闇エルフのお忍びグルメ   作:常夏鳳梨

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副題:たまにはパァッと食べようぜ

どうも、常夏鳳梨です。
タイトルからお察しの通り、今回はディネルースがおつまみを選んで酒を飲む話になります。
ちなみに、ドイツは甘口の白ワインでも有名なのだとか。
まぁ、私は酒が飲めないけどね(苦笑い)


闇エルフsおつまみセレクト

オルクセンで白ワインの製造が始まったのは、星歴七二〇年のことであった。

その当時、誤って遅摘みのブドウを白ワインとして加工したところ、それが甘く美味しいワインとして評判を呼んだため、その甘口の白ワインはシュペートレーゼと呼ばれるようになった。

 

そして、グスタフ王の治世の頃なると彼がその白ワインを美味しいワインだと公言したことにより、少しずつではあるがその製造が広がっていった。

それに加え、近年ではオルクセンのワイン職人達の努力によって、ワインにうるさいエトルリア人やグロワール人も飲むようになったからか、その需要は世界的に高まりつつあった。

 

ただし、ビールが主に飲まれているオルクセンにおいて、甘口の白ワインの人気はそれほどでもないのだが、たまにそのワインを好んで飲む者も居たようで

 

「──この価格で美味いワインとそれに合うつまみが楽しめるとは、中々にお手頃だな」

 

本格的に冬至祭(ユール・フェスト)が近づき始めた頃、闇エルフの中ではかなりの酒豪であるディネルースは、ヴィルトシュヴァインを流れる運河の近くにある店の前にて、そう呟いていた。

 

その店は、オルクセンでは珍しいビュッフェスタイルの酒場らしく、割とリーズナブルな値段でビールやワインなどの酒が飲めるからか、昼間の時間の割には店内は多種多様な種族で賑わっていた。

それをみたディネルースは、こんなにも良い酒場を見つけたのならば、昼の時間帯から酒を飲むのも悪くないかもしれないと思ったようで、そのまま引き寄せるかのように店内に入っていった。

 

そして──店内に入ったディネルースの前に広がっていたのが、文字通りのビュッフェスタイルという形にて、横長のテーブルの上に並べられた酒に合うつまみの数々であったため、彼女は目を輝かせていた。

しかも、そのつまみはオルクセン連邦の伝統料理の数々であったため、これは確かに人気が出るなとディネルースは思ったとか。

 

それもあってなのか、彼女の目はキラキラと輝いていた模様。

 

「ほほぅ、オルクセン風のロールモップスにチーズ入りコトレットもあるのか──」

 

そう呟きつつ、とりあえず自分が飲む酒としてオルクセン産の甘口白ワインを選んだ後、その白ワインに合うつまみを何品か選ぶディネルース。

 

彼女がオルクセン産のワインを飲んだ際、こんなにも美味いワインがなるのだと感動していた。

元々、故郷の酒の味に似ていると理由で火酒を好んでいた彼女だったが、当時のグスタフがオルクセンの白ワインもイケるぞ!!とばかりに勧めたこともあり、ディネルースは初めてオルクセン産の白ワインを飲んでいた。

 

その際、瑞々しい果実を思わせるオルクセン産の白ワインの芳醇な風味の虜になったらしく──それ以降、ディネルースはちょくちょくオルクセン産の白ワインを飲むようになっていた。

それもあってか、今ではたまにオルクセン国内のワイン醸造所の視察なども行うようになっていたが、最近では辛口ワインも人気になりつつあったからか、少しだけ寂しい思いを抱いていたとか。

 

そんな思いを胸に、ディネルースが甘口白ワインに合うつまみとして選んだのは、【オルクセン風ロールモップス】と【チーズ入りコトレット】、それから【蒸かし芋のオバツダ乗せ】であった。

 

【闇エルフsおつまみセレクト】

ディネルースが選んだ白ワインに合うおつまみの数々。

どれもこれもオルクセンでは馴染み深いモノだぞ!!

 

「フフッ、我ながら欲張ってしまったな」

 

テーブルの上に置かれた料理の数々を見ながら、満足げにそう呟くディネルース。

彼女が選んだ三品のつまみは、このオルクセン連邦ではよく食べられている料理であり、スーパーでも手に入りやすい非常にポピュラーなモノとして知られていた。

 

例えば、【オルクセン風ロールモップス】はキュウリのピクルス、或いは玉ねぎのピクルスを酢漬けのニシンで巻いたモノ──なのだが、コボルトが多いオルクセンではザワークラウトで代用しているため、オルクセン風と呼ばれていた。

 

【チーズ入りコトレット】はその名の通り、カツレツの中にチーズが入ったボリューミーな料理で、最近のオルクセン連邦では流行りの一品として知られており、一説によるとオルクセン海軍が発祥だと言われているとかいないとか。

 

更に言えば──蒸かした馬鈴薯の上にパプリカパウダーとバターを混ぜたチーズソースを掛けた料理こと、【蒸かし芋のオバツダ掛け】もまたオルクセン国民も多く、この店では酒のつまみとして提供されていたのだった。

 

「──まぁ、たまには昼間から飲むのも悪くはないのかもしれないな」

 

そんな品々を目の前にしながら、その甘口白ワインをグラスに入れた後、一口飲みつつもそう呟くディネルース。

オルクセンで生産されている甘口白ワインは、白桃を思わせるようなフルーティーさが特徴の代物として知られていた。

 

そのため、オルクセンの国王であったグスタフもこのワインを愛していたようで、そのワインのラベルには王室御用達という一文が掲げられていた。

それを見た彼女は、今もなお王室に愛されているという一文が掲げられていることに対し、グスタフが未だに愛され続けていることが嬉しかったのか、甘口白ワインの風味の余韻が残るうちに【オルクセン風ロールモップス】を食べていた。

 

「うむうむ、この酸味がたまらんな」

 

強い酸味が特徴の【オルクセン風ロールモップス】は、よくビールや蒸留酒などのつまみとして人気が高かった。

ただ、この料理は甘口白ワインとも合ったようで──ディネルースは一口サイズの【オルクセン風ロールモップス】を堪能していた。

 

彼女自身、エルフィンドに暮らしていた時からロールモップスには馴染みがあったのだが、その当時のロールモップスはキュウリのピクルス入りだったため、どちらも美味しいが慣れ親しんだピクルス入りの方も食べたいなと思ったのはまた別の話である。

 

「次は──これだな」

 

そう呟いた後、食べやすい大きさとなっている【チーズ入りコトレット】を一口食べた後、甘口白ワインを流し込むディネルース。

この料理──もとい、【チーズ入りコトレット】は豚肉の間にチーズが入っているのだが、そのチーズが塩味が強いタイプであったために豚肉との相性が抜群だったらしく、彼女はそれをあっという間にそれを食べてしまっていた。

 

そのこともあってか、当の本人はこれは是非とも普通の大きさのモノを食べたいと思ったらしい。

 

「チーズと肉の相性が良いことは知っていたが、これはこれで中々美味いな」

 

そう言葉を漏らした後、ディネルースは甘口白ワインをチビチビと飲みつつ、昼間での飲酒を楽しんでいた。

なお、その光景を見た客達や店員達は彼女の正体を知らなかったものの、良い酒の飲み方をするなと思っていたとか。

 

そんな客や店員達を尻目に、最後の一品として【蒸かし芋のオバツダ乗せ】を食べるディネルース。

ホクホクの馬鈴薯の上に乗ったオバツダは、カマンベールチーズやパプリカパウダーの食欲をそそる風味もあってか、彼女はこれは合う!!とばかりに甘口白ワインを飲み干していた、

 

それはまるでギアが入ったかのような様子であったため、店を訪れていた客達は即座に飲み慣れた闇エルフなのだと察した模様。

 

「パンに塗っていたオバツダが、まさか芋にも合うとはな──」

 

ディネルースはそう呟きつつ、白ワインをグラスに注いでいたのだが──気がつくと周りには昼飲みをする魔種族で溢れていたため、それを見た彼女はこう思った。

こういう風に昼間から酒が飲めるようになるということは、少なからず平和なのだと。

 

オルクセンはビールも美味いが、甘口の白ワインも美味い。

そして、そのつまみもまた美味いことを改めて理解したディネルースは、一瞬だけこの店にアンファングリア旅団の面々を連れて行こうと思っていた。

しかし、アンファングリア旅団を構成している面々がかなりの酒好きが多いことを思い出したからか、すぐに店が潰れる程に彼女達が飲むと思ったようで、やめておこうと思ったとか。

 

けれども、お忍びでの昼飲みの楽しさを知ったのもあってか、店を後にした彼女がルンルン顔になっていたのは言うまでもない。

 

「おぉ──」

 

そんな彼女の目の前に広がっていたのは、冬至祭(ユール・フェスト)に向けての準備が行われている市場の姿で、それを見たディネルースは今年もこの季節がやってきたのかと思い始めたのか、何とも言えない寂しい気持ちとなっていた。

 

あの頃はグスタフと共にこの冬至祭(ユール・フェスト)を楽しんでいたが、彼が居なくなってからのこの季節を迎えるのは一体何度目なのだろうか?

長命種故の寂しさと切なさ、それからジレンマを抱えつつも女王と即位してから百年以上も経った今でも、ディネルースが彼のことを思わない日は無かった。

 

あぁ、愛しのグスタフ。

私だけの──ディネルース・アンダリエルだけの魔王よ。

何故、貴方だけが先に行ってしまったのか。

 

そんな思いが駆け巡る度に、彼女は過去に囚われそうになってしまうが──年月が経とうとも、今年もまたやって来る冬の祭りの準備を行う国民の姿に勇気付けられるのか、再びその顔に微笑みを浮かべるとその街中を歩いて行ったのだった。

 

「さてと、今年の冬至祭(ユール・フェスト)は何を食べようか」

 

ちなみに、ディネルーススはあの店が余程気に入ったようで──たまに訪れては白ワインを一〜二本程度は開けるため、店員達から『白ワインを好む闇エルフ』として認識されていたものの、彼女の正体が女王ディネルース・アンダリエルであることは知らなかった模様。

何だったら、白ワインを飲んだとしてもケロッとしていたのもあってか、彼女のことを相当な酒豪だと思っていたとか。

 

何だったら、闇ドングリ名義で彼女が──ディネルース運営しているSNS垢にて、宣伝されていることも知らなかったのはここだけの話である。

 

@YamiDonguri

昼飲みは良いぞ!!白ワインは良いぞ!!

てなわけで、昼飲みなう!!

#オルクセン飯




【本日のメニュー】
☆オルクセン産の甘口白ワイン
☆オルクセン風ロールモップス
☆チーズ入りコトレット
☆蒸かし芋のオバツダ乗せ
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