どうも、常夏鳳梨です。
たまには海産物を食べるのも良いよね〜、めちゃくちゃ美味しいよね〜。
てなわけで!!今回はウニが主役のローカルグルメ回です!!
ちなみに、ウニクレソンの亜種枠としてウニホーレンがあるのだとか。
鉄板グルメは良いぞ。
オルクセン連邦の首都であるヴィルトシュヴァインの一角には、煉瓦造りの倉庫を改造した飲み屋街が存在する。
倉庫内に存在するその飲み屋街は〈ヴィルトシュヴァイン赤煉瓦倉庫〉と呼ばれ、地元の呑兵衛やお酒好きな観光客が足を運ぶスポットとして知られており、それなりに有名な夜の観光地として知られていた。
この倉庫は元々、軍が使用していた倉庫だったのだが──ベレリアンド戦争から数年後に軍の倉庫として役目を終えた後、何とか有効利用できないか?というわけで飲み屋街へと改装され、今に至るのである。
その結果、煉瓦造りの倉庫内に存在する飲み屋街に惹かれる人も少なくなかったのか、オープンしてから数十年が経った今もなお足を運ぶ人々は少なくなかった。
そんな〈ヴィルトシュヴァイン赤煉瓦倉庫〉に訪れる人々の中には、今日も今日とてお忍び中のディネルースもあり、どの店で一杯を飲もうかと考えながら歩いていた。
この飲み屋街は、倉庫内なのでどんな天候になろうが楽しめる場所であるためか、一年を問わず多くの呑兵衛達で溢れかえっていた。
それは、冬の気配が近づいているこの時期でも同じだったようで、倉庫内には美味しそうな料理の匂いが充満していたため、ディネルースはますます食欲が刺激されたとか。
「うぅ──ここは本当に誘惑だらけだな」
たまたま〈ヴィルトシュヴァイン赤煉瓦倉庫〉の前を通りかかったとは言え、興味本位で入るじゃなかったとばかりにそう呟くディネルース。
その顔には、一杯の酒のつまみを選ぶのに苦労しそうだなと言わんばかりの表情が浮かんでおり、それはまるで道に迷った迷子のような姿だったのは言うまでもない。
更に言えば、この飲み屋街にはオルクセンの伝統的な酒場はもちろんのこと、何かしらの料理と酒を楽しむ店が多くあったためか、ますます袋小路に入るかのような感覚になっていた。
なので、彼女はどうしたもんかと思いつつもウロウロとその場を歩いていたのである。
ちょうどその時、そんなディネルースの目に映ったのは──鉄板の上で料理を作り上げる店、もとい鉄板焼きの店であった。
「ほぅ──?」
鉄板焼きという看板を発見したからか、分かりやすく興味を示すディネルース。
そもそも、鉄板焼きとは秋津洲発祥の調理法の一つである。
主に、熱した鉄板の上で野菜・肉・魚介類を炒めるためにそう名付けられたのだが、彼女が発見した大衆的な店はもちろんのこと、秋津洲ではホテルなどでも鉄板焼きの店があるためか、人によって高級レストランと位置付けられていたり、あるいは居酒屋のような店だと認識されていたりすることが多かった。
オルクセン連邦にもそれなりに秋津洲料理の店はあるものの、それでもまだ鉄板焼きの店自体が珍しかったようで、その店を見たディネルースはこの店に入ろうと思ったのか、店の前にある暖簾をかき分ける形で入店したのだった。
「らっしゃい!!」
秋津洲の血筋を思わせる人間の男性の掛け声と共に、鉄板が見えるテーブル席へと座るディネルース。
彼女の視線の先には、熱い鉄板の上にて様々な食材を調理する店主の姿があり、女王とはいえ目の前で調理する光景を見ることが中々無かったディネルースは、思わず感動を覚えたとか。
店内には、鉄板焼きのメニューらしき物が書かれたモノがいくつか並んでおり、それを見たからなのかは分からないものの、今現在の彼女はとりあえずビールを飲もう!!と思ったようで、そのまま店主に向けてこう言った。
「とりあえず、ビールを一杯くれ」
「あいよっ!!」
ディネルースがそう言った数分後、彼女の下に運ばれて来たのは──ガラスのジョッキに注がれた泡マシマシのビールで、それを見たディネルースはこう思った。
そういえば、秋津洲ではビールの泡を好む人間が多かったなと。
彼女自身も数年前に秋津洲を訪問した際、その当時の首相が秋津洲人は喉越しとキレのある苦味の持つビールを好み、よく飲んでいると言っていたことを思い出したのか、これもまた異文化交流だなと思いながらそのビールを一口飲んだ。
並々と注がれた秋津洲産の冷たいビールは喉越しが爽やかなのに加えて、オルクセン産のビールとは異なるスッキリとした苦味や、クリーミーな泡という蓋の存在もあってか、ビールの風味が落ちることなくその味を満喫できるようになっていた。
なので、キンキンに冷えたビールを一口飲んだディネルースはこれは美味しいと本能的に思ったようで、そのままグビグビとビールを飲んだ後、そのビールのおかわりを頼んだのだった。
「恐るべし──秋津洲のビール」
そう呟く彼女の顔には、秋津洲がオルクセンのビールを肩を並べるどころか、むしろ超えてしまうような予感を感じさせるような表情となっており、それはまさにビールに纏わる新たな扉を開けたと言っても過言ではなかった。
ベレリアンド戦争時の秋津洲は、まだまだ近代化の真っ最中であった。
そのためか、時折オルクセンを含めた星欧大陸の技術を学ぶために秋津洲から人材が派遣されては、その地でスポンジのように知識を吸収した上で故郷に戻る──という秋津洲人も少なくはなかった。
そのことに対し、夫であり国王であるグスタフは好意的に受け止めており、第一次星欧大戦が勃発するまでは秋津洲の外交官を招いては道洋風のお茶会を開くこともあったため、ディネルース自身は秋津洲に関する愛着を持っていた。
もし、グスタフがこの時代に生きていたとすれば──秋津洲のキンキンに冷えたビールを片手に、塩茹でした枝豆と共に飲んでいただろうな。
少しだけ寂しい気持ちを抱えながらも、ディネルースが店内を見渡していた時、彼女はとあるメニューを発見していた。
「ウニ──クレソン?」
そのメニューには聞き慣れない単語が──【ウニクレソン】という名前が書かれていたのだが、それを見た彼女はあることを思い出していた。
それは元アンファングリア旅団の一員としてベレリアンド戦争で活躍し、今は秋津洲の西部地方にてアールヴ語の教師をしている闇エルフとの記憶であった。
その記憶によれば、【ウニクレソン】は彼女が暮らしている秋津洲のとある地域の料理で、文字通りウニとクレソンを鉄板で炒めた料理らしく、その闇エルフはビールとの相性が抜群だとオンライン通話越しにディネルースに話していた。
なので、そのことを覚えていた彼女はビールを運んできた店員に対し、そのままこう言った。
「すまないが、この【ウニクレソン】というのを頼む」
それから数分後、彼女の目の前の鉄板にバターが置かれたかと思えば、少しずつ溶け始めたバターの上にクレソンを乗せる形で炒め始めたからか、それを見たディネルースはビックリしたような顔になっていた。
と言うのも、オルクセン連邦でのクレソンはあくまでサラダなどで使用されるためか、逆にこういう風にバターと共に炒める──という調理法は存在しなかったため、彼女がそうなるのも無理はなかった。
そんな彼女を尻目に、店主はそのバター炒め状態となったクレソンに醤油を加えた後、手慣れた手つきで再びヘラを使って炒めると、その上に何個かのウニを乗せる形で料理を完成させていた。
「お待たせしました!!ご注文の【ウニクレソン】です!!」
【ウニクレソン(エルフサイズ)】
知る人ぞ知る秋津洲料理の一つ
ウニとクレソンのマリアージュを召し上がれ
グロワールでよく食べられているパンこと、バケットと共に提供された【ウニクレソン】に対し、待ってましたとばかりの顔になるディネルース。
そして、ディネルースは出来立て【ウニクレソン】をバケットの上に乗せると、そのまま一口食べるのと同時にビールを一口飲み、その相性を確かめた。
結論から言えば、この【ウニクレソン】とキンキンに冷えたビールとの相性は抜群であった。
バターと醤油で炒められたことにより、ほのかな苦味が中和されているだけではなく、旨みと塩味という武器を手に入れたクレソンと、海の恵みとも言える濃厚なウニの風味。
この二つだけでも美味しいが、バケットの上に乗せることで更に美味しくなるだけではなく、料理としての食べ応えも増すためか、ディネルースはもう一口とばかりに【ウニクレソン】乗せバケットを食べていた。
やがて、一枚目のバケットを食べ終えるのと同時に二杯目のビールを飲み干すと、二度目となるビールのおかわりを頼んだため、店主は闇エルフが酒豪という噂は本当だったのかと思ったとか。
なお、その光景を見たオークやコボルトはそりゃ闇エルフだもんなと思った模様。
「美味い!!これは美味すぎるぞ!!」
【ウニクレソン】のあまりの美味しさに対し、そう言葉を漏らしながら鉄板焼き屋での食事を楽しむディネルース。
彼女自身は女王という立場上、外交などでウニやクレソンなどを食べる機会はあったものの、オルクセンという国そのものがウニを食べることは無かった。
ただし、時代の流れと共に物流業界が発展したことにより、今となっては肉と同じような感覚で海産物が食べられるようになったため、本当に良い時代になったなとディネルースは思っていた。
それと同時に、ディネルースはグスタフがバター醤油の美味しさについて力説していたことを思い出したのか、確かにこれは彼が力説する程の美味しさだなと内心ボヤいた後、そのまま【ウニクレソン】とビールの組み合わせを存分に楽しんでいた。
それはまるで、かつて愛した人の分まで味わうとばかりに。
「ふぅ──中々に美味かったな」
そういうわけで、【ウニクレソン】とビールを満足するまで堪能した彼女は鉄板焼き屋を後にすると、その写真をとあるグループチャットに載せていた。
そのグループチャットは、いわゆるアンファングリア旅団のOB達が所属しているOB会的なやつだったのだが、ディネルースが【ウニクレソン】の写真をアップしたその瞬間、酒好きである彼女達の間に衝撃が走ったのか
『何それ美味しいそう!!』
『また姉様が美味しそうなやつを食べてる!!』
という感じのコメントで溢れかえっており、それを見たディネルースはやれやれという顔になりながらも、時が経っても変わらない彼女達を見て一安心したのか、心なしか可愛い奴らめと言わんばかりの表情が映っていた。
彼女がそう思っている時、そのグループメールにとあるコメントが届いていた。
『ね、姉様が【ウニクレソン】を食べている──だと!?』
それをスマホ越しに見たディネルースは、そのコメントの送り主の正体が秋津洲でアールヴ語を教えているあの闇エルフだと察したのか、彼女に向けてこんなメールを送った。
『今度、オルクセンに帰ってきたら──他の元団員と共に【ウニクレソン】をつまみに昔話でもしよう』
それから数週間後、オルクセンへの一時的に帰省した彼女を含めた闇エルフ達によって、例の店を貸し切る形でアンファングリア旅団OB会が行われたとか。
なお、その際に闇エルフ達が【ウニクレソン】を堪能したのは言うまでもない。
@YamiDonguri
今日は〈ヴィルトシュヴァイン赤煉瓦倉庫〉の鉄板焼き屋で【ウニクレソン】とビールを頂いたぜ!!
ウニとクレソンって意外と相性が良いのかも?
#オルクセン飯
【本日のメニュー】
☆ウニクレソン(バケット付き)