俺は普通の高校生なので、   作:雨ノ千雨

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序章28 終リ裁キ ②

 

 法廷院がオーバーアクションで指し示したのは当然、弥堂だ。

 

 

 弥堂 優輝は思う。

 

 

 なんなんだ、このくだらない状況はと。

 

 この連中は一体どんな意味や必要性を感じてこのような事態を起こし、そして自分を巻き込むのだろうと。

 

 この場の人間の全ての目が自分へと向けられている。

 

 

 弥堂はかつて一時的に過ごしていた地方で神敵認定を受け、異端審問にかけられた時のことを思い出す。

 

 街の広場にて磔にされ足元に火をくべられながら多くの人間に石を投げつけられた時の記憶だ。あの時もこうして多くの注目を集めていた。

 

 そのようなロクでもない経験を想起し正気を保つが状況が変わるわけでもない。

 

 

「弥堂っ! あんた絶対やめてよね! 思い出すのも禁止なんだから!」

 

 すぐ近くで希咲が何か言っているが無視をする。

 

「アハハハハハハっ‼‼ 観念することね、希咲 七海っ! あなたはもう終わりよ!」

 

 イカれた女があげる哄笑の声が耳障りだったので意識から外した。

 

 

「作法はもうわかっているだろぉ⁉ 恥ずかしがらずにキミの女子のパンツへの思いの丈をぶちかましてくれよぉっ!」

 

 そう煽りながら法定院がバチバチっと不細工なウィンクを送ってくる。

 先程の自分たちの審査の真似事を踏襲しろという意図だろう。

 

 

 弥堂 優輝は考える。

 

 

 この戯言に付き合うか、付き合わないか。

 

 

 当然普通に考えたらこのような茶番に付き合う理由はない。公序良俗に反する催しであり倫理的にも憚れる。

 

 しかしその場合、この連中との問答をさらに続けることになる。それは大変に不毛なことであると、これまでの時間でよく解っている。

 

 

 では、付き合うか?

 

 

 そんなことをしても何もメリットはない。

 とはいえ、メリットがないのはどっちの場合でも一緒だ。

 

 

 ならば、どちらを選んでもメリットがないのであれば、よりデメリットの少ない方を選択するのが賢明だろう。

 

 

 この場合のデメリットとは、主に時間――それに伴う体力と精神力の消費だ。それは少なければ少ないほどいい。

 

 

 鑑みて、弥堂は彼らの茶番に付き合うことを選択する。

 

 

 次に問題となるのが――思考しながら胸元の希咲の顏をじっと視る。

 

 

「……ん? あによ? あに見てんのよ」

 

(――どちらを勝たせるか、だが……)

 

 怪訝そうに表情を歪める希咲の言葉には応えずに考える。

 

 

 一応、今後自分にとって有益に使用していく予定なのはこの女の方だ。白井には要はない。

 だからこいつに都合よく審査をすべきだろう。

 

 そうすると、この女を勝たせるべきか。果たしてそれが正解なのか。

 

 

 対象の心情を探るべく、より希咲の顔を注視する。

 

「ちょっ、ななななななにっ⁉ なんなのっ⁉」

 

 近距離で自分の顏を凝視してくる男からの圧迫感が増したことで、距離までもが縮んだように希咲には感じられ、彼女は激しく狼狽した。

 

「あっ、ああああんたまさかキスしようとしてんじゃ――やだやだやめてっ! ちかいっ! ちかいってば!」

 

 弥堂の顔面に手をあててグイっと押し返したところで彼女はハッと気付く。

 

(てか、あたしなんでこいつにずっとくっついてんの⁉ いくら身体がだるいからってありえないでしょ!)

 

 先程自分から彼の顏をボーっと見つめた時は気に掛からなかったが、彼の方からジッと顔を見詰められたら何故か急に嫌悪感と気恥ずかしさが湧きあがってきた。

 

 

 希咲は怠さの残る身体に鞭を打って弥堂から身体を離す。

 

 しかし未だ本調子でないのかバランスを崩しよろめくと、腕を伸ばした弥堂に腰を支えられた。即座にその手をぺちんっと叩き落とし、一歩分距離をとってからサイドテールをぴーんっと上に伸ばして威嚇する。

 

 

 それから手早く衣服の乱れを直し、体裁を繕うようにコホンとひとつ咳払いすると――

 

「勘違いしないでよねっ! たまたま寄りかかるのに便利そうだから使ってやっただけで、別に触るのオッケーしたわけじゃないんだからねっ!」

 

 右手をぶわっと振りかぶってから、びしっと指差してそう宣言する。

 

 

 戦後、敗戦のショックにも負けずに日本国民一丸となって培ってきた伝統的なツンデレ芸に、わっと歓声をあげて法廷院たちが拍手をする。

 

「なっ、なによあんたたちっ! バカにしてんでしょ⁉ 嘘じゃないんだからっ!」

 

 照れ隠しなのかなんなのかは弥堂にはわからないが、周囲にそう喚き散らしている彼女を見て考える。

 

 

 奴らの言う審査とやらに対して彼女はずっと否定的な姿勢であった。

 

 だが、それはあくまでも自らのおぱんつに関して言及されることを嫌っているからであって、仮に審査自体が強行されることになれば、その勝敗についてはどうでもいい――という訳では必ずしもないだろう。

 

 

 弥堂はそのように考察した。

 

 彼にしては珍しくだいたい合ってた。だいたい、は。

 

 

「ちょっと、あんた聞いてんの⁉ あたしが背もたれにする為に背中であんたを触ってただけで、あんたがあたしに触ってたわけじゃないんだから! わかってんの⁉」

 

 さっきの痴漢問答の時とは真逆のことを主張してくる希咲の言葉に、それは一体どう違うのか、どんな心理状態でそんな意味のわからないことを発言するのかと若干気をとられる。

 

 そして、『まぁ、負けるよりは勝つ方が好みだろう』と見当をつける。先程彼女の片足を拘束していた時もよくわからない負け惜しみを言っていたし、多分負けず嫌いで合っているだろうと。

 

 長考したわりに最後の最期でそんな大雑把な結論を出した。面倒くさくなったのだ。

 

 

「さぁ、弥堂クン! この全裸でしか勝負の出来ない憐れな女に現実というものを突き付けてあげてちょうだいっ!」

 

「どういう意味だコラっ! ひっぱたくわよ!」

 

「アハハハハっ、滑稽ね。もはや暴力に頼ることしかできないだなんて。そんなことしたって審査員の心象が悪くなるだけだわ。私をどうにかするよりも、審査員に媚びでもしたらどうかしら? その場でガニ股スクワットでもして、そのぶりっこおパンツを見てもらいなさいよ」

 

「別にぶりっこじゃないしっ! ふつーにカワイイでしょ!」

 

「さぁ? 生憎それを決めるのは私じゃないの。あ、ちなみに。弥堂クンは特別審査員だから彼の票は100ポイントよ。つまり彼の票を得た者が勝者となるわ」

 

「清々しいほどに後付けね……さっき言ってた公平性はどこにいったのよ……」

 

「フフフ、なぁにぃ? そんなに敗けるのが恐いのぉ? さっきまでの余裕はどこにいったのかしらぁ?」

 

「必ず自分が選ばれるっていう、その絶対的な自信はどっからくんのよ……メンタルどうな――って、あっ!」

 

 

 ハッと気付く。

 

 

(――そうよ! なにも無理してこいつを説得する必要ないじゃない。ムリだし。さっさとこの変態女を勝たせてやってお開きにすればいいんだわ)

 

 

「あらぁ? どぉしたのぉ~? 急に黙っちゃってぇ。また泣いちゃうのぉ~?」

 

 発言の途中で言葉を切り少し俯きながら思考を始めた希咲の様子を見て、効いていると判断したのかクソウザ口調で煽ってくる変態をチロリと見遣る。

 

 人差し指で唇を軽く撫で思考を続ける。

 

(一回勝たせたら卒業するまでマウントとってきそうで死ぬほどウザイけど……そうね――今後関わんなきゃどうにかなんでしょ。とっとと帰ってもらおう)

 

 

「ん~ん、ゴメンねぇ? ちょっと考えこんじゃってぇ。だってぇ~、またあたしが勝っちゃったらぁ、白井さん泣いちゃうかもしれないしぃ~、かわいそーかなぁってぇ」

 

「やだもぉー、希咲さんやさしー。でもぉ、希咲さんが心配してるようなことにはなんないからぁ、だいじょーぶだと思うなぁ。私は希咲さんの方が心配ぃ~」

 

「えー、そうかなぁ~? でもぉ、あっちの二人ともあたしの勝ちって言ってくれたしぃ~。白井さんすっっごくショック受けてたからぁ、なんかゴメンねぇーって感じぃ? ぜぇんぜんそんなつもりなかったんだけどぉ~」

 

「うふふふふふふ。もぉ~、気を遣いすぎだってばぁ~。ショックなんかちっっとも受けてないからぁ」

 

 

 朗らかな笑顔と柔らかな口調で繰り広げられる女子たちの会話に、その場に居た男子たちの中で気の弱い者どもは怯えた。誰も止める者がいないので尚も続いていく。

 

 

「私なんかのことよりもぉ~。希咲さんの方がたいへんかもぉ~」

 

「えぇ~、なんでなんでぇ? あたしわかんなぁ~い」

 

「だってぇ、明日から男子たちに『媚び媚びなパンツ穿いてる』ってイジメられちゃうかもぉ。男子って子供だから『ちょっと見せてみろよ』とかってぇ、いい年してスカートめくりとかするかもしんないしぃ? 希咲さんって繊細だからぁ、またパンツ見られて泣いちゃうかもぉ~。希咲さんかわいいしぃ~、色んな男子にモテるからぁ、私とぉってもしんぱぁーい」

 

「えーーっやだぁ~、そんなのこわぁ~~いっ。でもぉ、あたし的にはぁ~、白井さんの方が心配かなぁって。だってだってぇ、前にせんせーに下品な下着を注意されちゃったのにぃ、まぁたそんなえっちぃパンツ穿いてきちゃってぇ。せんせーとか好きな人にバレちゃったらたぁいへぇ~んっ。でもでもぉ。安心してねー? あたし聖人と一緒に居ること多いからぁ~、なるべくバレないよーに気をつけておいてあげるねぇ~?」

 

 翻訳すると、『お前のぶりぶりパンツ言いふらすぞ?』という脅迫に対して、『てめーのエロ下着を教師と好きな男にチクんぞ?』という脅迫が応酬された図だ。

 

 二人とも依然、爽やかな微笑みを浮かべ余所行きの声音のままだが、よく見ると額に青筋がビキっていた。そんな様子を男子たちがハラハラと見守る。

 

 

「わーありがとー。希咲さんやっさしー。やっぱりー、かわいい子ってやさしーよねー」

 

「えー、そんなことないよー。白井さんの方がかわいいってー」

 

 あははー、うふふーと笑いあった少女たちはそこで同時にスッと真顔に戻ると、ぐりんっと顔を回しギンっとした眼差しを向けてくる。

 

「弥堂っ!」

「弥堂クンっ!」

 

 二対の眼を向けられた弥堂はうんざりといった様相で、ただ鼻から細く嘆息した。

 

「スカしてんじゃないわよっ! 他人事みたいな顔すんな!」

 

「早くこの女に引導を渡してちょうだいっ! 私のパンツを選ぶのよ!」

 

 恋人でも夫でもない男に対して、自らの着用している下着の品評をするように強要をしてくる。

 

 弥堂はこの国の女学生たちの性の乱れを嘆き、目の前の二人の少女を強く軽蔑した。

 

 

「希咲。お前さっきは嫌がってたのにどういう風の吹き回しだ?」

 

「ふんっ。もうめんどくさくなったのよ。まぁ~? どうせ~? あたしが勝っちゃうしぃ~? さっさとシロクロつけた方が効率いいでしょ?」

 

「……ふむ…………」

 

 どこかヤケクソ気味な様子にも見える、顎を軽く持ち上げ高慢な態度をとる希咲の真意を探る――が、女が前言を翻すことなど特段珍しくもないし、考えたところで女性の心理が解った経験も一度もないのですぐに考えることをやめる。

 

 ただ、効率がいいというフレーズは気に入った。

 

 

「決着の時よ。訊かせてちょうだい、弥堂クン。私のパンツと希咲のパンツ――どちらが真にシコいかを‼‼」

 

「おい、シコいってなんだ?」

「あ、あたしに訊かないでよバカっ!」

 

 審査に関わる重要な項目のようだったのでその意味をクラスメイトの女の子に尋ねたら、弥堂は理不尽にも怒られてしまった。

 

 

(だが……)

 

 考える。

 

(希咲の態度の変化を鑑みるにあいつも俺に審査とやらをさせる意向のようだが……)

 

 希咲の顏を見て、次に白井の方を見る。

 

 ついさっきまで立ち上がって希咲とやり合っていた白井さんは、何故か床にまた座りなおし、さりげない動作でスカートの裾を乱すと特別審査員に媚びた。

 

 

(希咲を勝たせるということでいいのだろうか。それとも……――む?)

 

 白井から希咲の方へと視点を戻したところで気付く。

 

 

 対面の希咲がさりげなく、それでいて器用にパチパチとウィンクを送って目配せをしてきていた。

 

 

(この場をとっとと終わらせたいのは弥堂もいっしょのはず! 白井を勝たせればもう満足して帰ってくれるんだから、さっさとお望みを叶えてあげればいい)

 

 気持ちが伝われと彼への眼差しにより一層力を籠める。

 

(無茶苦茶なヤツだけど多分バカではないはず! 汲み取れぇ~、つ~た~わ~れぇ~~!)

 

 その熱烈な視線を受け止めた弥堂は――

 

 

(――ほう……なるほどな)

 

 

 得心した。

 

 

 

(つまりは俺に忖度をしろと、そういうことか)

 

 理解をしたという意を籠めて、希咲に向って一つ頷いてやる。

 

 

 アイコンタクトによるコミュニケーションの成立に二人ともに気分をよくする。

 

 精悍な顔つきで合図を返してくれたクラスメイトの男の子の頼もしさに、七海ちゃんのお顔はパァーっと輝いた。

 

 

 そして弥堂も希咲の心意気を気に入る。

 

 

 状況を自分たちにとって都合のよい結果に導く――その為には卑怯な手すら厭わない。今後子飼いとして便利に使っていく予定の者が、目的の為ならば手段を選ばない女であると解って一定の満足感を得た。

 

 弥堂の脳内で希咲 七海の評価が6段階上昇した。

 

 

「いいだろう。この俺が裁定を下してやる」

 

 

 静かに、しかし確かな意思でそう宣言した。

 

 

 弥堂のその宣言を受け、審査委員長であり大会組織委員長でもある法廷院が手早く身を正すと前に進み出てくる。

 しかし、先程の希咲と白井による、女子のこわいとこを目撃した影響で彼は若干腰がひけていた。

 

 彼が――というか、高杉が法廷院の乗る車椅子を全員の視界に入る位置まで押してきてそこで止めると、法廷院の脇の下に手を入れて持ち上げて座席の上に慎重に立たせてやった。

 完備された介護であった。

 

 

「フフっ。では訊かせてもらおうか。キミが思う勝利者の名を‼‼ 頼んだよ、狂犬クン――いや! ジャッジ弥堂っ‼‼」

 

 

 ジャッジ弥堂は応えた。

 

 

「勝者は希咲だ。スコアは……そうだな、10億対0だ」

 

「はぁっ⁉」

「なっ――そんな…………」

 

 頭の悪さが伺い知れるような点数を添えて告げられた最後の判定に男子生徒たちは沸き立つが、選手である女子たちは二人とも『裏切られた!』といった表情を浮かべ、演出を一切考慮しない即答に法廷院は唇を尖らせた

 

 

「ばかああぁぁぁぁぁっ‼‼ あんたはぁっ! なんでっ⁉ なんでっ⁉ もおおぉぉぉぉっ‼‼」

 

 

 ゴシャァっと崩れ落ちた白井を背後に置いて、希咲は即座に特別審査委員に詰め寄ると乱暴に胸倉を掴んで力いっぱい揺さぶった。

 

 

「鬱陶しい。離せ馬鹿」

 

「バカはあんたでしょおぉっ! なんであたしを勝たせんのよっ⁉」

 

「お前が目配せしてそうしろと云ってきただろうが」

 

「ゆってない! このコミュ障! へんたいっ! むっつり! ばかっ!」

 

「勝つ為に手段を選ばないその姿勢は見事だぞ。褒めてやる」

 

「うっさい! うれしくないわよっ! あんたマジで――ヒッ⁉」

 

 

 このまま精魂尽き果てるまで罵り続けてやろうとしたが、ふと背後から聴こえてきたか細い声に気をとられ、弥堂への罵倒を続けながら目線を回しそちらを見ると、希咲は恐怖で硬直した。

 

「……ナン、デ……? ドウシテ……ナノ…………?」

 

 先程崩れ落ちた白井が顔面を床に沈めながら、震え声で譫言のように魂の残滓にこびり付いた未練を吐き出す。乱れ髪が顔面を覆い僅かに空いた隙間からこちらへ向けてくるその目が怖すぎて、希咲は顔を引きつらせながらカタカタと震え弥堂の背後へと隠れた。

 

 完膚無きまでにホラーすぎたのだ。

 

 

「そうだね。ルール無用の高得点の理由はボクたちにしても気になるところだね。だってそうだろぉ? 10億シコP(ポイント)なんて前代未聞だよぉ」

 

「ゆっ……夢にでそう……」

 

 白井の疑問に法廷院も同意を示す。

 

 先の西野と本田の判定発表に倣うならば、この後詳細な寸評が弥堂に求められるはずなので、希咲としてはそんなコメントは止めなければならないはずなのだが、白井の狂態がガチで怖すぎて彼女は気が回らなかったのだ。

 

 

「それではコメントを願おうか、ジャッジ弥堂?」

 

「コメントだと?」

 

 ふむ、と顎に手を当て一息分思考をする。

 

「そうだな。そこの女のおぱんつはアレだ。チャーシューに巻き付いた紐みたいで外すのが面倒そうだ。0点だ」

 

「……ほう……チャーシュー、と……」

 

 法廷院は辛うじて堪えたが端で西野と本田がプッと噴き出した。白井がギロッとそちらを睨む。

 

 

「そして希咲だが……」

 

「へ? あたし? なに? なんの話してんの?」

 

 どのように褒めれば機嫌をとれるかと考えながら喋る弥堂に名前を呼ばれ、そこでようやく希咲は現状に気付く。

 

「あっ! ちょっとあんたもしかして! いいっ! いわな――」

「――そうだな。希咲のおぱんつはアレだ。まず機能面だが、やたらとカラフルであちこちにビラビラとなんか付いていて目に付きやすいから、その無意味に短いスカートが揺れ動いた時に容易に視認することが可能だ。あと、なんだ。掴みやすいし目立つから適当に部屋に脱ぎ捨てておいても紛失しづらいという利点もあるだろう。日常生活においてとても機能的で効率的な品物だ」

「――だからっ! 見せるために穿いてんじゃないって言ってんでしょ!」

 

 

 自分たちとは違った視点からの斬新な斬り口に、法廷院たちは或いは感嘆の意を漏らし、或いは考え込むような姿勢を見せる。

 

 その様子をチラリと確認しながら、弥堂は必死に何かを訴える希咲を無視して言葉を継ぐ。

 

 

 希咲を持ち上げつつ、このイカれた催しを確実に終結させる。

 

 その両方の結果を得るべく、先程の西野や本田の弁論を思い出しながらそれっぽく仕上げていく。

 

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