どうも、常夏鳳梨です。
というわけで!!オルクセン王国史の二次創作第二弾!!です!!
今回は星歴1025年のオルクセン連邦を舞台にした話です。
前作と同じように捏造設定が多めになるかもですが、どうぞよろしくお願いします!!
時は星歴1025年。
世界がまだ平和なようで平和ではない時代になってから数十年が経ち──かつては王国と呼ばれた国、もといオルクセン連邦の女王ことディネルース・アンダリエルは、今現在お忍びで首都であるヴィルトシュヴァインを歩いていた。
ベレリアンド戦争や二度の世界的な大戦から数十年が経ち、煉瓦作りの建物がコンクリート作りのビルに変わってもなお、多種多様な魔種族が住まう国として栄えているオルクセン連邦であるが、非常に長い時間を生きるディネルースにとって、そんなことは些細なことであった。
彼女にとって、このオルクセンという国は自身が愛した唯一無二の王──グスタフ・ファルケンハインが生涯を掛けて育んだ国であり、その生涯を通して愛し抜いた国でもあるため、その発展を母親のように優しい目で見守っていた。
そのため、ディネルースは女王という立場でありながらもお忍びという形で城を抜け出しては、すっかり近代的な建物が立ち並んでいる首都を歩く──ということを繰り返していた。
ただし、何も言わずに出かけるのは色々と面倒なことになるためか、自ら護衛のアドヴィンに一言だけ告げてから出かけている模様。
数十年もの歳月が経てば、魔種族の国であっても変化の時はやって来る。
鉄道から車へ、大鷲から飛行機へ、紙媒体からネット媒体へ。
時代の流れや技術の発展と共に価値観や文化が変わっていき、その波はやがてオルクセン連邦にも到達した。
だがしかし、それでもなお変わらないモノはいくつか存在する。
例えば、ヴィルトシュヴァイン内を走る路面電車もそのうちの一つであった。
「──随分と懐かしい夢を見たな」
ヴィルトシュヴァインを走る路面電車に揺られつつ、そう呟きながら目を覚ますディネルース。
そして、その路面電車の車窓から街路樹が並んでいる通りを見つめると、その顔にどこか懐かしい思い出に浸るような表情を浮かべていた。
車が主流となりつつある中でも、このオルクセン連邦では鉄道や路面電車に対する人気が根強いためか、今日に至るまでヴィルトシュヴァインを走り続けている。
彼女自身もお忍びで首都に出かける際はよく路面電車を利用しているようで、駅にて車両に乗る度に時代の流れに飲まれたとしても変わらないモノがあるのだなと実感していた。
そういったことを肌身で感じつつも路面電車が大きな到着したため、駅へと降りるディネルース。
そして、その駅の周辺を散策する形で秋の気配が深まっていく王都を歩き始めていた彼女の目に映ったのは、街路樹から落ちたドングリを拾うオークやコボルトの子供達の姿で、それを見たディネルースは微笑ましそうな顔になった後、その子供達を背にとある店に入っていった。
「いらっしゃいませ!!お一人様でご利用ですか?」
「あぁ、頼む」
その店は創業してから十数年が経ったレストランなのだが、店内にはOLと思われるオークやコボルト、ドワーフ達が美味しそうなパンやスープを食べていて、それを見たからか空腹感が更に刺激されたような感覚になりながらも、店員に案内される形で席に着くディネルース。
今時レトロな煉瓦造りの店内をテーブル席から眺めた後、ディネルースは店員が運んできたメニュー表を受け取ると、それを開く形でどの料理を食べようかと真剣な様子で考えていた。
今回、彼女が訪れた店はパンとスープをメインに提供するらしいのだが、メニュー表に載っているパンやスープ一つにしても様々な種類があるため、ディネルースはどのパンとスープを食べるかでメニュー表と睨み合っていた。
オルクセン連邦では定番のライ麦パンやグラーシュに、今となっては定番化しつつある白パンとキャベツと豚肉のスープことカプスニツァ──オルクセン連邦内では定番のメニューはもちろんのこと、オリジナルの創作パンや創作スープもそれなりにあり、それをメニュー表越しに見た彼女は分かりやすく悩んでいた。
それに加え、期間限定のスープやパンもあったことも相まってか、ディネルースはますますどのメニューにするかで頭を抱えていたのは言うまでもない。
と、その時──ふと、彼女の目に映ったのは【どんぐりパン】と【肉団子入りクライダ】の箇所で、それを見たディネルースはこれだとばかりの顔になっていた。
メニュー表の説明によれば、【どんぐりパン】は食べやすい大きさドングリが実るように品種改良されたモノを使用したパンなのに対し、【肉団子入りクライダ】は肉団子が入ったキノコとディル入りのスープらしく、それを見たディネルースはすぐさまそれを食べたいと思ったようで、店員のオークに対してこう注文した。
「すまない、この【どんぐりパン】と【クライダ】を頼む」
「かしこまりました!!」
ディネルース自身は、【どんぐりパン】や【クライダ】のことはそれなりに馴染み深い料理であった。
オルクセン連邦内で数年前にどんぐりの品種改良が成功して以降、そのどんぐりを使用した料理が発展しつつあり、その中にオルクセン原産のどんぐりを使用したお酒もあったからか、グスタフとの思い出で少しばかりどんぐりに対して馴染みがある彼女にとって、【どんぐりパン】は思い出深いモノであった。
一方、キノコとディルの風味が香るクリーム系のスープこと、【クライダ】は彼女がグスタフに出会った時に食べたモノに似ているためか、これもまた彼との思い出を呼び起こす料理だった。
だからなのか、無意識のうちにこの二つの食べたいと思っていたようで、料理が出来上がるのを今か今かと待っていた。
「お待たせしました!!【どんぐりパン】と【クライダ】です!!」
それから数分後、彼女のところに運ばれてきたのは──ドングリがゴロッと入ったフォカッチャのようなパンと、ハーブとキノコの香りが漂うスープであった。
その二つの料理を見たディネルースは目を丸くした後、思わず美味しそうだとばかりの顔になっていた。
【どんぐりパン(エルフサイズ)】
ゴロッとホクッと美味しいドングリ入りのパン
白ワインとの相性も抜群だぞ!!
【肉団子入りクライダ(エルフサイズ)】
キノコとハーブの風味が効いたクリーム系スープ
この店では豚肉をベースにした肉団子を入れるらしい
「おぉ──」
目の前に置かれた【どんぐりパン】と【肉団子入りクライダ】を見たからか、そう声を漏らすディネルース。
そして、スマホを使って出来立ての料理の写真を撮った後、そのまま皿の上に置かれた【どんぐりパン】を手に取ると、最初の一口とばかりにパクリと食べた。
【どんぐりパン】の中に入っているどんぐりは、ゴロッと食べ応えがある上にホクホクしているのに加え、パンそのものがフォカッチャのようにカリッとしつつもモチッとした食感があり、食べ応えも美味しさも抜群であったため、その顔には至福の表情が映っていた。
「美味い──!!」
──あの頃のどんぐりも美味しかったけれども、今のどんぐりはここまで美味しいのか。
昔を懐かしむように【どんぐりパン】をある程度食べ進めた後、今度はスプーンを手に【肉団子入りクライダ】を食べるディネルース。
豚肉をベースにした肉団子から溢れる肉の旨みと、クリームベースのスープから溢れるマッシュルームの旨み。
それからディルなどのハーブの爽やかさもあってか、この料理を食べたディネルースの顔に再び至福の表情が映っていたとか。
あの時、あの瞬間、ディネルースが食べたどんぐりはもう少し大きかった。
そして、病室で食べたスープは雉肉をベースにした肉団子が入っていた。
それでも──彼との思い出はディネルースの中に永遠に刻み込まれている。
彼女はグスタフとの思い出に浸るようにその料理に食べると、パンとスープを交互に食べる形で完食したのだった。
「ふぅ──」
美味しい料理を食べたとばかりにそう声を漏らすと、会計を済ませる形で店を後にするディネルース。
彼女のその手には、あの店で作られた【どんぐりパン】入りの袋があり、明日の朝には食べようかな?という様子でルンルン気分のまま再び路面電車に乗り、自らが暮らす王宮へと戻っていった。
そして、それから数分後──とあるSNSにて、美味しそうなパンとスープの画像と共にある呟きが投稿された。
@YamiDonguri
今日のお昼ご飯は【どんぐりパン】と【肉団子入りクライダ】!!
最近のどんぐりって本当に美味しくなった気がする
これも時代の流れですな
#オルクセン飯
これは、女王としての公務を行う傍らでお忍びグルメを楽しみつつ、現代での暮らしをそれなりに満喫する一人の闇エルフの物語である。
【今回のメニュー】
☆どんぐりパン
☆肉団子入りクライダ