クソボケ激メロ術師の現代伝奇バトルでハーレム構築スローライフ希求譚   作:所羅門ヒトリモン

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第34話「孔雀堂家の真実」

 

 

 で、真実が告白された。

 呆気なく感じるかもしれないが、孔雀堂家が耐えられるはずもなかった。

 

 青墨秋水に面と向かって、「洗いざらい話してくれれば、悪いようにはしない」と宣言され。

 

 助けて欲しいなら、素直に助けてと言えばいい。

 手は差し伸べる。

 いま、それを掴むかどうかは貴方たち次第だ、と。

 

 まるで、もう何もかもを見透かされているような眼差しで、選択肢を突きつけられた彼女たちは。

 

 すでに、午後二十三時という夜遅い時間。

 全員が寝間着(ネグリジェ)姿だったにもかかわず。

 隠されし()()()も含めて、全会一致で〝白状する〟ことを決めた。

 

 超高級レジデンス〈レガリア・タワー汐坐〉──ペントハウス内コモンルーム。

 

 青墨家の訪問を受け入れた孔雀堂家は、空調の効いた室内で、ホットココアを淹れて歓待の意を表した。

 フランス製の高級インテリアに囲まれて、大きなローテーブルひとつを挟んで。

 

 エマ、クララ、サラ。

 

 そして、()()()()……マルグリット・デュランが、秋水と夏乃(ヒナギク)に真向かう。

 

「え、何ですのこれ?」

 

 夏乃が一番最初に困惑した。

 無理も無かった。

 なにせそれは、完全に無機物だったからだ。

 

 美女を模した精巧な黄金像。

 いや、女神像と呼ばれても不思議はない美術品。

 

 孔雀堂家はそれを、曽祖母だと紹介した。

 

「えっと、失礼ですけれどゴーレム系のA.N.O.M.A.L.Y.でして?」

「いいえ。そう誤解されるのも無理からぬことですが、こちらにいらっしゃるのは間違いなく私たちの曽祖母なのです」

 

 ホットココアに目を落としながら、エマが静かに首を振った。

 すると、曽祖母と二度繰り返し紹介された黄金像が、信じられないことに喋り始めた。

 

『お初にお目にかかりますね。私はマルグリット・デュラン』

「喋りましたわぁぁぁぁぁぁ!」

「夏乃」

「むぎゅっ!?」

 

 秋水が妹を諌めると、依然として憑依状態であるヒナギクが、主人の両腕を操って物理的口封じを行った。

 黄金美女はそれに、軽く目礼まで見せて人間らしさを醸す。

 

『ゆえあって、今でこそこのような姿ですが人間です。A.N.O.M.A.L.Y.ではありません』

「何かの【呪い】ですか?」

『ああ。青墨秋水様。筆頭様はさすがに、ご理解が早くていらっしゃいますね。この程度のサプライズでは、いささかも動揺されていらっしゃらないわ』

 

 マルグリットの声は、優雅なアクセントに満ちていた。

 きっと無機物状態でなければ、もっと洗練された上流の所作と一緒に微笑みもブレンドされていただろう。

 

 貴族の風儀すらも感じられる。

 

 実際、身につけている──と言っていいのかは分からないが、服装も令嬢ものの少女漫画キャラクターみたいな感じだ。

 

「曽祖母というのは、本当ですか?」

『まあ。なんて鋭いご賢察でしょう。正確には違います』

「というと?」

『曽祖母というのは、あくまで戸籍上の便宜を図るためのものですね』

「なるほど」

 

 つまり、実際にはさらに昔の人間。

 恐らくマルグリットは、今の黄金の姿になってから長いこと時を止めている。

 年齢も老人には思えない。

 ざっくりした所感にはなるが、たぶん十八世紀か十九世紀に生まれた人間だろう。

 それが、若い時分の姿で時を止めている。

 

 自意識があるのが謎だった。

 

 秋水はマルグリットから目を逸らさず、エマに訊ねる。

 

「エマさん。この方は孔雀堂家にとって、真の当主という認識で良いですか?」

「……概ね、正しいわ」

『謙遜はやめなさい。私はただの相談役。ただのおばあちゃまに過ぎませんね』

 

 マルグリットの茶目っ気に満ちた反駁(はんばく)は、言葉とは裏腹に孔雀堂家の上下関係を明示するに相応しいものだった。

 

 現にクララもサラも、マルグリットの前では緊張していて硬くなってしまっている。

 黄金化していながらも、彼女たちにとってマルグリットが非常に威厳溢れる曽祖母である証だ。

 幼い頃からきっと、厳しく育てられたのだろう。

 エマも同じだ。

 

「なんで生きてるんですの?」

 

 夏乃が率直に訊ねた。

 失礼極まる言葉のぶつけ方だったが、ドストレートゆえにシンプルな回答を強制していた。

 マルグリットが微かに、苦笑を形作るような動きをする。

 

『紅の伝奇姫様。良いご質問ですね。まさに、それこそが当家の抱えている長年の悩みなのです。エマ』

「はい。我が家の術式は、『ニーベルングの指環』なんです。クララさん、いい?」

「ええ」

 

 マルグリットからエマ。

 エマからクララと。

 孔雀堂家の上位下達が行われ、秋水たちの前でひとつの超常現象が輪郭を結ぶ。

 

「〝欲深き者よ罪を知れ〟

 〝眩んだ眼では真に価値ある輝きは映らない〟

 〝然れど我が身は黄昏には程遠く〟

 〝貪する心がやがて、折れたる剣を招くのだ〟」

 

 伝奇詠唱。

 直後、クララの両腕には霊力回路から黄金のオーラが可視化され、《竜蛇》の鱗が出現する。

 ニーベルングの指輪と聞き。

 加えて、詠唱の内容もあれば。

 秋水も夏乃も、すぐに分かった。

 

「「黄金の邪竜(ファーフナー)」」

 

 またの名を、ファヴニール。

 ファーヴニル、ファフニールとも。

 

 北欧神話・ゲルマン神話で語られる有名なドラゴンだ。

 

 より正確には、ワーム、ドワーフにまで元の正体を遡れるが、最後の姿はれっきとした《竜蛇》と語られている。

 クララは頷いた。

 

「はい、正解ですわ。これは〝黄金邪竜変生・ファーフナー〟という技でしてよ」

「でも、それだけではないんです。サラさん?」

「うん」

 

 続いて、サラが異能を発動した。

 姉同様に霊力回路を起動し、ただしその光は首元から浮かび上がり。

 

「〝卑しき者、賤しき者なれども技は優れたる〟

 〝琥珀あるいは黄金の、あまりに麗しき円環飾り〟

 〝神々の居城を建造するにも等しい値打ちもの〟

 〝然れど私は唯一、その代価にふさわしき者〟」

 

 オーラが首輪を模した宝飾品の形状を取ると、サラの姿が急激に魅力的になる。

 秋水にはなんてことないが、夏乃とヒナギクが女として顔を顰めた。

 

「魅了──ではないですわね」

「同じことよ。こっちの浅ましさを増幅させるならね」

「ブリーシンガメン」

 

 北欧の豊穣の女神。

 愛と美を司り、しばしば性に奔放な逸話を語られるフレイヤ。

 ワーグナーの楽劇では、フライアと呼称を改めストーリーも変わるが。

 

 どちらであっても、この女神が物語上〝至高の財宝〟と比肩しうる価値を持つのは変わらない。

 

 神話では四人のドワーフが造った首飾りを要求して、ドワーフたちが金銭ではなくフレイアとの一夜を希望すると、その身を差し出してまで首飾りを手に入れた逸話を持っている。

 楽劇では、オーディンが巨人族に建てさせたヴァルハラ城の対価として、フライアは要求される。

 

 ドワーフも巨人も、神族と比べれば野卑な存在。

 

 そんな者たちから、性欲の対象として身代金や報酬代わりに扱われている女神こそ、フレイヤ/フライア。

 彼女は美しく、愛多き神であり、黄金を生み出す女神とも考えられた。

 

 流した涙は、大地に落ちれば黄金に。

 海に落ちれば琥珀に。

 

 奇しくもブリーシンガメン。

 

 首飾りと同じ宝飾品の性質を持った。

 サラの詠唱は、つまり神をも魅了する精神感応。

 欲望を刺激し、増幅させる技に違いなかった。

 

 だが、未熟だ。

 

「それ、自分自身も食らってるだろ」

「! さすがです、秋水先輩……これは〝黄金至宝女神・ブリーシンガメン〟って技です」

「秋水先輩ぃ?」

 

 夏乃が「ハァン?」とヤクザみたいな顔になって、サラを睨む。

 が、いちいちチャチャを入れさせていては、話が進まない。

 怯むサラを安心させるように、秋水は穏やかに続けた。

 

「ブリーシンガメンは、女神フレイヤ自身も魅了した首飾りだ。だからその技、使えば周りだけじゃなくて、自分の感情も膨らむんじゃないのか?」

「……まさに、その通りなんです。愛情、欲情、そういうのが一番膨らみやすくて……!」

「お姉さんの技と比べると、だいぶ使いどころが難しいな」

 

 コクリ、とサラが理解者を得たりといった様子で頷く。

 段々と、孔雀堂家の術式について理解が進んで来た。

 

「エマさん」

「はい。ご覧ください」

 

 秋水が首を向けると、エマも娘たち同様に霊力回路を起動する。

 ネグリジェの内側で、胸元がほのかに光った。

 途端、リンゴの香りが芳醇に辺りを漂う。

 甘く、ねっとりとした、どこかクセになりそうな果物の香りだ。

 

「〝ああ、若さよ〟

 〝神々は黄金の果樹園を私に授けた〟

 〝濡れそぼり、滴り、しとどに溢れる蜜こそ至極の甘美〟

 〝理想の美肉は、我が豊穣の果実によって与えられる〟」

 

 胸元の霊力回路もあり、詠唱はややエロチックな雰囲気を備えた。

 しかし、超常現象としてはそれだけだった。

 

「? 終わりですの?」

「ええ。私のはただの自己強化・自己回復に過ぎないの」

『青墨秋水様。お分かりになられますね?』

「イズン」

「え〜! お兄様これだけで分かるんですの!?」

「伊達に筆頭じゃないからな」

 

 エマが短く、「すごいわ」と頷く。

 

「私の技はサラさんと近くて、『ニーベルングの指輪』でフライアが管理しているとされる黄金の林檎──」

『神々が永遠の若さと美しさを保つため、毎日食べていると謳われる果実ですね』

「ふむ。神話ではその役割、イズンという女神のものですが」

 

 ワーグナーは楽劇の作成にあたり、イズンの役割をフライアに被せた。

 が、そもそもワーグナーの楽劇作成自体、北欧神話やゲルマン神話、ギリシャ神話などのエッセンスも含んでの創作だ。

 

 術式のタイトル()が『ニーベルングの指輪』なら、そこに詰まっている霊髄は多大な解釈の余地を持っている。

 

 秋水の術式の場合は、自分でその解釈幅を広げたが。

 孔雀堂家の場合は、ある程度はじめからオートで分散されているらしい。

 

「効果は察するに、若さの維持ですか?」

「面と向かってそう言われると、恥ずかしいけれど……正確には老化の遅滞化ね」

 

 技の名は、〝黄金林檎神饌・イズンアンブロシア〟

 

「うっらやましいですわねっ!」

「この場で一番若い世代なのに、何を言ってるんだ」

「女なら羨望して当然ですわよ!?」

 

 妹の大声に「そういうものか」と頷いて。

 

「けど、他人の【呪い】を羨ましがるものじゃないな」

「ごめんなさいですわッ」

 

 秋水は素直な妹の頭を撫で、改めてマルグリットに向き直った。

 

「どれも黄金を冠していますね」

『はい。そして私は、ご覧の通りの有り様』

「ここまで来れば、貴方がたの術式に黄金化の【呪い】があるのは馬鹿でも分かります」

 

 当のマルグリット自身が、なにせ【呪い】の実物だ。

 しかし、マルグリットは意思を有して生きている。

 

 そこは矛盾だった。

 

 人間が黄金になる。

 ギリシャ神話の有名な怪物、メデューサの魔眼を浴びれば、人は石になって死ぬ。

 なら、元素記号が多少違うくらいでも、結果は変わらないはずだ。

 

「避けられないはずの死を、避けられた理由」

『……』

「命は助かったが、黄金化は防げなかった理由」

『お分かりになられますか?』

「いいえ。まだピースが足りません」

 

 秋水は即答する。

 即答し、順を追って謎を紐解くことにした。

 

 孔雀堂家の術式は『ニーベルングの指輪』

 

 これはリヒャルト・ワーグナー作の楽劇で、先ほども触れたが北欧神話やギリシャ神話等のエッセンスを持つ。

 大筋はエッダやサガの流れを汲むドイツ英雄伝説『ニーベルンゲンの歌』を軸とし、竜殺しの英雄ジークフリートの運命を描く形で変わらないが。

 

 繰り返しになるものの、『指輪』はワーグナーの創作。

 

 楽劇はそのタイトルの通り、まず英雄が誕生する以前に、どんな因縁があったかを演じる。

 

(──四部作構成・序夜『ラインの黄金』)

 

 舞台はライン川の河底。

 そこにはラインの乙女と呼ばれる水の精が三人いて、彼女たちは美しかった。

 ラインの乙女は河底にある黄金の守護者でもあった。

 

 ここにアルベリッヒ。

 

 神話ではアンドヴァリと云う名のドワーフが訪れ、乙女たちに言い寄る。

 しかし、アルベリッヒは乙女たちに素っ気なく袖にされ、嘲笑された。

 さらには黄金について、

 

〝愛を諦めた者だけがこれを手に入れ、無限の権力によって世界を支配する指輪を造ることができるが、オマエのような色情狂には土台無理〟

 

 と聞かされる。

 アルベリッヒはブチ切れ、非モテの悲哀を炸裂させて「ならば愛など要らぬ!」と某世紀末覇者モードに。

 黄金を奪い、愛を呪ってライン川を去る。

 

 ここまであらすじを辿れば、誰でも察せられるだろう。

 

(つまり、このアルベリッヒが手にした黄金と、それから鍛えられた指輪こそが孔雀堂家の術式核だ)

 

 指輪は神話でも楽劇でも、オーディンやロキなどのビッグネームを巻き込んで転々と所有者を変える。

 なにせ、世界を支配し得る魔力を秘めているからだ。

 狙う者は多く、たかがドワーフに過ぎないアルベリッヒは、せっかく手に入れた指輪をすぐに奪われてしまう。

 

 奪われ、愛を捨ててまで手に入れた力を失い。

 必然として、憎しみを募らせる。

 だから、またもや呪いをかける。

 

 神話でも楽劇でも、これは同じだ。

 

〝その指輪を手にした者に、永遠の不幸を!〟

 

 指輪はやがて、ファーフナーという巨人(またはドワーフ)のもとに渡り。

 かけられた呪いがゆえか、あるいは元来そうした性質だったのか。

 

 指輪の魔力によって、ファーフナーは黄金(財宝)と指輪を守る邪竜と化す。

 

 指輪には黄金を増やす力があった。

 ならば欲望も同じく。

 邪心に溢れたファーフナーは、毒を吐く醜い長虫(ワーム)となって、やがて《竜蛇》に変じたという経緯である。

 

 なぜ、ワームなのか?

 なぜ、《竜蛇》なのか?

 

 余談にはなるが、これは新約聖書のマタイによる福音書6章19-21節、24節を引用する事で少し説明が出来る。

 

◯〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 19節:

 汝ら己がために財寶(たから)を地に積むな。ここは蟲と錆とが損ない、盗人が穿ちて盗むなり。

 

 20節:

 汝ら己がために財寶(たから)を天に積め。彼所(かしこ)は蟲と錆とが損なわず、盗人穿ちて盗まぬなり。

 

 21節:

 汝の財寶(たから)のあるところには、汝の心もあるべし。

 

 24節:

 人は二人の主に兼ね仕ふる事能わず。或いはこれを憎み彼を愛し、或いはこれに親しみ彼を(かろ)しむべければなり。汝ら、神と富とに兼ね仕ふる事能わず。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜◯

 

 聖句の意味は、人生で最も重きを置くべき価値とは何か? というテーマを語っている。

 現世の富や名誉などではなく、神の教え、隣人愛、朽ちないものの価値をこそ最優先すべきだと。

 

 言うなれば、キリスト教における普遍的な教え。

 

 だがこれは、日本語訳だと分からないが、原典だと面白い事実を示している。

 

 富を意味する(ことば)が、強欲の悪魔〈マモン〉の語で使われているのだ。

 キリスト教の重要な他文献でも、〈マモン〉は度々、悪しき富への執着、主なる神に対比する悪霊、物質主義精神の意で確認可能である。

 

 黄金や宝石。

 

 すなわち富とは、大昔から地下資源の事だった。

 

 では、地下には何が巣食っているだろうか?

 

 そう。ミミズやムカデに代表される長虫(ワーム)の類いである。

 奇々怪界な姿を持ち、毒を持った長大な胴体を持つ生き物。

 

 闇に蠢き、(うごめ)く。

 

 近年、ドワーフといえば鉱石掘りや鍛冶を生業にするファンタジー種族としてイメージが強いが、由来はここにある。

 

 強大な力を持ったワームは、蟲から《竜蛇》に昇華されるのも必然。

 

 で、英雄ジークフリートは、そんなファーフナーを魔剣(バルムンク)あるいは折れたる剣(ノートゥング)によって退治し、ドラゴンスレイヤーへなるわけだ。

 

(まぁ、それは良しとして)

 

 実演されたエマ、クララ、サラの異能。

 いずれもまさしく、キーワードは黄金だ。

 黄金という言葉が持つ、神秘と魔力が鍵になる。

 

 そして、人間が黄金に変わる【呪い】……孔雀堂家が是が非でも秋水を欲するワケに頭をめぐらせれば。

 

 思い至る可能性は、自ずとひとつになった。

 

「──愛」

『!』

「愛を得られなければ、黄金に変わってしまう【呪い】」

 

 孔雀堂家が一斉に、ハッと息を呑む。

 夏乃とヒナギクが、まるで白雪姫だと口をへの字にする。

 

『……お見それいたしました。まさか、こちらから言うまでもないなんて、さすがに思いもしませんでした』

「まだ【呪い】の正体を、言い当てただけですよ」

『十分でしょう。術式の名と異能の一端の開示』

 

 たったそれだけのことで、秋水は見事に孔雀堂家の悩みの種を看破した。

 

「〝愛を断念した者だけが指輪を手に入れ〟」

「〝無限の権力によって、世界を支配する指輪を得る〟」

 

 クララとサラが、楽劇のセリフを(そらん)じた。

 エマが続ける。

 

「なら、最初から術式(指輪)を得ていた私たちは、愛を得ない限り必ず代価を取り立てられる……」

『アルベリッヒ、あるいはアンドヴァリならざる身がゆえに』

「愚かな小人のごとく、黄金に塗れて命を落とすのです」

「なるほど」

 

 非常に厄介なタイプの術式だった。

 楽劇では最後、ジークフリートとブリュンヒルデの愛によって、指輪がラインの乙女に返還される。

 呪いをかけたアルベリッヒは、ついぞ指輪を取り戻せず演奏は終わる。

 

 だからこその、愛を得られなければ黄金となって死ぬ【呪い】なのだろう。

 

「はぁ〜、よそ様の家にはやっぱり、よそ様なりの苦労がありますわね〜」

「おい」

 

 夏乃の発言が地味に鬼畜で、秋水は思わずツッコんだ。

 完全に他人事ムーブすぎたからだ。

 

 だが、妹は短く「シャラップ」と無視するだけだった。

 

「事情はだいたい分かりましたわ。でも、これまではどうしてましたの?」

「【呪い】は本来、二十歳までの時限性だったわ」

『でも、そんな短さでは一族が断絶してしまいますから。当然、対処をしました』

「それが、マルグリット様がこの国に流れ着いた理由でもあるの」

「ははぁ」

 

 夏乃がマルグリットに、感心した目を向ける。

 今の発言が真実なら、マルグリットこそ孔雀堂家の【呪い】を弱化させた当人ということになるからだ。

 

 二十歳で黄金化というタイムリミット。

 

 マルグリットの生まれた時代を思えば、遠く海を隔てた日本にまで足を運ぶのは、まさに命を賭した旅だったに違いない。

 

「──視えたわ」

「ヒナギクか」

「ええ。口を借りるわよ夏乃」

 

 一拍、間をおいてヒナギクが告げる。

 

「孔雀明王」

 

 瞬間、今度こそ孔雀堂家全員が目を見張った。

 

「貴方たちはこの国に来て、孔雀堂の姓を得た。でも、術師の結婚は当時から、術師同士で行われるのが推奨されていたはずね?」

『せ、正解です。私は、この国のとある若者と夫婦(めおと)の関係になりました』

「愛を得る、ためだけじゃないわね」

『……打算的、と誹られるのには慣れています。当時も異人である私に対する風当たりは強く、彼には大きな迷惑をかけましたから』

「それでも、貴方は目的を叶えた」

 

 紅の魔眼が、妖しくマルグリットを見透かす。

 

 孔雀明王。

 

 秋水は当然、聞き馴染みがある。

 不動明王を代表に、忿怒の相が特徴の明王のなか。

 唯一の慈悲の相。

 菩薩形を持つとされる女神だ。

 

 孔雀仏母や孔雀王母菩薩とも云われ、インドではマハーマーユーリー。

 

 偉大な孔雀、と信仰されている。

 理由は単純だ。

 

「孔雀は害虫や毒蛇を捕食することから、人々の災いや苦しみを取り除く功徳の象徴とされ、孔雀明王は不動明王と同じく人間の三毒を喰らう有り難い女神とされている」

「孔雀明王を本尊とした密教呪法には、孔雀経法と言って鎮護国家の大法もあるそうね」

「その姿は、孔雀に乗った一面四臂で表されることが多いですわ。ただ……」

 

 夏乃が途中で言い淀んだのは、先が読めてしまったからだろう。

 秋水もほとんど同じタイミングで、マルグリットの現状を理解するに至った。

 

 術師同士の結婚は、術式の遺伝と切っても切り離せない。

 

 どちらの術式が勝つかは、当事者同士の霊力量や術式の相性などにも拠る。

 術式婚、なんて話も珍しくは無い。

 

 マルグリット・デュランは、海を渡り日本の孔雀堂(なにがし)と結婚した。

 結婚は当然、孔雀明王の術式による【呪い】の中和を求めてだろう。

 

 しかし、現代と比べて昔は、自分がどんな術式を持って生まれたのか正確な判断が難しかった。

 

 ネットも無ければ、協会だって万全な体制を整えていない。

 なら、人間が黄金化する【呪い】を、マルグリットは正確に『ニーベルングの指輪』が由来だと判断できただろうか?

 

『どうやら、お察しのようですね。その通りです──私は当時、自身の家系に受け継がれる術式を神話由来のものと思っていました』

「無理もないでしょう……」

 

 いったい誰が、1847年から1874年にかけて作曲されたとされる『ニーベンルグの指輪』を、自らの術式だと判断できる?

 

 莫大な知名度を得て、音楽史に燦然と名を刻んだ伝説。

 すべての物語が、伝説となった後で〝本当の出来事だった〟と歴史を変えるこの世界では、当時の人間にはどうやったってタイムパラドクスを破ることは出来ない。

 

 知る由もないのだ。

 

『私は孔雀明王の伝説を知り、毒蛇を食らう徐魔法の力に惹かれないではいられませんでした』

 

 ファーフナー。

 いや、ファーヴニルこそが、自らに相伝された術式核だと若き日のマルグリットは考え。

 遠い極東まで旅をして、孔雀明王の術式を持つ日本の若者と結婚して。

 

『愛を育めれば、もちろん良かったのですが……私の願いはどちらかと言えば、未来の子どもを救うことにありました』

 

 当然である。

 結婚しただけでは、孔雀明王の術式による恩恵は子どもにだけ与えられる。

 マルグリットは【呪い】を防げない。

 それでも、この女性は子孫を救うために迷わなかったのだろう。

 

 だからこそ、悲劇と言う他ない。

 

 遠い異国の地。

 不慣れな環境。

 異文化圏の習俗・伝説。

 

 秋水もそうだが、夏乃やヒナギクも気まずげに沈黙していた。

 エマ、クララ、サラは当然、知っているのだろう。

 ただ目蓋を伏せ、マルグリットの言葉に両膝の上で拳を握り込んでいた。

 

『……後になって、知りました。孔雀明王──いいえ、孔雀明王が騎乗している孔雀には、独立した尊格があることを』

 

 名を、『金色孔雀王』

 

「仏教において、金色は聖なる色です」

『ええ。ジャータカと呼ばれるお釈迦様の前世物語では、かつてヒマラヤの奥地、黄金に輝く美しい孔雀としてお釈迦様が生きていた事が記されていますね』

 

 孔雀明王の騎乗する孔雀も、だから聖なる黄金の孔雀と信じられた。

 

『……【呪い】はたしかに、中和されました』

「けれどそれは、目的の達成とは到底呼べなかった」

『にわか知識なりに、頑張ったほうだとは思うのですよ?』

 

 マルグリットは、気丈にも微笑む。

 黄金の像と成り果てながらも、微笑んで見せる。

 

『私の黄金化は、幸いにもこうして中途半端な状態に留まりましたし、子孫に残された【呪い】も、およそ四十年周期になっています』

「四十年周期」

『はい』

「なるほど。そして、ちょうど四十年目の節目に当たったのが──」

「ええ」

「わたくしたちですわ」

「秋水先輩……」

 

 エマ、クララ、サラの不安に揺れる視線が一気に刺さる。

 マルグリットが、「伏せぬ身で申し上げるのも申しわけございませんが、伏してお願い申し上げます」と懇願した。

 

『どうかこの子たちに、愛を』

 

 孔雀堂家を救うには、青墨秋水の愛を与えるしか方法が無いと。

 深夜のペントハウスで、ほとんどの女たちがそう信じていた。

 

 ゆえに秋水は立つ。

 

「いいですよ」

 

 それは常と変わらない端的な即断。

 救うべき相手を、しかと捉えた男の覚悟。

 喜色に舞い上がりかける孔雀堂家。

 夏乃とヒナギクが白眼を剥き。

 

 ただし。

 

「ただし、俺はまだ貴方たちから聞くべき一言を聞いてません」

 

 蟻道鈴昌事件。

 あれが実は、孔雀堂家のミスによる情報漏洩ではなかったのは、事ここに及び秋水も把握している。

 ヒナギクの眼は、ほとんど真実を見抜いていたからだ。

 だからこそ、

 

「妹も言っていましたが、今後は余計な陰謀や欺瞞工作をしないでください」

『それは……』

「無論、貴方がたなりに必死だったのは理解しましたが、手口が怪しければこっちだって要らない警戒をします。信じられない。全部徒労だった」

『もっ、申し訳ございません……!』

 

 マルグリットが慌てて謝罪をすると、エマもクララもサラも一斉に頭を下げた。

 

「ごめんなさい、どうかお許しになられて!」

「秋水先輩がこんなに話しやすい人だなんて、知らなかったんです!」

「今まで本当に、正攻法じゃ埒が明かなかったの……!」

「お〜〜〜っと!? 頭が低いんじゃありませんこと〜〜!?」

 

 頭を下げ、次々に謝罪する孔雀堂家三人の被せるように、夏乃が大声を発した。

 秋水はなんとなく気がつく。

 

「ああ、そうか。そういうことか?」

「何がそういうことですのお兄様!?」

「いやなに。要は冥土の土産だろ?」

「……えっ?」

 

 目をパチクリさせる妹に、秋水は小さく「なんでもない」とうんざりする。

 状況がどうしてこんなに、拗れた流れになってしまったのか?

 そんなの、考えてみれば答えはひとつだった。

 協会や退魔四家と渡り合い、秋水の孤立を徹底しようとしていた人物など、思い至るのは一人しかいない。

 

 先代筆頭、青墨秋蔵。

 

「……頭を上げてください。どうやらこちらにも、少なくない非があったみたいですね」

「そ、そうなの……かしら……?」

 

 エマもクララもサラも、恐る恐ると言った様子で母娘間で目を合わせる。

 彼女たちが知る由も無い。

 夏乃は祖父に愛情がある。

 

 つまり、誰を責めるべき話でも無くなった。

 

『えっと、それで……今後は即結婚という流れでよろしいですか?』

「いいえ」

 

 マルグリットの確認に、しかし秋水はそこで明確に首を横に振る。

 首を振られた孔雀堂家が、喜色から一気に絶望の色をたたえるが。

 

 まぁ、待て。

 

 如何に【呪い】から救うためとはいえ、鳶瀬山家を差し置いて孔雀堂家と結婚など論外。

 呪いを解くのに愛が必要だなんて、お伽話のテンプレすぎてびっくりするが、愛情だって急には芽生えない。

 

 だから、

 

「差し当たっては、もっと良い方法があります」

『……もっと、良い方法?』

「俺の術式は倶利伽羅剣ですよ」

 

 三毒を祓い清めるは、孔雀明王だけじゃない。

 すでに術式のルーツも出典も、由来も何もかも暴かれていた。

 

「ヒナギク」

「はいはい」

「えっ?」

「ちょ」

「なんで剣を抜いてますの!?」

「多少痛いかもしれませんが、そこはまぁ、我慢で」

『これは……!』

 

 〝智慧の利剣・火血刀〟

 

 研ぎ上げられた黒剣が、不意を突く形で横薙ぎに一閃された。

 真紅の軌跡が、孔雀堂家の【呪い】をアッサリと灼き斬る。

 

 調伏ではない。

 相手は式神ではなく、人間。

 

 だが、怨猛る姦姦蛇螺の咒さえ祓う剣が、愛を捨てた程度で手に入る魔力を浄化できないはずもない。

 仮に世界を支配し得る絶大な力であっても、孔雀明王の術式によって、ただでさえ弱化していた事実もある。

 

 秋水の倶利伽羅剣は、斬ろうと思わなければ人間を斬らない。

 ただ(よこしま)な魔だけを、苛烈に斬り祓うのだ。

 

 よって、この夜。

 

 孔雀堂家はマルグリットも含めて、黄金化の恐怖から解放された。

 術式のデメリットだけを、綺麗に削ぎ落とされたのである。

 しかも、

 

「では、もう俺を求める最大の理由も無くなったと思いますが、それでも依然、好意に変わりないようでしたら」

「……」

「……」

「……」

「……」

「後日、鳶瀬山家も交えて、改めてこれからの話をしましょう。一人でも納得できない形になるようでしたら、すいませんが希望には応えられません」

 

 秋水は去り際、どこまでも誠実に孔雀堂家の心情に向き合った。

 あくまでも鳶瀬山家が優先。

 前提として、不要な期待を持たせないように厳しく宣言しつつも。

 

 ちゃんと、好意自体は受け止めていた。

 

 声色と目つきが、十分に女たちを気遣っていた。

 

「あのー、この後の流れですが、よろしく頼みますわね?」

 

 秋水の妹が、蔭木鏑をさっさと切れと念押ししたが、孔雀堂家は「はいぃ……」と心ここに在らずで頷くしか出来なかった。

 

 ──え? うそ。

 ──こんなの、好きになっちゃう?

 ──あ、もう好きでしたわね?

 ──…………。

 

 黄金化から復活したマルグリットに至っては、正常な思考回路を取り戻すまで一晩を要するだろう。

 

 青墨家が立ち去った〈レガリア・タワー汐坐〉の最上階。

 孔雀堂家の女たちは、やがて時計の針が十二時を回った瞬間、恋に燃え上がった。

 

 たとえ、もう一番星には届かなくとも。

 

 星に願いを託し続け、ついに手の届く距離に星をおさめた。

 彼こそは、地上の星。

 諦められるわけ、ない。

 

「……欲しい」

「欲しいわ」

「欲しい……」

「──欲しい」

 

 欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい──!

 

 奇しくも、黄金にも勝る欲が蠢き出す。

 

 エマの頭のなかでは、黄金の林檎よりも遥かに価値ある管理すべき果実として、秋水が刻まれ。

 クララの胸中では、秋水への執着心が邪竜とも呼べる怪物の姿でとぐろを巻いた。

 サラは苦しげに首をかきむしり、恋という名の息苦しさに魅了の虜となる。

 

 そしてマルグリットは、数世紀ぶりに詠っていた。

 

「〝魔法の指輪が洞窟を埋める〟

 〝無限の富で、窒息するほどの黄金〟

 〝ああ、なのに渇きが狂おしい。激しく狂おしい〟

 〝黄金に飢え狂う欲望(アンドヴァラナウト)には──底が無い〟」

 

 それは孔雀堂家の秘奥義。

 指輪を物質化させ、その魔力によって万物を黄金化させる異能。

 だが、マルグリットはいま、欲望の自覚のためだけに詠唱していた。

 

 黄金化が解けた女は、北欧の妖精的な雰囲気が混ざりこんだ美貌で、スタイルもまた子孫に引けを取らない。いや、完全に勝る。

 

 銀髪碧眼白磁。

 

 西欧の秘儀に馴染み深い十八世紀の伝奇術師。

 マルグリットは脳を焼かれていた。

 

 かつては忌むべき呪いの祝詞(のりと)

 

 然れど、どうだろう?

 長年の付き合いは、やはり卑しい女のサガとは切り離せない。

 愛を知りたい。

 愛を知りたい。

 愛を、愛を、愛を、愛を。

 

「──青墨秋水様」

「私たちの……」

「私たちだけの……」

雄々しく崇高な英雄(ジークフリート)!」

 

 ならば、ここからが孔雀堂家のスタートライン。

 

 ──さぁ、叶わないかもしれない恋を始めよう。

 

 

 

 

 

 ────────────────────

 

 tips

 

 ◆孔雀堂家術式『ニーベルングの指輪』

 

 原典はリヒャルト・ワーグナー作の楽劇。

 北欧・ゲルマン神話、ギリシャ神話や古代詩などのエッセンスを含んだ創作。

 元はフランク王国の貴族にルーツを持つ術師家系、デュラン家で相伝されていた。

 

 しかし、当時としては純粋に神話由来の術式として解釈する他になく。

 先祖代々、それが未来で楽劇として創作される伝説に端を発するなど、知りもしないまま黄金化の【呪い】と向き合っていた。

 

 マルグリットは日本に渡り、孔雀明王の術式を持つ孔雀堂家の若者(ショタ)と、少々手段を選ばずに結婚。いろいろあった。

 

 そして、せめて未来の子孫だけでも救おうとしたが、予期せぬ術式親和性によって志半ばで黄金像化する。

 以降、自分の末裔たちを歴史の影から支え、厳格なおばあちゃまとして相談役に務めた。

 

 術式としては解釈幅が広く多機能な部類で、ちゃんと修練すればランダムで割り振られる初期技以外も習得可能。

 

 ▣黄金林檎神饌・イズンアンブロシア

 ⇒エマの初期技。

 ⇒胸の霊力回路は禁断の果実その証。

 ⇒老化の遅滞化効果を持つが、依存心が肥大化する。

 

 ▣黄金邪竜変生・ファーフナー

 ⇒クララの初期技。

 ⇒両腕の霊力回路は《竜蛇》の鱗を外部装甲とする。

 ⇒攻防一体の重戦士となれるが、執着心が肥大化する。

 

 ▣黄金至宝女神・ブリーシンガメン

 ⇒サラの初期技。

 ⇒首元の霊力回路は麗しの首輪を模す。

 ⇒自他含む精神感応・魅了系で、感情的になりやすい。

 

 ▣黄金円環魔王・アルベリッヒ

 ⇒マルグリットの初期技で秘奥義。

 ⇒手腕部に集中した霊力回路が指輪を物質化させる。

 ⇒任意の対象を万物黄金に変えることが可能だが、極めて欲深くなる。

 

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