ゼーリエを驚愕させた告白から半年が経った、あの後さらりと告白を断ったゼーリエだがアビスの才能を見込み弟子入りを提案するとアビスはあっさりと了承した。
魔法の研究もそうだがゼーリエの生活とりわけ食事内容は驚くほど改善されていった。
「おいアビス今日のオヤツは何だ?」
「はい、ゼーリエ様!コチラ手作りプリンになります」
アビスの作ったプリンに舌鼓を打ちながら弟子の修行を眺めていた、ゼーリエがアビスを弟子に取り魔法の基礎の魔力操作を教え、自身の知る見習い向けの魔法を習得させていた。
この時代の一般的な魔法使いが5年費やす基礎を一カ月で完了させ、現在は独自の理論で作り上げた魔力増強の鍛錬を行っていた。
「…長年、魔法に携わるが真逆肉体の鍛錬で魔力を上げられるとわな」
「まぁ、私も確信が持てたのは
「種族による鍛錬や環境で、魔力量や肉体に明確な差が生じるなら個々にあった鍛錬が存在する…か」
アビスは片手で腕立てをしながらゼーリエと魔法談義を続けていた。この頃のゼーリエは妙な考えや自分を未だに諦めない弟子に辟易していたが自分とは別の角度から魔法を考察し、自分と同じ目線で話せる弟子が嫌いではなかった。
「そう、例えばエルフはその長い寿命によるせいか長い時を生きている者ほど高い魔力量があります、これは人間にも当てはまりますがエルフの1年と人間の1年の魔力量の上がり方は明らかにエルフが高い」
「ドワーフは、魔法の適正は低いですがその肉体は他の種族を見ても別格です。彼等にとっては魔力は肉体の一部で肉体の鍛錬により魔力の増強と肉体性能に比例しています。」
「そして、魔族は2つのタイプに分かれます。一番多い魔法を絶対とするタイプ、次に肉体を鍛え上げ魔力による強化をするタイプ。これらから分かる事ですが魔族は肉体が魔力の塊です、種族全体で見れば最も優れています。時間や鍛錬による魔力の増強は非常に優秀です。」
「最後に私たち人間、はっきりいって私達は全ての種族の下位互換でしょうね…どちらでも強くなる方法はあるがどちらにも突き抜けていない。まぁ器用貧乏といったところですね。」
アビスが考察する種族の違いをゼーリエは成る程と関心していた。これまでのゼーリエはあくまで才能の違いと切り捨てていた理論だが今後、弟子を増やすなら訓練方法を考え直す必要があるかと考えていた。
「それで…考えてくれましたか師匠?」
「?……ああ、結婚のことか…馬鹿な事を言ってないで修行を……いや…そうだな…結婚の件考えてやらん事もない」
「!!では直ぐに式場を」
「早まるな馬鹿…ある条件を満たせば…結婚してやっても良いだろう」
ゼーリエは小柄な体に合わない胸を強調しながらニヤリと笑う。アビスはゴクリと喉を鳴らし条件を聞く
「条件……それは私を倒してみせろ…魔法でも、剣でも、計略でも…どんな手を使ってでも私を倒してみせろ!私の予想を超えてみせろ…そうすれ私の全てをくれてやる」
それは現在において奇跡とされる魔法、その魔法の頂点に君臨する最強を倒す事は不可能を可能にする正に偉業とされる行い。
だが、アビスはそんな条件の厳しさよりも
「全て!!?…ですか師匠の」
「ああ、全てだ…魔法だろうが知識だろうが体だろうが…私の全てをくれてやる」
アビスにやらない、選択肢は存在しなかった。
それからの7年は正に成長の年月で大量の魔族との殺し合い、人間同士の戦争に巻き込まれ、エルフやドワーフと鎬を削り、彼が15になると肉体、魔力、経験が釣り合い全盛期を迎えていた。
そして、彼が15になりゼーリエの元を離れてから2年が過ぎた頃にアビスは戻って来た。ゼーリエは帰ってきた彼の目を視るとニヤリと笑みを浮かべその手から魔法が放たれた。
アビスVSゼーリエ
対決は巻きで進めていきます。本編でもゼーリエの戦闘描写が少ないのでご了承ください。