遅熟転生者の現代ダンジョン攻略~そろそろフィジカル貧弱なのやめない?~   作:ayuアユ

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テスト期間で更新進まねぇ....


七話 クリスマスinダンジョン 中編

微睡の中、後頭部に当たる柔らかくてあたたかい感触と、誰かに髪を梳かれている感覚だけが妙にはっきりと感じられる。あとなんか生臭い甘ったるい匂いも…。やがて意識が確かになっていき、重い瞼をなんとかこじ開ける。

 

「…ここは…?」

 

「あ、起きましたか…!よかった、ポーションも尽きてたから、応急処置しかできてなくて…」

「紗良か…。…グレートリザードは、倒せたんだな…。」

「はい、一ノ瀬君のおかげで!かっこよかったですよ、あの一撃!」

「そうか?…そういえば、なんか【覚醒】スキルの効果が上がってたような....」

 

意識がはっきりしてきたので、なんとか起き上がらろうとする....が。

 

「だめですよ、ゆっくりしてないと。もう少しこのままです!」ポスッ

 

頭を押し返され、やわらかい物…というか紗良の膝に頭が収まる。どうやらさっきから膝枕されていたようだ。

 

「あれ、顔赤くなってません?もしかして一ノ瀬君、私に照れてますか~?」

「....そりゃ、お前にそうされたら誰だってなるよ。」

「~~~~!い、一ノ瀬君はすぐそうやって////」ポスポス

 

全く痛くない強さでしばらく頭をポカポカ殴られた。それからしばらくして、紗良は落ち着いたのか碧に向き直る。

 

「そんな事より、またレベル上がっちゃったんですよ!それも4つ!」

「は?」

 

紗良はステータスウィンドウを発生させ、俺は少し首を持ち上げて覗く。そこには…

 

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白峰 紗良

 

 

 レベル:3→7

 ジョブ:

 スキル:【幸運】【覚醒Lv1→3】【杖術Lv1】

 SP:0→4→1

 

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…追いつかれてますやん。というか、俺はレベルアップしてないのに…。

 

「一日でこれって、やっぱりすごいんじゃないですか?どれもこれも、一ノ瀬君のおかげです!よし、ご褒美に撫でてあげますよ~!」ナデナデ

「あ、うん....。」

 

冒険者一日目で、レベル追いつかれた…?あれ、涙が…

 

「…そ、それより、やっとお目当ての【杖術】も手に入ったな。」

 

【杖術】。それは俺が持ってる【剣術】や、ほかに弓なんかの、特定の武器の扱いを向上させるパッシブスキルの一つだ。もちろん、これを上げれば杖で殴る威力も上がるし、取り回しも軽くなる。だが、杖を使っている奴はそんな脳筋プレイがしたくて使ってるやつはほぼいない....はず。

そう、前も言ったが杖を使うのは将来魔法が使えるようにするため、このスキルはそれに必要な1ピース。あとは他の条件を満たせばほぼ確定で魔法が使えるようになるだろう。

 

「これで魔法が使える条件が一つそろいましたね。うへへ、どんな魔法かな......。」

「まぁ、魔法の種類は本人の気質に寄って決まるから、狙って選べるものじゃない。....っと」ガバッ

「あ……。」

 

なぜか名残惜しそうな紗良を無視して膝枕から体を起こすと、グレートリザードの解体をし死体に近づく。そこには頭と胴を真っ二つに切り離された大きなトカゲと…豪華絢爛な装飾がなされた宝箱があった。

 

「…はぁ!?の、野良宝箱....!?」

「あ、その箱、一ノ瀬君がそいつを倒したと同時に出たんですよ。この装飾の宝石高値で売れると思いません?」

「着眼点絶対そこじゃないだろ。」

 

野良宝箱、それは通常の宝箱と違い超低確率で魔物を倒した時にドロップするアイテムだ。これまで毎日潜りまくった俺でも見ることは叶わなかったほどなので、ネットで配信されている野良宝箱の開封動画はどれもとんでもない再生数を誇る、ダンジョンの超人気コンテンツでもある。....もちろん、宝箱の本質は知名度のためじゃない、その中身にあるのだが。中身は千差万別、どれもがとても効力な装備やアイテムが入っており、一つ手に入れるだけで冒険者としての格がぐっと上がるのは間違いない。いわゆるガチャだ、それも、人生を左右するレベルの。....さっきのグレートリザードといい、こいつ低確率引きすぎでは....?確かに学校でも幸運の女神とか陰で呼ばれるくらいには運がよかったと記憶しているが、明らかにこれは異常だろう。十中八九、あの【幸運】とかいうスキルが関わってるのは間違いなさそうだ。

 

「....本当なら動画の一つでも撮るところだが、配信する機材も…なくはないが、時間に余裕があるわけでもないんでな。とりあえず開けるか。」カパッ

「え、そんなあっさり!?私が開けたかったのに…。」ガーン

 

宝箱の中から光が溢れ、俺たちは思わず目をつむる。しばらくすると光が収まり、そこには宝箱の姿はなく、杖?のようなものが置いてあった。

 

「お、ってことは紗良が使えるな。」

 

試しに手に取ってみると、白く複雑な模様が刻まれてはいるが凹凸の少ないシンプルなデザインの杖に先端に小さなランタンのようなものがぶら下がっており、中からは炎のように揺らめく青い光がぼんやりと透けて見える。

 

「綺麗だけど、変な杖だな....。」

「早く見せてくださいよー...。もう、一ノ瀬君は一人で突っ走りすぎです!」

「あ、あぁ、すまん。ほら、落とすなよ。」

 

紗良に渡した瞬間、これまでぼやっとしか光っていなかったランタンの部分が光度を増し、青白い光が当たりを照らす。

 

「うわ、なんだこれ…!?紗良に反応した…のか?」

「おぉー、かっこいいですね!私こそが選ばれし聖女、なんて。」

 

気分を良くしたのか杖を掲げポーズを決める紗良を横目に、俺は少し考えこむ。

 

(この杖、ただ性能がいいってわけじゃなさそうだな。変なギミックついてたし、もしかしなくともアレか....?)

 

「....なぁ、紗良、もう一回ステータス開いてみてくれないか?」

「え、さっき見たでしょう?まだレベルアップもしてないのに、まったく、一ノ瀬くんは気が早いですね~。」ヤレヤレ

 

肩をすくめる紗良にイラつきそうになりながら、彼女が広げたステータスウィンドウをのぞき込む。そこには...。

 

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白峰 紗良

 

 

 レベル:7

 ジョブ:

 スキル:【幸運】【覚醒Lv3】【杖術Lv1】

 SP:1

 メンバー:一ノ瀬 碧

 装備:黎祈灯(アウレリア)Lv1【蒼焔】

 

 

 

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「え、なんですかこの装備って欄…。アウ…レリア…?」

「やっぱスキル持ち(ネームド)だったか。」

 

この世界の武器には時々スキルを保有するものが存在する。それがスキル持ち(ネームド)だ。実際に人の手で打たれたり、今回みたいに宝箱から出てくることで入手できるらしい。名前の通り、スキル持ち(ネームド)の装備者は内包されるスキルを自由に使うことができる。本来なら3レベルに一個しか入手できないスキルを例外的に増やせる数少ない手段の一つだ。そしてこれの本質はスキルだけではなく…

 

「あれ、スキルじゃなくて武器にレベルがついてる…?」

「そうそう、よく気付いたな。スキル持ち(ネームド)の特徴は成長する武器っていうことだ。使えば使うほどレベルが上がって、武器の性能や内包されるスキルも育っていく。まさに一生を共にできる武器ともいえるな。だから、冒険者の憧れでもあるんだが…何分入手法も少ないから、買おうとしてもオークションに出回ってるのを確実に競り落とすしかないんだけど、到底今の俺たちに手の届く値段じゃない…っと、話が逸れたな。まぁ、すごい杖ってことだよ、売るのはお勧めしない。」

「な、売りませんよ…!?一度手放したんですから、一ノ瀬君にも返しませんよ!」

 

強欲にぎゅっと杖を抱きしめて威嚇してくる紗良を無視してグレートリザードの解体を進める。目玉、骨、皮、肝、ブレスを吐くための器官である火袋に、爪と牙。あらかた採り終えたのでナイフをしまうと、もはや肉だけになった巨体が端から消えていく。ダンジョン内では魔物の死体は一定時間たつと消えるという仕様がある。とはいってもそこまで短い時間でもないんだが、今回は俺が寝ていたのでかなりぎりぎりだったようだ。あっぶな。

 

「いや、起こさなかった紗良の責任だな、うん。」

「聞こえてますよ。」

「聞こえるように言ったから。」

 

そんなこんなで膝をゲシゲシ蹴られながら(レベルが近いのでちゃんと痛い)、ダンジョンを出るともう昼過ぎだ。ロッカーに装備と今回手に入れた素材をぶち込み、まだ治りきっていない体に鞭をうち普段着に着替えてギルドに向かう。

 

「大変だったけど、結構楽しかったです!一ノ瀬君っていっつもこんなぼろぼろになってるんですか?」

「いや、いつもはあんな奴と出会うこともないしな。冒険者になる上で一番大切なのは自分の安全だ。ちゃんと用意して、自分のレベルにしっかり向き合って潜る場所を決めないと、命がいくつあっても足りな...い..。」

 

あれ、俺全く守れて無くね?

 

「…なんで尻すぼみに弱くなっていくんですか。」

「なんでもない…ちょっと危機感盛った方がいいって話だ。俺が。」

「あれ、私に言ってくれてたんじゃ…?」

 

 

 

 

 

 

軽口をたたきながらもギルドに着いた俺たちは、もはや顔見知りとなった受付の人に素材を提出する。突如、慣れた動作で鑑定を始める彼女の体が突如としてピシッと固まった。

 

「…承りました。少々お待ちください。」

 

スタッフルームと書かれた扉に入っていって数分後。大きな物音…いや、足跡を響かせて何かが近づいてくる。そして扉が開かれ現れたのは…

 

「久しぶりだな、坊ちゃん。」

「あ、貴方はあの時の…!」

「知り合いですか?」

「あぁ、俺が冒険者になったころ、ロッカーの使い方を教えてくれたんだよ。」

「おう、俺は渡辺っていうんだ。あんな頼りない坊ちゃんが、すっかり立派になったな!こんなかわいい子もつれて、順調そうじゃねえか!」バシバシ

「あ、はい…。」

「可愛いって…えへへ…」

 

ノリつれぇ…。って、紗良は何ナチュラルに喜んでるんだよ、もっと聞くとこあるだろ。

 

「そういえば、なんで裏から出てきたんですか?もしかして、ギルド関係者とか…?」

「あぁ、言ってなかったな。俺、ここのギルドマスターだから。」

「え…?」

 

俺は口がふさがらないまま、深く息を吸い込み…

 

 

 

「えええええぇぇぇぇぇーーーーーー!?」

 

 

 

 

 

数分後、やっと落ち着いた俺を尻目に渡辺さんは爆笑していた。

 

「あっはっは!知らなかったとはいえ、そんな驚くことないだろ?なんだ、ただの強面のおっさんとでも思ってたか。」

「いえ、そんなことは…なくはないですけど。でもその…あまりにも自然体というか…オーラがないというか…。」

「ははっ、なんのフォローにもなっちゃいねぇな。」

 

マジでただの気のいいおっさんだと思ってた…。

いや、何も知らない俺を見かねて色々教えてくれたんだ、気がいいのは間違いない…はず。

 

「まぁいいさ、かしこまられる方がやりにくいってもんだ。っと、話を戻そうか。まぁ、いくつか質問に答えてくれればいいわけよ。」

「質問…ですか?私たち悪いことしましたっけ…?」

「あ~、まぁ、返答次第じゃしょっ引くかもな。」

 

え、怖い。めっちゃ気楽な感じで来てるけどこの人目が笑ってないんだよな…少なくとも、その質問とやらは重要な事っぽい。

 

「そんな怖がらないで、肩の力抜いて聞いてくれよ。」

「!?…は、はい、わかりました。」

 

ナチュラルにこっちのこと看破してくる…こわ…

 

「るっこしいからいきなり本題に行くぞ?…このファイアリザードの突然変異体は、お前たちが狩ったのか?」

「え…?そうですけど…」

 

そう答えた瞬間、渡辺の目が淡く光り体の隅々まで見透せられたような感覚が全身を襲い背筋が泡立つ。

 

(なんだ今の…!?スキルか…いや、でもダンジョン外だぞ…?使えるわけ…)

 

「…よし、嘘はないな。変に疑って悪かった、今後とも期待してるぞ。」

 

そういうと渡辺は足早にギルドの裏へと戻って行った。

 

「え、こんなあっさりでいいんですか?なんか拍子抜けですね。」

(紗良は気づいていない…?これは流石に…見過ごせないな)

「ちょっと先言っといてくれ、俺はもうちょっと話してから行く」

「一ノ瀬君!?どこ行くんですか…!」

 

ついてこようとする紗良を置いて迷わずギルドの裏に入る。かろうじて見えた渡辺の後ろ姿を追うとある一室に入って行ったらしく、すぐさま開けると…気づいていたのか仁王立ちで渡辺が立っていた。

 

「ここはギルド関係者以外立ち入り禁止だぜ?…なんて、流石に白々しいか。当ててやるよ、さっき俺がお前に何したか聞きにきたんだろ?」

「…はぐらかさないんですね。」

「知っちまった奴に隠しても意味ないしな。それに、別に知ってるやつは知ってることだ。…簡単に言うと、スキルを使ったんだよ。」

「やっぱり…。でも、ダンジョン外なのにどうやって…?」

「ま、もっともな疑問だわな。大雑把に言うと…俺の使ったスキルは天賦スキルっていうもんだからだ」

 

天賦スキル…!?たしか、俺が持つ『転生者』や紗良の『幸運』と同じく選ばれし者が生まれつき持っている珍しいスキル。この人も持ってたのか…。

 

「その顔じゃ基本の説明はいらなそうだな。だが、これは知ってるか?天賦スキルはダンジョン外でもある程度使えるんだよ。例えば俺が持ってるのは千里眼っつうスキルなんだが、使うと相手の嘘がわかるっていう、まぁ簡単に言うと嘘発見器だな。」

「…やっぱり疑ってたんですね。」

「そりゃそうだ。ファイアリザードの突然変異体…グレートリザードはレベル20以上でギリギリ勝てるような相手だ。それをまだ半年も活動してないビギナーのお前と今日登録したばっかの素人が倒せる相手じゃない。…疑う理由、わかってくれたか?」

「…はい。」

 

失念してた…そりゃそうだ、周りから見ると明らかにおかしい。レベルも低いのにリザードの素材山ほど持ってくる時いっつもなんかざわついてたからな、気のせいじゃなかったのか…。見る人が見れば何かやってると疑われてもおかしくない。

 

「だがまぁ、お前の活躍はよく聞いてるよ。レベルが低いからって決めつけるのは三流だ。スキルでいくらでもやりようがあるんだからな。」

 

結局、渡辺は本当に仕事があるらしく受付嬢さんに引っ張られて退出して行った。去り際に

『期待してるのは本気だぜ、ルーキー!』

と高らかに笑いながら引きづられていくおっさんは相当にシュールに映った。

 

 

 

 

あれからギルドの受付に戻ると紗良はすでに帰っていたらしく、メールで

『一ノ瀬君はいっつも先走って行っちゃうんですから、明日ちゃんと理由聞かせてくださいよ!それと…今日の一ノ瀬君、ちょっとかっこよかったです。…と、とりあえず、怪我も酷かったんですから絶対安静にしといてくださいね!絶対ですよ!!』

とまぁ、!多めの文面だった。あいつなりに感謝してるのだろう。

そんなこんなで帰路に着こうとすると、目の前に見覚えのある金髪ツインテールの少女が立ち塞がった。というかリリカだ。その目にはどこかじっとりとした感情が浮かんでいる。

 

「あんた、あの素人女とパーティ組んだそうね?私の誘いは断ったのに。」

 

彼女の言葉の一つ一つに棘がある。完全に怒っているようだ。

 

「まぁ、元からの知り合いだったし…一日だけの付き添いだ。というか、お前とは関係ないだろ。」

「…へぇ。」

 

その一言で空気が一段と冷え込み足元を這いずるようにリリカの声が響く。

ハイライトのない目で彼女は言い放った。

 

「…いいわ、探索者としての格の違い、その体に叩き込んでやるんだから。

明日、私と決闘しなさい!」




すっごい更新が空いてしまった…。FGOとCoCの沼に完全にハマって抜け出せそうにないんですけど…。
構想自体は結構溜めて行ってるので気長に待っていてください!

よろしければお気に入り登録と評価、感想もお願いします!モチベが足りなぁぁぁぁい!!!
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