クソボケ激メロ術師の現代伝奇バトルでハーレム構築スローライフ希求譚 作:所羅門ヒトリモン
神社に戻ると、千景が再び秋水を出迎えた。
「おかえりなさい、意外と早かったね? 私と同じで、結局A.N.O.M.A.L.Y.に邪魔されちゃった?」
「いいえ? 焦る必要は無いって気づいただけよ」
八千代はさっそく、従姉妹に対してリードをアピールしたいのか。
如何にもな流し目を作って、無言の微笑みを浮かべた。
千景が怪訝な顔に変わり、「ふたりで何をしてきたの?」と一歩を詰めてくる。
「向日葵畑を歩いてきただけだわ」
「……じ〜」
「千景先輩。心配せずとも、俺と八千代さんの間で特に皆さんを置いてけぼりにするようなコトは起きていません」
「うわっ、秋水くんってそういうコト言っちゃうのね」
「……って言ってるけど?」
「仮に何かがあったとしても、それは千景先輩たちにも遠からず起きる出来事ですよ」
女がふたり、小さくたじろぐ。
出会って間もない男と女。
だが女のほうは、今さらながらに実感し始めていた。
──私たち、なんかとんでもない男の子に引っかかっちゃってない?
「それはそうと、どうして外に出ていたんですか?」
「あ、うん。実はちょうど、学校に行こうと思ってたところで」
「ええ? せっかく特休にしたのに、チカ姉ホンキ?」
時刻は午前十一時。
八千代は「私だったら丸一日休むわ」と空を見上げる。
「ほら、ちょうど雨も降ってきそうだし」
「だからだよ。今日、八千花ってば傘を持っていくの忘れたみたいだから」
千景の手には傘が二本あった。
察するに、傘を持っていってあげようとしていたところなのだろう。
「チト姉の分は?」
「千歳はいつも、折りたたみを鞄に入れてるわ」
「そういう事でしたら、代わりに俺が持って行きますよ」
「え、秋水くんが?」
「俺なら移動の手間はかかりませんし」
時間的にも、もう少しで昼休みになる。
携帯端末で連絡して、校門まで出てきてもらえばいい。
連絡先の交換は千歳→協会→夏乃経由ですでに実施済みだった。
なぜ夏乃が挟まったのかは、秋水にとって謎である。
「う、う〜ん……それはとっても助かるけど……」
「いいじゃない。学校の連中に自慢してやりましょう」
「変に騒ぎになっちゃわないかなぁ?」
「多少の噂は望むところでしょ。なんなら、午後はサボらせてそのままデートすればいいのよ」
「ふまじめ〜」
従姉妹たちの会話は全体的に、ゆるっとした雰囲気だ。
美少女同士の和やかな空気感に、秋水は知らず知らず口元が綻ぶ。
こういう他愛のない関係性の輪の中に、自分が少しは混ざれているかと思うと幸福を感じる男。
青墨秋水は青春に飢えすぎていた。
そんな男のニコニコ顔に、千景は「?」と首を傾げつつ。
八千代は携帯端末を取り出して、パパッと操作を済ませる。
「八千花に連絡したわ。午後はサボり決定ね」
「依穂ちゃんに叱られるよ?」
「いいわよ、べつに。十代は一瞬よ?」
「では、傘をお預かりします」
「うんっ、ごめんだけどよろしくね? 秋水くん」
なんのなんのと。
秋水はむしろ喜んで使いの任を引き受ける。
こういうラブコメ・恋愛漫画のワンシーンみたいな展開には、男ながらに憧れがあった。
キザなヒーロー願望というヤツである。
ふたりに「じゃあ、行ってきます」と挨拶をして、秋水は禹歩を行った。
「「行ってらっしゃい」」
ふたりの声は同時で、ハモっていた。
しばらくして、時計の針は十二時十分を経過した。
北汐坐高校からほど近い喫茶店。
地元の人間が定年後の趣味として始めたような隠れ家的なカフェ。
カレーとオムライスとミートソースパスタを食べて時間を潰した秋水は、店のマスターに驚愕されながら、時間になったので校門の前へ移動する。
雨はまだ降っていないが、ぽつぽつと小さな水滴が肌に時折り当たった。
そろそろ本格的に、雨が降ってくる前兆である。
「しまった」
秋水は自分の傘を用意していなかった。
「間抜け」
少女たちにカッコつける事ばかり意識にあったせいで、自分の分の傘を失念していた。
仕方がないので、八千花の傘を差して待機するが、そのせいで少し恥ずかしくなった。
八千花の傘はパステルカラーの可愛らしいデザインで、如何にも女の子然とした代物だったからだ。
北汐坐高校の校舎は、各階の教室からだと校門が見えない建て方をされていた。
なので幸い、秋水の姿を大勢に確認される事にはならなかったが。
そうなると憧れの展開も、いまいち望んだようにはやって来ない感じだった。
下校時刻だったら、また話は別だっただろう。
しばらくすると、校舎から制服姿の女子が小走りでやって来る。
「秋水くんっ!」
「八千花さん」
「ごめんなさいっ、わざわざ傘持ってきてもらって!」
ばるん、ばるん、ばるるん。
制服の内側で暴れ回るふたつの丸み。
まったくもって、とんでもない話だった。
「いえいえ。俺も久しぶりに、学校っていいなって思えたので」
「? そうなの?」
「学校っていうか、制服姿の女子ですけど」
「えっ」
「八千花さんみたいな人と同じ学校に通えたら、きっと毎日楽しいでしょうね」
「お、お〜……いきなりフルスロットルで来るのね……」
照れ照れ。
小走りで乱れた前髪を直し、手櫛で何度も髪型を整えながら。
八千花はスカートの裾やリボンの位置を微調整して、ニコリと笑う。
「お姉さんの制服姿に、ドキドキしちゃったの?」
「ええ」
「ふぅん? じゃ、もっとドキドキしましょっか」
いーれてっ、と。
秋水の傘の内側に、八千花が絡みつくように入ってくる。
遠慮が無い。
完全にくっつかれた。
「八千代から午後はサボっちゃえって連絡が来たし、秋水くんも私とこのままデートでいい?」
「八千花さんが問題ないのなら、もちろん大丈夫です」
「ねえ、傘一本しか無いけど、最初から相合傘で迎えてくれるつもりだったの?」
「そうですね」
秋水は嘘をついた。
本当のことを話して間抜けがバレるのを嫌ったのだ。
幸い、八千花はそんな秋水の嘘をすんなり信じてくれた。
「秋水くんには禹歩があるものね。雨がひどくなってきたら、傘なんか差さなくても平気なんだ」
「ええ。そうですよ?」
この男、しらばっくれるのが上手い。
「じゃ、私とは敢えての相合傘なのね」
そこで言葉を切ると、八千花はわずかに思案げな顔を見せる。
なんだろう? と秋水が疑問に思っていると、しばらくして八千花の口をついたのは意外な一言だった。
「バス停に行きたいのだけど、いい?」
雨に濡れた廃バス停。
てっきりバス停に行きたいと言うから、どこかに遠出でもしたいのかと思った秋水だったが、八千花の行きたがった目的地というのはバス停そのものであるらしかった。
北汐坐町の山麓地域には、住民人口が少なくなって使われなくなったバス停が幾つかあるそうで。
そのうちのひとつに、特に人気の寄り付かないプレハブ小屋じみた廃バス停がある。
雨のなかを歩きたがった八千花に従って、ふたりは小一時間ほどかけてそこへ到着した。
いまがちょうど雨の最中ということもあるだろうが、寂れたバスの待合室は薄暗く、湿った匂いがする。
その匂いは外にまで漂い、コンクリートで舗装された地面にカビを広げていた。
紫陽花の花と、壁を這う蔦植物。
中には雨合羽の子どもがひとり。
しかしその中身は、黒色の霧が人型に固まったようなモノ。
「……
「たぶん、そう。ここのバス停に、一ヶ月前くらいから現れてるの」
「ずいぶん存在感が希薄ですね」
「ええ。だからきっと、協会の探知網にも引っかかってないんじゃないかしら?」
秋水が雨童と推測したA.N.O.M.A.L.Y.は、ぼんやりと霞んでいる。
こうして肉眼で、近距離で目を凝らしていても。
いないと言われればいないように感じるし、いると言われれば辛うじていると感じる。
その程度の曖昧な存在感しかない。
恐らく、現状はA.N.O.M.A.L.Y.未満の物語の雛形。
誰かの想像力や、アイデアが、仮の形でたまたま姿を成しただけの存在だろう。
梅雨の時期には雨にまつわる妖怪変化が、発生率を上げる。
「一説によると、雨童は豆腐小僧とも呼ばれていて、豆腐小僧がくれる豆腐を食べてしまうと、人間はカビになってしまうそうですね」
「それって、創作された設定なんじゃなかったかしら?」
「たとえ創作でも、人々が〝そういうもの〟だと認識していれば、結局は同じことですよ」
すべてのA.N.O.M.A.L.Y.は空想から産まれ落ちる。
秋水は術式を起動しようとするが、しかし途中でやめた。
ふたりが見ている前で、雨童はどんどん消えていくところだったからだ。
「……消えますね」
「うん、そうね」
空想から生まれるA.N.O.M.A.L.Y.は、すべてがすべて存在を確立させるワケじゃない。
時にはこうして人知れず姿を消して、誰にも知られないまま忘れ去られるケースもある。
雨童は程なくして、完全に消失した。
「可哀想ね。きっと、こんな廃バス停に出なければ、ちゃんと生まれて来られたでしょうに」
「雨童の脅威度レベルは2ですよ?」
先ほども触れた通り、雨童は豆腐小僧と混同されがちだ。
だからたまに、人間は雨童に遭うとカビ人間にされてしまう。
カビ人間はアメリカで有名な都市伝説、シャドーピープルにも似ているので、連鎖的な有害性からA.N.O.M.A.L.Y.としての脅威度は意外と高い。
「知ってるわ。でも、いまの子はここでずっと座ってるだけだったから」
「どうして、ここに?」
「さぁ? 分からないわ。もしかすると、誰かがここで絵でも描いていたんじゃないかしら」
分からないと答えつつ、もしかするとと続けた八千花の言葉は、あらかじめ用意されていたみたいに秋水には聞こえた。
本人もあまり、はぐらかすつもりは無かったのかも知れない。
告白はすぐに行われた。
「私、ここでよく男の子を主人公にしたマンガを描いたりするの」
「マンガを?」
「八千代よりは下手なのだけど、おねショタジャンルが好きで」
「おねショタ」
しんみりとした空気の流れに、突然ぶっ込まれるインパクトワード。
秋水はデジャブを感じた。
午前中の向日葵畑でも、なんか似たような流れがあった気がする。
「秋水くんには分からない? 梅雨の田舎、雨に濡れた廃バス停で男の子がお姉さんに出会って……エロいことをするのよ」
「それはまた……姉妹揃って、明け透けなんですね」
「濡れ透けだけに?」
「何を言ってるんです?」
姉が性に積極的なら、妹も同じなのか。
千歳と千景も同じ双子だけど、こんな感じではなかった。
違いがあるとすれば、ふたりは依穂の娘。
もしかして、血統なのか? と秋水は邪推した。
八千代もそうだが、外見だけならクールに見えなくもない歳上のお姉さんに思わぬギャップがあると、咄嗟にどうしていいのか分からない。
秋水には経験値が足りなかった。
猥談に近い会話を、これまで誰ともしたコトがない。
「来て」
無表情のまま戸惑っていると、八千花が小屋のなかに入っていく。
先ほどまで雨童が座っていたバス停のベンチ。
少女の制服は少しだけ濡れている。
雨のなか歩いてきたため、なるべく濡らさないよう秋水も気をつけていたが、時折り強い横風も吹いて来たため完璧には雨粒を防げなかった。
それは靴のなかも同じだ。
八千花はベンチに腰掛けると、茶色のローファーから足を出し、靴下を脱ぎ始める。
膝を曲げて行われるそれら動作は、八千花の両胸をぐにゅんと潰した。
いろいろひどいが、スカートのなかが危うかった。
秋水は外を気にする。
バスの待合室はプレハブ小屋じみているため、入り口の正面からでなければ中の様子は分からない。
それでも、完璧な密室ではないし、いまの時代どこに人の目があるかは分からなかった。
「外が気になる?」
「八千花さんは気にならないんですか?」
「私は大丈夫よ。このあたりはもう、滅多に人が来ないって分かってるから。だからエロマンガを描くのに使ってたっていうのもあるし」
「エロマンガ」
ついにストレートな表現が出てきてしまった。
とはいえ、そうは言われても気になるものは気になる。
「一応、いまの俺は八千花さんの主人なので」
「うん」
「自分の大事なものは守りたいです」
「…………そう。まいったわね」
「まいる?」
「はしたない女だと思わないでもらいたいのだけど、誤解を恐れずに言うわよ?」
「はぁ」
「エッチしない?」
秋水のなかで、八千代と八千花のふたりが欲求不満の双子として確定した。
思春期の女の子って、こんなに積極的なものなのだろうか?
誘惑云々の話はたしかにあったが、アプローチの仕方がだいぶ直接的だ。
秋水好みではある。
が、驚きは禁じ得ない。
沈黙する秋水に、八千花は徐々に耳を赤くしていく。
ベンチの上で素足を抱え込んで、自分の膝で顔を半分隠すようにしながら。
少女はチラリと目を向けたり、逸らしたりした。
その爪先は、猫のように丸まっている。
秋水はふと、髪の毛に目を奪われた。
結い紐から垂れた飾り石が、雨粒で濡れていたのか不意に光ったのだ。
薄暗い半密室のなかで、少女は蒸れた素肌を覗かせながら、不思議なほど蠱惑的に輝く。
長い溜め息が溢れるのを、秋水は必死に堪えなければいけなかった。
「エッチしない?」
「しません」
「どうして?」
「理由はひとつです」
午前中の八千代にも当てはまるが、八千花ほどの美少女に手を出すのなら。
秋水は自分を制するコトが出来ない。
「俺もこういうシチュエーションにはグッとクるものがあります。でも、だからこそ、行為の最中で八千花さんを傷つけてしまいそうで怖い」
「……どういうコト?」
「激しくしすぎるかもしれない、と言っています」
「あ──そ、そう……」
予想外の回答だったのか、八千花はさらに耳を赤くした。
秋水も気恥ずかしくなって、目を合わせることができなくなった。
しばらく互いに沈黙する。
やがて、
「秋水くんって、紳士的なようでいて野獣的なところもあるのね」
「ぶッ……や、野獣っ?」
「私、可愛い男の子が好きだわ。だからここでなら、私が優位に立てると思っていたけど……」
ショタおねの可能性もあるのね、と。
八千花は「計算外だったわ」と膝を下ろした。
そして、ベンチの隣へポンと手を置く。
秋水にも座れと促しているのだ。
「……エッチはしませんよ?」
「ええ、分かったわ」
ふたりは同じベンチで肩を並べた。
廃止になったバス停の待合室からは、道祖神が祀られた小道が見える。
水たまりを打ち据える雨のカーテン。
ざぁ、ざぁ、と。
音もそれなりに大きいので、たしかにここなら多少の秘め事は楽しめるのかもしれない。
「エロマンガ、好きなんですか?」
「大好き。一番好きなのは、ASMR系だけど」
「赤裸々ですね」
「隠してたって、いいことは無いでしょう?」
好きな人には本当の自分を知ってもらいたい。
八千花はそっと、秋水の手に触れる。
「私、雨が好き」
「雨が?」
「どんな雨も、最後には晴れてくれるもの」
「……」
「それに、雨が降っているあいだは、いつもより近くで」
大切なひとの、あたたかなぬくもりを感じられる気がする。
「秋水くん」
「なんです?」
「お願い。体温を感じさせて?」
これからはなるべく、近い距離で貴方の体温を感じていたい。
コテン、と首を肩に乗せて。
八千花は秋水に寄り掛かった。
「ふふ。秋水くん、あったかい」
「火属性がメインなので」
「なぁに? それ」
ふたりはしばらく、そうして雨足が弱まってくるまでバス停にいた。
なんだか湿度の高い時間だった。
午後三時。
「にしても、もっとこう、遊びに行ったりとかしなくて大丈夫ですか?」
「私は楽しいわ」
「ならいいんですが」
小雨の山道を、依然として相合傘で登るふたり。
神社に着くと、そんなふたりを何故か協会の人間が待ち構えていた。
姦姦蛇螺の初回召喚時に、立ち合いを務めていた監督員だ。
千景、八千代、そして千歳もいる。
千歳はまだ、北汐坐高校にいるはずの時間なのに。
「筆頭! よかった、ちょうど戻られましたか」
「……どうしました?」
「皆、これは……?」
ただならぬ空気感と、焦りを宿した監督員の顔つき。
家族の顔色も強張ったものなので、八千花が「何かあったの?」と不安そうに息を呑む。
「八千花……実はいま」
「私たちもまだ、話を聞かされたばかりなんだけど……」
お母さんが。
「お母さんたちが、攫われたって──」
「え」
「誰に。いつ」
「っ! 筆頭っ、詳しくはこれからご説明いたします……!」
ですのでどうか!
どうか!
監督員が地面に膝をついて懇願した。
穏やかではないフレーズ。
咄嗟に怒気を漏らしてしまった秋水は、即座に自らの霊威を律した。
「すみません。お願いします」
鳶瀬山豊葉。
鳶瀬山依穂。
ふたりが攫われたとは、どう言うことなのか?
秋水は一度だけ深く息を吸い込み、気を鎮める。
「それで?」
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tips
◆鳶瀬山八千花|従妹・双子妹|18|結界補佐
T169 B101.6(Icup)W56 H89
榛摺色のロングポニテ巫女。
性に積極的で、外見だけクール系なお姉さんヒロイン美少女ビジュアル。
茶髪爆乳の大人っぽい女子高校生だが、姉よりはシュール系。
サブカルに造詣が深い。
好きなお菓子は桃のジェラート。
エロいことが大好きで、秋水とおねショタプレイをしたい。
◆雨童|脅威レベル2
雨季や梅雨の時期に発生率を上げるA.N.O.M.A.L.Y.の一種。
豆腐小僧とも呼ばれ、カビた豆腐を人間に食べさせようとする。
カビた豆腐を食べてしまった場合、人間はカビ人間に変えられてしまう。
外見は雨合羽を着込んだ子どものようだが、中身は黒カビの擬人化。
類似した姿から、アメリカの都市伝説シャドーピープルを連想されやすい。
術師殺害率:40%
◆鳶瀬山豊葉ならびに依穂の誘拐を知った協会の反応集
「いったいどこの誰だ! こんなバカをやらかしたのは!」
「情報が漏れた!?」
「ああそうだ! 遅かれ早かれ分かってた事だろ!」
「でも何の意図で!?」
「退魔四家じゃないぞ……」
「あいつら強引だが、筆頭を怒らせる動機が無い!」
「なら……何だ!?」
「A.N.O.M.A.L.Y.……?」
「いや、その反応はありません!」
「ってことは、非正規の術師……!?」
「待て、普通の誘拐事件って線はあるか!?」
「姦姦蛇螺を式神にしてるのよ!?」
「まさか──いるのか?」
「筆頭以外にも、二段階目に到達した術師が……!?」
「……でも、どっちにしろ終わりでしょ、そいつ」
「来ました! 犯行声明です!」
「くそぉ、ホントにバカのパターンかよぉ!」
「青墨秋水を怒らせるとか、何が目的なの……!?」
「知るか! 新手の自殺志願者か何かだろ!」
「いいからさっさと筆頭に連絡!」
「下手に我々で事態の解決を図ろうとするな!」
「いつもと同じだ!」
「ええ、でも」
「いつもより緊張感を持って動きなさい!」