遅熟転生者の現代ダンジョン攻略~そろそろフィジカル貧弱なのやめない?~   作:ayuアユ

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やっとステータス書けるぜ....


二話 不遇の由縁

「レベルがーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

迫りくるゴブリンに向けて剣を振るい体勢を崩させる

 

「全っ然ーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

胴体に向かって剣を振ると骨に挟まれたのか途中で止まる。

だが構わないとばかりに何度も剣を振りかぶる。

 

「上がんねーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

相手が瀕死なのを確認してひときわ大きく振りかぶって叩き斬る!

やがてゴブリンはピクリとも動かなくなった。

 

「はぁ…はぁ…どうだ....?」

 

すでに何度も確認しているステータスウィンドウを見る

 

 

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一ノ瀬碧

 

 

 レベル:0

 ジョブ:

 スキル:

 SP:0

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クソがぁ!!!」

 

見事にスカスカな自身のステータス画面に拳を振りかぶる、が、当然すり抜けた。

 

「一日....丸一日だぞ....!

....レベル一個も上がってねぇよ!」

 

そう、なんと俺は一日中このゴブリンを倒し続けてもレベルアップができなかった。

最初はステータスウィンドウ出せて楽しー!とか、ゴブリン片手間に倒せる俺tueeeee!

とか言ってましたよ、そりゃ。

でもね....これはさすがにおかしいよ....。ネットで調べた感じだと、一日中狩ったら最低でもレベル1、よくてレベル3まで上がれるって書いてただろ....!

0ってなんだよ0って!

 

「はぁ…はぁ…ダメだ、今日は終わりにしよう…」

 

剥ぎ取りナイフでゴブリンの耳を剥ぐとポーチに入れる。かなりの量の耳が入っていて途中からグロくなって見るのをやめた。

ダンジョンから出ると夕日がゴブリンの血に染まった装備を赤く染める。

装備をとりあえずロッカーにぶち込むとギルドへの道をとぼとぼ歩いた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「これだけの量のゴブリンを…すごいですね、きっとレベル2は確実ですね。」

 

「…いえ、その、あはは…」

 

その一言が刺さったのか否定する気力もなく愛想笑いすることしかできない。

結局、自分は一日でゴブリンを30体倒したらしい。レベルが一つ上がる目安が15~20匹らしく、これは明らかに異常だろう。千円札数枚を受け取って財布にしまい、ロッカーから汚れた防具を取り出す。

 

「はぁ…」

 

ギルドのコインランドリーで皮の防具を洗いながら、ベンチでため息をつく。

 

「俺って才能ないのかな…。」

 

転生してから十数年、恋焦がれてきたものがこんなに厳しいものだとは思いもしなかった。

鬱屈な気分に浸っていると、ほかに人のいなかったはずのコインランドリーに足音が響く。

 

「やっぱるダンジョンって楽勝だわ~。…ん?あんた、もしかしてアタシと同じ、今日から初めたクチ?」

 

顔を上げると、同じくらいの年の少女がいた。猫を思わせる勝気そうな釣り目に、整った顔立ち、蛍光灯の下でも美しく輝く金髪をツインテールにした美少女だ。手には碧と同じ血に濡れた皮の防具を持っており、彼女も自分と同じ目的で利用しに来たことを知る。

 

「え、あぁ、そうだが…。」

 

「じゃあさ、レベルどれくらい上がった?アタシは3よ!スキルも取れたの!」ドヤッ

 

「…そうか。」

 

誇らしげにない胸を張る少女を前に、また気分が落ちてくる。

改めて自分と同じ条件なのにこれだけの差があるのかと実感させられたのだ。

 

「何よ、ダンマリ決め込んで。ほら、アタシが言ったんだからアンタもなんか言いなさいよ!」

 

「…0…」ボソッ

 

「何よ、はっきり言いなさい!」

 

「0レベルだよ…丸一日やって上がんなかった…」

 

沈黙が場を支配する。そして…耐えきれなくなったとばかりに少女の頬が膨らみ、直後よく響く高笑いが耳をつんざく。

 

「0!?0って言った!?丸一日やってレベル上がらないとか、サボってたんじゃないの?それか、本当に冒険者向いてないんじゃな〜い?」

 

「…分かってるよ…。」

 

碧が反論する気力もないほど落ち込んでいるのを悟ったのか、笑い声が途絶えてあせったように少女は付け足す。

 

「べ、別にまだレベル0なんだから、気にすることはないわよ!そうだ、名前教えてちょうだい、アタシはリリカよ!」

 

「はぁ。俺は碧だ。…ほら、全部喋ったんだからもういいだろ?」

 

「な、何よその言い方!全く、せっかく人が気にかけてるのに…!」

 

少女改めリリカはプンスカと頬を膨らませながら革の防具を取り出して去っていった。足音が聞こえなくなった頃、碧はようやく息をつく。

 

「ここで落ち込んでる方がダサいよな…。いいぜ、やってやるよ。

絶対レベル上げて、あいつにギャフンと言わせてやる…!」

 

思い切って手を空に突き上げる。一人なのでなかなか虚しいが、決意はようやく固まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、今度は家から直行してダンジョンに行く。昨日のことは結局リリカ以外には言わなかった。ロッカーで着替えて早速潜る。

 

「まずはゴブリンか…昨日の復習だな。」

 

伊達に一日中ゴブリンを狩っていたわけではない。動きのパターンは頭に入っている。突撃してくるところにすれ違いざまに何度も切りつける。そうして倒したのだが…。

 

「レベルが高い奴らは、こんなの一撃で倒してさっさと行くのかな…って、弱気になるな…!」

 

とどめを刺したところ、体の奥から熱が全身に広がり、一瞬体が軽くなったような全能感が駆け抜ける。いそいでステータスウィンドウを開いた。

 

「これってもしかして…!…やっぱり、レベル上がった....!」

 

思わずその場で万歳する。たかがレベル1、だが今の俺にとってはとても喜ばしいことだ。

ようやく落ち着いた俺は改めてステータスを確認する。

 

「とはいっても、1レベル上がっただけじゃなんにもでいないがな....精々身体能力が高くなったくらい....って、ん?」

 

ステータスウィンドウを二度見する。だって、そこには....

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一ノ瀬碧

 

 

 レベル:1

 ジョブ:

 スキル:

 SP:2

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「え、これ、どうなって....?」

 

なんで…SPが二つももらえてるんだ....?

 

SP。別名スキルポイント。

通常はレベルが上がるごとにSPが一つ増え、3までたまると自動的に3SPを消費して己に合ったスキルをゲットできる。

なので通常3の倍数のレベルでしかスキルをゲットできないから、冒険者をやっていくうえで無視できない項目だ。それにしても一度のレベルアップで2増えるというのは聞いたことがない。

考えられることがあるとすれば....

 

「俺が、転生したから…?だから魂と体の二つ分SPがもらえるって考えるなら、納得できるか。

レベルが全く上がらなかったのも、二人分だから倍の経験値が必要だった…。」

 

そう考えたら辻褄は合うだろう。

考えてみるとこれはすごいチャンスかもしれない。

レベルが高くなっていくごとに必要経験値は指数関数的に高くなっていくのは有名だ。つまりいつかは前のレベルの倍以上の経験値を要求されることもあり、その時になると同じレベルでもSPを持ちスキルを倍持てる俺がとても有利になるだろう。

 

…つまり、長い目で見たら相当なアドバンテージとなるわけだ。

 

「厳しいと思ってたけど....これならいつか....!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

そう思っていた時期が、俺にもありました。^^

 

「レベル2長すぎだろ....!....それに、肝心の身体能力が強くならんから経験値効率も変わらないし....。」

 

そう、いくら将来性があるとはいえ、その成長速度は数値上は皆の二分の一だが、実際はさらに低い。皆は普通にダンジョンに潜り、およそレベル2くらいになると次の強さのダンジョンに潜り、経験値効率がさらに良くなっていく。

だが俺はどうだ。身体能力は貧弱のまま、なんとか戦える経験値効率の悪いモンスターと戦ってばかり。こんなの続けていたら差は開く一方で、追いつくなんて夢のまた夢だ。

 

「もう一週間....流石にレベルがあがってほしいが....」

 

慣れた動作でゴブリンをフルボッコにしていくと、またあの熱が体を駆け巡り、全能感に包まれる。レベルアップしたのだと確信してすぐにステータスウィンドウを開く。

 

「前みたいにSPは増えてるだろうし、どんなスキル手に入れたかな…!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一ノ瀬碧

 

 

 レベル:2

 ジョブ:

 スキル:【転生者】

 SP:4

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「は…!?」

 

なんだこのスキル…。それに、SPは4…また2増えたってことでいいんだよな…?

でもそれだったらSPは減ってるはずで…つまり、習得したスキルじゃない…?

 

「【転生者】…これって、俺のことだよな…」

 

おもわずその文字に手をかざすと、脳内に声が響く

 

『因果から解放されし者よ、其方に祝福が在らんことを。』

 

男か女かもわからない、無機質な声。再度手をかざしても聞こえないが、その言葉は不思議と頭から離れない。

 

(もしかして、俺を転生させたやつと関係が…?ってことは、神様?…今考えても仕方ないか。)

 

そうして再度ステータスウィンドウを見た瞬間、画面が切り替わっており、二つのウィンドウが重なっていた。

 

「【剣術】と…【歌唱】?」

 

これは多分スキルなのだろう。【剣術】スキルは聞いたことがあるが、【歌唱】とは…?

 

「というか、自動で習得できるんじゃなかったか?まるで選べって言われてるような....。

いや、そうか。さっきの【転生者】スキルで....」

 

ー因果から解放されし者ー

 

普通の冒険者はスキルを得る際ポイントを自動で消費してスキルが本人にあったものを選ばれる。が、選択することはできない。つまり人によってスキルを勝手に決められることになる、これを因果とするならば....この選択肢はきっと【転生者】スキルによる恩恵なのだろう。

 

「まぁ選べるっていうのはありがたい…のか?とりあえず【歌唱】は謎すぎるから…流石に【剣術】取るか。」

 

【剣術】と表示されたウィンドウに触れると二枚のウィンドウは閉じ、ステータス画面が書き換わる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一ノ瀬碧

 

 

 レベル:2

 ジョブ:

 スキル:【転生者】【剣術Lv1】

 SP:4→1

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「念願のスキルゲット…てか?」

 

もういろいろあって達成感がわかないが、とりあえず習得できたようだ。

SPは通常どうり3減っている。そこは変わらないようだ。

 

「でもうまくいけば、好きなスキルで固められるってわけだよな…夢が広がるぜ。

よし!ならさらにレベル上げないと!」

 

そうしていくらか軽くなった足取りでダンジョンを進むのだった。




ちなみにスキルの選考基準は行動によることが多いので、熱いダンジョンで活動し続けていたら熱耐性などゲットできる。なのでSPが3になりそうな冒険者ほど直前のダンジョン内での行動を厳選することが一般的です。
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