クソボケ激メロ術師の現代伝奇バトルでハーレム構築スローライフ希求譚   作:所羅門ヒトリモン

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第23話「孔雀堂エマは推定黒幕の女社長である」

 

 

 ──と、その前に。

 青墨秋水の行動原理から言って、ここまでの状況を果たして〝良し〟とするのか?

 

 ひとつ、疑問を(てい)したい。

 

 正確には、秋水がここまでの状況をコクリと受け入れ、そのまますんなりと〝流れ〟に身を任せてしまうか?

 

 これについて疑問を呈したい。

 

 答えは、当然、(No)だ。

 

 状況を整理しよう。

 秋水の視点において、現状、問題点は二つある。

 

 え、二つも?

 

 秋水は非常に由々しいと思った。

 これじゃあ以前、皐月姫に言われたように、自分の人生は〝お労しい〟代物じゃないかと。

 

 目下の展開、爆乳巫女ハーレムでイチャラブするだけでいいじゃないかと。

 

 だが現実は非情だった。

 

 ゆ る せ な い !

 

 秋水はドッキリバラエティ番組でフルチン解禁させられたイケメンアイドルのように、憤慨した。

 

 問題は二つだ。

 

 ひとつ、蔭木(かげき)家。

 ふたつ、孔雀堂(くじゃくどう)家。

 

 前者は汐坐市内の治安維持の面で、オペ子から極めて無視しがたい情報を共有された。

 

 二段階目のA.N.O.M.A.L.Y.──。

 

 二段階目の伝奇術師同様、世界でたったひとつの『自分だけの物語(Only One Story)』と化した存在。

 日本においては、準特等以上、あるいは準特等以上の術師が許可した一等術師だけが、事件(ケース)解決の同伴・動員を許可される脅威。

 

 言うまでもなく、汐坐市では秋水しか適任者がいない。

 

 二段階目に到達したとはいえ、鳶瀬山家は現場経験も浅く術式自体も戦闘向きではないことから、現在、正式な等級認定を先送りにされている。

 

 が、仮に彼女たちがすでに準特等以上レベルの術師と認定されていたとしても、秋水はやはり単身で対処に当たる腹積もりだった。

 

 それは(くだん)の二段階目A.N.O.M.A.L.Y.──蟻道鈴昌の証言を信じるならば〝呪物の類〟──が、いま、蔭木家によって不正に所持されている疑いがあるためである。

 

 蔭木家は豊葉と依穂にとって、仮にも夫だった男たちの生家だ。

 千歳、千景、八千代、八千花にとっては、すでに亡くなっているとはいえ、父親に当たる男たちの実家である。

 

 姦姦蛇螺(かんかんだら)の【呪い】の件もあり、関係性はもう断絶していると言ってしまって過言ではないようだが。

 

 やはり、この情報を彼女たちが知ったとき、少なくない動揺は避けられないだろう。

 

 あの後、オペ子から追加でドキュメント形式の情報(ファイル)を共有された秋水は、蔭木家の現当主、蔭木(かぶら)が千歳たちにとって再従兄弟(はとこ)に当たることを知った。

 

 年齢は二十七歳。

 

 盲目で、ひどく痩せている青年で、琵琶を用いた術式を持っているとか。

 あるいは、そういう術式ゆえに、盲目として生まれついたとか。

 

 歴史の勉強をしていれば、容易に術式名にアタリをつけやすい。

 

 であるならば、「知名度が高い=強術式」と言ってしまって過言ではないこの世界で。

 蔭木鏑は秋水同様、恵まれた異能を備える男と云えた。

 

 しかし、秋水がより注目したのはそんなカタログスペックの話ではなく。

 どちらかと言えば、鏑の人間としての性格・気質のほうである。

 

 協会による人物査定では、蔭木鏑は傲慢で女性蔑視、それでいて自己顕示欲と上昇志向が強く、他者を蹴落としてでも地位を高めることに執心していると記録、プロファイリングされていた。

 

 過去に幾つか、他の術師とトラブルも起こしているらしい。

 実際に資産や霊地を奪われた家もあるようだ。

 

 また、本人は協会総本部に、幾度も勝手に『特等評議』の申し出をしているようで。

 しかしながら、それらはどれも後から事態を把握した汐坐協会の根回しによって、〝その資格なし〟と処理されているようでもあった。

 

 秋水は呆れた。

 

 どんだけ人柄が悪いんだ。

 

 そんな男が、二段階目のA.N.O.M.A.L.Y.を手中に収めて、何をしでかすのか。

 危険呪物の不正所持は、銃刀法違反よりも重い違法行為。

 

 想像するだけでも、秋水はさらにうんざりした。

 

 もちろん、今の段階ではあくまで容疑止まりであり、協会は確たる証拠が無いため、強硬的な手段に出るのを躊躇っている。

 

 鏑が黒だと決まったわけではない。

 

 それでも、秋水としては鳶瀬山家への心理的な影響を考えて。

 いっそ、事が明るみにならない内に、真相を(つまび)らかにしてしまいたかった。

 

 暴力。

 

 つまり、暴力ですべてを解決する。

 

 蔭木家の屋敷を強襲し、鏑の身柄を押さえ、呪物のあるなしを徹底的に調べるといった行為。

 

 ただしこれは、無論のことデメリットもある。

 結果が冤罪だった場合、秋水はかなり不味い立場に置かれ、理不尽な暴力にさらされた蔭木鏑は、間違いなく怒り狂うだろう。

 法的な措置も取られるかもしれない──けれども。

 

 先だっての事件によって、秋水は自分が有する暴力の優位性を、今後は躊躇せずに行使していこうと決意したばかりだった。

 

 蔭木鏑が黒だった場合は、秋水が現時点で筆頭術師として暴力による制圧行動に出るのは、社会的に見ても正義になる。

 

 ただ……

 

『お願いですから、そんなふうにして必要以上の責任を負うのはやめてください!』

「なぜですか?」

『なぜ!? 貴方はまだ十七歳で、本来なら我々大人が守るべき存在なんです! 力があるからといって最短距離での独善を為していけば、貴方はいずれ本当に〝暴力装置〟や〝独裁者〟としてしか認識されなくなってしまいます!』

「……ですが」

『いいえ! ダメと言ったらダメです! 分かりましたね!?』

「…………はい」

 

 秋水の奥底には、まだまだ一般的な倫理観・良識がこびりついている。

 そのため、一応、行動を起こす前に軽く協会に連絡をしておこうと思った秋水は、必然、オペ子から厳しく独断専行を制止されてしまった。

 

 きっと、これが先代筆頭であれば、違ったのだろう。

 事前連絡などせず、事後報告で終えていたはずだ。

 

 ので、老爺のように振る舞うのは、秋水にはまだ難しいのだと図らずも思い知らされた形だった。

 

 もちろん、オペ子には感謝しかない。

 

 それに、オペ子からは追加で、気になる情報も提供された。

 

『蔭木鏑の調査は、蟻道鈴昌への尋問同様、引き続き我々が進めていきます』

「はい」

『……それに、こんな啖呵を切っておいてアレなのですが……』

「なんですか?」

『協会としては、筆頭にはこの件、孔雀堂家(がわ)に集中してもらいたいんです』

「孔雀堂家、側?」

 

 なぜですか? と秋水は短時間に二度も同じ言葉を繰り返すハメになった。

 孔雀堂家に関する問題は、たしかにルーツを蟻道鈴昌に宿している。

 

 しかし、蔭木家と孔雀堂家に付きまとう問題は、どちらも別軸で考えられるべき案件だと秋水は認識していた。

 

 なのに、オペ子は蔭木家の問題を指して〝この件〟と前置き、あたかも繋がりがあるかのように孔雀堂家の名前を続けたのだ。

 

 秋水の疑問に、オペ子は端的に回答した。

 

『蔭木家と孔雀堂家は、裏で繋がっているかもしれないんです』

「……根拠は?」

『蔭木家の屋敷に出入りしている術師二名が、孔雀堂家のペントハウスにも出入りしていたと霊視局から報告がありました』

「なるほど」

 

 納得の根拠だった。

 汐坐の伝奇術師協会霊視局は、A.N.O.M.A.L.Y.に関する探知感度が極めて高い。

 

 蔭木鏑が二段階目のA.N.O.M.A.L.Y.を不正所持している可能性があるなら、当然、霊視局がその周辺を見張る。

 

 ただし、霊視局も何でもかんでも視通せるわけじゃない。

 事が退魔四家も関わってくる犯罪となると、相手は隠蔽工作も図るだろうし、厳重な結界網も相手にしなくてはいけなくなる。

 

 青墨邸と同じだ。

 

 退魔四家の結界のほうが、さらに厄介な代物だとは思うが、どちらも内側を守っているのは変わらない。

 結界とはそういうもの。

 

 蟻道がどうやって禁止呪物を汐坐に持ち込んだのか?

 

 これも疑問だったが、南湾岸区の港湾流通網を利用したのだとしたら、蔭木家と孔雀堂家の繋がりにも信憑性が出てくる。

 

「だったら、俺の役割は霊視局の眼が届かない孔雀堂家本拠地での、直接調査&監視ってところですね」

『ご理解が早くて助かります』

 

 そんなこんなで。

 二つの問題点は、実はひとつかもしれず。

 

 蔭木家にしろ孔雀堂家にしろ、どちらを直接、探りに行ったところで本質が変わらないのであれば。

 いや、むしろ退魔四家である孔雀堂家の方が、より黒幕っぽい家格(かかく)がある以上。

 

 秋水の行動は確定する。

 

 南湾岸区への招待。

 鳶瀬山家もそうだが、そこには妹も招待リストに含まれていた。

 

 自分にとって大事な人間が、不要な不幸を味わう可能性をゼロにするため。

 間違っても、事件に巻き込まれたりしないよう。

 その笑顔が曇らされることの無いよう。

 

 秋水は予定よりも早く、相手の意表を突く形で南湾岸区に足を運んだ。

 

 第七次中央山域魔境化抑制作戦の翌日。

 早朝に自宅へ帰り、なんやかんやダラダラと時間を過ごし、結局、皆で一休みすることになったのは午前九時前。

 

 秋水の帰宅から実に、四時間ほど経過した頃。

 

 夏乃がヒナギクに連れられ、スヤスヤと私室で眠り。

 鳶瀬山家がそれぞれ、来客用の寝室で仲睦まじく眠りにつくなか。

 

 一番眠りたがっていたはずの男はひとり。

 

「あら、出かけるの?」

「む。寝るのではなかったのかや?」

「ああ。ちょっと所用を思い出した」

「……そう。何かあったら、すぐに呼んでね」

「不審じゃな。どこへ行くんかや」

「ただの野暮用だよ」

 

 睡眠を必要としない式神たちに、軽く見咎められながらも、そうして家の中から姿を消したのだ。

 靴さえ自室に常備しておけば、玄関に出ることなく外へ行ける。

 

 禹歩(うほ)とは非常に便利で、実にミステリ作家泣かせの異能だった。

 

 

 

 

 

 最初に狙いをつけたのは、孔雀堂エマである。

 理由は彼女が、孔雀堂家の当主だから。

 何が目的で何を企んでいるのか、秋水はエマに問いただせば一番早いと思った。

 

 ところで、退魔四家についてだが。

 

 汐坐市内において、旧家とされる術師家系は他にも幾つかあるのに、どうして四つの一族だけが特別四天王のように呼ばれているかというと。

 

 それは退魔四家が、汐坐の大結界構築に大きく寄与(きよ)しているからに他ならない。

 

 北嶺区の霜夜鐘(しもよのかね)家。

 東水門区の聖代橋(みよはし)家。

 西新区の稲童丸(いなどうまる)家。

 南湾岸区の孔雀堂(くじゃくどう)家。

 

 退魔四家とは汐坐市内で最強の四家ではなく、汐坐市内で最古の四家という意味でもないのだ。

 

 なにせ、現状の汐坐市はA.N.O.M.A.L.Y.退治と解決を、少なくとも八割ほどは秋水に依存している。

 となると、今現在どの家が最強かと問われれば、それは青墨家にしかならない。

 

 一方で、歴史の長さで言えば、北嶺区では霜夜鐘家より鳶瀬山家のほうが古い。

 

 まぁ、どの家もどのみち、旧家と呼ばれるに相応の歴史を持つ家ではあるのだが

 ひょっとすると、蔭木家よりも霜夜鐘家は歴史が浅いはずだ。青墨家も同じく。

 

 にもかかわらず。

 

 退魔四家が汐坐で、何ゆえに退魔四家と呼ばれているのか?

 

 その答えはひとえに、大結界の構築と支柱の維持にある。

 

 大結界とは、日本の各主要都市に展開された呪術的インフラのひとつ。

 A.N.O.M.A.L.Y.の発生率を抑え、発生してしまったA.N.O.M.A.L.Y.の内、およそ四〜六割は大結界の外側へと排斥している。

 

 これが、現代文明が辛うじて崩壊せずに済んでいる最たる理由のひとつだ。

 

 スペックを見る限り、万能でもなければ完璧でもないのに? と疑問に思う者もいるだろう。

 大結界とは名ばかりで、全然大した性能じゃないないじゃないかと。

 

 しかし、A.N.O.M.A.L.Y.は人の認識や物語、社会そのものから生まれ出でる。

 その特性上、完全な根絶は不可能(それは人間の絶滅と同義)であり、大結界はあくまでも被害を軽減・低減するための防波堤措置に過ぎない。

 

 そして、この防波堤があるのとないのとでは、まるで話が違ってくるのだ。

 

 北嶺区、東水門区、西新区、南湾岸区。

 汐坐市域の四方四要地に打ち込まれた四本の支柱。

 

 例えばそれは、南湾岸区において現在、レガリア・タワー汐坐と呼ばれている。

 

 支柱とは、土地へ打ち込まれた巨大な(くさび)だ。

 

 物理的にも概念的にも。

 

 大結界を構築するにあたり、俗に心霊スポットだのと呼ばれる〝よくないものの吹き溜まり〟を、強制的に(プラス)のパワースポット化するため必要なもの。

 

 大結界を構築するのに、霊脈の関係上どうしてもそこが必要なのに、特に都合が悪く最悪な規模の(マイナス)パワースポットがあるから何とかする。

 

 概念としては、怨霊や荒御魂を鎮めるための祠に近い。

 

 レガリア・タワー汐坐は、外装こそ現代的だが。

 実質的には、魔術的シンボルを成していて、風水術理に基づき建てられている。

 

 孔雀堂家の富や絢爛さを利用していて、(マイナス)の気を強引に(プラス)の気へ浄化。

 それと似たような感じで、他の退魔四家も支柱を維持している。

 

 だから、時代によって支柱自体の姿形は変わるし、百年前は別の建築物、さらに昔ならそれこそ石造りの祠だった可能性もあった。

 

 変わらないのは、役割だけだ。

 

 支柱の在り方や姿形が変わる度、退魔四家の顔ぶれも折々で変わってきたかもしれない。

 だが、大結界の結節点を維持する。

 

 その役割だけは、大結界が展開されてから何ひとつとして変わっていない事実だ。

 

 孔雀堂家が居続ける限り。

 レガリア・タワー汐坐は、南湾岸区の人々を人知れず守護する重要な生活基盤に他ならない。

 

 北嶺区の霜夜鐘家は、神代本町の霊脈を中心に神域・禁足地側から流れ込む(マイナス)を抑え。

 

 東水門区の聖代橋家は、影代川流域と学苑都市圏を中心に、ヰ世界潮流なる(マイナス)を抑え。

 

 西新区の稲童丸家は、旧外緑地帯の広大な土地と産業基盤を中心に、人の生活圏から生まれる(マイナス)を抑え。

 

 南湾岸区の孔雀堂家は、外界と接続する港湾部を押さえ、国外・異界双方から流入する超常資源と異常情報に付きまとう(マイナス)を抑える。

 

 霜夜鐘家が滅べば、北が揺らぎ。

 聖代橋家が崩れれば、東が乱れ。

 稲童丸家が失われれば、西が狂い。

 孔雀堂家が途絶えれば、南が裂ける。

 

 仮にそうなれば、汐坐全体の霊的均衡が崩れて、市内に発生するA.N.O.M.A.L.Y.の総量は桁からして増大するだろう。

 

 したがって、退魔四家とは強さの称号を指すものでもなければ、ましてや家格の高さを競い合うランキングでも断じてなかった。

 

 汐坐という大都市を成立させるために必要な、四本の定礎結杭(パイルバンカー)

 

 それこそが、退魔四家と言っていいだろう。

 

 要するに、四家の役割とは道路や上下水道と同じだ。

 大結界の維持という仕事は、成功している限り誰にも見えないが。

 

 壊れて初めて、人々はその価値を知る。

 

 退治屋としての在り方ではなく。

 都市運営そのものの基盤を担うために、各々が重要な風水術理に従っている家。

 

 オペ子が言っていたが、孔雀堂家が南湾岸区で帝国を築くように権勢を誇っているのも、言ってしまえばその一環のはずだ。

 

 孔雀堂家は栄華を極め、富を誇り、派手でなければならない。

 そうでなければ、退魔四家としての意義を失うから。

 

 なお、これは彼女たちの生まれ持った術式とは別の話で、あくまで支柱の維持に伴う〝生き方〟の話である。

 

 退魔四家の面々が、いずれも風水系の術式を持っているわけではない。

 

 ゆえに、真に偉業を果たしたと賞賛すべきは、この国で最初に大結界を構築した伝説的な術師に違いなかった。

 あまりに伝説的なため、もはや彼そのものがA.N.O.M.A.L.Y.と化しても不思議はない歴史・伝説上の偉人。

 

 そう、伊能忠敬である!

 

 彼は生まれ持った風水系術式を以って大結界の構築構想を現実化するため、この国に少しでも平穏あれかしと願い、徒歩で日本地図を完成させたらしい。マジかよ? と思うだろう?

 

 秋水も思った。

 

 けれど歴史の教科書に載っていたので、これはマジなのだ。

 彼の術式効果が半永久的な事実も含めて、とんでもない新世界の常識である。マジで偉人すぎんだろ。

 

 それはさておき。

 

 

 

 

 

「──相変わらず、如何にも〝港区女子〟が練り歩いてそうな場所だ」

 

 汐坐市南湾岸区、汐高浜(しおたかはま)町。

 秋水が禹歩で移動した先は、海風の潮っぽさと勢いを、林立する超高層建築群によって多少薄れさせている大通りだ。

 

 レガリア・タワー汐坐の真ん前だった。

 

 筆頭として日々、汐坐市内を駆け回っていれば、主要なランドマークは当然記憶にあるし。

 ある程度の土地勘もつけば、地理情報にも自ずと詳しくなる──各町ごとに、どんなA.N.O.M.A.L.Y.が発生しやすいかも。

 

 孔雀堂家の煌びやかさは、南湾岸区からたしかに闇を遠ざけた一方で。

 人間の心に巣食う別種の闇──欲、嫉妬、虚栄などを増幅させてもいるのだろう。

 

 枢央区の駅前もそうだが、このあたりは炎上法師や張紙女の発生率が異常だった。

 

 (つち)蜘蛛という、誰かを叩きたくて仕方がないA.N.O.M.A.L.Y.も多い。

 整形に失敗した女性の怨念も多いのか、口裂け女の発生率もバカにならなかった。

 

 人間が増えれば、A.N.O.M.A.L.Y.も増えるので、必ずしも孔雀堂家が悪いわけではないのだが……

 秋水は持ち前の庶民感覚に紐づく場違い感から、富裕層を胡乱げに見つめてしまう。

 

 ともあれ。

 

 オペ子からの情報によって、孔雀堂エマは毎朝この時間、レガリア・タワー汐坐のフィットネスフロアで体を動かしているそうだ。

 

 時刻は午前の九時ちょっと過ぎ。

 

 一般的な会社なら、そろそろ始業時間と思われるが、孔雀堂グループの総帥ともなれば出勤時間には融通が利くに違いなかった。

 

 エントランスに入り、フロントスタッフの元まで歩く。

 絨毯が柔らかくて、なんかよく分からないが、極めて高級そうなフレグランスの香りがした。

 

 きっとディオールだとか、ソヴァージュだとかだろう。

 

 秋水はもう、それだけで怯みたくなる気持ちで一杯だったが、顔には出さない。

 今朝の秋水は珍しく、協会所属の伝奇術師夏制服に身を包んでいる。

 

 普段は滅多に袖を通さないが、正装(フォーマル)がデフォルトの場所に赴く際には何かと重宝していた。

 

 弁護士バッジみたいな感じで、筆頭術師バッジもついている。

 着られている感は否めないかもしれないものの、少なくとも服装においては恥ずかしくない格好である。

 

「すみません」

「あ、貴方は……!?」

 

 秋水が近づいていくと、フロントスタッフの顔色が変わった。

 用件を話し始めると、奥から他のスタッフたちも出てきて、最終的にはやけに緊張した様子のチーフ・コンシェルジュっぽい人が、コーヒーと紅茶を勧めてきた。

 

「コーヒー()お紅茶はいかがでしょうか……!」

「……えっと、それじゃあコーヒーだけお願いします」

「かしこまりましたっ! 孔雀堂様へのお取り次は、間も無くとなりますので、今しばらくお寛ぎになられてお待ちください……!」

 

 緊張し過ぎて、自分がコーヒーと紅茶の両方を勧めていた事にも気づいていない様子だった。

 恐らく、孔雀堂家に雇われている術師スタッフだろう。

 

 秋水の顔は大々的には公開されていないが、協会のHPを潜っていくと確認できる。

 

 筆頭バッジもあるので、きっと何事かと驚愕させてしまったに違いない。

 しかし、せっかく相手の意表を突こうとしてのアポイント無し訪問である。

 

 秋水は少々マナー違反だったが、コーヒー(よく冷えていてありがたかった)を一気飲みすると、スタッフの声掛けを待たずに移動することに決めた。

 

 孔雀堂家は退魔四家。

 老爺からも夏乃からも、そして協会からも、海千山千(うみせんやません)狐狸(こり)同然だと聞いている。

 

 少しでも時間を与えてしまえば、真実を聞き出すことはおろか、逆にこちら側が化かされて終わるだけになってしまいかねない。

 孔雀堂エマはビジネスの場でも、成功を掴んでいるバリキャリだそうだ。写真を見た印象だと、たしかに凛としていて成功者っぽかった。

 

 コーヒーのカップを返却する。

 

「ご馳走様でした。フィットネスフロアは、52階で合ってますか?」

「えっ? あ、はい。そうでございますが……青墨様?」

「申し訳ないんですが、あいにく急ぎの用事でして」

 

 秋水はエントランスから一度、外へ戻ろうとする。

 すると、「ハッ!?」と察した顔つきになったスタッフが、目を剥いて慌てた様子で待ったをかけて来た。

 

「おっ、お待ちください青墨様!」

「いいえ」

「いいえ!? って、そうではなくて!」

 

 思っていたよりも強引な態度の秋水に驚いたのか、チーフ・コンシェルジュらしき女性スタッフは額に汗を浮かばせながら、続けた。

 

「孔雀堂様はこのお時間、54階のウェルネスラウンジにおります!」

「……ウェルネスラウンジ?」

「52階のフィットネスフロアは、宿泊客の方にもご利用可能な施設となっておりましてっ、54階からが孔雀堂様のご利用になられている専用フロアでございます!」

「……なるほど」

 

 ウェルネスラウンジって何だ? と思った秋水だったが、要するにブルジョワ用語か。

 それに、ここってホテルとしても使える感じなのか。

 

 秋水は知見を深めつつ、澄まし顔で頷いた。

 

 女性スタッフは秋水の行動を制止しようとしたのではなく、親切心で正確な情報を提供してくれたらしい。

 

 会釈して、礼を告げる。

 

「どうもありがとうございます」

 

 ズキューン!

 女性スタッフは心臓を抑えて、その後、エントランスを彩る石像(モニュメント)と化した。

 

 秋水はその頃にはクルリとUターンして外に出て、携帯端末で〝ウェルネスラウンジ 意味〟で検索していたので気づかなかったが。

 

 背後では「チーフ!?」「三十二歳独身には耐えられなかったのよ!」「ていうか、なんで筆頭が!?」「孔雀堂様なにかやらかしたのか!?」「とりあえず急いで連絡しろ……!」と騒ぎになっていた。

 

 ちなみにどうでもいいが、ウェルネスラウンジとはザックリ言うと、複合型リラクゼーション空間を意味するらしい。

 

 レガリア・タワー汐坐のそれは、フィットネスクラブの他にもトレーニングジム、温水プール、ヨガスタジオ、音楽やアロマを利用できる瞑想、マッサージルームに加え、朝食サロンなども一緒くたになった代物のようだ。

 

 セレブのお子様ランチかな?

 

 秋水は「朝食サロン……」と腹の虫を刺激された。

 

 が、

 

「──〝我が手には倶利伽羅剣あり。しからば我が背には迦楼羅炎あり〟」

 

 空腹感を多少耐えつつ、エレベーターなどよりもよっぽど早い移動手段を用いる。

 

「〝火炎光背(かえんこうはい)不動明王(ふどうみょうおう)〟──」

 

 背から不浄と煩悩を焼き尽くす炎を噴出し、飛行を可能にする伝奇詠唱。

 レガリア・タワー汐坐の54階まで、秋水は一気に上昇する。

 

 そして、一面の窓ガラスに赫赫とした軌跡を描きながら、すぐに目的の人物を捕捉した。

 

 長いプラチナブロンドの女性が、ブランドもののスポーツウェアに身を包んで、恐らくはフロントスタッフからの連絡を受けている。

 

 そのエメラルドグリーンの瞳が、ハッキリと窓の向こう側の秋水を捉えたところで──

 

「っ、な……!?」

「失礼します」

 

 秋水は一瞬にして、レガリア・タワー汐坐の中に入り込んだ。

 空中では禹歩が難しいのだが、霊脈というのは何も大地にだけ存在しているわけじゃない。

 大気中にも、実は存在している。

 

 秋水は一度行った場所、目視で確認した場所には瞬間移動が可能だった。

 

 よって、孔雀堂エマは心から愕然としていた。

 

 外にいきなり炎の翼を生やした人間が現れ、しかも、その位置が地上からとんでもなく離れているとなれば。

 如何な伝奇術師といえども、驚愕は避けられない。

 

 秋水はそこに、さらに壁抜けという超常現象も追加したのだ。

 

 ──それでも。

 

 孔雀堂エマはさすがに退魔四家の一角、当主だった。

 秋水が空中移動の余韻から、わずかに姿勢を直している間に。

 

 彼女はウェルネスラウンジのスタッフを下がらせ、朝日が海面を黄金色に染める眺望のなか。

 

 ランニングマシンの上で、たった三十秒しか硬直していなかったのだから。

 

「不躾なご訪問となって申し訳ありません。はじめまして、青墨秋水です」

「────いいえ、とんでもありません。我が家の門は、常に貴方のために開かれておりました」

 

 はじめまして、孔雀堂エマです。

 フランスの血を感じさせる妙齢の美人。

 南湾岸区の象徴とも言うべき女性。

 

 運動中だったからか、髪を後ろでまとめていてスポーティな印象である。

 

(若い)

 

 めちゃくちゃ若い。

 秋水も驚いていると、エマはマシンを降り、完璧な優雅さを湛えて完璧な笑顔を形作る。

 

 だがその内心は、今なら見かけほど完璧ではないはずだと秋水は踏んで。

 

「単刀直入に、お伺いしてもよろしいですか?」

「まぁ、なんでしょう?」

「俺に貴方の、本心を教えてください」

「……………………うふふ」

 

 笑顔で誤魔化したエマに、「そう簡単に口は割らないか」と眉間に谷を刻みながら、一歩を詰める。

 

「!」

 

 すると、エマは少々、慌てた感じで後退った。

 さては逃げるつもりか? と秋水がすかさず空いた分の距離を詰めると、またしても後退する。

 

 エマの首筋には、大量の汗が流れていた。

 

(──やはり、動揺しているな)

 

 秋水は確信し、絶対に逃がさないぞ、と真剣な面持ちでエマの全身を捉え続ける。

 エマはますます汗を流し、頬や首筋周りを赤くしながら、後退った。

 

「ど、どうして近づいてくるのです……?」

 

 声も、どこか上擦っていた。

 秋水は答える。

 

「貴方を逃がさないためです」

「っ!」

 

 退魔四家ともなれば、緊急避難のための手段は常備しているだろう。

 たとえば、煙幕系の呪具とか。

 そうでなくとも、近頃は一般に普及している護身用グッズも、大層バリエーションに富んでいるらしいし。

 

 伝奇術師は意外にも、尋常手段による攻撃に弱かったりする。

 秋水はそのへん、老爺に厳しく仕込まれたので問題ないが、スタンガンなどの警戒は必要だった。

 

 よって、エマが突然怪しい素振りをしないように、秋水はしっかり相手の全身を観察する。

 

 すると、筆頭術師の霊威を浴びて身がすくんだのか。

 エマは「降参よ!」とでも言わんばかりに、無言のまま口をパクパク喘がせた。

 

 とうとう、そのカラダは壁まで追い込まれて、エマは激しく胸を上下させながら両手を壁に着く。

 

「わ、わかりました……逃げませんから、少しだけ時間をください……」

「時間を?」

「あ、汗を流して、着替えて参ります……せめてそのくらいの礼儀は、示していただけないかしら……っ」

 

 礼儀。

 その言葉を持ち出されると、秋水にも罪悪感が湧いて来た。

 社会人的に考えて、今の自分は大企業の社長にアポなしで突撃営業かましているくらい、ヤバいやつだと自覚していたからだ。

 

 とはいえ、これは夏乃や千歳たちの安全にもかかわる話。

 

「……分かりました。短めに済ませてください。もし逃げようとすれば」

 

 秋水は眼光を鋭くして、エマを威圧する。

 そうすると、たちまちエマは首肯を繰り返した。

 

 嘘を言っている様子ではない。

 

 それに、これだけ脅せば十分だろうとも考え、秋水は前のめりだった姿勢をようやく収める。

 

「では、どうぞ」

「は、はい……あっ!?」

 

 緊張が緩んだのだろうか。

 エマがそこで、唐突に大きくバランスを崩す。

 秋水は咄嗟に、そのカラダを転倒から救ってしまった。

 

 斜め前に倒れ込みそうになったエマを、正面から肩を押さえて支える。

 

 すると、想定外の感触が胸板にインパクトを起こした。

 

 デッ

 

「……大丈夫ですか?」

「え、ええっ! ごめんなさい、ありがとうございます……」

 

 爆乳が恥ずかしそうに、慌てて身を持ち直す。

 運動直後で、体温が上がっていたのだろう。

 エマの両肩はスポーツウェア越しでも湿っていて、汗をかいているのに妙に甘ったるやかだった。

 

 秋水は心の中で、孔雀堂家め……と思わず毒吐く。

 

 なお、この件に関してはエマに罪は無い。

 

 そうこうしていると、エマが目線をあっちに来たりこっちに行ったりさせながら、「では、シャワーを浴びてきますね……」と言わなくていいような事を口にし、たっ、たたったっ! と妙に鈍臭い足取りでシャワールームの方角へ向かっていった。

 

 そしてエマは途中でスタッフに何かを申し付け、仰せを承ったラウンジスタッフが、テクテク秋水のもとへ近づいてくる。

 

「孔雀堂様のご準備が済むまで、どうぞサロンにてお待ちください」

「いえ、お構いなく。自分はここで待ちます」

「……そうでございますか? では、椅子をお持ちいたします」

 

 スタッフはきょとんとしていた。

 しかし、ここまで来ておいて、エマに逃げられるわけにもいかないのだ。

 

 多少、エマに冷静になる時間を与えてしまったが……そこは仕方がない。

 

 秋水は深々と息を吐いて、エマが入ったシャワールームの出入り口を見張った。

 

 ……少し変態臭い気もしたが、いざとなれば協会の夏制服とバッジが自分を守ってくれると信じた。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 胸の奥の律動が、激しい。

 突然の事態に、頭も心も混乱している。

 

 冷水のシャワーを浴びているのに、彼に触れられた肩が熱くてたまらない。

 

 強引な姿勢。

 有無を言わさぬ男性の圧力。

 普通なら、どれも嫌悪感を覚えて当然のはずなのに。

 

 朝のお気に入りの時間。

 美しい海の眺めに、彼はとてつもなく鮮やかに現れて。

 

 年甲斐もなく動揺している私に、あんなにも真剣な眼差しを注ぎ込んでくる。

 

 はしたない格好だった。

 カラダの線が、ハッキリ出ている。

 それでいて腕もお腹も、背中の半分以上も開けっぴろげ。

 

 メイクだって、控えめで。

 

 よりにもよって、どうしてこんな状態の時に? と十代みたいに「ひゃぁ〜!」と心が苦しくなる。

 

 なのに、一瞬で理解させられてしまった……

 大人の余裕なんて、一瞬で吹き飛ばされてしまった……

 

 恐らく、彼はまったく、そんなつもりなんて無いのだろうけれど。

 

(私は、孔雀堂エマは……)

 

 術師としての実力差からも、思い知らされてしまった。

 彼に目をつけられたら、二度と逃げられない。

 

 あの眼。あの若々しくも、猛々しさに満ちた殿方に特有の眼差し。

 

 エマの全身をただ、どこまでも圧倒的に鷲掴んで。

 その服の内側まで、自ずと差し出させんと見透かすような。

 強く、激しい、熱力に満ちた炎!

 

(いけないわ、いけないわっ、いけないわ……!)

 

「いけないのよ、エマ……? 本命はクララさんだって、決めておいたでしょう……?」

 

 ああっ、でも。

 

「っ、やだ、いや……私、どうしてこんなっ……ええ? 信じられない……だって、あまりにも一瞬じゃない……っ」

 

 一糸纏わぬありのままの姿で。

 エマはシャワールームの鏡を、吐息によって曇らせる。

 

 水の温度は冷たい。

 それでも、吐く息はサウナにでも入った後みたいに熱を伴って。

 

 エマは、そこに。

 

 孔雀堂家当主の顔ではなく、女の顔が写っている事実に打ちひしがれていた。

 

 ──なんて、はしたない顔なの?

 ──なんて、浅ましい期待に満ちた顔なの?

 

「きっと血のせいだわ……フランスは愛の国だから……私がおかしいんじゃない……そうよ、そうでしょう……?」

 

 誓って言うが、さっきの転倒はわざとじゃない。

 ただ秋水の魅力に心奪われ、足をもつれさせたエマの不覚だった。

 

 ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。

 

 確かに、彼と接触することを目的にして、何年も動いてきた。

 でもそれは、あくまで娘たちのどちらかと結ばせるつもりで。

 エマ自身は、その計画に自分が入り込む余地なんて、想像すらしていなかったはずだった。

 

「──いいえ、うそ、なんだわ……」

 

 エマは、ハッとする。

 先日も、そうだった。

 娘の一人、末のサラからとんでもない提案を受けた際にも、思えば不思議だったのだ。

 

 エマはどうして、あんなにもすんなり、母娘揃ってのハニートラップなんて作戦に頷いてしまったのか?

 

「私……気づかない内に……?」

 

 娘たちのためと思いながら、いつからか自分のほうが本気になって、彼を欲していた?

 心臓の律動が激しいあまり、エマは自身の胸を両手で掴んで、必死に興奮を鎮めようとする。

 

 しかし、そうすると何故か余計に切なさが増してしまった。

 

「ん……んんっ……」

 

 ダメだ。ダメよ。私。こんな。

 エマは唖然とする。

 どうしよう。

 

 ──ちっとも興奮(トキメキ)が鎮まらない!

 

 ──完全に、恋している!

 

 たすけてー!

 

 

 

 ────────────────────

 

 tips

 

 ◆伝奇術師バッジ

 

 正式名称、伝奇術師徽章(きしょう)

 術師章とも、協会章とも。

 形状は日本の場合、玉垣(たまがき)注連縄(しめなわ)を重ね合わせた五芒星。

 中心に鍵穴をかたどる。

 有する意味は『境界の門番』

 このバッジを与えられるとき、伝奇術師はA.N.O.M.A.L.Y.から人々を守る事を形式的に宣誓する。

 

「我は境界を守る」

「我は人を守る」

「我は物語に呑まれぬ」

「我は彼のモノを畏れる」

 

 決して驕らず、A.N.O.M.A.L.Y.が基本的に上位存在である事実を初心に刻む誓い。

 なお、等級ごとに色や材質が変わる。

 裏面には術師番号、所属協会、等級が刻印されている。

 

 ▣筆頭徽章

 ・母材:チタン合金

 ・外観:金徽章+黒の縁取り

 ▣特等金徽章

 ・母材:チタン合金

 ・外観:黄金発色処理

 ▣準特等銀徽章

 ・母材:チタン合金

 ・外観:白銀発色処理

 ▣一等青鋼徽章

 ・母材:高強度ステンレス合金

 ・外観:青みを帯びた銀

 ▣二等鋼徽章

 ・母材:高強度ステンレス合金

 ・外観:艶消し銀

 ▣三等黒鋼徽章

 ・母材:高強度ステンレス合金

 ・外観:黒色窒化処理

 

 

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