢鱈と強いいろいろ雑なクソボケだけだ。
「ふふっ....カレラ様はお優しいのですね?でも本当に大丈夫です。マサオミ様、思ったよりも"昔"と変わらないところがあるのですよ?知っていましたか?......あ、すみません。知りませんよね?」
カレラは思う。何が....あ、だ。わざとらしい真似しやがって。やはりこの女なんか気に入らない。
ゆかりは思う。過去の女扱い腹が立ちますね。やはりこの女なんだか気に入りません。
2人は割と似たもの同士だった。
静かなる舌戦。その火蓋が切られようとしている時に空気を読めない男が1人
「それでなんだ」
一切の進歩がない。スミレの言っていることを何も分かっていなかった。スミレは慣れているのだろう。ため息を吐くだけで、何もしない。
ゆかりは、少しだけ考える。
正直に言っていいものなのでしょうか?もう雇っているわけでも.........
そうでした。もう....マサオミ様とのお別れが近いのですね......
ゆかりの瞳に涙が浮かび始める。
マサオミはそんなゆかりを見て目を開いて驚いた。
なぜ?なんで?どうしてだ?何があった?
「どうした」
「その.......もう。マサオミ様とお別れだと...その.....思ったら何故か.....」
流石のカレラもゆかりに同情した。
それでも声はかけない。なんか嫌だから。
と言うよりも自分から言いたくはなかった。
まだ書類にしてもらっていない。そして依頼料は貰っていないから護衛依頼は続いていると
マサオミはますますわからなかった。もともと何も分かっていないのに、何がわからないのかもわからなくなってしまった。
「?なぜだ?」
ゆかりは涙目のままマサオミを見上げる
「....なぜとは?」
「?」
マサオミはわからない。
そんなマサオミを見ていたザンザがゆかりに助け舟を出す。
「ゆかり様。兄貴は、まだ依頼が終わっていないのに、なんでお別れなんだ?って言いたいんでやんすよ」
ゆかりの目が大きく見開く
なんでですか?私は確かにマサオミ様に.....
それに依頼料だって側仕えに渡しに行くように頼んだのです......
数秒の沈黙。
マサオミは、ザンザが言ってくれたしいいか。と思い前を向き直した。
そんなマサオミを見て、ゆかりは瞳にたまる涙を増やしてします。また俯いてしまった。
嫌われて...しまいました.....
今のゆかりは悲観的になりすぎてしまっていた。普段なら気がついただろう。しかし今のゆかりは、頭の中がマサオミ様が来てくれた嬉しさと嫌われてしまったと言う悲しさで頭がいっぱいになっていた。
そして、先程久しぶりに人前で自分から当主の仮面を脱いでしまったせいで、思考が上手く回っていなかった。
大丈夫か。と楽観的なマサオミに
もうダメです。と悲観的なゆかり
そんな2人を見ていた団員は思う。ダメだこれ。
カレラでさえ、マサオミの所業にゆかりへの同情がする。
スミレが口を開こうとした瞬間、カレラが我慢できなくなった。
「しょうがないわね!!!ゆかり!!」
「な、なんですか.....?」
ゆかりは少し驚いて、肩がビクッとしてしまったが、その返事には元気がない。
そんなことを気にしないカレラは遠慮なく言葉を続けた。
なんで私がこんなことを....
「あんたの依頼はまだ続いてんのよ!!!!」
「....え?でも....そんなはず....」
「察しが悪いわね!!あんたの依頼破棄は正式なものじゃないのよ!!書類もないし!!依頼料も貰わず出てきちゃったから、まだ続いてんのよ!!!」
ゆかりは俯いていた顔を上げ、マサオミの方を向いた。
「マサオミ様.....本当...ですか?」
「?そう言っている」
___言っていない。
ゆかりの瞳に違う意味の涙が溢れ出す。
よかった。よかったです。まだ...まだ....一緒にいられるのですね!
でも....私はマサオミ様を....
「マサオミ様...私が嫌いになってしまわれましたか....?」
団員達は自分達のことを棚に上げた思考は一致する。
この女。だいぶめんどくさい。
しかし、団員達も大概である。
マサオミは心底不思議そうな顔でゆかりを見る。
「?なぜだ」
ゆかりはその返答を聞いて、その不思議そうな顔を見てようやく理解した。
私...嫌われてなかった。よかったです。よかったです!!
パッと顔が明るくなる。瞳に涙を浮かべたままマサオミに幼さを感じさせる笑顔を見せながら元気よく言った
「助けてくれて、ありがとうございました!!」
輝かんばかりの笑顔。その笑顔を見てマサオミは懐かしい思いになった。
そうだった。ゆかりは昔、こんな顔で笑う奴だったな。
ゆかりの足取りは軽くなった。
空気が温かくなる。
そしてその空気は直ぐに壊れた。
そう。マサオミのせいだ。
「で、なんだ」
このクソボケは終わっていた。
三章完成まで週一で短編の投稿を考えてます。参考にしたいので、よろしければ解答をお願いしたいです。
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