遅熟転生者の現代ダンジョン攻略~そろそろフィジカル貧弱なのやめない?~ 作:ayuアユ
ハーレムは多分かなり先。
一話 転生したら現代ダンジョン世界だった件
ダンジョンとは。
今から百年前に突如として世界各地に生成された遺跡であり、中には異空間が広がり、モンスターや宝が置いてある、今の今まで成り立ちの解明が全く進まないブラックボックスの一つ。
当時の国々はこれを戦争の道具として利用したが、突如として魔物が地上に押し寄せ世界は大混乱、当然起こるはずだった戦争もすべてなくなった。
そんな中、世界各国は手を取り合うことで魔物による被害を押しとどめようと条約が締結された。名を国際ダンジョン連合という。その活躍によりモンスターたちは駆逐され、ダンジョンを管理することでそのような被害を未然に防いでいった。
そして現代。ダンジョンは未知の資源、戦いの興奮、一獲千金の詰まったドリームボックスとして一躍世間の目を浴びている。市には必ず一つダンジョン課が置かれ、ダンジョンの管理や冒険者の申請など多大な役割を担っていたのだった。
なーんて長ったらしい前置きなんぞ今はどうでもいいわ。
俺は一ノ瀬碧。前世では普通の学生だった俺は、交通事故で死亡した…のだが、目覚めたら別世界に赤ん坊として転生していた!
というのもこの世界はなんとダンジョンがある世界だったのだ。前世で現代ダンジョン物の作品を読み漁っていた俺にとってはご褒美でしかない。さっそくダンジョンに潜ろう…と思ったのだが、年齢制限によりダンジョンに潜る資格…冒険者になるには満十五歳でないといけないらしい。
その間ダンジョンの知識を身漁ったりダンジョン配信を身漁っていたことで、親もダンジョン好きなのだろうと冒険者になるのを後押ししてくれた。
そして今日、中学三年生の俺は、晴れて十五歳の誕生日を迎えたのだ!やったぜ!
「碧~!もう朝よ~!」
「はーい、今行く。」
ベットから飛び出して急いで階段を下りる。今日は夏休み初日、絶好の冒険者デビュー日和だ。
リビングにはすでに食卓に着き新聞を読んでいる父とキッチンに立っている母がおり、姿を現すとこちらに視線を向けて笑いかけてくれる。
「おはよう、碧。誕生日おめでとう!」
「もう碧も15歳になるのか、見違えたな…。」
「おはよう、父さん、母さん!」
席に着くと急いでご飯をかき込む。まるで一分一秒を争うような鬼気迫る息子の様子に両親は苦笑いしながらも、理由は分かっているようだ、
「ほらほら、そんなに急いで食べると詰まるわよ。楽しみなのはわかるけど、誰も逃げたりしないわよ?」
「まぁまぁ、ずっと楽しみにしていたからいいじゃないか。そうだ、書類書いておいたぞ。確かこれをダンジョン課に提出して本人確認が済めば、登録できるからな」
「ん、ありがとう、愛してるよ、二人とも!じゃあ行ってきます!」
ファイルを鞄に突っ込むと急いで着替えて家を飛び出す。行先は市役所だ。
朝っぱらから爆走する碧を周囲の通行人は訝しんだが、そんなのは重要じゃない。
まだまだ人が少ない市役所に入るとダンジョン課の受付に突っ走ってファイルをたたきつけると、興奮のまま高らかに宣言する。
「冒険者になりに来ました!」
◆
「…落ち着かれましたか?」
「すみません…」
当然あの後俺は不審者扱いされ警察を呼ばれかけた。受付のお姉さんにクスリを疑われたのはさすがに心に応え、ようやく冷静さを取り戻す。
「…でも、気持ちはわかりますよ。夏休みシーズンは学生さんが一気に登録に来られる時期なので。」
どこかはしゃぐ子供を見るような生暖かい目で周囲から見られながらも、なんとか手続きを済ませていく。最後に、碧の情報と写真が印刷されたカードを渡される。
「こちらが冒険者カードとなります。身分証として使えるほか、ダンジョン内に入る際に必ずご提示いただく必要があるので、決して無くさないでくださいね。」
「ありがとうございます…!」
受け取る手が思わず震える。思わず叫びたい気分だったが、さっきのこともあるので何とか抑えて受付を後にする。
そうして今すぐダンジョンに潜りに行く…ことができるわけもない。だって装備もダンジョンのノウハウもないのだ、当然だろう。
なので市役所から徒歩数分。かなり大きな建物が見えてきた。あれが『冒険者ギルド』だ。
国と連携した施設で、ダンジョンに潜る際の装備の売買、貸出。またダンジョンについての講習なんかも行っている施設だ。
建物に入り受付に行くと冒険者カードを提示する。
「あの、さっき登録を済ませてきたんですけど…」
「一ノ瀬碧様ですね。ロッカーの手配は終わってますので、冒険者カードに書かれた番号のロッカーをお使いください。」
そうして案内された先はずらっと一面ロッカーが並ぶロッカールーム。既にほかの冒険者もいるようで、新人と見抜いたのか一人が話しかけに来る。
正直体も大きく結構強面なので思わず後ずさる。
「おい坊ちゃん、見た感じ今さっき冒険者になったばっかだな?なら、ロッカーの使い方を教えてやるよ。」
肩を組まれてビビりながらなんとか説明を聞く。
「このロッカーはただのロッカーじゃねぇ。魔法がかけられていてな、このロッカーの中身は他のギルドやダンジョン近くのロッカーとつながってて、どこにいても自分の装備を取り出せるんだ。もちろん、冒険者カードをかざして、かつ本人の魔力を感知すれば開くっていう、セキュリティもばっちりだ。…あ、それと一つ、装備やダンジョンから持ち帰ったものは絶対に外に出しちゃいけないぞ?それやったらちゃんと犯罪だからな。素材は受付でうっぱらうかこのロッカーに入れとけよ。わかったな?」
「は、はい…。えっと、ありがとうございました....。」
がんばれよーと手を振って先輩冒険者は出ていった。どうやら普通にいい人のようだ。
とりあえずロッカーを開けてみると、中は不自然に広く、もはや小さな倉庫ほどの広さ。中にあるギルドから補給された初期装備....魔物の皮で作られた装備に、何の変哲もない地味目なショートソード。素材用であろう剥ぎ取りナイフに腰に巻くポーチもあり、こちらにも中が不自然に広いポケットが付いていて、どうやらポーションが最初から二瓶入っており、それと一つのタブレットが入っている。農研者専用の物だ。
「おぉ....それらしくなってきた…!」
一旦それをまたしまうとギルドを出る。こうしてようやくダンジョンに向かうのだ。
ダンジョンはいろんなところに生成されており、大小さまざまで中の環境やモンスターもばらばらだ。タブレットで検索すると、近場には小さなダンジョンが三つあるようでその中の一番難易度が低いところに行ってみる。ちなみにこのタブレット、ダンジョン内でも自由に使える電子機器であり、配信や救援要請などもできるのだが…すぐに使うことはないだろう。
ダンジョンのある場所に行くと小さな小屋が立っており、その中には人はおらずギルドで見たのと一緒なロッカーと、ダンジョンの入り口らしき場所には駅の改札のようなものが設置してある。
とりあえずロッカーに冒険者カードをかざすと、ロッカーが開き中にはさっき見たのと同じものが入っている。
「やっぱ不思議だよな....魔法か…」
改めて異世界?転生したのだと実感しながら装備を身に着けていく。皮の装備を着てポーチを腰に巻き、解体ナイフとショートソートを腰に差す。鏡で見てみると、地味だが冒険の始まりという感じでむしろそれがいい!
「ここから俺の冒険者ライフが始まるのか....!」
改札らしき場所に冒険者カードをかざすと仕切りが開きぽっかりと先の見えない洞窟が口を開けている。体から沸き立つ興奮を隠そうともせず、俺はダンジョンに一歩踏み出していったのだった。
話が一ミリも進んでない?そうだよ(開き直り)
次の話からステータスとかそっち関連も出すのでどうにか待っていてください。