俺は普通の高校生なので、   作:雨ノ千雨

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1章裏 4月26日 ⑥

 廃墟内に立ち入ると、すぐに埃っぽさが気になった。

 

 

 プシップシッとメロがくしゃみをするが、弥堂は構わず奥に進んでいく。

 

 それは見知った場所を歩くような迷いのない足取りだった。

 

 

 愛苗ちゃんママはとってもキレイ好きだ。

 

 ほんの少し前まではその彼女が管理するとても清潔な家でメロは快適に暮らしていた。

 

 それなのに、たったの数日で自身の身を置く環境が激変してしまったことにメロは物悲しさを感じる。

 

 

 しかしそれを言っても何も始まらない。

 

 プラーンとぶら下がった鼻水をズズッと吸ってからベロリと鼻を舐め、メロは弥堂の後を追った。

 

 

 するとすぐに階段に行き当たる。

 

 まるでそこにそれがあることを知っていたかのように、少しも行き先を考える素振りもなく弥堂はその階段を昇り始めた。

 

 

 いつものことだが彼は何も喋らない。

 

 話しかければ何かしらの返事はしてくるが、彼の方から自発的に話しかけてくることはない。

 

 

 この廃墟に入ってからメロは彼に話しかけていないので、ここまでずっと無言のままだ。

 

 人気のない建物の中に満ちる静寂の上に、カツーン、カツーンと弥堂の靴音が響く。

 

 

 場の雰囲気から感じる重苦しさを嫌ってメロは何かを喋りかけようとする。

 

 だが、口を開く寸前で、そういえばこの男はこんな風に足音を鳴らして歩くヤツだったろうかと思いつき、言葉を止めた。

 

 

 そうしている間に二階に着く。

 

 そのままフロアに入って行く弥堂の後を追い、そして今度こそ彼に声をかけた。

 

 

「ヘヘッ、なんか秘密基地っぽいッスね。少年のナワバリなんッスか?」

 

「別に。そういうわけじゃない。通りがかりにたまたまあったから入っただけだ。ここには初めて来る」

 

「そッスか。我々の秘密の作戦会議に相応しい場所ッスね」

 

 

 口を吐いたのはそんなどうでもいい軽い話題だった。

 

 弥堂からもいつもどおりの気のない返事が返ってくる。

 

 

 しかし、今日の彼はいつもよりはほんの少しだけ口数が多いようにも感じた。

 

 彼のような人物でも、大きな戦いが終わったばかりなので多少気が抜けているのかもしれない。

 

 

「作戦会議?」

 

 

 メロが言った言葉をそのままオウム返しにしてくる。

 

 

「ん? 違うんッスか? これからのことで打ち合わせって言ってなかったっけ?」

 

「あぁ……、まぁ、そうだな。そんなところだ」

 

「なんかノリ悪いッスね。重大なことなのかとジブン構えちまったッスよ。わざわざ場所変えるほどの話じゃないんじゃ……」

 

「いや。大事な話だ。非常に、重要な」

 

「いったいなんッスか? 先に言っとくッスけど、ジブン難しいことは言われてもわかんねぇし出来ねぇッスよ? なんせネコさんッスから」

 

「だったら――」

 

 

 言いながら弥堂は立ち止まり振り向く。

 

 メロは自分を見下ろすいつも通りの湿度の低い瞳を見上げた。

 

 

「――だったらニンゲンの姿になればいい」

 

「ニンゲン……?」

 

「さっきも為っただろ。あれはニンゲンじゃなくて悪魔の姿と言う方が正しいのか?」

 

「あぁ、メスガキフォームのことッスか?」

 

「多分それだ」

 

 

 合点がいったメロはポンっと肉球を打つ。

 

 

「自由に変身が出来るんだろ? 回数に制限でもあるのか?」

 

「いや、そういうのはねぇッスよ。つか、ニンゲンの姿になったからってジブンの理解力や実力が上がったりはしないッスからね?」

 

「そうなのか?」

 

「うむッス。変身と言ってはいるッスが、あれはマナがやってるような変身とはベツモンッス。ほら、ジブン悪魔ッスから。自分がどんなカタチをとるかはある程度自由に選べるんッス」

 

「……へぇ。完全に受肉しているわけではないのか。そのカタチに縛られている個体ではないんだな? そういえばサキュバスだと言っていたか」

 

「そッスね。でも、多分ジブン元々はネコさんだったはずなんッス。ベースっていうか、素体が……? だから自分はネコさんだって自意識が強めッス」

 

「自分で曖昧なのか?」

 

「んー……、そのへんの記憶は朧げなんッスよね。ちゃんと憶えてるのはサキュバスの女王様の眷属になった瞬間からの記憶になるッス」

 

 

 宙空を見上げながら自分のことを説明するメロを弥堂はジッと視ている。

 

 

「まぁ、つーわけで、変身してもジブンは変わらないってことッス」

 

「そうか。ちょっと変身してみろ」

 

「……オマエ今の話聞いてたッスか?」

 

「当然、訊いていた。少々気になることがある。ちょっと見せてみろ」

 

「そんな、ちょっとパンツ見せてみろみたいな軽いノリで言うなッス」

 

「それは軽いノリで言ってはならないことだろう」

 

「いーや! オマエは絶対に女の子相手に言ってるはずッス! ジブンわかってきたッス。少年はそういう男ッス」

 

「そのような事実はない」

 

「いーや、あるッス!」

 

「うるさい黙れ。いいから見せろと言ったらさっさと見せろ」

 

「な、なんて横暴で非道な男なんッスか……、正直キライじゃないッス……」

 

 

 放課後の学園の廊下でクラスメイトの女子相手に「ちょっとスカート捲っておぱんつを見せろ」と迫った男が得意のゴリ押しをすると、か弱いネコさんは若干息を荒らげながらもあくまで渋々という体で従った。

 

 

 ぽわんっと煙を出してメロは姿を変える。

 

 

「これでいいッスか?」

 

「あぁ……」

 

 

 相槌をしながら弥堂はそのカタチをジロリと視る。

 

 これまでに何度か視た女児の姿だ。

 

 パッと見は人間の子供そのものである。

 

 

「な、なんッスか……? その目やめて欲しいんッスけど……⁉」

 

「ただ見ているだけだろ」

 

「いーや嘘ッス! だってよく見るとちょっと目ぇ光ってるし! コワイんッスよ!」

 

「別に。ただの癖だ。珍しいものを視るとこうなっちまうんだ。気にするな」

 

「ジブン、その目見るとビビる癖がついちまったッス。殺されるんじゃないかって……。ほら見てくれッス。シッポがブワってなってるッス」

 

「お前にも危機管理能力があったんだな。その感覚は大事にした方がいい」

 

「……どうして一言『ごめんなさい』って言えないんッスか?」

 

 

 年端もいかない少女にジト目で呆れられるが、コミュ能力に問題のある男は自分の言いたいことだけを言う。

 

 

「ところで、他の姿にはなれないのか?」

 

「ん? 他のニンゲンのカタチってことッスか?」

 

「そうだ。例えば筋骨隆々の男の姿とか。昨日はその姿でレッサーデーモンの相手をしていたが、戦うなら強い姿になった方が有利なんじゃないかと思ったんだ」

 

「ネコ妖精が擬人化してマッチョのオッサンになるとか誰が喜ぶんッスか……」

 

 

 弥堂の疑問だか提案だかを聞いてメロは露骨に嫌悪感を露わにした。

 

 

「マジレスすると――」

 

 

 そして少しだけ表情に真剣みをのせて答える。

 

 

「――本気でやろうと思えば出来なくはねぇッス」

 

「へぇ」

 

「でも、ジブンはやりたくないッス」

 

「悠長なことだな」

 

「いや、違うんッスよ。この『やりたくない』ってのは、甘えとかオシャレ感?とか、なんかそういうんのとはベツモンなんッス」

 

 

 彼女の声音からも真剣にそう言っていることが伝わり、弥堂もそれ以上は皮肉を言うのをやめる。

 

 

「黒ネコになったり、この姿になったりするのを無理なくやれるのは、ジブンが自分を『ジブンはこういう存在だって』そう認識してるから出来るんッス。それを無理矢理、性別も種族も年代も全然ベツのモノになろうとしちまうと……」

 

「あぁ、なるほど。揺らぐのか。存在が」

 

「そういうことッス」

 

 

 理解の早さを見せた弥堂にメロは表情を緩めて鷹揚な仕草で頷いてみせる。

 

 悪魔に関しての知見が彼にあることはもう知っていたので、そのことに驚きはしなかった。

 

 

「それにさっきも言ったッスけど、結局ジブンらってスピリチュアル?的な存在ッスから、見た目をマッチョにしたからって力が強くなるわけじゃないッス。どうせモノを言うのは魔力ッスし」

 

「見た目だけ強くしても脅しにしか使えないってことか」

 

「そそそッス。学園で白ネコの姿で出てったことあったじゃないッスか? あれ実はジブン結構ムリしてたんッス」

 

「毛皮の色は自己認識の上で重要なのか?」

 

「ネコさんにはとっても重要なんッス」

 

「今は髪が白いがそれはいいのか?」

 

「これは銀髪ッス。つか女子の髪と獣の毛皮を一緒にするなッス」

 

「よくわからんが面倒くさいな」

 

「フフフ、なにせジブン女子ッスから」

 

 

 口元に手を添えて得意げに「にゃしし」と笑う。

 

 そして、これで弥堂に聞かれたことについて大体答えたと判断し、今度はメロの方が聞きたいことを言う。

 

 

「それはそうと――」

 

 

 だが――

 

 

「――クォラァッ! 誰じゃあッ⁉」

 

 

 奥から突然第三者の怒鳴り声が響き、メロは驚きから言葉を呑み込んだ。

 

 

 ノソリと暗がりから現れたのは一目でわかるほどのホームレスの男性だった。

 

 

「若造どもがァ! 人の寝床で毎度パコパコしやがってェ! 出て行けェ……! ワシの家でパコらせはせんぞォ……ッ!」

 

 

 明らかに弥堂たちに向けて叫んでいるのだが、その両目はそれぞれ違う方向へ目線が向いているので妙な気味の悪さがある。

 

 どうもここは彼のヤサのようで、そこを侵されたと怒り心頭のようだ。

 

 ホームレスのおじさんは興奮を露わにビニール傘をブンブンと振り回しながら激しく唾を飛ばす。

 

 

「誤解だよおじさん」

 

「なァにが誤解かァ! 所かまわずにパコパコしやがって!」

 

「そんなことはない。俺たちはパコパコしない」

 

「本当かァ……ッ?」

 

 

 息まきながらおじさんが近づいてくるとメロは緊張を感じた。

 

 隣の男がこのおじさんを殺害するのではと不安になったのだ。

 

 

 だが――

 

 

「――ん? なんじゃァ、兄さんかい」

 

 

 近づいて弥堂の顏を覗き込むとおじさんの態度が軟化した。

 

 

「あぁ、俺だ」

 

「おにぎりの配給かい?」

 

「違う」

 

「ほぉかい。すまんのう、またゾッキーどもが女連れ込んできたのかと思ってよ。アイツらワシのベッドでパコパコして汁まみれにして帰っていくんじゃ」

 

「ヤツらもこんな昼間からはやらないだろ」

 

「ヘヘッ、そうかもな。まぁ、ゆっくりしてけや。おにぎりでも食うかい? 賞味期限が二週間過ぎてるが」

 

「いらねえよ」

 

 

 相手だけでなく、弥堂の態度もどこか普段より柔らかいようにメロには感じられた。

 

 すると、ホームレスのおじさんの目玉がギョロリと動く。

 

 左右それぞれアベコベな方向を向いているが、その視線が自分に合わせられたのだとメロは察した。

 

 

「お兄ちゃんこわーいっ」

 

 

 メロは口調と声音を変えてパっと弥堂の腕に飛びついた。

 

 

「なんじゃァ? 兄さんの妹かい?」

 

「…………」

 

 

 おじさんの顏がまた弥堂の方へ向けられる。

 

 弥堂は答えず、ジッと腕に抱きつくメロを視た。

 

 

「このおじさんクサすぎぃ~」

 

「なんじゃとォ……⁉」

 

 

 すると、年端もいかぬ女児が暴言を吐き大人をビックリ仰天させた。

 

 

「もぉ~、このおじさんってば、家もないしお金もないし、その上清潔感もないとかサイアクすぎなんですケド? あっち行ってよクソジジイ」

 

「ここここ、このクソガキャァッ! 大人に向かってなんて口のききかたを……!」

 

「えー? だってぇ、おじさんって大人のクセに仕事してないんでしょ? クサイしダサイし、もう死んだ方がいいんじゃない?」

 

「うおぉぉッ! 許さん……ッ!」

 

「おい」

 

 

 先程以上におじさんが怒り心頭でビニール傘を振り回し始める。

 

 弥堂は止めるために二人の間にグイっと身体を割り込ませた。

 

 そしてさりげない動作でおじさんの手にクシャッと丸めた紙幣を握らせる。

 

 

「…………」

 

 

 スンっと鎮まって無言になったおじさんは手触りでその枚数を確かめた。

 

 

「ヘヘっ……、ありがとよ兄さん。んじゃワシは小一時間ほど散歩してくるぜ」

 

 

 何かしらを察した様子で、おじさんはニッと笑い黄ばんだ歯列を見せてきた。

 

 続いてもう一度メロの方へ顔を向ける。

 

 

「まったく、こんなガキんちょを……。兄さんも無茶するな」

 

「…………」

 

 

 そう言っておじさんは1階へ降りる階段の方へと片足を引き摺りながら歩いて行った。

 

 どうやら何かしらの誤解があるようだが面倒なので弥堂は否定も訂正もしなかった。

 

 

 代わりに――

 

 

「――ん? なぁに? おにいさん」

 

 

――腕にしがみついたままのメロをジロリと見遣る。

 

 

「なんの真似だ」

 

「え? 少年が余所行きっぽい喋り方してたから、てっきりやり過ごそうとしてるもんだと思って合わせたんッスけど……、違ったッスか?」

 

「それは違っていない」

 

「じゃああれッスか。妹のフリしたのが気に喰わなかったんッスか? でも兄妹設定にしとかないと、オマエみたいなモンが女児と二人でこんな場所に居たら通報確定ッスよ?」

 

「確かに気には障るが、そのことじゃない」

 

「じゃあ、なんなんッスか」

 

 

 弥堂は眼を細める。

 

 普段のメロの行動から、どんな時でも奔放に非常識な振舞いをするものだと思っていたが、どうもそうではないようだ。

 

 一応その場の空気を読んで、それに合わせるということはそれなりに出来るらしい。

 

 そのこと自体は問題ないのだが――

 

 

「――何故挑発した?」

 

「へ?」

 

 

 揉め事にならないように演技をしたのに、なのに何故わざわざ相手を怒らせるような言動をしたのかということについての言及だ。

 

 メロは特に悪びれた風もなく、ケロっとした態度で答える。

 

 

「だってジブンはメスガキッスから」

 

「答えになっていないんだが」

 

「いやいや、メスガキなんだから大人の男の人のことはバカにしないといけないだろッス? それとこれとはベツなんッスよ」

 

「……どういう意味だ?」

 

 

 しかし、その返答は弥堂には理解が出来なかった。

 

 

「いや、だって、普通に考えてみろよッス」

 

「普通に考えて相手を馬鹿にしたら怒らせるだろ」

 

「うむッス。でもジブンはメスガキッスから。それが求められてるムーブかなって」

 

「メスガキだからなんだ」

 

「よく考えてくれッス。まずメスガキが大人をバカにしないと、大人がメスガキを“わからせ”出来ないじゃないッスか?」

 

「あ?」

 

「だって大人をバカにするからメスガキなんッスし、大人に礼儀正しい品行方正な女児を理由なく“わからせ”たら大人が捕まっちゃうだろ?」

 

「……“わからせ”とはマウントをとることだったか?」

 

「まぁ、体位的にマウントと言えなくもないッスね。どうせ最後は種付けプレスだろうしッス」

 

「…………」

 

 

 何を言っているのか弥堂にはよくわからなかったが、どうせロクでもない内容であろうとその先は聞く気が失せた。

 

 それに、弥堂の上司である廻夜部長もメスガキについて似たような解説をしたいたような気がしたのだ。

 

 部長が言うのなら仕方がないと弥堂は諦めて、建物内を先に進むことにした。

 

 

「あ、待ってくれッス」

 

 

 その後をメロがついてくる。

 

 

「オマエ勝手に会話を終わらせて勝手にどっか行こうとするクセ治せッス。それよくないッスよ」

 

「あ? 言うこともなくなったし、訊きたいこともなくなったのにバカのように突っ立ってても意味がないだろ」

 

「一方的すぎるんッスよ。少年は一回メスガキになって“わからせ”されるべきッス」

 

「残念ながらメスでもガキでもないのでな」

 

「そこはあれッス。ジブンが頑張って『人体メスガキ化の魔法』を開発するッス。真っ先にオマエに使ってやるからな? 少年はいっぺん中年のおじさんにわからされるべきッス」

 

「そうか。上手くいくといいな」

 

 

 そう言い合っている内にまた昇り階段の前に出る。

 

 弥堂は迷わず三階への階段を踏んだ。

 

 

「それよりも――」

 

 

 にゃしし――とメロが笑う。

 

 

「なんだ」

 

 

 振り向きもせずに弥堂が聞き返すと、その背中に嬉しげな声をかけてきた。

 

 

「そうは言っても、さっきは上手くやれたッスね。無事におじさんを突破したッス」

 

「そうかもな」

 

「ジブンも意外とやれるモンだろッス。TPOを弁えられるネコさんッスから」

 

「今はメスガキなんじゃないのか」

 

「おっと、そうだったッスね」

 

「随分といい加減なんだな」

 

「まぁまぁ、ジブン悪魔ッスから。でも、ジブンら意外と上手くやっていけそうじゃないッスか?」

 

「…………」

 

 

 弥堂は足を止めないまま肩越しに視線を背後のメロへ向ける。

 

 そして――

 

 

「――そうかもな」

 

「にゃししっ」

 

 

 先程と同じ言葉で肯定し前に向きなおると、彼女からも同じ笑い声が上機嫌に聞こえてきた。

 

 

「昨日あんなことがあったばかりだから色々不安だったッスけど、なんかよくなる気がしてきたッス」

 

「そうだといいな」

 

「うむッス。まずマナが目を醒まして。そのままゼンブいい方向にいって欲しいッス」

 

「そうだな」

 

「それで……、いつか、何もかも元通りになれば……。少年もそう思うだろッス?」

 

「…………」

 

 

 少しだけ真剣みを佩びた最後の問いには答えなかった。

 

 ちょうどそのタイミングで三階に到着したためだ。

 

 

 弥堂は無言のまま、淀みのない歩調でそのまま三階フロアに這入って行く。

 

 

 メロは特に気にせず、その後に着いて行った。

 

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