どうも、常夏鳳梨です。
タイトルでお察しの通り、今回は某釜飯を元ネタにした話になります。
コミカライズ担当の先生の別の漫画でも、某釜飯が出ていたので──ね?
某釜飯好きな人は寄っといで。
星歴二〇二五年の冬、オルクセン連邦内のとある高速道路を一台の車が走っていた。
その車の中にはこの国の象徴たる女王であるディネルースと、アンファングリア旅団の元メンバーである闇エルフ──もとい、ラエルノア・ケレブリンが乗っており、二人は共にドライブという名目で出掛けていた。
同じ旅団の仲間であり、共にエルフィンドから亡命した闇エルフでもあるラエルノアは、ディネルースが女王となった後もちょくちょく交流していたからか、こうして二人で出かけることがしばしばあった。
ちなみに──今回ドライブに行った理由としては、諸外国との外交に伴う疲れを癒すという名目にて、ラエルノアを巻き込む形で気分転換がしたかったそうな。
なお、そのことをラエルノアは理解していたようで、姉様も大変そうだなと思いながら付き合っていたとか。
「いや〜、最近の
「あぁ、そうだな」
愛車の運転をしながらそう言うラエルノアに対し、その車の窓から見える光景を見つめながら、そう答えるディネルース。
ここ最近のオルクセン連邦では、世界的に流行していた新型ウイルスの鎮静化と同時に、自粛ムードから一転して外出する者達が増えていった。
それにより、彼女達のように高速道路をドライブする者も増加の一途を辿っていたため、自然と
そのためか、オルクセン連邦内でますますドライブブームが巻き起こったのは言うまでもない。
それはラエルノアも同じだったらしく、彼女は気分転換にはドライブがピッタリだと熱弁した後、数週間前に新調したプレイアーデン社製の愛車にディネルースを乗せ、高速道路を走っていた。
ディネルース自身は、ここ数年のラエルノアがドライブ好きであることを聞いてはいたものの、いざドライブに出掛けてきたところ──彼女の言うように中々に良い気分転換になっていたため、内心楽しげな感情に浸っていたとか。
「....ラエルノア、覚えているか?我々が初めて車を見た時のことを」
「えぇ、覚えてますよ!!まさか、あの鉄の塊がここまで普及するとは思いませんでしたよ!!」
「鉄の塊w」
昔のことを思い出したのか、クスリと笑いながらラエルノアと雑談をするディネルース。
そして、近くの
自動車を初めて見た時のこと、天気で動く洗濯機が出た時のこと、映画に音が入った時のこと。
人間にとっては何十年、百年単位の話ではあったが、長命種であるエルフのディネルースとラエルノアにとっては、今でも色鮮やかに輝く思い出であったため、その顔は次第に輝き始めていた。
「そういえば、今は電気で動く車もあるらしいですよ」
「電気で動く車....あぁ、電気自動車のことか」
そんな会話をしつつ、ふと休憩所《ラストシュテッテ》に向かう道路を見つけたラエルノアは、そのまま休憩をするためにそこに向かっていた。
そして、休憩所《ラストシュテッテ》に到着したディネルースとラエルノアは、車から降りるのと同時にその施設の中へと入っていった。
その休憩所《ラストシュテッテ》内は意外にも広々としているだけではなく、トイレも含むて清潔感があったためにディネルースとラエルノアはホッとしていた。
それと同時に、二人はちょうどお腹も減っていたようで──美味しそうな昼飯を求め、その休憩所《ラストシュテッテ》内にある売店を覗いていた。
その売店には、様々な料理が──厳密に言えば、サンドイッチやケバブサンドと言った料理が並んでいたのだが
「む?」
「あれ?」
そこに何故かサンドイッチではない何かが、小型の鍋に似た容器が置いてあったため、ディネルースとラエルノアはその鍋に似た何かに釘付けになっていた。
その結果、二人は自然とその鍋型の何かに興味を示していたようで、そのまま手を伸ばしていたのは言うまでもない。
なお、鍋型の何かの近くにはその商品の説明が書いてあったものの、そこに鍋型の何か──もとい、【峠のマテ貝ライス】はこの近くの鉄道の名物駅弁であることが書かれていたため、それを見たディネルースとラエルノアはこう思った。
これは絶対、いや確実に美味いやつだ──と。
「これ──間違いなく絶対に美味しいやつですよね?」
「奇遇だな、ちょうど今私も思っていたところだ」
この辺りの名物と聞き、ワクワクとした顔になる二人。
何しろ、今まさにディネルースとラエルノアのお腹が空いていたのに加えて、彼女達が訪れている
しかも、二人とも海辺の近くで育ったわけではないがために、海産物に対して特別な思いを抱いていたようで、その目は自然と輝き始めていた。
ディネルースはディネルースで、年に数回だけ女王として羽を伸ばす高級保養地こと、ヴァンデンバーデンでの食事で何回もマテ貝を食べたことがあるのだが、それはあくまで白ワインを使った酒蒸しがメインだったため、むしろ新鮮さを感じていたとか。
「マテ貝ライス....か。一体、どんな味がするのだろうな」
そんなわけで、売店にて【峠のマテ貝ライス】を購入したディネルースとラエルノアは、そのまま
【峠のマテ貝ライス】とは、いったいどんな料理なのだろう?
そう思いつつ、ディネルースとラエルノアが可愛らしい鍋型の容器の蓋を開けたところ、そこにあったのは──プリっとしたマテ貝の身とエンドウ豆やニンジン等の野菜が入った米料理であった。
【峠のマテ貝ライス】
プリップリッのマテ貝がぎっしり入った米料理
駅弁だけども
それを見た瞬間、さっき以上に目を輝かせているラエルノアとは裏腹に、ディネルースは思わずこう思った。
どことなくライスフライシュに似ているが、イスマイル帝国の伝統料理ことピラフにも似ているな──と。
しかし、とりあえずは食べてみないと分からないと思ったのか、二人はプラスチックのスプーンを手に取ると、マテ貝の身を含めた具とライスを一纏めにする形にて、それらをパクッと一口で食べていた。
「「!?」」
──結論から言えば、この【峠のマテ貝ライス】はライスフライシュではなく、イスマエルでよく食べられているピラフのような物であった。
まず、最初にバターの香りと塩味が口の中に漂ってきたかと思えば、次にやって来るのはマテ貝から溢れ出る海の女神とも言える旨み。
それから、エンドウ豆・ニンジン・玉ねぎなどを含めたそれぞれの食材の甘みも相まってか、ディネルースが気がついた時にはもう一口食べていた。
一方、ラエルノアはマテ貝から出た旨みが染み渡った米を噛み締める度に、彼女が得意とするあざとくて可愛らしい表情というよりかは、心の底から幸せそうな表情を浮かべていた。
それと同時に、たまに感じる生姜の爽やかな辛味やその風味が鼻をくすぐっていたのか、また一口とばかりにパクパクと食べていた。
「あの──これ、美味しいすぎませんか?」
「ラエルノア──お前もそう思っていたか」
とてつもなく美味しい【峠のマテ貝ライス】に対し、そう口々に呟く二人。
それと同時に、鉄道旅の時にこれを食べたら間違いなく美味しいだろうなと思ったのか、今度は鉄道に乗って出かけるのも良いかもしれないと話していた。
ラエルノアに至っては【峠のマテ貝ライス】を美味しいそうに食べながら、何でこんなに美味しいの〜!?と声を漏らしていており、それを見たディネルースは内心分かる──とばかりの反応になっていた。
ちなみに、その光景を見た観光客もまた【峠のマテ貝ライス】を食べたくなったのか、結果的には
いずれにしても、二人が食べていた【峠のマテ貝ライス】はとても美味しい料理だったようで、ディネルースとラエルノアがふと我に帰る頃には、既に【峠のマテ貝ライス】を食べ終えていたのだった。
そのことに気がついた二人は、また食べたかったな──という反応になっていたのは致し方ないことであった。
そして、お腹いっぱいになったディネルースは空になった小鍋型の容器を見つめると、一言だけ呟くようにこう言った。
「この容器は....花を植える鉢植えに使えそうだな」
ディネルースにとって、その呟きは何てことのない言葉だったのだが──彼女の呟きを聞いたラエルノアはハッとしていたのか、思わず納得したような顔になっていた。
そんな彼女に対し、ディネルースは分かりやすく呆れるような顔になっていたものの、それでもこういうのもたまには悪くないと思っていたのか、少しだけ微笑んでいた。
ただし、その微笑みを見たラエルノアは思わず写真を撮りたくなっていたとか。
「それだったら、今度は花屋に行ってみます?」
「なるほど、それはそれで良いかもしれないな」
空になった小鍋型の容器を見つめつつ、和気藹々とした様子でそんな会話をするディネルースとラエルノア。
ただ、ラエルノアはディネルースが女王ではなく一人のエルフとして羽を伸ばしている姿を見て、少しだけホッとしたのはここだけの話である。
その後、休憩所《ラストシュテッテ》から出た二人は再び車を走らせた後、高速道路を降りたのだが──そこで立ち寄った街にて、可愛らしい花が売られている花屋に寄った後、小さくも凛々しい花を買った模様。
そして、ディネルースはその花と共に小鍋型の容器を王宮に持ち帰った後、それを容器に植え替える形で自室に置いたのだが、事情を知らないメイドや執事達は可愛い容器だな〜と思っていたとか。
あと、これはあくまで余談だが──それを聞いたディネルースは鼻高々と言うよりかは、少し照れていたとのこと。
@YamiDonguri
今度は鉄道旅の時に食べたいなぁ....
#オルクセン飯
【今回のメニュー】
☆峠のマテ貝ライス