俺は普通の高校生なので、   作:雨ノ千雨

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1章25 生命の伽藍堂 ②

 

 砂煙が漂い、防御壁を破壊されたことで纏わりついてくる塵に些か不愉快気に眉を歪めて、アスは汚れてもいないタキシードの前裾をパンパンと手で二度払う。

 

 

 数m級のゴミクズーを一撃で消し飛ばすほどの魔法攻撃を受けてもアスにとってはその程度のことでしかない。

 

 

 弥堂はアスのその仕草を無感情に視ながら、この場での打倒は不可能であると断じた。

 

 

「フフフ、なかなかではないですか」

 

 

 柔らかく涼しげな目で水無瀬を見る。

 

 

「ですが……、少しだけ妙ですね。想定よりも力が大きいように思えます」

 

 

 誰に向けてというわけでもなく自身の気付きを口に出しながら首を少し傾けた瞬間――その姿が消える。

 

 

「――この段階ではここまで育たないはずなんですがね」

 

「――っ⁉」

 

 

 すぐ近くで声が聴こえたことで気が付く。

 

 消えたと思ったアスは水無瀬の目の前に立っていた。

 

 彼の声が聴こえるまで、弥堂にはそこに来ていることにすら気付くことが出来なかった。

 

 

 先程戦った悪の幹部ボラフよりも、先日戦った希咲 七海よりも速い。

 

 

 水無瀬の攻撃を防ぐのに使用していた防御障壁――恐らくあれも魔法のようなものだと弥堂は考えていたが、このアスという男は、どうやらああいった力だけではなく身体スペックに於いても圧倒的に優れているようだ。

 

 

「キミは魔力量が多い個体なのかな? ちょっと見せてごらん……」

 

 

 近所の子供に優しく接する好青年のような口調で話しかけながら水無瀬の頬に手を触れ顔を少し上に向かせる。

 

 

「や、やめろっ! マナに――ヒッ⁉」

 

 

 その行動を咎めようとしたメロだったが、アスに一瞥されると顔を伏せて震えた。

 

 

 アスはつまらなそうに鼻を鳴らすと顔を戻し、左目に嵌めた片眼鏡ごしに水無瀬の瞳を覗く。そしてすぐに怪訝そうに眉間を寄せた。

 

 

「……変ですね。自我が薄い……? この段階でこれなら期待外れになってしまいますが……ボラフさん?」

 

「……なんだよ」

 

「彼女はいつも『こう』なんですか? それとも種が開いてから『こう』なったんですか?」

 

「いや……それは――」

 

 

 問われたボラフは逡巡するように目玉を左右に振ってから弥堂の方へ目線を向ける。

 

 

 しかし、向けた先には誰もいなかった。

 

 

 ダンッと――強く地面を叩く音が鳴る。

 

 

 敵の意識の移り変わる瞬間を狙ってアスに肉薄した弥堂は、彼の腎臓の位置に拳を合わせて零衝を打ち込む。

 

 

「――っ!」

 

 

 しかし、思ったような手応えはない。

 

 拳より放った威はどこにも徹らなかった。

 

 

 敵との接点に眼を向けてみると、弥堂の拳とアスの身体との間にちょうど拳大の透明な障壁が出現していた。

 

 

「うん? ニンゲン……? ニンゲンが何故ここに?」

 

 

 ジロリと横目で見遣りながら、まるで今初めて弥堂の存在に気が付いたかのようにアスはそう言った。

 

 

「別に直接触れられても問題はないのですが……汚いですからね」

 

 

 言葉通り、それまで浮かべていた微笑を不快気に歪めて、羽虫を払うように腕を振るう。

 

 

「――っ!」

 

 

 弥堂は咄嗟に何か言葉を口にしようとして、止める。

 

 代わりに歯を食いしばった。

 

 

 手の甲が横っ面を打つ。

 

 

 ヒットの瞬間に首を捻り、相手の力に逆らわず地を蹴り自分から飛ぶことで威を殺す。

 

 身体を捻じり宙で回りながらダメージを最小限に近付けつつ姿勢を制御する。

 

 そうして両足で着地をするが、直立した瞬間に膝が落ちる。

 

 口の端から血液が漏れた。

 

 

 アスは弥堂には興味も向けずボラフの方を見た。

 

 

「ボラフさん。何故ニンゲンが結界内にいるんです? 巻き込むなと命令されているはずですが?」

 

「ち、ちがうっ! オレが引き込んだんじゃあねえ! 勝手に這入りこんできたんだ!」

 

「そんなわけがないでしょう。ただのニンゲンにそんなことが出来るわけ――まさか……アナタ……」

 

 

 ボラフの反論を潰しながら何かの可能性に思い当たったのか、目を細めて弥堂の方へ顏を向ける

 

 下らないモノは見たくないとばかりに片眼鏡を外し、ただ刺すような冷たい視線で弥堂を探る。

 

 弥堂は答えの代わりにベッと口の中に溜まった血を唾と一緒に吐き捨て、グイと手の甲で雑に口端を拭った

 

 

「……違いますね。一般的で平均的なニンゲンの魔力、生き物が生きる為に必要な最低限の魔力、それしかない……いえ、それよりは少し多いくらいでしょうか。しかし誤差範囲です。ただの虫ケラですね」

 

「…………」

 

「こんな虫が何故……? ボラフさん。こういうことは以前にも?」

 

「…………いや、今回が初めてだ。」

 

 

 ピクッと弥堂の眉が跳ねる。

 

 反射的に視線が動きそうになるのを努めて自制した。

 

 

「どういうことだかはオレにもわかんねえけどよ、事故じゃねえのか? 結界張った時に偶々迷い込んだとか。絶対にありえないってわけじゃあねえだろ?」

 

「そうですね。ありえないという程ではないかもしれませんね」

 

「じゃあ――」

 

「――ですが。ニンゲンが密集したショッピングモールで偶々一人だけ結界に迷い込み、いつもは『こう』ではない魔法少女の様子がおかしくなっている。おまけにその日に種が開いた。これらが同時に起こるだなんてことは、ありえないことに分類してもいいのでは? それとも。これらは全て偶々だと?」

 

「そっ、れ、は……」

 

「ほら。もっと知恵を絞って上手に誤魔化してごらんなさい。まったく……、私がこういう性質だから楽しんであげていますが、これがアナタの御父上が相手だったら殺されてますよ? アナタ」

 

「グッ……、ウゥッ……!」

 

「では、もう一つ訊いてみましょうか。彼女がこうなっていることと、あのニンゲンには、何か関係がありますか?」

 

「そっ……、いやっ、知らねえ……っ! オレはわからねえ……!」

 

「フフフ……、そんなわけがないでしょう――と、問い詰めてもいいのですが。そうですね。あちらに訊いてみましょうか」

 

 

 楽し気に笑みを漏らしながら振り向くとすぐに、眼前に鋭利な突起物が飛び込んでくる。

 

 

 地面に落ちていた車のシャフトが圧し折れて焼け焦げた棒を拾い上げ、それを槍のようにして弥堂はアスに突き出した。

 

 

 一瞬にしてアスの浮かべる笑みが凄惨なものに変わる。

 

 それを無視して、掌の皮膚が爛れるのも無視して、弥堂はアスの眼球を狙う。

 

 

 しかし、それは横から伸びてきた黒い手によって槍を掴まれ阻止された。

 

 

 ピクリとアスの眉が動く。

 

 

「テメェ……、なにしてんだ……っ!」

 

 

 割り込んできたのはボラフだった。

 

 

 アスや弥堂が何かを喋るよりも速く、ボラフは左手を振り上げながら鎌に変形させ、一息に振り下ろす。

 

 

 キンと、金属が打ち合う音を鳴らして弥堂の持つ鉄のシャフトが半ばから斬り落とされた。

 

 自身の右手で掴んだ斬りとった片割れの棒を地面に放り捨てボラフは拳を握る。

 

 そしてその黒い拳を弥堂の顔面に叩き込んだ。

 

 

「ぐ……っ!」

 

 

 数歩たたらを踏み、顔を上げようとした瞬間、追撃の前蹴りを腹に入れられる。

 

 弥堂は吹き飛ばされた。

 

 

 ボラフは飛ぶように地面を蹴り、それを追う。

 

 

 吹き飛ばされる最中でもパニックは起こさず、ゴロゴロと地面を転がりながら弥堂はすぐに体勢を整えようとするが、それよりも速く至近で着地したボラフがさらに腹を蹴り上げてくる。

 

 

「ォラァッ! ニンゲンごときがっ! アス様になにしようとしてくれてんだ! ゥオラァッ!」

 

「が――っ⁉ カハッ……っ!」

 

 

 息が詰まり咳きこみながら胃液を吐く弥堂の前髪をボラフは乱暴に掴んで顔を上げさせる。至近に顔を寄せると弥堂にしか聴こえないほどの小声で囁いた。

 

 

「やめとけ……、あいつにはケンカ売るな。シャレじゃすまねえからよ。悪いようにはしねえからもう大人しくしてろ……」

 

 

 怪訝そうに弥堂が眉を寄せる。

 

 

 ボラフは焦ったように目玉を横に動かして背後のアスを窺うと、弥堂が何かを言い返してくる前に掴んだ頭を地面に叩きつける。

 

 そして立ちあがり罵声を浴びせながらストンピングを繰り出す。

 

 

 その様子をアスは白けたような冷たい目で見て、やがて溜め息を吐いて制止の声をかけた。

 

 

「……そのくらいにしときなさい、ボラフさん。死んでしまいますよ」

 

「…………あぁ」

 

「興醒めですね。30点です。しかし、私のやる気を削ぐことが目的なら100点を付けるべきなのかもしれません」

 

「……なんのことか、わかんねえな」

 

「フフ、まぁいいです。では、訊くことは訊いておきましょうか」

 

「…………」

 

 

 幾分、雰囲気を和らげたアスが歩いて近寄ってくる。

 

 ゆっくりと歩いて来て弥堂の顏の前で靴を止めた。

 

 

「ニンゲン。アナタはなんですか?」

 

「……今自分でニンゲンと呼んだだろう。見てわからないのかグズめ」

 

「フフフ、元気がいいですね。ボラフさんに随分と痛めつけられていたはずなのに。おかしいですね。フフッ」

 

「……チッ」

 

 

 ばつが悪そうにボラフが舌を打つ。

 

 

「では質問を変えましょうか。アナタ、彼女に何かしましたか?」

 

 

問いには答えず、弥堂は血の混じった唾を眼前の靴に吐きかけた。

 

 

 

 

 革靴の爪先で額を打たれる。

 

 

 瞬間的に視界がホワイトアウトし、チカチカと火花が散る。

 

 

 正常に回帰する前に顔に靴底を置かれ、踵で頬を踏み躙られる。

 

 

 弥堂は目玉だけを動かして、相手の顔が在るであろう場所を睨みつけた。

 

 

「弁えなさい。どうしてアナタたちニンゲンはこうも下品なのですか」

 

「……そういうお前はどうなんだ。人間そっくりだぞ」

 

「フフフ……、生意気にも情報を探ろうと駆け引きをしているつもりですか? カワイイところもあるじゃないですか」

 

「駆け引きが気に障るなら取引ならどうだ?」

 

「……取引?」

 

 

 スッと、アスの目が細められる。

 

 周囲の温度が数℃下がったような錯覚が他の者に強いられた。

 

 

「オ、オイッ――」

 

「――ボラフさん。黙りなさい」

 

 

 慌てて弥堂を窘めようとしたボラフを下がらせて、アスは涼やかな笑みを浮かべる。

 

 なまじ整い過ぎている面差しのため、より残酷性が増したように映る。

 

 

「取引とは随分大きく出ましたね。まさか対等なつもりですか?」

 

「お前は知りたいことがある。俺にもお前に訊きたいことがある。その点に於いては対等だろう」

 

「ニンゲン風情が。ですが、フフフ……、いいでしょう。興味を持って差し上げます。何故だかわかりますか?」

 

「さぁな」

 

「それはですね――」

 

「――グッ」

 

 

 言葉を溜めて弥堂の顏に置いた足に体重をかける。

 

 靴底の下から向けられる弥堂の目に視線を合わせて見下ろすアスの目が紅く光る。

 

 

「痛めつけられても屈辱を受けても、怒りも恐怖も感じていない。もちろん喜びもなく、破滅やスリルを楽しんでいるわけでもない」

 

「…………」

 

「アナタ、なんなんです? 生物として、存在として大したモノではないのは確かです。ですが、その精神性の異常さには興味が持てます」

 

「……それがお前の知りたいことでいいのか?」

 

「いえ。探究し答えを見出すことこそが私の本分であり悦びです。それよりも、アナタが言った『私の知りたいこと』、何を取り引き材料に出してくるのかを聞いた方が楽しめそうです」

 

「そうか」

 

「フフフ。壊れているのか、狂っているのか……、それともこの状況をひっくり返すだけの知や策を隠しているのか。いずれにせよ、私を楽しませてごらんなさい。そうすれば気紛れに手心を加えてあげることもあるかもしれませんよ? ただし――」

 

「――グゥッ……!」

 

「ただし、つまらない話をしてみなさい。その時は――殺しますよ?」

 

 

 最後に一際強く踏みしめてからアスは足を離す。その際に爪先を弥堂の服に擦り付けて先程吐きかけられた唾を拭った。

 

 

「さぁ、立ちなさい。お話を伺おうじゃありませんか」

 

「……生憎と痛めつけられ過ぎて立てないんだ。このままで失礼する」

 

 

 弥堂の断りには答えを口にせず、アスはただ笑みを深めた。細まった瞼の中の目は笑っていない。

 

 

「言ってみなさい。アナタごときで測った『私の知りたいこと』を。眼鏡にかなえばアナタの質問も聞いてあげましょう」

 

 

 妖しく見下ろす紅い瞳を弥堂は無感情に見返す。

 

 

「質問をするのは俺が先だ。それに答えればお前の知りたいことを教えてやる」

 

「は?」

 

 

 想定外のことを言われたとばかりにアスの目が丸くなる。

 

 

「これは……狂っているのですかね? ご自分の立場がわかっていないのですか?」

 

「わかっていないのはお前の方だ」

 

「オ、オイ……ッ! やめとけっ!」

 

 

 脇から声を荒げるボラフをアスは手で制した。

 

 

「……それはどういう意味でしょう?」

 

「俺はお前の欲する答えを確実に持っている。一方でお前は俺が満足するような情報を持っている保証はない」

 

「あまり調子にのっているようだともう殺しますよ」

 

「それだ」

 

「なに?」

 

「お前は俺をいつでも殺せる。お前がその気になればそれを防ぐ手立ては俺にはない」

 

「それがわかっていて何故こんな態度を……」

 

「俺が先に質問をして、お前がそれを気に入らなければそこで俺は殺されて終わりだ。俺の質問が出来ない。一方で俺にはお前を殺す手段がない。俺の質問に対するお前の答えを俺が気に入らなくても、お前は確実にその後で自分の質問をすることが出来る。これは対等ではない」

 

「なにを――」

 

「――それに。先にお前が答えたとしても、その後で俺からの答えが気に入らなければ俺を殺してしまえばいいだろう。そうすれば情報を先に渡すリスクはないはずだ。違うか?」

 

「……フフフ、ククッ…………、なるほど。確かにそれは一理ありますね」

 

「それに。言ったな? 対等な取引をすると。その言葉を違えてもいいのか?」

 

「オマエ……」

 

 

 上機嫌になりかけたアスの表情がまた冷たいものになる。

 

 

「オマエ、知ってて言っているんですか?」

 

「それがお前の質問でいいのか?」

 

「いいえ。教会、京都、東京新分庁……」

 

「…………」

 

「ふむ……、感情は揺れない。知らないのか、それともそういう訓練を受けているのか」

 

「その答えが欲しいか?」

 

「いいえ。私にはアナタの感情の動きが見えます。答えなど要らないのですよ」

 

「そうか」

 

「それを知ってもらった上で、アナタの提案にのって差し上げます。これはアナタたちニンゲンがペットのじゃれつきに付き合ってあげるようなものです。それは肝に命じなさい」

 

「あぁ。とても助かるよ」

 

(――プライドが高くてな)

 

 

 弥堂にとって思うような展開に進むがそこに喜びはない。

 

 

「では、どうぞ? 何でも訊いてください。リスクはないらしいので……ククク……」

 

「お前がボスなのか?」

 

「はい?」

 

「闇の組織とか言ったか。お前がそれの頭なのか?」

 

「あぁ……、それですか。いえ、違いますよ。私などしがない中間管理職のようなものですよ」

 

 

(これ以上がまだいるのか……)

 

 

 ボラフ以外の存在を知らない時には悪ふざけの集団である可能性も考えていたが、どうやらかなり大掛かりで、さらに自身の手には余るものである可能性が濃厚となってきた。

 

 

「そんなことが訊きたかったのですか? 『私達の目的はなんだ』ですとか、もっと核心に迫ることを訊かれると思ったのですが」

 

「答えるとは限らんだろう。お前は『何でも訊け』とは言ったが、『何でも答える』とは言っていない。だから答える可能性のある質問を選んだ」

 

「先程言っていたことと矛盾しますね。答えた後でアナタを殺してしまえば関係ないでしょう?」

 

「俺は、な」

 

「……?」

 

「そいつらは違うだろう」

 

 

 言いながら棒立ちのまま立ち尽くす水無瀬の方へ視線で誘導する。

 

 

「俺のことは殺せばそれで済むが、そいつらに同じ対応はとれないだろう? だからそいつらが知ったとしても問題がなさそうな範囲で訊いただけだ」

 

「へぇ……なるほどなるほど……。でも、それでしたら嘘を答えればいいということになりませんか?」

 

「あぁ……、確かに失念していたな。それは俺の手落ちだ」

 

「…………」

 

 

(それはお前のプライドが許さない。答える以上は絶対に真実を言う。お前はそういう風に出来ている)

 

 

 ジッと探るように見下ろすアスの顏を、確信をもって見返す。

 

 

「……まぁ、いいでしょう。では次はアナタに答えて――」

 

「――待て、まだ訊きたいことは――」

 

「――駄目です。フフッ……、質問を複数許した覚えはないですよ? それともアナタにも二つ以上の答えの用意があるのですか?」

 

「…………」

 

「ないようですね。よろしい。では、お聞かせください」

 

 

 チッと舌を打って弥堂は質問を引っ込める。

 

 これ以上挑発をするとこの戯言に付き合ってはもらえなくなる可能性が高い。

 

 出来ればもう少し情報を引き出したいところではあった。

 

 

 このヒトではないモノたちの正体など。

 

 

 しかし、それは然して重要ではない。

 

 

 少なくとも弥堂にとっては。

 

 

 こんな問答も言葉遊びも所詮は時間稼ぎだ。

 

 

 ここまでの戦いで大分消耗してしまったが少しは回復してきた。

 

 

 ここでこいつらを殺すことは出来ないが、生き延びることは出来る。

 

 

 そのためには――

 

 

「まずは、アナタの考えている『私の知りたいこと』とはなにか。それから話してもらいましょうか」

 

 

――次の一手にミスは許されない。

 

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