満ち足りてねぇ俺が行く青春物語   作:ばぐひら/Baguhira

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其一

 

「…んぁ、何処だココ」

 

 

目を覚ます。いつも通りの起床…という訳ではなかった。自分自身の肉体に対する凄まじい違和感。

 

――視線が高い

 

――髪が邪魔だ、いつもより前髪が伸びている気がする

 

――今の俺の声か?ウッソだろう声変わりはとっくに過ぎたぞ

 

色々と思考を巡らせつつ、立ち上がる。そこは知らない部屋。ふと近くに立て掛けられた姿見を目にする。

 

そこには――

 

 

「石流?ウッソだろ」

 

そこには俺の知っているよりも幼さが残っているが、しかし見知った顔が映されていた。どうやら俺は転生を果たしたらしい、しかも呪術廻戦の石流龍として。

 

 

 

 

転生発覚から丸一日経過した。昨日は丸一日を使い俺は俺の転生したこの世界について調べ尽くした。そこで分かったことがある。

 

先ず、俺の目覚めた部屋はどうやら俺のこの世界での家らしく、タンスの中に学生証が入っていた。見つけた学生証には――

 

[トリニティ総合学園1年_石流リュウ]

 

と記載されていた、それにクローゼットに学生服もしっかり入っていた。

 

トリニティ総合学園、まぁつまりそういう事なんだろうな。他にも色々と調べたら出てきたさ。ゲヘナ、ミレニアム、連邦生徒会、カイザー、アビドス、ヴァルキューレ………うん。

 

 

「ギヴォトス………ブルーアーカイブかよ」

 

 

ブルーアーカイブ。青春学園モノRPG、透き通るような世界観が売りのソシャゲ。学園都市ギヴォトスで巻き起こる生徒たちとの問題を、ギヴォトスの外から来た先生(プレイヤー)が解決していく…というのが大まかな流れだ。

 

ただまぁこのギヴォトス、銃を持つのが極々一般的になり銃撃戦が日常の世紀末仕様で、更に生徒はヘイローと呼ばれる天使の輪のようなものがあり、理屈は不明だがそのおかげで銃弾程度では死ぬこともない。それに先生(プレイヤー)の選択次第で訪れるバッド・エンドがどれもギヴォトス滅亡レベルだったりと、まさしく透き通る世界観(笑)である。

 

しかも先生はギヴォトスの外から来た為にヘイローを持っていないので、ふとした流れ弾でお陀仏なのにも関わらず先生が死ねばバッド・エンドとかいう難易度ルナティックなクソゲー仕様。

 

 

「……………まぁ、呪術廻戦じゃなかっただけ幸運か」

 

 

口から自然と言葉が出てくる。呪術廻戦は怪物が蔓延るダークファンタジーだし、普通に死ねるからノーセンキュー。その分バッド・エンドは多くても基本は人死なしのブルーアーカイブのが個人的に1000倍マシだ。

 

それに今の俺は石流。呪術廻戦の基準だと「強いは強いが、それとして普通に死ぬ強さ」だがブルーアーカイブだとある程度無双ができる。いや無双とまでは行かずとも死にはしない。

 

まず初めにこの俺石流リュウのスペックを確認しよう。

 

1、神秘

 

大前提だが、どうやら俺は呪力を持っていない。その代わりに別のエネルギーを観測できた、呪力とは人間の不の感情らしいので、この湧き上がり瞬くようなエネルギーとは別物だろう。なんかキラキラしてるし(抽象的例え)。ゲマトリア、引いては黒服の原作セリフからして、コレが恐らくは神秘と呼ばれるものだ。

 

俺にヘイローは無かったが、何故か神秘を扱える。俺もブルーアーカイブで最終章まで行き進めたプレイヤー(元先生)ではある。原作のあれこれから、ヘイローと神秘はイコールの関係だと思っていた。ヘイローというのは神秘の塊で、内に在る神秘を視覚化できるようになったものである、と。

 

まぁ寝ていたり気絶したりするとヘイローは消えるから、精神ともイコールなんじゃないかってなってたか。いやそれはともかく、俺はヘイローが無いにも関わらず神秘を扱える、少し特殊な生徒らしい。男子生徒だからってバグってんのか?

 

2、術式

 

石流龍の術式といえば呪力の放出。あのリーゼントモドキ(リーゼントを巻いたような髪型、以後リーゼントと呼称)から射出されるレーザービーム…石流龍の代表技、グラニテブラスト。

 

できるかどうかやってみたら…まぁ出来た。エネルギーを集めて掌から外へ解き放つイメージで、出た。わざわざ実験の為だけにアビドス砂漠に来ていて心底から良かったと思った。だって直径5mくらいの馬鹿デカいグラニテが出てきたから。熱量で砂がガラス化してやがったよ、何をどうしたって人に向ける代物じゃない。試しにやってみただけだぞ?ある程度はエネルギー込めたと言えど、1%とかそこらくらい。

 

そこで俺は仮説を立てた。俺は今呪力ではなく神秘を持っている。感覚の話になるが、神秘は恐らく呪力とは反対の性質か、それに近しい性質なんだと思う。つまりは正の呪力。反転術式とか頑張れば使えそう。

 

羂索によれば「反転の出力は順転のそれの2倍」らしいので、俺のグラニテは「通常グラニテの火力×2」の出力と言うことだ。

 

阿呆か?こんな火力このギヴォトスで使えるわけねぇだろ!例えヘイロー持ってる生徒だとしても直撃すれば全身大火傷だわ!

 

まぁ以上が俺のスペック。そして、俺は色々踏まえて縛りを結んだ。それが

 

1【術式の「グラニテブラスト」以外の使用方法を永久的に禁ずる】

2【「グラニテブラスト」の出力を半減する】

 

この2つだ。

 

1つ目の縛りは個人的な理由だ、石流龍が扱うグラニテブラスト。それは純粋なエネルギーの解放。男の浪漫レーザービーム。しかも指向性を持たせる事も可能、細かく分けて拡散砲撃も可能、グラニテブラストの射出口を狭めれば一点高火力のグラニテを放つことも可能――とグラニテ単体でとても汎用性の高い技だ。

 

俺はこの術式、まだ拡張性が有り余っていると考えている。呪力の放出とあるが、その本質は本当に呪力だけなのか?放出の一点に絞れば、また別の解釈も可能なのでは?この術式の反転では放出はどうなる?術式とは持ち手によってその姿を大きく変える代物だ。それに石流龍の術式である呪力の放出は、その基礎的なものが術式となっているタイプの術式故に手を加えられる余地がまだまだありそうだ。

 

だがここで問題点が3つ。俺はあまり賢くないし、技を増やしたところでその全てを扱いきれるかどうか分からないこと。そもそもとして俺が拡張術式や術式反転を扱えるか分からないこと。そして石流がグラニテ以外で戦うところがあまり想像付かないことだ。最後はただのオタク魂なのはご愛嬌。

 

まぁそういうわけで、【術式の「グラニテブラスト」以外の使用方法を永久的に禁ずる】という術式の拡張性の放棄と手札の限定化を行った。これによる恩恵が

 

【身体能力の強化】

 

である。呪力もとい神秘による肉体強化、一応なんだがこれは問題なくできた。術式が放出というエネルギー操作の一環であったからなのか、その要領ですんなりできた。だがやはり筋肉、呪術廻戦も結局はステゴロ最強なゴリラ廻戦だったし、最終的な勝敗を分けるのは肉体の強い弱いである。術式の未来と引き換えに肉体の今を強化した。これで作中イカれた肉体性能をしていた石流さんのゴリラパワーが更に強化されたわけだ。そこに神秘による肉体強化も入るとなるともう本当にヘマしたとしても基本死なないだろう。

 

そして2つ目の縛り。【「グラニテブラスト」の出力を半減する】。これは妥当だ、じゃなきゃ生徒相手にグラニテブラストを使って抵抗したら最悪死亡案件だからな。俺はそんな細かな出力調整が面倒いし、これで生徒にグラニテブラストを撃っても問題なくなったわけだ、多分。ロボット市民とか獣人とかは縛り関係なく死ぬけどな!

 

この縛りの恩恵は

 

【「グラニテブラスト」に関する神秘操作性の向上及び神秘消費の減少】

 

だ。これで出力の代わりに戦闘持続能力が上がった、更に戦いやすくなっただろう。

 

取り敢えず縛りを実感する為にアビドス砂漠でグラニテブラストの試し撃ちを行なったが、結果は成功。最初より目に見えて威力が落ちた。これなら勝手が利くだろう。だがまぁ半減して漸く原作グラニテブラストと同じ出力になるので、この縛り有りの状態でもビル1つ簡単に貫ける出力をしている。勿論のことバカスカ乱射できる代物じゃないので扱いには今日つけなければならない。

 

 

「……こんなもんか」

 

 

まとめてみたが現状の俺、石流リュウのスペックはこんなものだ。

 

また明日細かいものは要検証だがな。

 

 

「まぁ、もう帰るか」

 

 

後2日。俺がトリニティに入学するまでの時間だ。それまでに石流リュウとしてカタチを作っておかねば。

 

 

 

 

「なぁ分かんだろう?」

「アタシらちょーっと金に困っててさぁ…それよりリーゼントカッケェなアンタ」

「てか男?私初めて見たんだけど」

「アタシも」

ギヴォトス(ここ)の外から来たんじゃね?何にせよツイてなかったな!」

 

 

帰宅途中、ふらふらと歩いて気がつけばいつの間にか囲われていた件について。

 

見たらわかる…これはブルアカのチンピラ代表、ヘルメット団だ!うわぁ…初めて見たがヘルメットカッコイイ。でも弱いんだよなヘルメット団……カッコよさと強さはイコールじゃないってこった。

 

現在俺はヘルメット団から金銭を要求されている。要するにカツアゲだ。俺がヘイローを持ってないのにも関わらず銃すら持ち歩いていないからだろう。確かにヘルメット団からすれば絶好のカモだよなぁ。

 

だが、それは此方も同じだ。ネームドじゃない、ヘイローを持った、ボコっても問題ない人間。言い方は悪いと思うが、他人に暴力を誇示して金を巻き上げる選択をした奴らだ。遠慮はいらないだろう。

 

 

「?おいお前聞いて――ヘブッ!?」

 

 

不用心に近づいた一人を殴り飛ばす。それはもう顔面を遠慮なく。

 

殴られたヘルメットはひしゃげたが、彼女にはヘイローがあるので無事だろう。

 

 

「なっお前!何して」

「ごちゃごちゃうるせぇ」

「は」

「お前らは俺から金を巻き上げたい、俺はお前らに金は渡す気はねぇ…ならやる事は一つだろ?」

 

 

俺は神秘をリーゼントの先に集中させる。ヘルメット団の奴らはその光景に動揺し硬直するが、構わない。

 

 

「だらだら長引かせるつもりは()ぇ、俺も暇じゃ無いんでな………さァ…殺ろうぜ?」

「う、撃て!撃てー!」

「グラニテブラストォ!」

 

 

そうして俺とヘルメット団との戦闘が幕を明けた。まぁネームドなら兎も角ヘルメット団だし結果は目に見えてたんだけどな。

 

ただ初めての戦闘で気分が乗りすぎて少しだけやり過ぎたことはここに記しておくことにする。

 

 

 

 

「でねでね!リーゼントからビームが出てたんだよビームが!」

「はぁ」

 

 

目の前の彼女はそう言って興奮した様子のまままくし立てる。キラキラとヒーローショーを見に来た子供のような目で話し、ジャンプや腕の動きで豊満な実が左右に揺れ、それをつい視線で追ってしまう。

 

彼女は梔子ユメ、ここアビドス高等学校の生徒会長であり、私の先輩である。

 

 

「あー、信じてないって顔だ!」

 

 

そりゃすんなり信じれるわけ無いでしょう。先程からユメ先輩が話している内容はこうだ

 

 

昨日学校帰り、アビドス砂漠でヘイローも持っていないリーゼントの男子生徒が一人で居て。しかもリーゼントからビームを撃っていた。

 

 

……………何を言っているんだろう。

 

でもユメ先輩は冗談を言っている様子ではない。幻か幻覚か、昨日見た夢の内容を混同しているのか、存在しない記憶が突然生えてでも来たのか……。

 

言葉の裏の真意が何かあるのかと思い考えてみたがやはり言葉通りの意味しか拾えず、ユメ先輩の疲労とストレスはもう私の想像していた以上に甚大なのだと思った。

 

翌日、少し奮発して美味しいスイーツを買ってあげた。

 

ユメ先輩の言っていることは良くわからなかったが、スイーツを頬張るユメ先輩の嬉しそうな顔が見れたので良しとする。




続くか未定
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